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2014年6月2日月曜日

書評 『ゲームのルールを変えろ-ネスレ日本トップが明かす新・日本的経営-』(高岡浩三、ダイヤモンド社、2013)-スイスを代表するグローバル企業ネスレを日本法人という「窓」から見た骨太の経営書


グローバル企業ネスレ日本法人で、初の生え抜きCEOとなった著者の第二弾。

前著 『逆算力-成功したけりゃ人生の〆切を決めろ-』(高岡浩三、おち まさと=プロデュース、日経BP社、2013) がみずからの死生観=人生観を語った、かなりパーソナルな内容であったのに対し、本書は実際のネスレ日本のビジネスと経営に即して持論を展開した本格的なビジネス書です。かなり内容豊富で、しかも濃いといっていいでしょう。

帯には、「思いついたことの98パーセントは実行せよ!」などのキャッチコピーが書かれていますが、それだけなら並のビジネス書と同じで、あえて読むまでのこともないという気にさせられます。

本書が類書と異なるのは、きわめて日本的な教育を受けてきた著者であるにもかかわらず、グローバル企業のなかでもまれることによって培われた、実践をつうじた本質的な思考が展開されていることにあります。

現役の経営者が書いた経営書だけに、テーマは経営全般にわたりますが、ネスレというグローバル企業が、マーケティングとブランド・マネジメントをビジネスの根幹に据えた会社であり、すべてはそこに集約されることを説得力ある筆致で描いていることにあるでしょう。

著者は、ネスレはブランドを以下の三段階でマネジメントしていると書いています。

① コーポレート・ブランド(=企業ブランド)
② カテゴリー・ブランド
③ プロダクト・ブランド(=製品ブランド)

カテゴリーブランドとは、ネスカフェやキットカットといった製品群ごとに束ねたものであり、その傘下に製品ブランドが含まれるわけですが、BEM( Business Executive Manager)として、ブランド全般について損益責任をもって経営する体制になっているとのこと。

このため、ネスカフェやキットカットは消費者に知られていても、ネスレという企業ブランドと結びついていないといった問題もあるようです。しかし、著者が言うように、直接カネを生み出すのはカテゴリーブランドと製品ブランドであって、企業ブランド強化にチカラを入れすぎても意味はないのです。日本企業のブランドマネジメントに対する痛烈な批判rと受け取るべきでしょう。

このように著者の思考は合理的でロジカルですが、次のローカリゼーションにかんする発言もまた、かなり本質をついたものです。

日本人は、これまで受けてきた教育のせいで、グローバルな視点を日本風にローカライズ(地域化)する能力に欠けている。本質的な部分を論理的に把握できないため、日本独自の戦略やアイデアが生まれてこないのだ。(P.58)

著者は、この点を本書全体をつかって具体的に述べた本だと言ってもいいかもしれません。

日本人として、日本市場というローカルマーケットを熟知したうえで、グローバル企業のロジックをローカルで展開するとはどういうことかグローバル全体のなかでローカルマーケットを経営するとはどういうことかを考え抜いているからこそ生まれてきた考えでしょう。

著者の立ち位置は、グローバル展開を考えている日本企業の大半とは真逆のものですが、海外進出先という海外のローカルマーケットで、いかに日本本社のロジックを普遍的なレベルまで高めたうえで、ローカルに即して経営していくかについてヒントを得ることができるかもしれません。

もしかしたら、日本企業に比べて、ネスレは特殊な感覚を持っているかもしれない。クライシスが起こって当たり前というなかでマーケットヘッドに求められるのは、クライシス(危機)をいかにしてオポチュニティ(機会)に変えるかということになる。・・(中略)・・ つまり「Crisis is Opportunity.」なのだ。このことは、スイス本社から常に言われてきた。私が入社した30年前から聞かされていたので、ネスレとして筋金入りのカルチャーなのである。(P.254)

国内市場が小さくて、たとえ危険な地域であろうと海外市場を開拓していかなければ生き残れないというスイスの制約条件から生まれたネスレもまた、濃厚なスイス的を持ち合わせているということでしょう。

一方で、ネスレ日本法人は、日本の国内市場でしかビジネスを行うことは許されていないという絶対的な「制約条件」があるからこそ、縮小する市場のなかでもビジネスチャンスを発見し、徹底的にマーケットを深掘りし、成功を収めてきたわけです。

