夜10時には寝る。朝5時には起きる。
朝起きたら顔を洗う。食事のあとには歯を磨く。
出社したら「おはようございます」と声をかけ、
退社の際には「お先に失礼します」と挨拶をする。
こういったことは「習慣」になってますよね。しかも無意識のうちに行う条件反射のように。
しかし、最初から「習慣」になっていたかどうか、思い出してみましょう。
何時に寝て何時に起きるかは人によってまちまちでしょうが、すくなくとも社会人になったら、朝には起きなくてはなりません。学生時代はちゃんと朝起きてましたか? 違いますよね。
「おはようございます」というあいさつ、いつからしているか記憶してますか? さすがに大人になってからという人はいないですよね。でも幼児のときの記憶はないでしょう。ましてや「お先に失礼します」というあいさつは社会人になってからはじめて身につけたのではないでしょうか。
「習慣」化する前には、最初に「目的」があったのです。「目的」が明確だからこそ、「習慣」とするために努力したわけです。
「習慣の奴隷」というフレーズがあります。「人間は習慣の奴隷だ」といった使い方をしますが、いったん「習慣」として定着すると、何も考えずに条件反射的に行動してしまうことを指した表現です。おそらく、英語の Man is Slave of Habits という表現が日本語化されたのでしょう。
しかし、いったんできあがった「習慣」は、ときおり見直してみたほうがいいかもしれません。無目的に自動機械のように繰り返しているのではないかという自分への問いかけです。
もちろん、ここにあげた「よい習慣」をやめる必要はまったくありません。
やめるべきなのは、依存症や嗜癖(しへき)といった「悪い習慣」です。アルコールを飲み過ぎるといった依存症や、オンラインゲームが嗜癖(しへき)になってしまって本を読まなくなっている、などです。
こういった「悪い習慣」は意識的に、積極的にやめる必要があります。
とはいえ、「よい習慣」であっても、習慣がルーチーン化してしまうことで問題になってくることもあります。
慣れやマンネリという要素も発生してくると、油断によって思わぬミスや不具合を生じる恐れもあります。なんのためにやるのかという目的をときどきは思い出してみることも大事です。目的がしっかりと把握されていれば、「よい習慣」は「とてもよい習慣」に変わります。
発想において固定観念を生み出す恐れもあります。たとえ「よい習慣」であっても、日々変化のない生活を続けていると新しい発想は生まれてきません。新しい発想というのはすでにもっている知識とあらたな刺激の出会いによって生まれるものだからです。
毎日同じコースで通勤する「習慣」がついていると、発想が固定化するだけでなく、なにか事故が発生したときにパニックになってしまう恐れもあります。極端な話ですが、誘拐を避けるためには通勤コースを避けるというのは、クライシス・マネジメント(危機管理)の常識です。
このように、たとえ「よい習慣」であっても、100%よいと言い切れない側面があることはしっかりと意識しておきたいものです。
意識しなくてもカラダが動くようになるまでには、「三日・三月・三年」(みっか・みつき・さんねん)というフレーズがあるように、意志のチカラを発揮して、意識的に反復して「習慣」化する必要がありますが、いったん「習慣」となってからは、ときどき目的を再確認する必要があるのです。
なにごとであれ、コインの裏表と同じように、なにごともポジティブとネガティブの両面があるからです。「よい習慣」と「悪い習慣」の違いだけでなく、「よい習慣」であっても目的を意識する「習慣」をみにつけておきたいものです。
なんせ、人間は「習慣の奴隷」なのですから!
「三日・三月・三年」(みっか・みつき・さんねん)
コトダマ(きょうのコトバ)-言霊には良い面もあれば悪い面もある
Business as usual (きょうのコトバ)
地震、津波、原発事故、そして財政危機。「最悪の事態」を想定しなければならない状態になっているが・・・
(2012年7月3日発売の拙著です)
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