「個」と「組織」それぞれの能力を向上し、「個」と「組織」のよりよい関係を築くために
                                    

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2012年9月19日水曜日

書評 『なぜ、社員10人でもわかり合えないのか-鏡で世界一!コミーに学ぶ少人数マネジメント-』(日経トップリーダー編、日経BP社、2011)コミュニケーションを徹底して、個人の問題発見を組織力にまで高める!




買ったまま積ん読になっていた 『なぜ、社員10人でもわかり合えないのか 鏡で世界一!コミーに学ぶ少人数マネジメント-』(日経トップリーダー編、日経BP社、2011) を読みました。この本はじつに面白い!

死角をなくすためにいたるところに設置された凸面鏡、この世界的なメーカーが、なんと社員16人の中小企業コミーです。

顧客企業のその先にある個々のユーザーの声を徹底的に拾い上げるという姿勢。B2Bの法人向けビジネスの盲点をついた姿勢でもあります。B2B2Cといってもいいかもしれません。

また、消耗してしまうような無駄な競争を避け、自分の得意分野に特化するという姿勢は、そうとは書かれてませんが、「ブルーオーシャン戦略」そのものでもあります。

「なぜ?」によって社員の個人レベルでの「問題発見」を促し、文字化して「組織で共有」する。そのために「物語化」を積極的にすすめている会社。「コトバ」に徹底的にこだわり、コミュニケーションの仕掛けと仕組みをつくりあげている会社です。

タイトルにもありますが、少人数のほうがコミュニケーションがよく行き渡っているはずというのは、思い込みにもとづいた固定観念に過ぎないようですね。たしかに、二人のあいだでもわかりあえないことは、よくあることです。

むしろ、大規模組織のほうが管理技術が発達しており、社内整備が進んでいるので「共通言語」でしゃべることができるのかもしれません。すくなくともカタチとしては。

「なぜ?」を徹底的に繰り返すというとトヨタを思い出しますが、コミーにおいても教育者のような社長が、社員に対してつねに「なぜ?」を問いかけてきた結果、「自分のアタマで考える」社員が育っているようです。

わたしも、拙著 『人生を変えるアタマの引き出しの増やし方』で強調しているように「なぜ?」という問いかけが、「自分のアタマで考える」ためのトレーニングになるのです。問題解決の前に問題発見です。

個人の能力をいかに組織力にまで高めるかという課題を考えている方には、ぜひ読んでほしい本だと思います。中小企業だけでなく、大企業のチームでも、それは同じことでしょう。

読みやすくて、内容の濃い一冊です。おすすめです。





目 次

はじめに
第1章 街中にあふれる「あの鏡」を作るのは 社員16人の世界企業
第2章 無料で貸し出し、無料で交換も 思い込みを徹底的に取り除く
第3章 コミーの歴史は「誤解」から始まった 本当の「売れた理由」を突き止める
第4章 中小企業ほど、実はわかり合えない-小さな組織をむしばむ「ヌシ化」
第5章 「社内用語集」を日々更新 言葉の定義を厳密に決める
第6章 時間がたってもわかり合える 「物語化」し、何度も追体験
第7章 「なぜ?」と問うと 人はなぜ成長するのか?
あとがき


<関連サイト>

コミー株式会社(Komy Mirror)

日経トップリーダー(旧 日経ベンチャー)
・・中堅中小企業の経営者むけの専門ビジネス誌


<ブログ内関連記事>

『また、あの人と働きたい-辞めた社員が戻ってくる! 人気レストランの奇跡の人材育成術-』(黒岩功、ナナ・コーポレート・コミュニケーション、2012)-ヒトを中心に据えた経営こそ中小企業のあるべき姿

書評 『日本企業が欲しがる「グローバル人材」の必須スキル』(内永ゆか子、朝日新聞出版社、2011)-あくまでも「個」をベースに考えるとことが英語よりも大事






(2012年7月3日発売の拙著です 電子書籍版も発売中!)