つねに変化しつづける市場環境、消費者意識、そして従業員意識。みずからの成功体験すら、環境変化のなかでは否定していかなくては、絶対的な「制約条件」のもとでは生き残っていけないのです。

経営トップの仕事とは、ゲームのルールを変えることにある、変革こそが経営者のやりがいであるといいう著者の姿勢はまさにそのとおりです。そうでなければ、本社にとってもローカルの経営トップ交代の意味はありません。

経営者あるいは経営者になりたい人、欧州系グローバル企業の日本法人とはどういうものか知りたい人だけでなく、ネスレという欧州系のグローバル会社について、日本法人という「窓」から覗いてみることのできる内容にもなっています。

「Think Globally, Act Locally」(グローバルに思考し、ローカルに行動する)を地でいった、実践と思考に基づいた本。読み応えのある本書は、ぜひ読んでいただきたいと思います。





目 次

序章 史上初、生え抜き日本人社長に就任
 ●グローバル人材の条件は「祖国を捨てること」
 ●史上初の生え抜き日本人社長に就任
 ●副社長就任も異例の人事だった
 ●変革こそが、経営者のやりがい
第1章 マーケティングは経営そのものである-戦後モデルの終焉で求められるプロの経営-
 ●日本以上に日本的経営の外資系企業
 ●過去の成功体験より未来を語る
 ●国家と企業が抱える問題の共通点
 ●旧来の成長モデルに縛られてはいけない
 ●脱却のカギは「プロの経営者」を育てること
 ●マーケティングは経営そのものである
 ●プロの経営者に必要なリーダーシップとは
 ●ゲームのルールを変えて、道を拓く
 ●ニッポン株式会社のルールを変えるのは人事から
 ●基本戦略をローカライズしているか
第2章 売れない商品を売ってこそ一人前-現場が教えてくれたイノベーションの真髄-
 ●42歳で他界した父と祖父
 ●嫌なことは、自分で変えなさい 試練を迎えた大学受験
 ●実力で評価される企業を選択
 ●外資系企業ネスレは日本的経営だった
 ●売れない商品を売ってこそ一人前
 ●思いついたことの98パーセントは実行する
 ●試験合格で得た本社への切符
第3章 撤退という決断を下すとき-ネスレに受け継がれる、他社を思いやる経営-
 ●過酷なアメリカ生活のスタート
 ●「Silent is Stupid」
 ●日本に粉ミルクを導入せよ
 ●撤退という決断は辛くても、正しかった
第4章 批評の前に自分のアイデアを実行せよ-「キットカット」で実践した「Think Globally, Act Locally.」-
 ●日本人にとってのキットカット・ブレイクとは何か
 ●九州支店の1本の電話から始まった
 ●全国の受験生の不安に寄り添うプロジェクト
 ●受験生のお守りとなった「キットカット」
 ●「キットカット」は主役にならなくていい
 ●ブランドは広告ではなくニュースで作られる
 ●「ありがとう」と言ってもらえるブランドを目指す
 ●批評する前にまずは実行せよ
第5章 ゲームのルールを変えろ-変革を起こすリーダーに必要なこと-
 ●人口減少のなかでも必ずチャンスはある
 ●システムで飲ませる新モデルを構築
 ●「価値共創」で揺るぎないモデルへ
 ●直属で招集した50人のプロジェクトメンバー
 ●強力なトップダウンでゲームのルールを変える
 ●変革には最悪のケースを想定した準備が必要
 ●あらゆる最終責任はリーダーが負う
 ●間接部門もゲームのルールを変えられる
第6章 採用・育成・評価で会社は決まる-ストーリーを共有、ただしコンセンサスは必要ない-
 ●イノベーションを起こす人材を集めるために
 ●究極のトレーニングによる人材育成
 ●社員の能力は人事次第で開花する
 ●労働組合もコンサルタントになる
 ●残業が減らないネックは管理職にあった
 ●変革にコンセンサスは必要ない
第7章 危機のあるところに機会がある-義務を糧に遂げる成長-
 ●変わりつつあるネスレのブランド戦略
 ●マーケティング発想のブランド戦略へ
 ●東日本大震災で発揮されたリスクマネジメント
 ●世界規模の危機に学んだBCP
 ●危機のあるところに機会がある
 ●これからの企業が負うべき責任と義務
 ●利益を上げることに堂々と胸を張れ
終章 本物のリーダーはリーダーをつくる
 ●仕組みで育てるリーダーシップ
 ●次世代リーダーへの期待
あとがき


