ふだんビジネス書はほとんど読まくなっているのだが、この本は読みたいと思ってすぐに購入し、実際に読んでみたら、予想以上に面白かったので紹介しておきたい。
『禁断の説得術 応酬話法-「ノー」と言わせないテクニック-』(村西とおる、祥伝社新書、2018)というのがそのタイトルと著者だ。 https://amzn.to/2GjvLC8
村西とおるという人物については、1980年代後半のバブル時代に生きた男性諸氏なら知らない人はいないだろうから、あえてここでは説明しないが、そんな村西とおる氏が「昔の名前で出ています」といった感じで最近復活を遂げている。
事業の失敗でつくった借金がなんと50億円! そんな多額の借金ゆえに生死の崖っぷちに立ちながらも、なんとか完済。しかも、不治の病から生還しての復活だ。 その窮地を救ってきたのが「応酬話法」。販売相手のお客様から投げかけられた疑問・質問・反論に対応するため、米国のセールスの世界でパタン化されたセールステクニックの話法のことだ。
村西とおる氏のこの本は、そんな「応酬話法」というテクニックの解説もされているのだが、高校卒業後に福島から上京してからの人生で実際に使用して成功してきた「応酬話法」が、数多くの実例をもって語られる。きわめて具体的なものなので、あまりにも説得力がありすぎる。読んでいて光景が目に浮かぶような気さえして、楽しみながら読んでしまう。
この本は、言ってみれば村西とおる氏の70歳(・・もうそんな歳なのだな)の七転び八起きの起き上がりこぼし的な人生の、問わず語りのような内容でもある。 活躍してきた分野がAVという世間的にはいかがわしいとされるものだとしても、事業家としてリスペクトしないわけにはいかないだろう。もちろん、成功もあれば失敗もある。その最たる例が、時代に先駆けすぎて失敗して結果の50億円の借金だ。
この本は、ビジネス書の域を超えた人生の書になっているといってもいい。面白くてためになる本としておすすめしたい。
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