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2011年11月2日水曜日

コンサルタントの仕事は「対話」をつうじて問題を発見すること


 イタリア車のフェラーリなどのデザインを担当した、世界的な工業デザイナー奥山清行氏と経営学者・野中郁次郎氏(一橋大学名誉教授)との「対話」での奥山氏の発言に、ひじょうに示唆のとんだものがあることを発見しました。

 奥山氏は、「デザイナーの仕事はコンサルタントだ」と指摘したあとにつづけて、「本人もまだ気づいていない問題を洗い出すことが(デザイナーの)仕事なのです」と述べています。

 これこそまさに的確な指摘。デザイナーの仕事をつうじて、コンサルタントの仕事を語ってもらったという思いがします。

 わたし自身、金融系コンサルティング・ファームを卒業してから、中小企業のナンバー2として、実業の世界に7年ほどいましたが、コンサルタントなどの外部「専門家」 と 「当事者」 であるクライアントとは、そもそもが異なる存在であることをつよく体感しました。コンサルタントを受ける側の立場に身を置くことによって、ふたつの異なる方向の発想を体感することができたからです。この件については、すでにこのブログでも
「専門家」は何も分かっていない?-いかにして 「当事者」 は 「専門家」 を使いこなすべきか と題して書いてみました。

 コンサルタントは「専門家」なので専門的なアドバイスをしますが、それを受け入れるかどうかはあくまでも「当事者」であるクライアントが、主体的に取捨選択して意志決定するもの

 専門家のアドバイスが意味をもつのは、クライアントとの 「対話」 をつうじて、「本人もまだ気づいていない問題を洗い出すこと」ができたときだといえます。

 クライアントがすでに気がついている問題は、部分最適の考えに基づいて外部にアウトソースすることも可能でしょう。それを専門にしているコンサルタントや士業やのかたがたも多く存在します。

 わたしは、あくまでも 「対話をつうじての問題発見」 を重視したコンサルティングを行ってきました。専門的アドバイスの前にコーチングによって問題発見を促すことにも似ていますが、誘導形式ではない、さらにもっと深いレベルの「対話」を重視しています。

 デザイナー奥山清行氏の発言は、コンサルタントの本質を語ってくれたものと考えるのは以上の理由です。

 デザインもコンサルティングも、あくまでも 「対話」 をつうじたクライアントとの共同作業であるのは、本質的に同じなのです。 



<関連サイト>

奥山清行氏×野中郁次郎氏 対談 7/9「創造の作法」


<ブログ内関連記事>

「専門家」は何も分かっていない?-いかにして 「当事者」 は 「専門家」 を使いこなすべきか
・・内部の「当事者」であるクライアントと外部の「専門家」は「対話」をつうじて共通認識をもつことを前提にした共同作業を行う


書評 『経営管理』(野中郁次郎、日経文庫、1985)
・・「ナレッジ・マネジメント」で世界的な権威となった野中郁次郎氏の原点ともいうべき一書







(2012年7月3日発売の拙著です 電子書籍版も発売中!)






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2011年5月9日月曜日

NHK・ETV 「スタンフォード白熱教室」(ティナ・シーリグ教授) 第2回放送-「問題解決」の前に「問題発見」! 急がば回れ!


 NHK・ETVの「スタンフォード白熱教室」。ティナ・シーリグ教授の「起業家育成コースの集中講座」(Stanford Technology Ventures Program)。まさに、シリコンバレーのテクノロジー・ベンチャーのゆりかごであるスタンフォードらしい授業ですね。

 ウォームアップによるチームビルディングそのものが米国流。肩のチカラを抜いてカラダをほぐし、アタマの回転と柔軟性を確保することから始まります。

 5月8日(日)の第2回放送は「名札をめぐる冒険」。公式サイトの説明は以下のとおりです。

 思考の枠組みを再設定する訓練を行います。まず、身の回りのあらゆるもので、ここが不便だ、ここがこうなったらいいのにという改善の余地があるものを挙げ、それをどうすれば実現出来るかを考えてみます。
 その演習として、「名札」の改善を行います。「名札」をもっと良く出来ないか? 学生たちが、新しい形の名札を考えてみます。一歩進んで、名札はそもそも何のためにあるか。要するに自己紹介ツールです。となると、別に名札は札とクリップである必要はなくて、全く別のデバイスで置き換えられるのでは? 斬新なアイデアが飛び出します。

 第2回放送で、「起業家育成コース」らしさが一気に高まってきました。さすが、工学系が中心の総合大学、アメリカ流の「実学」に学ぶものは多い!

