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2013年5月10日金曜日

TIME誌の特集記事 「メイド・イン・USA」(2013年4月11日)-アメリカでは製造業が復活してきた


すでに1カ月前になってしまいますが、米国の TIME誌の 2013年4月11日号のカバーストーリー(特集記事)が、"Made in the USA" でした。遅ればせながら昨日しりました。

記事によれば、2008年のリーマンショックから3年間で製造業に従事する人口がなんと 50万人(!)も増加しているとのこと。

基本的に「シェールガス革命」の恩恵でエネルギーコストが下がったことが背景にあるようです。具体的にいえば、中国で生産して米国に輸送するよりコストより、米国内で製造したほうがトータルコストが低くなる(!)という図式ですね。

原発事故で天然ガスの輸入が増え、しかも円安のため輸入コスト上昇、ひいては電力料金アップにつながっている日本とは大違いです。

だが、これはかならずしも単純に製造業人口が増加したと解釈すべきではない、と記事にはあります。

単純労働ではなく、コンピューターという「機械との競争」と共存が現在の製造業の現場であり、教育で技能を身につける必要が生じていることに注意を促しています。

日本のものづくりをどうするかという議論がずっと続いていますが、アメリカの状況をどう解釈するか。いろいろ考える必要がありますね。

とりあえず情報だけでも知っておくべきでしょう。


<関連サイト>

Made in the USA(TIME Magazine)
http://www.time.com/time/magazine/article/0,9171,2140793,00.html?pcd=teaser

How ‘Made in the USA’ is Making a Comeback (TIME Magazine)
http://business.time.com/2013/04/11/how-made-in-the-usa-is-making-a-comeback/?iid=obnetwork

Made in America, Again(TIME Magazine)
http://www.time.com/time/magazine/article/0,9171,2140773,00.html?iid=obinsite

Is U.S. Manufacturing Really Back ? (TIME Magazine)
http://business.time.com/2012/01/23/is-manufacturing-really-back/

米モノ作り復活、意外な立役者たち 産業のすそ野で広がる改革の実態 (日経ビジネスオンライン2014年1月21日)



<ブログ内関連記事>

書評 『日本式モノづくりの敗戦-なぜ米中企業に勝てなくなったのか-』(野口悠紀雄、東洋経済新報社、2012)-産業転換期の日本が今後どう生きていくべきかについて考えるために

書評 『製造業が日本を滅ぼす-貿易赤字時代を生き抜く経済学-』(野口悠紀雄、ダイヤモンド社、2012)-円高とエネルギーコスト上昇がつづくかぎり製造業がとるべき方向は明らかだ

書評 『ものつくり敗戦-「匠の呪縛」が日本を衰退させる-』(木村英紀、日経プレミアシリーズ、2009)-日本の未来を真剣に考えているすべての人に一読をすすめたい「冷静な診断書」。問題は製造業だけではない!

書評 『グローバル製造業の未来-ビジネスの未来②-』(カジ・グリジニック/コンラッド・ウィンクラー/ジェフリー・ロスフェダー、ブーズ・アンド・カンパニー訳、日本経済新聞出版社、2009)-欧米の製造業は製造機能を新興国の製造業に依託して協調する方向へ

書評 『空洞化のウソ-日本企業の「現地化」戦略-』(松島大輔、講談社現代新書、2012)-いわば「迂回ルート」による国富論。マクロ的にはただしい議論だが個別企業にとっては異なる対応が必要だ

書評 『現代中国の産業-勃興する中国企業の強さと脆さ-』(丸山知雄、中公新書、2008)-「オープン・アーキテクチャー」時代に生き残るためには
・・「垂直分裂」というコトバが定着したものかどうかはわからないが、きわめて重要な概念である。この考え方が成り立つには、「ものつくり」において、設計上の「オープン・アーキテクチャー」という考え方が前提となる。 「オープン・アーキテクチャー」(Open Architecture)とは、「クローズドな製品アーキテクチャー」の反対概念で、外部に開かれた設計構造のことであり、代表的な例が PC である。(自動車は垂直統合型ゆえクローズドになりやすいが電気自動車はモジュール型)







(2012年7月3日発売の拙著です)





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2012年1月30日月曜日

「ASEAN最新事情セミナー-洪水後のタイ-」 (日本アセアンセンター主催 2012年2月14日 東京)が開催されます




日本アセアンセンター(東京都港区新橋)にて、 「ASEAN最新事情セミナー -洪水後のタイ-」のご案内 (ASEANセンター主催 東京)が、2012年2月14日(火)に開催されます。

