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2012年3月28日水曜日

書評 『空間的思考法-世界が認めた、現役東京大学大学院生の頭の中!-』(三井淳平、メディアファクトリー、2012)-物事を平面的ではなく、さまざまな距離や角度から多面的に見るクセをつける!

物事を平面的ではなく、さまざまな距離や角度から多面的に見るクセをつけることの重要性

日本人初の「レゴ認定プロビルダー」に選出された東大大学院生の本。

現役東大生をうたった本にはよくありがちな「合格テクニック本」や「勉強本」ではありません。レゴ・ブロックでさまざまなものを造形する方法から、創造性をつちかうエッセンスを抽出したものです。

空間的思考法とは、立体思考法であり、三次元思考法と言い換えてもいいでしょう。

「空間的思考法」とは、著者自身のコトバを借りれば「物事を多面的なものであることを前提として、状況や情報を的確に読み取り、やるべきことを自分の頭でしっかりと考え抜くための力」(P.182)ということになります。

グラビアで紹介されているレゴによる作品集は、これはすごいなあという驚きだけでなく、見ていてじつに楽しいものです。

三次元の立体構築物のレゴを二次元の平面写真で表現することにはそもそもムリがあるのですが、見る側がイマジネーションを働かせながらアタマのなかで多面的に見ればいいわけです。

そうです、同じことを日常生活のなかでも実行すればいいのです。二次元の平面でしか把握できないのが人間ですから、さまざまな面からみてイマジネーションを働かせて奥行きを見るのです。

そういえば、自分も子どもの頃はよくレゴをつかって、何かをつくっては壊しを繰り返していたなあ、と思い出します。著者がふつうの子どもとは違っていたのは、レゴにのめり込んだことでしょう。それだけの違いですが、その違いはじつに大きい。

著者が本文に書いてあることは、できる子はみんな同じだなあと感じながら読みましたが、基本は、「好きこそものの上手なれ」です。「遊びが学び」といってもいいでしょう。

とくべつに変わっているわけでも、とんがっているわけでもなく、のびのびと育った男の子という感じがでていてひじょうに好感を感じます。

とくに面白かったのは、スペシャルコンテンツ1河森正治×三井淳平(=著者)の「空間的レゴブロック思考対談」。

1960年生まれのアニメーション監督と1987年生まれの、世代的にいえば親子ほど違う二人が語る内容が、お互いに響き合い、ひじょうに重要なことはいつの時代でも重要なのだということが伝わってきます。多面的なものの見方で重要なのは、なんといっても現地で現物を見るということ。いまのような時代だからこそ、それを徹底すべきなのである、と。

スキルやノウハウばかりを求めがちの現代日本人であるが、ほんとうに重要なのは多角的に見るという「ものの見方」とそのための「マインドセット」なのだということを示してくれる内容の一冊。

著者と同世代の20歳代のビジネスパーソンだけでなく、親世代のビジネスパーソンにもすすめたい本です。



<初出情報>

■bk1書評「物事を平面的ではなく、さまざまな距離や角度から多面的に見るクセをつけることの重要性」投稿掲載(2012年3月24日)
■amazon書評「物事を平面的ではなく、さまざまな距離や角度から多面的に見るクセをつけることの重要性」投稿掲載(2012年3月24日)








目 次

三井淳平作品集
序章 自分では意識したことがなかった「空間的思考法」
第1章 レゴブロックから学んだこと
第2章 空間的思考法につながった力
第3章 空間的思考法の実践
スペシャルコンテンツ1 河森正治×三井淳平―空間的レゴブロック思考対談
スペシャルコンテンツ2 ご両親インタビュー―三井家の子育て

