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2012年11月26日月曜日

書評 『「アジアで儲かる会社」に変わる30の方法-「アジアのやり方」を徹底的に理解し確固たる戦略をもって進出せよ-』(森辺一樹、中経出版、2012)-海外進出は「アウェイでの戦い」である



中堅中小企業経営をとりまく外部環境の変化のなか、海外進出に活路を見いだす方向を選択することは重要な戦略となっています。

とはいえ、海外でのビジネス展開は、慣れ親しんだ国内マーケットという「ホームでの戦い」とは異なり、文字通りの「アウェイでの戦い」です。

海外進出がはじめての中堅中小企業にとっては、「アウェイでの第二創業」という位置づけで取り組むべき、困難かつ重大な全社レベルでの経営課題となるのです。

この本もまた、「アウェイでの戦い」についての重要なポイントを指摘してくれています。

「アジア」といっても、この本は中国を中心にしてますが、日本の常識が通用しないという点においては、日本というホーム以外はすべてアウェイなのです。

ささっと読めてしまうので、あまりアタマのなかに残らないかもしれないのが難点ですが、この本に書かれていることは、アジアビジネスに乗り出そうとしている人は心しておきたいものです。

もちろん、進出先の国ごとに押さえておかねばならないポイントは本書に書かれていない項目が多数あります。しかも、本書の内容はとくに明記されていませんがB2C(=一般消費者向け)ですので、日本の中堅中小企業の強みであるB2B(=法人向けビジネス)への言及が少ないのがネックです。

あくまでも、アジアというアウェイでは日本というホームの常識が通用しないという教訓書として読むべきだといっておきます。

とはいえ、アウェイでの戦い方を知るには、手頃な読み物だといっていいでしょう。






目 次

はじめに
第1章 アジアビジネスのやってはいけないルール
第2章 アジアで“しっかり売って儲ける!”ための意識改革
第3章 アジアで強い会社にするための提言
第4章 すべての日本企業がグローバル化できるために覚えておきたいこと
おわりに

著者プロフィール 

森辺一樹(もりべ・かずき)
1974年、神奈川県生まれ。法政大学経営学部卒。大手医療機器メーカーを経て、2002年、香港にて Strategic Decision Initiative (HK)Ltd. を起業、Co-CEO に就任。その後、中国に100%子会社の Strategic Decision Initiative (SZ)Ltd. を設立、董事に就任。2007年、ストラテジック・デシジョン・イニシアティブ株式会社として、本社を東京へ移転。代表取締役社長兼CEOに就任し、現在に至る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。


<ブログ内関連記事>

アジア進出に際しては「失敗事例」を押さえたうえで「成功方法」を考えよう-『なぜ中小企業の中国・アジア進出はうまくいかないのか?』 と 『アジアで成功する企業家の知恵』を読む





(amazon で 2012年7月3日発売の拙著です)






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2012年3月9日金曜日

JETRO主催による 「ミャンマー投資セミナー」(東京・無料)が開催されます(2012年3月21日)

(首都ネーピードーと経済の中心都市ヤンゴンを結ぶ幹線道路)