今年2011年は、「3-11」の大地震と大津波、そして原発事故という「未曾有の」大災害が収束する間もなく、今度は日本企業にとっての製造拠点タイでは「未曾有」の大水害の被害に見舞われ、多くの死傷者や避難民がでただけでなく、日系企業が多く入居している工業団地が軒並み大被害を受けてました。

被災企業におかれましては、すでに復旧から復興へとステージが進んでいることと思いますが、日系の被災企業と現在の復旧状況についての話を聞くことで、短期的な課題だけでなく、中期的・長期的な課題についても、アタマの整理をするよい機会になるのではないかと思います。また、これからタイ進出をご検討の方々にも役に立つでしょう。

アジアジャーナリストの松田健氏は、タイには300回以上訪問している「生き字引」のような存在で、タイにおける製造業については、長年の取材経験をもとに 『タイで勝つ !!-直感力こそ成功のカギ-』(松田健、重化学工業通信社、2010)という本も出版されています。松田氏のことは、わたしもよく存じ上げております。

以下に、ASEANセンターによるセミナーの紹介文を転載いたします。


◇◇--------------------------◇◇
「ASEAN最新事情セミナー -洪水後のタイ-」のご案内
◇◇--------------------------◇◇

日本アセアンセンターでは、バンコクに滞在するアジアジャーナリスト松田健氏をお迎えし、「ASEAN最新事情セミナー -洪水後のタイ-」を開催いたします。

2011年、タイを襲った大洪水は、タイ経済のみならず現地で操業、また取引を行う日系企業にも大きな打撃を与えました。

この洪水では、カンボジア、ベトナム、ミャンマーでも大被害が出たにも関わらずタイだけが中心的に報道された理由はどこにあるのでしょうか。今後も再び洪水が発生する可能性があるタイから日本企業が撤退しないのは何故でしょうか。洪水の中で取材した日系被災企業と現在の復旧状況を、今後のタイに求められる治水対策などを交えて、バンコクに滞在するアジアジャーナリスト松田 健氏にお話しいただきます。

ASEANでのビジネスをお考えの方に、アジアに精通する松田氏の視線で、最新事情をご紹介いたします。皆様のご参加をお待ちしております。

日時:  2012年2月14日(火)14:00-16:00会場:  日本アセアンセンター内 「アセアンホール」東京都港区新橋6-17-19 新御成門ビル1階
http://www.asean.or.jp/ja/ajc/about/img_folder/AJCmap2010

参加費:  無料
詳細・お申込み: 下記のサイトから
http://www.asean.or.jp/ja/invest/about/eventinfo/2011/2011-24.html

 問い合わせ先: 日本アセアンセンター 投資部 TEL:03-5402-8006
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講演者プロフィール
      
松田健(まつだ・けん)

1947年小豆島生まれ。1971年上智大学法学部卒。23年間の日刊工業新聞記者(最後の1年間は総合デスク)を経て、1995年に独立。年のほとんどをアジア各地にいて、現地発の経済やビジネス情報を「アジア・ジャーナリスト」として日本の各媒体や企業に発信中。アジア関係のビジネス・コンサルタントとしても活動している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。






<ブログ内関連記事>

「緊急企画 日タイ洪水復興セミナー」(JETRO主催 東京)が開催されます(2011年12月9日 入場無料)

バンコクへの渡航は自粛を!-タイの大洪水と今後の製造業立地の方向性について





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2011年4月12日火曜日

製造業ネットワークにおける 「システミック・リスク」 について

   
 随筆家として有名な寺田寅彦(1878~1935)は、地球物理学を専門とする物理学者でもありました。

 晩年の随筆「天災と国防」(1934年)は、要約する以下のような内容です。

 「天災」は、日本という国にいる以上、避けて通ることはできない。文明が進めば進むほど、自然災害による被害は増大するだけでなく、たとえ一部の損害であっても、すべてがシステムのなかに組み込まれている以上、その被害はシステム全体に拡がる。しかも、国防という観点からみたら、天災が外敵以上に対応が難しいのは、「最後通牒」もなしに、いきなり襲いかかってくるからだ。

 執筆から約80年後の現在でも、そのままそっくり当てはまることではありませんか!