 課題を5つ行う演習も方法論として興味深いものがあります。

 二人一組になって、「開発者」と「顧客」の役割をお互い演じる。第1回放送で習った問題整理の手法をつかって、紙のうえで「一人ブレーンストーミング」を行ったうえで、アイデアを具体的なカタチにするために、教室に用意された材料をつかって「試作品」をつくってみる。その際に、技術的な制約はいっさい考慮に入れない。

 見ていると、「マインドマップ」も日本に紹介されているものとは違って、お絵かきにはなっていませんね。非常にシンプルな思考整理の技法として使われていることがわかります。これは映像ならではの発見。

 このプロセスで重要なのは、「問題の定義」。そもそも何が問題なのか、表面上の問題にとらわれずに、この段階を深掘りしておかないと、ピントはずれの解決策がでてしまうわけです。非常に重要なポイント!

 わたしなら、「問題発見」と「問題特定化」という表現を使いたいところです。

 とかく「問題解決」ばかりが重視されがちなのは日本だけではないようです。「問題解決」の前に「問題発見」ということ。「急がば回れ!」ということでしょうか。

 学生たちに課題をあたえて、カラダを使ってモノをつくらせるという演習のあと、レクチャーでポイントを解説する授業のすすめかたは、きわめてプラクティカルで、アタマにすっと入ってきます。

 なんといっても、自分で考えて試行錯誤する経験を経たあとは、何が重要なのか理解しやすいものですね。

 「設計のプロセス」として、「Emphathize」(共感)-「Define」(定義)-「Ideate」(考察)-「Prototype」(試作)-「Test」(検証)のサイクルが重要であることが説明されました。

 「Prototype」(試作)-「Test」(検証)あたりは、PDCA の Do ⇒ Check ⇒ Action と基本的に」同じ流れですね。「Prototype」(試作)⇔「Test」(検証)は、フィードバックのプロセスと捉えるべきですね。

 シーリグ教授が面白いことを指摘していました。「試作品」に時間とカネをかけすぎないこと! 試作段階で完成品を求めないこと! 思い入れを入れすぎないこと! 企業でよくみられる問題だというのは、耳の痛い指摘かもしれません。

 要は試作段階では、顧客の対話をつうじてフィードバックを働かせるということが重要。顧客との対話をつうじて問題を発見し、問題を定義することからすべてがはじまるわけです。

 問題発見(=問題の定義)からはじまる、アイデアを形にするための授業、きわめて実践的でしす。

 学びも多いが、集中力も要求される中身のきわめて濃い授業。これほど濃い 1時間もないのでは? そんな感想をもつ番組ですね。

 放送予定は以下のとおりです。

5月1日(日) 第1回 「ブレーンストーミングで可能性を探れ!」
5月8日(日)第2回 「名札をめぐる冒険」
5月15日(日)第3回 「最悪の家族旅行を考える」
5月22日(日)第4回 「6つの考える帽子」
5月29日(日)第5回 「プレゼンはアートだ」
6月5日 (日)第6回 「パズルのピースが足りないとき」
6月12日(日)第7回 「真っ赤なウソを見破る」
6月19日(日)第8回 「新しいコーヒー体験」

 毎週日曜日の午後6時が楽しみですね!



<関連サイト>

「スタンフォード白熱教室」番組概要(NHK)

自分で自分を社長にする(Tina Seelig:ティナ・シーリグ)(YouTube 映像)

PDCA (きょうのコトバ)




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