「ミャンマー投資セミナー」(東京 2012年3月21日) が JETRO の主催で東京で開催されます。

昨年2011年に劇的な政策転換によって「民主化」が進展しているミャンマーですが、東南アジアでは「最後の投資先」として急速に脚光を浴びつつあります。

入場無料ですので、この機会にぜひ情報収集を兼ねてセミナーを受講されることをおすすめします。

以下に、JETROによるセミナーの紹介文を転載いたします。

◇◇------------------------◇◇
「ミャンマー投資セミナー」(東京)のご案内
◇◇------------------------◇◇   
    
民主化の進展を受けた欧米による経済制裁の緩和や解除、テイン・セイン政権の下での外資誘致本格化に向けた取り組みなど、ミャンマーでは現在、ビジネス・投資環境の飛躍的な向上が期待されており、日本の産業界が最も注目する国となっています。
ジェトロでは今般、ティン・ナイン・テイン国家計画・経済開発大臣ほか、ミャンマー国内の3つの経済特区(SEZ)開発を担当する副大臣3名が訪日する機会を捉え、同国の最新の経済・外資誘致政策、各SEZ開発計画等を日本企業の皆様にご紹介するため、下記要領にてセミナーを開催することとなりました。
「新・新興国」とも喩えられ、発展が期待されるミャンマーの外資誘致政策や投資環境を理解する絶好の機会ですので、どうぞ奮ってご参加ください。

日時:2012年3月21日(水)9:30~12:00 (9:00受付開始)
会場:ホテルニューオータニ 芙蓉東の間  http://www.newotani.co.jp/tokyo/info/access/
■主催:日本貿易振興機構(ジェトロ)
■共催:財団法人海外技術者研修協会(AOTS)
プログラム(予定):
09:30 主催者挨拶 ジェトロ 理事長 石毛博行
09:35 基調講演「ミャンマーの経済・外資誘致政策」 ティン・ナイン・テイン 国家計画・経済開発大臣
09:55 講演1「チャオピューSEZ開発計画の概要」 ミン・テイン 労働副大臣(チャオピューSEZ担当)
10:15 講演2「ティラワSEZ開発計画の概要」 ウィン・シェイン 運輸副大臣(ティラワSEZ担当)
10:35 休憩
10:50 講演3「ダウェイSEZ開発計画の概要」 タウン・ルウィン 鉄道副大臣(ダウェイSEZ担当)
11:10 講演4「ミャンマーの経済動向とビジネス・投資環境」 ジェトロ・アジア経済研究所 地域研究センター 東南アジアII研究グループ長 工藤年博
11:40 質疑応答
12:00 終了
※演題はすべて仮題です。都合により一部変更となる可能性がありますこと、ご了承ください。
言語:ビルマ語/日本語 同時通訳
参加費:無料
■定員:300名 ※お申込み多数の場合は抽選とさせていただきます。
■お申し込み方法:下記URLのフォームに必要事項をご入力・送信してお申し込みください。  https://www.jetro.go.jp/form5/pub/obb/81
※参加いただける方には後日Eメールにて受付票を送付しますので、セミナー当日は受付票と名刺を会場受付にお持ちください。
お申し込み締め切り:2012年3月19日(月)
■お問い合わせ先:ジェトロ海外投資課(担当:宮崎、助川)
TEL:03-3582-5235 FAX:03-3585-7289 E-mail:obb@jetro.go.jp
◇◇------------------------◇◇  

●追記  「セミナー中止」のお知らせ(2012年3月13日)

3月13日づけで JETRO よりセミナー中止の連絡が入りました。以下、全文を転載します。

「ミャンマー投資セミナー」にお申し込みいただいた皆様

平素より大変お世話になっております。またこの度は標記セミナーにお申し込みいただき、誠にありがとうございました。

しかしながら、ティン・ナイン・テイン 国家計画・経済開発大臣、経済特区(SEZ)担当の3名の副大臣をはじめとするミャンマー政府一行の訪日が急遽取りやめとなってしまい、弊機構主催の標記セミナーも、止むを得ず「開催中止」とせざるを得なくなりました。
既に大変多くの皆様からお申し込みいただいていたにもかかわらず、このような結果となってしまいましたこと、心よりお詫び申し上げます。
弊機構といたしましては、今後もミャンマーに留まらず、様々な国・

市場のご紹介などを通じ、皆様の海外ビジネス展開のお役に立てるよう努力して参る所存です。今後とも弊機構の催しへのご参加ならびに各種サービスのご利用のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

