『安売り王一代-私の「ドン・キホーテ」人生-』(安田隆夫、文春新書、2015)を一気読みした。この本は面白い。一気読みさせるだけの熱がある。
「ドンキ」については、あえて説明する必要はあるいまい。著者は、そのドンキを一から立ち上げて現在に至るまで成功させた創業経営者である。
「ドンキ」を貫いてきたのは、一言で言えば「逆張り」。流通業の常識を知らない、無手勝流の素人ゆえ強みと弱み、成功と失敗。まさに波乱万丈の一代記である。
一から立ち上げた創業経営者であるからこそ隅々まで熟知しているのだが、みずからの人生の赤裸々な述懐には、同時に自らを突き放してみることのできる知性も感じさせる。
みずから「内圧」の強いと語る人による人生論として読んでも面白いのではないかと思う。
おすすめの一冊。
目次
はじめに 若者よ、「はらわた」を振り絞れ!
第1章 絶対に起業してみせる
第2章 ドン・キホーテ誕生
第3章 禍福はあざなえる縄の如し
第4章 ビジョナリーカンパニーへの挑戦
第5章 不可能を可能にする安田流「逆張り発想法」
終章 波乱万丈のドン・キホーテ人生に感謝
著者プロフィール
安田隆夫(やすだ・たかお)
1949年岐阜県大垣市生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、不動産会社に就職するも入社10カ月後に倒産。以降、長い無頼と放浪の時代を過ごす。78年、東京・杉並区にわずか18坪のディスカウントショップ「泥棒市場」を開店。深夜営業でヒットし成功を収めるが、5年で売却し、バッタ屋「リーダー」を設立。これも大きな利益を上げるが、小売業への再参入を決意し、89年に「ドン・キホーテ」1号店を東京・府中に開店。幾多の失敗や苦難を乗り越えながら急成長を続け、96年に株式店頭公開、98年東証2部上場、2000年東証1部上場。2015年6月にドンキホーテホールディングス代表取締役会長兼CEOを退任。現在は、ドン・キホーテグループ創業会長兼最高顧問(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。
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