著者プロフィール  
  
三井淳平(みつい・じゅんぺい)   
兵庫県明石市出身。1987年生まれ。2005年、テレビ番組の「レゴブロック王選手権」準優勝で注目を浴びる。直後に灘高校から、東京大学理科一類に現役合格。入学後に東大レゴ部を創部。2010年、レゴブロックを素材とした作品制作や関連する課外活動における社会貢献により、「東京大学総長賞」を個人受賞。2011年、「世界最高レベルのレゴブロック作品制作能力を持つ一般人」とレゴ社が認める「レゴ認定プロビルダー」に最年少で選出される(日本人初、世界でも13人目の快挙)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)





<関連サイト>

ケンブリッジ大、「レゴ学」教授のポスト新設へ (NNA、2015年6月16日)

(2015年6月16日 項目新設)


<ブログ内関連記事>

書評 『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか-世界で売れる商品の異文化対応力-』(安西洋之、中林鉄太郎、日経BP社、2011)-日本製品とサービスを海外市場で売るために必要な考え方とは?
・・ビジネスパーソン向けのものの見方=発想法、についての本

書評 『伝説の灘校教師が教える一生役立つ学ぶ力』(橋本 武、日本実業出版社、2012)-「すぐ役立つことは、すぐ役立たなくなる」!
・・「学びは遊び」!




(2012年7月3日発売の拙著です)












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2012年3月21日水曜日

永続事業の条件は、「経営能力」と「経営理念」のかけ算である


経営能力と経営理念がかけ合わさって、はじめて良好な経営結果をもたらします。

経営理念がいかに重要であるかは、このブログでもなんども書いていますが、理念だけでは経営はできません。経営は、経営者に経営能力の裏付けがあってはじめて成り立つものです。

しかし一方、経営能力があっても、ただしい経営理念がなければ、とんでもない方向にいってしまいかねません。経営理念は、ある意味では羅針盤といってもいいのです。羅針盤なき航海は、難破の最大原因なのです。

短期的にスパンなら、成功している経営者も多いでしょう。しかし、スパンをすこし長くとると、成功しつづける経営者は、かならずしも多くないことに気がつきます。

もちろん、景気変動があるので、経営も山あり谷ありがふつうですが、継続して結果を出していくためには、経営能力と経営理念が両輪となっていることが不可欠なのです。

経営能力と経営理念をもちあわせた存在といえば、なんといっても "経営の神様" とよばれた松下幸之助翁の名前を出さねばならないでしょう。

松下幸之助自身、やり手の経営者ではありましたが、あるとき経営理念の重要性に気がついたことは、このブログでは 松下幸之助の 「理念経営」 の原点- 「使命」を知った日のこと に書いておきましたので参照していただけると幸いです。

今回は、経営能力と経営理念の関係について、幸之助翁みずからが語ったいるべつの文章を引用してみたいと思います。

『私の履歴』のなかで、こんな話をしています。出典は、「第17回 甘えた「所得倍増論」に警鐘」(日経Bizアカデミーのサイトに掲載)です。太字ゴチックは引用者(=わたし)によるものです。

ここで私は、まず経営ということについてふれ、ケネディ大統領の行なうアメリカ国家の経営も、町の小さなドラッグストアの経営も、どちらも同じ経営であるということから話を始めた。すなわち、国の経営の意図するところは、その国の発展、繁栄であり、また国民の幸せである。一方、ドラッグストアの経営は、顧客のためにいろいろ注意を払い、サービスを完全にすることである。どちらも本質的には同じような意図に立っている。しかしむずかしいのは、どうすれば国民を幸せにできるか、どうすれば顧客に対するサービスが適切に行なえるかということである。

マネジメントにおいては、町のドラッグストア(・・ただしここで言われているのはチェーン量販店ではなく薬屋のことでしょう)の経営も国家経営も同じというのは、すばらしい発言ですね。あくまでも顧客を中心に据えて経営を考える姿勢。ただし、国がそれを実行しているかは、やや疑問を感じますが。