この度のセミナー開催中止につきまして、重ねてお詫び申し上げます。

日本貿易振興機構(ジェトロ)
進出企業支援・知的財産部 海外投資課


なぜ、「ティン・ナイン・テイン 国家計画・経済開発大臣、経済特区(SEZ)担当の3名の副大臣をはじめとするミャンマー政府一行の訪日が急遽取りやめ」になったのか理由が明らかにされていませんが、この情報から、ミャンマー投資がかならずしも一筋縄ではいかないことが推察されます。
(2012年3月13日 記す)





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2011年10月26日水曜日

バンコクへの渡航は自粛を!-タイの大洪水と今後の製造業立地の方向性について


 タイを襲っている大洪水の影響で「BOI FAIR 2011」が来年1月に延期されました。会場であるインパクト・アリーナはまさにバンコク近郊、洪水被害にさらされています。

 これにともない、「タイビジネスミッション 2011年11月」 (BOI:タイ投資委員会主催)も延期となることが正式決定となりました。まずは、お知らせとさせていただきます。

 タイの大洪水ですが、報道によれば、水が引くのに最低4~6週間かかるとタイ政府が表明しているようですが、実際にはさらに長引く可能性もあります。

 日本の国土交通省の水災害・リスクマネジメント国際センターによるシミュレーションでは、11月末まで水が引かないとの結果もでています。タイ・チャオプラヤ川の洪水についてを参照。

 日本の外務省は、10月24日に「タイに対する渡航情報(危険情報)の発出」を出しました。

●首都バンコク
「渡航の是非を検討してください。」(不要不急の目的で滞在されている方は、事情が許せば、早めに国外への出国を含め安全な場所の確保を検討してください。)(引き上げ)


(追記)10月27日に「渡航情報(危険情報)」が引き上げられた
●首都バンコク
「渡航の延期をお勧めします。」(業務等の必要性があってやむをえず渡航される方は、洪水被害に巻き込まれることのないよう適切な安全対策を講じてください。また、既に滞在中の方は、事情が許す限り、早めに国外への出国を含め安全な場所の確保若しくは安全な場所への移動を検討してください。)(引き上げ)

 首都バンコクにかんしても、「危険情報」が4段階の上から3番目となる「渡航の是非を検討してください」に引き上げられました。すでに駐在員の家族の日本一時帰国が本格化しています。バンコクへの不要不急の渡航は「自粛」してください! 汚染された水によって、衛生状態も悪化する可能性もあります。

 タイ政府は、10月27日から31日までの5日間を「特別休日」にして、タイ国民に対して、首都バンコクからの避難を促しています。



今回の大洪水でバンコクという都市の脆弱性がモロに露呈



 上記の地図は、『新詳高等地図』(帝国書院)からコピーしたものです。

 チャオプラヤ川(・・日本人がメナム川と呼ぶ川の正式名称)の蛇行する下流域で、砂州のデルタ地帯に形成されたバンコクはそもそも地盤が弱いのいです。

 バンコク周辺で、チャオプラヤ川がひじょうに蛇行していることに注目してください。こういうときに役に立つのが、中学や高校で学習しているはずの地学の知識です。大規模河川の蛇行状況からみると、自ずから水害被害がひろがることがわかると思います。

 チャオプラヤ川上流の古都アユタヤに立地する工業団地が、次から次へと水没した今回の大水害は、これまでの「バンコク内乱」(2010年)や「クーデター」(2008年)とは性格がまったく異なります。バンコクで争乱があっても、郊外や地方の工業団地では business as usual(ビジネスはいつもどおり順調)だったからです。

 ところが、今回の大水害、おそらく地球温暖化の影響だと考えられますが、例年であれば雨期の末期の大雨による洪水被害も、アユタヤで水は食い止められて危うく難を逃れるということが続いていました。今回の大洪水は、まさに50年に一回という規模のものです。

