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2015年2月6日金曜日

書評 『日本人の値段-中国に買われたエリート技術者たち-』(谷崎光、小学館、2014)-中国の「いま」からあぶりだされてくる日本企業と日本人論


『日本人の値段』(谷崎光、小学館、2014)という本が面白い。中国企業に転職した日本人技術者たちの「いま」を追ったレポートです。

日本人が人質となって高額の身代金を請求された末に殺害されてしまった事件が発生したばかりなので、このタイトルはなんだか不謹慎な印象を受けるかもしれませんが、この本の副題は「中国に買われたエリート技術者たち」であり、日本から中国に転職した技術者たちの「報酬」と「処遇」についてです。
 
なぜ日本人技術者たちは中国企業に転職していくのでしょうか? それはもちろん需要と供給の経済学が転職市場で働いているからですが、北京在住14年の著者は中国企業と日本人技術者、そしてその両者の仲介を行う日中双方の人材会社に密着取材を行って、知られざる世界を明らかにしています。
  
話としては断片的に耳にしてきた事象ですが、このように徹底取材して立体的に構成したたレポートを読むと、日本の製造業大手からスピンオフして中国企業に転職した技術者たちへのニーズが、まさにいまの「旬」であることがわかります。著者もいうように、5年後はもう様相は変わっていることでしょう。
    
公開された技術情報は特許情報として入手可能です。非公開情報も図面情報など簡単に漏洩してしまうのが、悲しいかな日本企業の脇の甘さです。だが、肝心かなめの生産技術は技術者「個人」に蓄積されるものであり、ひいては技術者が勤務する「組織」に蓄積されるものです。

前者はいわゆる「形式知」、後者は「暗黙知」というやつですね。形式知はデジタル情報であれば簡単に複製が可能なので伝達が容易ですが、人に蓄積されている暗黙知はその本人の存在を抜きにしては伝達がむずかしい。
  
生産技術というものは人について移転するもの。だから人を囲い込んでしまえというのは、中国人の合理主義の現れでしょう。一本釣りの引っこ抜きだけでなく、会社ごと買収してしまえ、というのも理にかなったことです。
  
中国企業には地道に技術を蓄積したり、じっくり人を育てるという発想がないのです。と、ここまで書いてきて思うのは、もはや日本企業にもそんな余裕はないのかもしれない、ということ。さきに「旬」だと言ったのは、中国企業は40歳代以下の日本人エンジニアは必要としていないようだからだです。
    
本書を読むと、中国企業と技術にかんする考え方民生技術と軍事技術のあやうい境界線日本の製造業の将来についてなど、さまざまなことを考えるヒントになることでしょう。中国の「いま」からあぶりだされてくる、日本企業と日本人論にもなっています。
 




目 次

はじめに
第1章 自動車メーカーのエンジニア
第2章 ふたりの家電技術者
第3章 国際ヘッドハンターという仕事
第4章 建機メーカーの対日戦略
第5章 中国が狙う日本の技術


著者プロフィール
谷崎光(たにざき・ひかる)
1964年生まれ。作家。大手流通業と中国との合弁商社勤務の体験を描いた作品、『中国てなもんや商社』(文春文庫)は1998年に松竹で映画化もされた。著書に『北京大学てなもんや留学記』(文春文庫)、『感動中国!女ひとり、千里をいく』(文藝春秋)、『男脳中国女脳日本 なぜ彼らは騙すのか』(集英社インターナショナル)、『てなもんや中国人ビジネス』(講談社)、『中国人の裏ルール』(中経の文庫)など、多数。2001年から北京大学経済学部留学を経て現在、北京在住14年目。書き手として、中国を体験しつづけている(単行本カバー見返りの著者紹介文より)。



<ブログ内関連記事>

NHKスペシャル 「“中国人ボス”がやってきた-密着 レナウンの400日」(2011年10月23日) を見ましたか?

『中国美女の正体』(宮脇淳子・福島香織、フォレスト出版、2012)-中国に派遣する前にかならず日本人駐在人に読ませておきたい本

書評 『新・通訳捜査官-実録 北京語刑事 vs. 中国人犯罪者8年闘争-』(坂東忠信、経済界新書、2012)-学者や研究者、エリートたちが語る中国人とはかなり異なる「素の中国人」像

書評 『中国台頭の終焉』(津上俊哉、日経プレミアムシリーズ、2013)-中国における企業経営のリアリティを熟知しているエコノミストによるきわめてまっとうな論

書評 『現代中国の産業-勃興する中国企業の強さと脆さ-』(丸山知雄、中公新書、2008)

書評 『中国貧困絶望工場-「世界の工場」のカラクリ-』(アレクサンドラ・ハーニー、漆嶋 稔訳、日経BP社、2008)

書評 『拝金社会主義中国』(遠藤 誉、ちくま新書、2010)

書評 『中国動漫新人類-日本のアニメと漫画が中国を動かす-』(遠藤 誉、日経BP社、2008)

ひさびさに宋文洲さんの話をライブで聞いてきた!-中国人の「個人主義」について考えてみる・・小室直樹の『中国原論』も、できれば読んで欲しい





(2012年7月3日発売の拙著です)








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