「大前研一通信特別保存版」の最新版である。「R+」(レビュープラス)からの献本をいただいて、今回は「電子書籍版」で読んでみた。
本書は、既存の日本の教育に対するアンチテーゼとして大前研一が実践してきた大学教育と大学院教育について、その軌跡を記したものである。
その実践的教育とは、「自らが学長に就任し設立した100%オンラインのみで経営学士を取得できる、日本唯一の大学:ビジネス・ブレークスルー(BBT)大学」である。BBT大学大学院は、「本邦初の遠隔教育法によるMBAプログラムを開講」している。
MBA教育にかんしては、BBTとオーストラリアのボンド大学との提携により、海外MBAの取得も可能なBOND-BBT MBA(ボンド大学大学院)も開設している。
先の読めない現代において必要なのは、「自分のアタマで考えて自分で行動すること」。そして、問題解決のために仲間をつくり、ネットワークをつくり集合知をつくりあげること。
このために必要なのは、リーダーシップであり、英語によるコミュニケーション能力、そして論理的思考能力であり、そしてマネジメントとITにかんする実践知識である。
このように書いていると、当たり前といえば当たり前に響くが、大前研一の取り組みで注目すべきはネットをフル活用した教育方法にあるといっていいだろう。
それは先にも触れたように、ほぼ100%オンラインのみで完結する大学であるということだ。
AC(エアキャンパス)という、ネット上で双方向の対話を可能とする教育空間は、フェイスブックのグループ機能などを日常的に使用していれば、その有効性については十分に納得のいくものだと思う。
わたし自身はBBT大学は受講したことはないが、リアルの教室以上に議論が活発になり、むしろ遠隔地に住んでいる者どうしのほうが親密になりやすいことは、大前研一や受講生たちの指摘するとおりだと思うのはそのためだ。
この意味で、本書に書かれた取り組みについては、これからBBTで学ぼうとする学生予備軍はもとより、既存の教育機関で教育に携わっている教育者や学校関係者こそ読むべきなのである。
オンラインでできること、オンラインのほうが効率的なことを十分に理解することによって、オフラインの教育の意味も再発見されるからだ。
既存の教育の世界にいる人こそ、とくに第2章と第3章を読んで大いに危機感を抱いてほしいと思う。
そうでなくても実社会との距離感が埋まらない教育界である。教育界自身の生き残りのためというよりも、日本と日本人が生き残るための必要な教育体制に転換することが求められているためだ。
教育界には一刻も早く目覚めて欲しいのだ。
目 次
はじめに
第一章:【21世紀の学びへ】
第二章:【進化する大学】 ビジネス・ブレークスルー(BBT)大学
第三章:【進化する大学院】 BBT大学大学院、BOND-BBT MBA
第四章:【進化する学び】 大前研一の発信から学ぶ -Teach(教える)からLearn(学ぶ)への深化
おわりに
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(amazon で 2012年7月3日発売の拙著です)
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