そfれはさておき、提供するサービスをつうじて顧客を幸せにするということは、経営の本質のなかでは、理念にちかい部分でしょう。経営理念を体現しているのは経営者です。

そこで非常に大きな問題になってくるのが経営者ということである。すなわち、それぞれの経営体にふさわしい適切な経営者というものが要求されてくるのである。そしてその経営者に、最も大切なことは、正しい自己評価ができるということである。かつてドイツのヒトラーは祖国の窮乏を救い、かつ強大な国家をつくりあげたという点では、偉大な人物であり、その経営力は合格点であった。しかし彼がドイツ国家の経営にとどまらず、さらに欧州全体にまでその経営を広げようとしたところに問題があった。なるほど彼は、ドイツ一国の経営者としてはすぐれていたかも知れないが、欧州全体の経営者としては、いわば適材ではなく、しかも彼のもつ経営理念というものが正しくなかったのである。

このことをお互いの経営にあてはめてみると、経営者のきびしい自己評価ということと合わせて、その経営理念がどこに置かれているかということになる。その理念が、単なる利害、単なる拡張というだけではいけない。それらのことが、いわば何が正しいかという人生観に立ち、かつ社会観、国家観、世界観さらには自然の摂理というところから芽生えてこなければならない。そうした理念がなかったところにヒトラーの失敗があったのであろう。

ヒトラーを引き合いに出すのは、読者を「おやっ!」という気持ちにさせるだけに、「つかみ」としてはなかなかのものがありますが、誤解を生みかねないものもありますので、なかなか勇気のいることだとは思います。

しかしよく読んで見みると、、「その経営力は合格点であった・・(中略)・・なるほど彼は、ドイツ一国の経営者としてはすぐれていたかも知れないが、欧州全体の経営者としては、いわば適材ではなく、しかも彼のもつ経営理念というものが正しくなかったのである」と、締めくくっています。

国の経営者としてのヒトラーは、「経営能力は合格でも、経営理念はただしくなかった」、これが幸之助翁の結論です。

つまりこのここから読み取れるのは、長いスパンをとって考えると、経営結果=「経営能力」×「経営理念」で考えなければならないということを意味しているということでしょう。

いくらすぐれた経営能力を示していても、その理念がただしくない、すなわちマイナスであれば、経営結果もマイナスになってしまう、悪しきものとなってしまうことを意味しています。

逆にみれば、いくらただしい経営理念があっても、経営能力がなければ経営結果はマイナスになってしまいます。

経営能力と経営理念はかけ算の関係にあるのです。

まず磨かねばならないのは経営能力であることは言うまでもありませんが、少しでも長く、できれば永続的な事業として経営していくためには経営理念の裏付けがあることが欠かせません

ぜひ、ミッション・ビジョン・バリューに分解できる経営理念の構築、あるいは再構築に取り組んでいただきたいと思う次第です。




<関連サイト>

"経営の神様" 松下幸之助氏が説いた「経営の要諦」- 「人が代われば組織も変えろ」 (日経ビジネス編集部、2014年9月1日)
・・1973年8月20日号よに掲載されたインタビュー記事の再掲する (注)記事中の役職、略歴は掲載当時のもの。

(2014年9月1日 項目新設)


<ブログ内関連記事>

松下幸之助の 「理念経営」 の原点- 「使命」を知った日のこと





(2012年7月3日発売の拙著です)









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2012年3月9日金曜日

JETRO主催による 「ミャンマー投資セミナー」(東京・無料)が開催されます(2012年3月21日)

(首都ネーピードーと経済の中心都市ヤンゴンを結ぶ幹線道路)