 産業界の話に限定してみても、サプライチェーン問題が、日本のみならず韓国や中国だけでなく北米を含む世界の製造業に大きな影響を与えるに至っています。金融の世界で言われる、いわゆるシステミック・リスクが、製造業の世界でも顕在化したのです。


製造業ネットワークにおける「サプライチェーン」

 サプライチェーンにおける問題は、ビジネスパーソンであれば耳にはしているでしょう。

 サプライチェーン(供給連鎖)とは、複数の企業の間に構築された物流ネットワークのことです。流通業でいえば、仕入れ先から自社物流センター経由で店舗までとなります。すでにできあがっている製品の物流にかんするものです。
 
 製造業の場合は、部品の調達先から組み立てまでが精緻に構築されています。単体部品、ユニット、モジュール、最終組立品と何段階もある製造工程には、きわめてたくさんの企業がかかわってくるので、工程のなかで、どこか一つでも不具合が生じると、システム全体に大きな影響が及んでしまう。

 自動車業界では、Tier 1、Tier 2、Tier 3 という表現があります。自動車車体(ボディ)やパワートレインの組み立て工場に部品を納めるサプライヤーのことを表現した業界用語で、アセンブリーされるモジュールを供給するのがティア・ワン、ティア・ワンにユニットを供給するのがティア・ツー、ティア・ツーに部品を供給するのがティア・スリーとなります。

 サプライチェーンは、部品 ⇒ ユニット ⇒ モジュール ⇒ 最終組立製品 という流れ(フロー)になるわけです。

 今回の激甚災害で東北地方の工場が被災しただけでなく、関東地方の工場も電力不足のために思うように操業できずに、サプライチェーン問題は日本全国の製造業だけでなく、海外の工場にまで拡大しています。


製造業ネットワークにおける「システミック・リスク」

 システミック(systemic)とは、システム全体の、という意味です。金融界においては、市場の一部において発生した破綻などの異常事態により、それが原因で発生した決裁不能が市場全体に波及するリスクのことを意味しています。

 私は、今回の事態は、製造業におけるシステミック・リスクが顕在化したと表現することが、もっとも適切な表現になると思います。

 金融や電力、鉄道などがネットワークによってつながっていることはよく知られていると思いますが、組み立て製造業もまた、部品製造のネットワークによって世界が密接につながっているのです。

 そして、部品製造の分野においては、日本がもっとも重要なプレイヤーであることが顕在化したわけです。部品製造の世界にいれば常識ですが、広く日本のビジネスパーソンがこの事実を知ったことは、怪我の功名(こうみょう)とも言うべきことだったでしょうか。


インターネットの「分散型ネットワーク」は効率性追求の対極の概念

 ところで、今回の地震直後にあらためて確認されたのは、通信ネットワークにおけるインターネット回線の危機対応能力です。もともと米軍が核攻撃に備えて「分散型のネットワーク」を構築したのがその起源ですね。

 日本の製造業ネットワークにおいては、効率優先のあまり集中化を極限まで押し進めた結果、「分散化」という概念が本当に根付くことがなかったのです。「ジャストインタイム」を強調しすぎたがゆえに、効率性は実現したものの、災害時に弱点が顕在化してしまいました。

 対策としては、在庫を積み増す、摺り合わせ型の部品のウェイトを減らして規格品のウェイトを高める、代替部品を探す、一社への集中購買から、かつてのようなセカンドソース確保をかならず行う、などが一般論として考えられるでしょう。もちろんコストアップ要因ではあるが、危機対応費用と考えるしかない。

 ジャストインタイムは環境負荷も大きいので、ある程度の在庫は自社でもつということは、危機対応としてだけでなく重要なことです。これは製造業における「分散型ネットワーク」の実践といっていいでしょう。

 「分散型ネットワーク」といえば、国際展開も考慮に入ります。もし国際展開していれば、どこかの拠点にかならず在庫はもっているはずです。この在庫をどう考えるか?

 今回の激甚災害と原発事故に起因する電力不足によって、さらに製造業の海外流出に拍車がかかってしまうかもしれません。

 海外進出は個別企業のロジックとしては合理的な選択ですが、「日本復興」という観点からは何とも言えないものが・・・。実に悩ましいものがありますね。



<関連サイト>

「天災は忘れた頃にやってくる」で有名な寺田寅彦が書いた随筆 「天災と国防」(1934年)を読んでみる
・・姉妹編の「「アタマの引き出し」は生きるチカラだ!」に書いたものです。リンクなどはこちらを参照




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