著者プロフィール  
高岡浩三(たかおか・こうぞう)ネスレ日本株式会社代表取締役社長兼CEO。1983年、神戸大学経営学部卒。同年、ネスレ日本株式会社入社(営業本部東京支店)。各種ブランドマネジャー等を経て、ネスレコンフェクショナリー株式会社マーケティング本部長として「キットカット」受験生応援キャンペーンを成功させる。2005年、ネスレコンフェクショナリー株式会社代表取締役社長に就任。2010年、ネスレ日本株式会社代表取締役副社長飲料事業本部長として新しいネスカフェ・ビジネスモデルを提案・構築。利益率の低い日本の食品業界において、新しいビジネスモデルを追求しながら超高収益企業の土台をつくる。同年11月、ネスレ日本株式会社代表取締役社長兼CEOに就任。 現在、経済同友会幹事、医療・福祉ビジネス委員会副委員長。日本インスタントコーヒー協会会長。共著書に、『逆算力』(日経BP社)がある。






<関連サイト>

【ネスレ日本】 M&Aに頼らず貫く収益成長と利益率改善 強みへの集中戦略 (ダイヤモンドオンライン 、2014年4月4日)
・・グローバル企業の日本ローカル拠点は、日本国外でのビジネスは御法度。その制約条件下での成長は称賛に値する

ネスレを世界一にした「連邦経営」 100年間の計略 (日経産業新聞、2014年8月5日



<ブログ内関連記事>

書評 『逆算力-成功したけりゃ人生の〆切を決めろ-』(高岡浩三、おち まさと=プロデュース、日経BP社、2013)-人生は有限だと感じることは究極の逆算思考である


ロジカル経営のための基礎

書評 『無印良品の「あれ」は決して安くないのになぜ飛ぶように売れるのか?』(江上隆夫、SBクリエイティブ、2014)-徹底的に「コンセプト」にこだわることがビジネス成功のカギ
・・ロジカル経営のために必要かことはコンセプト抽出作業と共通点がある


スイスとグローバル企業

「小国」スイスは「小国」日本のモデルとなりうるか?-スイスについて考えるために

書評  『ブランド王国スイスの秘密』(磯山友幸、日経BP社、2006)
・・ビジネスパーソンにとっては「ブランド王国スイス」という捉え方が面白い

書評 『民間防衛-あらゆる危険から身をまもる-』(スイス政府編、原書房編集部訳、原書房、1970、新装版1995、新装版2003)
・・スイスといえば、いまでは「国民皆兵」は日本人の常識になったことと思う。スイス人の家庭には、一家に一冊備え付けなのが、この本と銃器一式!


コーポレートブランドと製品ブランド(プロダクトブランド)

「正露丸」は超ロングセラーの製品ブランドだ!
・・コーポレートブランドと製品ブランドが異なる例

製品ブランドの転売-ヴィックス・ヴェポラップの持ち主は変わり続ける
・・・・コーポレートブランドと製品ブランドが異なる例正露丸の場合は、ブランドの担い手としての所有者に変更はないが、ヴェポラッブは二転三転。製品ブランドの生命力は会社の生命よりも長い(!)ということがある

ゼスプリ(Zespri)というニュージーランドのキウイフルーツの統一ブランド-「ブランド連想」について

大学ブランドというプライベート・ブランド(PB)商品について-玉川学園の「抹茶アイス」は新製品!

「泉屋のクッキー」-老舗(ブランド)には歴史(ヒストリー)=物語(ストーリー)がある

「ポルシェのトラクター」 を見たことがありますか?

「ブルータス、お前もか!」-立派な「クレド」もきちんと実践されなければ「ブランド毀損」(きそん)につながる






(2012年7月3日発売の拙著です)







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end

2011年12月1日木曜日

電動工具メーカー makita の充電式ハンディー・クリーナーはB2Bメーカーによる B2Cの消費財分野での展開


 長年使ってきた掃除機がついに故障してしまったので、さっそく新しい掃除機を購入しました。

 掃除機といえば、TV・CM をつうじて有名な、英国のダイソンのが思い浮かびますが、サイクロン式掃除機は人によっては、かならずしもいいというわけではない評判も耳にします。