「ミャンマー投資セミナー」(東京 2012年3月21日) が JETRO の主催で東京で開催されます。

昨年2011年に劇的な政策転換によって「民主化」が進展しているミャンマーですが、東南アジアでは「最後の投資先」として急速に脚光を浴びつつあります。

入場無料ですので、この機会にぜひ情報収集を兼ねてセミナーを受講されることをおすすめします。

以下に、JETROによるセミナーの紹介文を転載いたします。

◇◇------------------------◇◇
「ミャンマー投資セミナー」(東京)のご案内
◇◇------------------------◇◇   
    
民主化の進展を受けた欧米による経済制裁の緩和や解除、テイン・セイン政権の下での外資誘致本格化に向けた取り組みなど、ミャンマーでは現在、ビジネス・投資環境の飛躍的な向上が期待されており、日本の産業界が最も注目する国となっています。
ジェトロでは今般、ティン・ナイン・テイン国家計画・経済開発大臣ほか、ミャンマー国内の3つの経済特区(SEZ)開発を担当する副大臣3名が訪日する機会を捉え、同国の最新の経済・外資誘致政策、各SEZ開発計画等を日本企業の皆様にご紹介するため、下記要領にてセミナーを開催することとなりました。
「新・新興国」とも喩えられ、発展が期待されるミャンマーの外資誘致政策や投資環境を理解する絶好の機会ですので、どうぞ奮ってご参加ください。

日時:2012年3月21日(水)9:30~12:00 (9:00受付開始)
会場:ホテルニューオータニ 芙蓉東の間  http://www.newotani.co.jp/tokyo/info/access/
■主催:日本貿易振興機構(ジェトロ)
■共催:財団法人海外技術者研修協会(AOTS)
プログラム(予定):
09:30 主催者挨拶 ジェトロ 理事長 石毛博行
09:35 基調講演「ミャンマーの経済・外資誘致政策」 ティン・ナイン・テイン 国家計画・経済開発大臣
09:55 講演1「チャオピューSEZ開発計画の概要」 ミン・テイン 労働副大臣(チャオピューSEZ担当)
10:15 講演2「ティラワSEZ開発計画の概要」 ウィン・シェイン 運輸副大臣(ティラワSEZ担当)
10:35 休憩
10:50 講演3「ダウェイSEZ開発計画の概要」 タウン・ルウィン 鉄道副大臣(ダウェイSEZ担当)
11:10 講演4「ミャンマーの経済動向とビジネス・投資環境」 ジェトロ・アジア経済研究所 地域研究センター 東南アジアII研究グループ長 工藤年博
11:40 質疑応答
12:00 終了
※演題はすべて仮題です。都合により一部変更となる可能性がありますこと、ご了承ください。
言語:ビルマ語/日本語 同時通訳
参加費:無料
■定員:300名 ※お申込み多数の場合は抽選とさせていただきます。
■お申し込み方法:下記URLのフォームに必要事項をご入力・送信してお申し込みください。  https://www.jetro.go.jp/form5/pub/obb/81
※参加いただける方には後日Eメールにて受付票を送付しますので、セミナー当日は受付票と名刺を会場受付にお持ちください。
お申し込み締め切り:2012年3月19日(月)
■お問い合わせ先:ジェトロ海外投資課(担当:宮崎、助川)
TEL:03-3582-5235 FAX:03-3585-7289 E-mail:obb@jetro.go.jp
◇◇------------------------◇◇  

●追記  「セミナー中止」のお知らせ(2012年3月13日)

3月13日づけで JETRO よりセミナー中止の連絡が入りました。以下、全文を転載します。

「ミャンマー投資セミナー」にお申し込みいただいた皆様

平素より大変お世話になっております。またこの度は標記セミナーにお申し込みいただき、誠にありがとうございました。

しかしながら、ティン・ナイン・テイン 国家計画・経済開発大臣、経済特区(SEZ)担当の3名の副大臣をはじめとするミャンマー政府一行の訪日が急遽取りやめとなってしまい、弊機構主催の標記セミナーも、止むを得ず「開催中止」とせざるを得なくなりました。
既に大変多くの皆様からお申し込みいただいていたにもかかわらず、このような結果となってしまいましたこと、心よりお詫び申し上げます。
弊機構といたしましては、今後もミャンマーに留まらず、様々な国・

市場のご紹介などを通じ、皆様の海外ビジネス展開のお役に立てるよう努力して参る所存です。今後とも弊機構の催しへのご参加ならびに各種サービスのご利用のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

この度のセミナー開催中止につきまして、重ねてお詫び申し上げます。

日本貿易振興機構(ジェトロ)
進出企業支援・知的財産部 海外投資課


なぜ、「ティン・ナイン・テイン 国家計画・経済開発大臣、経済特区(SEZ)担当の3名の副大臣をはじめとするミャンマー政府一行の訪日が急遽取りやめ」になったのか理由が明らかにされていませんが、この情報から、ミャンマー投資がかならずしも一筋縄ではいかないことが推察されます。
(2012年3月13日 記す)





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2012年3月8日木曜日

「痛み」から学び、イマジネーションによって組織で共有する「組織学習」が重要だ!


