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2012年12月19日水曜日

書評 『中国ビジネスの崩壊-未曾有のチャイナリスクに襲われる日本企業-』(青木直人、宝島社、2012)-はじめて海外進出する中堅中小企業は東南アジアを目指せ!



すでのこのブログでも 「脱・中国」に舵を切るときが来た!-『中国がなくても、日本経済はまったく心配ない!』(三橋貴明、ワック、2010)はすでに2年間に出版されている という記事で書いておりますが、「脱・中国」を意識しないわけにはいきません。

新刊 『中国ビジネスの崩壊』(青木直人、宝島社、2012)の副題は、「未曾有のチャイナリスクに襲われる日本企業」です。そして帯には、「尖閣暴動は序章にしかすぎない」とあります。

2012年夏の尖閣暴動はTVで衝撃的な映像が繰り返し報道されたので、「未曾有のチャイナリスク」についてはじめて認識をもった人、あたらめてその認識をつよめた方も少なくないはずです。

もちろん中国全土で暴動がおこったわけではありませんし、きわめて良好な関係を保っている日本企業も少なくありません。

しかし、「チャイナリスク」が顕在化したことは否定できません。

しかも、報道されてるのは、あくまでも氷山の一角に過ぎないのです。

マスコミで報道されない理由についても、この本のなかでは何度にもわたって説明されています。詳しいことはここでは省略しますが、大企業でもメーカーは独自の情報網を中国に構築しておらず、商社や金融機関、そして政府関係機関に依存しているのが現実なのです。

大企業ですらこのような状況なのです。ましてや中小企業であれば、よほど自信のある方以外は、これ以上、中国にコミットすることは再考すべきことは言うまでもありません。

帯には、「トヨタもパナソニックも・・・」と書かれていますが、その是非はその当事者が判断すべきことですが、すでに中国に進出している企業はさておき、すくなくとも、はじめて海外進出する中堅中小企業は中国に進出するべきではないのです。

そもそも海外ビジネスは、サッカーのたとえをつかえば、日本市場という「ホーム」ではなく海外という「アウェイ」での戦いです。アウェイでの戦いでは、スキルだけでなくメンタル面での強化も不可欠であることは言うまでもありません。そのためにはホームでは必要ないコストもかかります。

アウェイである中国ビジネスにおいては、日本のマスコミが報道しない、さまざまな追加コストが無数にあることを知らなくてはなりません。「反日」という政治リスクが、通常のビジネスコストをさらに上乗せすることになっているのです。詳しくは本書を読んでいただきたいと思います。

経営者であれば、経済合理性に基づいた意思決定を行うのが筋というものでしょう。そして、また19世紀末の排外的な大衆運動であった義和団の歴史など、中国近現代史をひもといてみることが不可欠です。

著者も主張していますが、わたしも進出するならば、東南アジアを最初の進出国にすべきだと考えております。はじめての海外進出であれば、なんといってもタイでしょう。

チャンスとリスクは裏腹の関係にありますが、くれぐれも他人の判断に盲従することなく、自分のアタマで考え、自分で判断したうでアクションを起こしていただきたいものです。 







目 次

序章 「日中ビジネス」を人質に取る中国
第1章 中国の高度成長は終わった
第2章 実際はこんなにひどい中国経済の裏側
第3章 中国バブル崩壊の激震
第4章 むしり取られる日本企業
第5章 習近平体制は“既得権喰い”
第6章 中国から流出するチャイナマネー
第7章 高まる社会不安-やがて義和団が登場する
第8章 間違いだらけの日本人の中国観
終章 日本企業は今すぐ撤退すべきだ

著者プロフィール  

青木直人(あおき・なおと)
ジャーナリスト。中国情報誌『ニューズレター・チャイナ』編集長。1953年島根県生まれ、中央大学卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。


<関連サイト>

「俺は中国から脱出する!」ある中小企業経営者の中国撤退ゲリラ戦記 (ダイヤモンドオンライン、2014年7月4日)
・・「風林火山」はもともと孫子の兵法の一説であり、現代中国のビジネス社会でも有効な戦術。A社長は無意識のままにこれを実践」 ⇒読む価値ある好記事!

(2014年7月4日 項目新設)


<ブログ内関連記事>

「脱・中国」に舵を切るときが来た!-『中国がなくても、日本経済はまったく心配ない!』(三橋貴明、ワック、2010)はすでに2年間に出版されている

書評 『成金炎上-昭和恐慌は警告する-』(山岡 淳一郎、日経BP社、2009)-1920年代の政治経済史を「同時代史」として体感する
・・「バブル崩壊後」の中国こそ、戦前の日本の道を突き進む可能性もある。中国はバブル崩壊を体験したことがないのだ。中国はいつバブルが崩壊してもおかしくない状況がつづいている。バブル崩壊後の社会の激動は想像を絶するものとなる可能性もある。日中ともに注視していかねばなるまい





(2012年7月3日発売の拙著です)





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