 日本の家電メーカー各社は家庭用の掃除機を製造販売していますが、家電量販店の店頭でみてもたいして代わり映えしない外観ですので、いきなり店頭にモノを見に行ってもあまり意味はないですよね。

 まずは「価格.com」などの購買比較サイトで調べてみるという人も少なくないでしょう。性能と価格から割り出したお値打ち感から製品を選ぶのは、ネット時代の賢い消費者の購買パタンでしょう。

 わたしもまずは「価格.com」で調べてみました。

 そこで目にとまったのが、makita の充電式コードレス・ハンディークリーナー。日本の家電メーカーではなく、あの業務用の電動工具の makita が家庭用掃除機を生産販売しているのか! モーターが命の電動工具メーカーの makita ならいのではないか?

 製品特性をみると、充電式なのでコードのわずらわしさもないし、小型で軽量(1.3k)なので持ち運びも便利、色の選択がレッドのひとつしかないのが残念ですが、それを補ってあまりあるものがあります。

 価格を調べたあと、最終的に amazon から購入しました。在庫があったので翌日には配送されてきました。

 最初の充電には時間がかかりましたが、じっさいに使ってみての感想は「これで十分」というもの。こまめに掃除機をかけるのは、こういったハンディタイプがいいと思います。





B2Bメーカーによる B2C の消費財分野での展開

 makita の独特な書体のロゴは、町中にある特約店の看板などで目にすることはあると思いますが、基本的には業務用の電動工具ですので、一般消費者が製品を直接目にして手に取ることはあまりないでしょう。

 株式会社マキタのウェブサイトをみても、一般消費者にはあまり関係ない製品ばかりが紹介されていますね。

 ホームセンターでは個人用の電動工具も販売していますが、日曜大工を趣味にする男性向けという印象が強いので、掃除機の最大ユーザーである主婦(・・専業主婦以外も含む)の目に触れることはないでしょう。

 つまり makita は基本的にB2Bメーカーであって、B2Cメーカーではありません。ハンディー・クリーナー(掃除機)も、社内的には業務用として位置づけているのか、消費者向けと位置づけているのかわかりません。

 わたし自身、家電量販店で掃除機の販売コーナーにいくことはめったにありませんが、目にするのは日立、東芝、パナソニック、三菱といった白物家電も扱っている総合家電メーカーが圧倒的ですよね。

 これに加えて、TV・CM をつうじた圧倒的な露出によって消費者のアタマのなかに浸透しています。とはいえ、個々の家電メーカー間の違いは、はたしてどこまで認識されているのでしょうか?

 makita のハンディー・クリーナーが家電量販店で販売されているかどうかは知りませんが、一般的な知名度という点では総合家電メーカーに劣っているのは仕方ありませんね。
 


B2B と B2C はまったく性格の異なるビジネスだ

 法人向けの B2B と 一般消費者向けの B2C は何がどう違うのか、とくに意志決定のあり方に焦点を絞って考えてみましょう。

 購買という一点に絞って考えてみると、購買プロセスと購買の処理は組織と個人とでは大きく異なります。

 法人向けの B2B では、当然のことながら購買主体は法人組織一般消費者向けの B2C では、当然のことながら購買主体は個人

 もちろん組織でも、実際に購買を担当するのは個人ですが、おなじ個人とはいっても、組織のなかで役割をもち、その役職にともなう責任権限をもった個人は、一般消費者とは同じではありません。組織の意志決定の仕組みのなかにある個人です。ここが重要です。

 組織とは関係ない個人であれば即断即決も可能ですが、組織のなかであればそれなりの手続きが必要とされます。つまり、なぜこの製品を購入するのか、合理的な説明を上位者に対して行う必要があるのです。その結果、いったん製品の導入が決まると、なかなかその他製品にはスイッチしないという傾向がでてきます。

 ところが一般消費者向けのB2C市場では、消費者はいとも簡単に購入製品を変えてしまいます。ブランドロイヤルティを作り出すのは B2B よりも難しいといっていいでしょう。

 メイン商品が B2B の法人向けビジネスである企業にとって、B2C の消費財市場でどう製品ブランドを認知させるか。費用対効果を考えたとき、広告宣伝にマーケティングに予算をを使うのが果たして正しいのかどうか