「人は、手痛い失敗経験を通じて初めて学ぶ」

「人は、手痛い失敗経験をつうじて初めて学ぶ」、ということは誰でも経験があることだと思います。

自分で腕をつねれば痛いし、足指を机の角にぶつけたりすると耐えがたい痛みを感じる。指を切ったりすると、痛みだけでなく、血が出るのでビジュアル的にも痛みが増幅されるものです。

物理的に怪我をしたときだけでなく、比喩的な意味でも怪我をすると、人間は同じ失敗をしないように学ぶものです。なぜなら、痛い思いは何度もしたくないからですね。

このことは、Παθηματα, Μαθηματα (パテマータ・マテマータ)-人は手痛い失敗経験をつうじて初めて学ぶ という記事に書きましたので、そちらも参照いただけると幸いです。


組織のメンバー全体で「痛み」を共有する組織学習

「人は、手痛い失敗経験をつうじて初めて学ぶ」ものですが、痛い思いを何度も繰り返したくないのは、それは個人だけでなく、企業や社会もまた同じでしょう。

ちょっと古い話ですが、いまから12年前、ブランド論がさかんだった2000年のことですが、雪印乳業で発生した食中毒事件が発生し、消費者の信頼を失った結果、雪印(スノーブランド)が毀損(きそん)してしまうということがありました。

ブランドの根幹は顧客からの信頼ですが、いったん信頼を失ったブランドは、あっという間に崩壊してしまうものです。

雪印はその手痛い経験から大いに学び、現在では、まだまだ完全ではありませんがブランドも回復過程にあるといえましょう。2009年には、雪印メグミルク株式会社として統合されています。

「人の噂も七十五日」とうコトワザがありますが、おそらく顧客である消費者よりも、現在でも企業内部のおられる方々のほうが真剣に受け止め、誠実に取り組んでおられるのではないかと思います。

ここまで企業を主語にしいて語ってきましたが、重要なことは、企業はあくまでも「法人」であって「自然人」ではありません。法人というのは、あくまでもバーチャルな存在ですから、企業そのものが痛みを感じるわけでも、反省するわけでもありません

企業であれ、社会であれ組織体です。組織というものは基本的に人間の集合体ですから、痛い思いをするのは、あくまでもその組織に所属する個々の人間なのです。

痛い思いをした本人は当然のこと、当事者ではなくても、その痛みを多くの人で共有することができれば、手痛い失敗経験からの学びは、かならずつぎのアクションにつながるものです。

売り上げが減少してボーナスがカットされる、顧客からクレームの嵐になる、自分の子どもが学校でいじめられるといったことをつうじて、組織に所属する個々人が痛みを直接的あるいは間接的に感じるのですが、多くの人にとては、あくまでもイマジネーションによるしかないのです。

組織に所属するメンバーがどれだけ真剣に受け止め、組織としてその痛みをずっと感じ続けることができるかが「組織学習」のカギなのです。


しかし、人間は忘却する生き物である。組織もまた・・・

とはいえ、痛い思いをした事件が発生してから時間がたつと、人間というものはその痛みを忘れてしまいがちです。

昨年2011年の3月11日に発生した大津波で亡くなった方のなかには、津波慣れしているのでかえって高をくくってしまい逃げおくれた人も少なくないと聞いています。人間は、過去に痛い経験をしていても、時間がたつとその痛みを忘却し、不感症になってしまうものです。