 バンコクは、かつて中国の蘇州とならんで「東洋のベニス」と呼ばれたように、イタリアのヴェネツィア(=ベニス)とよく似た都市です。

 チャオプラヤ川のデルタ地帯の砂州にできたバンコクは、比較的に歴史のあたらしい都市で、運河が縦横に張り巡らされた水運都市でした。現在では、東京と同様に運河の大半は埋め立てられてますが、この点からいっても地盤がきわめて弱く、日本人が多く住むスクンヴィット地区は毎年のように水がでる状態です。
 
 都市インフラの面でも、東京など日本の都市よりも、はるかに劣っていることに注意する必要があります。上流から流れてくる肥沃な土地が稲作に好都合だった農業国ではなく、すでに工業立国となっているのですから。


大洪水後のタイについてどう考えるか

 完全な復旧には時間がかかりそうです。機械類が水没しているだけでなく、工場再開に際してワーカーの確保が難しくなる可能性があるためです。避難のため田舎に疎開したワーカーたちのすべてが戻ってこないかもしれません。

 すでに、世界第2位の生産高となている HDD(ハードディスクドライブ)にかんしては、米国メーカーが中国に製造機能を戻したり、日本企業でも、タイ国内やタイ以外の国や地域で生産代替する動きも加速してくるでしょう。

 「3-11」でサプライチェーンが麻痺し、ようやく復旧してきた矢先にタイの大洪水。まさに「踏んだり蹴ったり」の状況、「泣きっ面に蜂」とはこのことですね。

 とはいえ、すでに日本の製造業の製造拠点であるタイにとってかわる国や地域が、すぐにでてくるとは考えにくいひきつづき、タイが日本企業の製造拠点であり続けることでしょう。

 ありとあらゆる産業が集積し、ロジスティクスの観点からいって、なによりも交通の要衝であるという点が大いに評価されるところです。現時点では、あたらしい国際空港であるスワンナプーム空港は閉鎖されていません。ドンムアン空港は浸水のため閉鎖されていますが。

 今後はタイ国内だけではなく、周辺諸国も含めたリスク分散が不可欠になってきますが、悩ましいのは洪水はタイだけではなく、日本であまり報道されていないだけで、カンボジアもミャンマーもベトナムも同様に洪水被害が発生していることです。たとえば、ベトナムのハノイは漢字で書くと「河内」となるように、もともと水害の多い地域なのです。

 自然災害のリスクは世界中どこにいってもつきまとってくるもの。リスクを最小限にし、何かあった場合はすぐに復旧できるための BCP を織り込んだ事業計画が中堅中小企業レベルでも不可欠のものになると考えます。

 とかく目先のコスト削減に目を奪われがちですが、この点についても考慮に入れるべきだと、口を酸っぱくしても強調したいことであります。



<関連記事>

【タイ政治社会の潮流】大洪水:工業化の落とし穴(大阪外国語大学名誉教授・赤木攻)
・・「今、やっと「洪水は日照りより悪い」に変わりつつある。それは、タイ社会が農業立国から工業立国に変わったことを意味している」

2011年タイ洪水関連情報(東京大学生産技術研究所 沖研究室ウェブサイト)
・・幅広い観点から水循環、水資源について研究している。2011年11月4日から10日にかけてタイで現地調査を行い、調査結果は随時アップするとのこと。有用な情報です。

NHKクローズアップ現代 「タイ大洪水 苦悩する日系企業」(2011年10月24日放送)・・動画あり(約9分)

WorldTopics◆タイ 洪水で企業活動に影響(2011年11月5日)(ジェトロ 世界はいま)


<ブログ内関連記事>

タイのあれこれ (21) バンコク以外からタイに入国する方法-危機対応時のロジスティクスについての体験と考察-

「バンコク騒乱」について-アジアビジネスにおける「クライシス・マネジメント」(危機管理)の重要性

製造業ネットワークにおける 「システミック・リスク」 について

「不可抗力」について-アイスランドの火山噴火にともなう欧州各国の空港閉鎖について考える

「タイビジネスミッション 2011年11月」 (BOI:タイ投資委員会主催)のご案内




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