 こういった状況でチカラを発揮するのがクチコミでしょう。

 しかも時代の流れは、企業による広告宣伝から、メディアに取り上げてもらうパブリシティ(広報)やクチコミによる評判へとシフトしつつあります。

 クチコミを発生させるための仕掛けをどこまで意識して行うことができるか、B2Bメーカーであっても、SNS などをフル活用した広報戦略への取り組みが必要になってきていると言っていいかもしれません。

 なによりも性能と価格からみたお値打ち感が重視される製品分野では、広告による印象操作よりも、購買者自身による書き込みが大きな意味をもつと考えられます。

 もし可能であれば、実際の購買者を巻き込んだコミュニティーをネット上につくることができれば最高でしょう。

 顧客を囲い込むのではなく、顧客を一人でも多くファンに変えていくのです。



<関連サイト>

株式会社マキタ 公式サイト

「価格.com」 価格比較サイト


<ブログ内関連記事>

製品ブランドの転売-ヴィックス・ヴェポラップの持ち主は変わり続ける






(2012年7月3日発売の拙著です)








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2011年4月11日月曜日

ビジネスパーソンにもぜひ視聴することをすすめたい、国際基督教大学(ICU)毛利勝彦教授の「白熱教室JAPAN」(NHK・ETV)



 ETVで 国際基督教大学(ICU)毛利勝彦教授担当の教養学部「国際関係学特別研究III」の授業がNHK教育テレビ「白熱教室JAPAN」で放送されています。

 白熱教室JAPAN 第2回目(4月10日)をみてみました。18時から ETVにて。リベラルアーツ(=教養)を軸にした ICU の授業はどのようなものでしょうか? 

 以下に ETV による解説を引用しておきましょう。
 
国際基督教大学教養学部、毛利勝彦教授の「国際関係学」の講義を取り上げます。毛利教授は、ケース・メソッド法による対話型の授業を進めており、この4回の授業では、紛争・人権侵害・貧困・環境破壊など、現在の国際社会が直面する問題にどのように取り組んでいくべきか、実際にその現場にいる国際NGOが直面した壁や難問を題材に、対話・討論を通じて問題解決のための方策を探っていきます。
グローバル社会における政府や市場の失敗を乗り越え、「国際社会の新しい民主化」を担うと期待される国際NGO の現場感覚を仮想体験しながら、民主的リーダーシップに必要な論理的・批判的思考力とコミュニケーション力を高めるのがこの授業の目的です。

 第2回の授業では、非営利組織のブランド戦略について取り上げられました。

 テーマは、「グローバル化の中で対応に遅れをとり、会員数の減少という問題に直面した国際人権 NGO が、生き残りをかけて検討したブランドイメージ戦略とは?」というものです。

 取り上げられたのは、アムネスティ・インターナショナル。国際人権擁護団体のなかでは知名度の高い、歴史ある存在です。

 アムネスティ、というと敬遠してしまう人が企業関係者もいるかもしれませんが、英語で書かれたHBS(ハーバード・ビジネス・スクール)のケースを使用して、日本語で行った大学生たちのディスカッションです。

 ディスカッション内容は、「ブランド・マネジメント」の王道ともいえる内容でした。アムネスティがブランド・アイデンティティの確認と新規会員募集のためにコンサル会社に依頼した内容についてのディスカッション。

 非営利組織にも営利組織で行われる「ブランド・マネジメント」の応用が可能というよりも、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)にかんしては、非営利組織のほうが先行しているといえるかもしれません。

 ケースメソッドによる対話型授業による、学生たちのディスカッションのあとには、アムネスティの日本代表の方からコメントがありました。アムネスティ内部で実際に行われたディスカッションの要点も解説され、NGO の組織マネジメントについての理解も得られるという内容でした。

 知識の詰め込みではない、ものを考えるための授業とはどういうものか、日本では一般的なセミナーに飽き足らない人には、非常に刺激的な内容になっていると思います。

 見逃した方は、ぜひ再放送をご覧ください。第2回の再放送は、4月17日(日)0:20~1:20(≒土曜日深夜)です。


<関連サイト>

白熱教室 JAPAN

ICU 国際基督教大学 | ニュースとお知らせ | NHK教育テレビ「白熱教室JAPAN」でICUの授業を放送

AMNESTY INTERNATIONAL JAPAN(アムネスティ・インターナショナル・ジャパン) 公式サイト


<ブログ内関連記事>

慶応大学ビジネススクール 高木晴夫教授の「白熱教室」(NHK・ETV)




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