22歳前後で入社した従業員が60歳定年まで在籍していたとしても、在籍している期間は38年に過ぎません。一人の人間においても時間による忘却から逃れることはできないのに、どんな組織でもメンバーの入れ替わりがある以上、痛い思いを感じ続けるのは、かなり困難であるといっても言い過ぎではないでしょう。

JAL(日本航空)も1985年の御巣鷹山(おすたかやま)の事故当時からすでに26年以上たっています。組織のメンバーもだいぶ入れ替わってしまっているので、「痛み」がいまでも全社員に共有されているのかどうか。

JALは再建に成功し、今年中に、再上場する予定だと報道されていますが、くれぐれも事故のことは組織全体で繰り返し想起し、安全第一の姿勢は絶対に崩さないでいることを願いたいと思います。

「痛み ⇒ 学び ⇒ イマジネーションによって組織で共有 ⇒ アクション ⇒繰り返し想起」の流れも、時間の経過とともに忘却されてしまいがちであす。べつの表現をつかえば風化されがちです。

ひとりの人間のなかでも、痛みの経験は時間の経過とともに忘却されがちです。ときに、フラッシュバック現象のように、あるキッカケで突然思い出すこともありますが、それはあくまでも個人の内部でのできごとです。

直接に「痛み」を体験していない従業員が増えるにつれて、組織全体の痛みに対する不感症の度合いが高まっていきます。

ぜひ、みなさんの組織でも、過去に経験した痛みがあれば、組織全体で定期的に想起してその痛みを共有する機会を制度として定着させてほしいものだと思う次第です。

「痛み」の記憶とそれにまつわるストーリーが、その「学び」の成果を組織として次世代にまで継承していくための重要なのです。







<ブログ内関連記事>

Παθηματα, Μαθηματα (パテマータ・マテマータ)-人は手痛い失敗経験をつうじて初めて学ぶ

製品ブランドの転売-ヴィックス・ヴェポラップの持ち主は変わり続ける

「誇り」と「頑張り」の源泉は、「ミッション」(使命感)が明確だから

慶応大学ビジネススクール 高木晴夫教授の「白熱教室」(NHK・ETV)

「組織変革」について-『国をつくるという仕事』の著者・西水美恵子さんよりフィードバックいただきました





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2012年3月1日木曜日

プラクティカルな観点から日本語に敏感になる-藤田田(ふじた・でん)の「マクド」・「ナルド」を見よ!

■「日本語に注意を払わなあかんで!」

海外で成功しているビジネスを日本にもってきて成功させるモデルの原点は、なんといっても日本マクドナルドの創業経営者であった藤田田(ふじた・でん)にあるといっていいでしょう。

日本から海外へ製品やサービス、あるいはビジネスフォーマットをもっていくのはアウトバウンドですが、海外から日本にもってくるのはインバウンドといいます。

アウトバウンドとインバウンドは、旅行業界ではむかしからつかわれているコトバを転用したものです。

アウトバウンド戦略であれ、インバウンド戦略であれ、成功のカギはローカリゼーション(現地化)にあります。

そしてローカリゼーションでもっとも重要なカギは現地語である! ということを実践したのが1970年代の藤田田だったのです。

藤田田のライフワークが日本語研究であったことは知る人ぞ知る事実です。まさに趣味と実益を兼ねた研究でした。

天下取りの商法』(ワニの新書、1999)のなかで、以下のエピソードをマクドナルド成功の理由の一つとして披露しているので、ここに紹介しておきましょう。温故知新のエピソードとして受け取ってみてください。

藤田田は、米マクドナルド社と合弁を組んで日本市場での立ち上げを行った際、「マクド」・「ナルド」と「3音+3音」で切れるように日本語の社名をきめ、米国側の意見に対して最後まで自説を譲らなかったのです。

藤田田が説明するところによれば、アメリカ英語の発音では McDonaldsは、マクダーナルズ(・・より原音に近くすればマクダーノーズ)となるので、それでは日本人の言語感覚にはあわないから、「マクド」・「ナルド」と3音ずつに区切ることをつよく主張して、米側に認めさせたのだそうです。

現に、関西では「マクド」というし、関東では「マック」で定着しています。藤田田の先見性の高さと、日本語と日本人の関係についての洞察力がいかに深かったかを示しています。

マクドナルド以外でも、ケンタッキーフライドチキンが「ケンタ」と省略されていますし、その結果、KFCはCMでも「ケンタ」を使用しています。
ドラッグストアチェーンのマツモトキヨシを「マツキヨ」と省略しますし、ドンキホーテは「ドンキ」、吉野家の牛丼を省略して「ヨシギュー」と言うのは当たり前になっています。

長たらしい名称は、若者だけでなく、ほぼすべての「日本語人」には発音しにくいのです。だから日本語人にとって切りのいい音に省略されるのです。

ほぼすべての音が、子音+母音で1つの「拍(はく)」を構成する日本語においては(たとえば、「さ」は子音s+母音a)、基本的に3音と4音(=2音+2音)の単語がもっとも落ち着きがあります。拍にかんしては、金田一春彦の『日本語 上下』(岩波新書、1988)を参照してください。

日本語のリズムとして五七五がもっとも安定している理由は、5=2+3、7=4(2+2)+3で構成されていることにあります。五七五の「拍」が作り出すリズムは、ある意味では日本人の言語感覚を呪縛しているとさえいえます。五七五については、坂野信彦の『七五調の謎をとく-日本語リズム原論-』(大修館書店、1996)を参照してください。

アウトバウンドやインバウンドそのものではありませんが、アウトバウンドとして進出先の企業からの異議申し立てで、企業ブランド名が変更を余儀なくされたケースもあります。

たとえば、スタンダードオイルが1972年に米国独禁法による分割命令がでた際、当初はENCOというブランドにする予定であったが、結局は中止してEXXON(エクソン)に落ち着いたという事例があります。

日本語のエンコでは、とくにガソリン販売にかんしては最悪のネーミングであるという異議申し立てが日本法人から出たためだという説があります。もちろん、現在ではエンジン故障を略したエンコはすでに死語となっており、一般にエンストといいます。なんだか、時代を感じさせるエピソードですね。

ブランド関連書では、マクドナルドにかんしてはブランドマークのゴールデンアーチが取り上げられることが多いのですが、インバウンドの場合は、藤田田が基本原則としていた日本語の音韻法則についても注意を払うべきでしょう。

もちろん、アウトバウンドにかんしては、現地語の言語感覚はその現地語を母語とする人にはかないません。企業ブランドの原理原則は死守しながらも、現地の意見を最大限にとりいれてローカライズすることは絶対に必要なことなのです。

ちなみに、『Den Fujitaの商法』と題して4部作が復刊されている。それぞれのタイトルは以下のとおり。やや偽悪派的な匂いのプンプンするタイトルばかりがついていますが、藤田田らしくでいいですね。金持ち=悪という日本の一般感覚を逆手にとった大阪人のセンスを感じさせます。

(1) 頭の悪い奴は損をする
(2) 天下取りの商法
(3) 金持ちラッパの吹き方
(4) 超常識のマネー戦略

残念ながら主著というべき『ユダヤの商法』は絶版になったままで、古書価はそうとう高騰してい、ます。なぜ再版されないのかわかりません? 内容的には問題ないと思うのですが・・・

藤田田は「情報収集は雑学を増やすこと」として貪欲に雑学を吸収していたことは、世の中には「雑学」なんて存在しない!-「雑学」の重要性について逆説的に考えてみる に書きましたので、ご参照いただけると幸いです。

ビジネスにおいても、あたらしいものを探すだけでなく、たまには温故知新によって先人の知恵を振り返って学ぶことは大切でしょう。










<関連サイト>

私の履歴書 復刻版  竹鶴政孝 第24回 ニッカ売り出し 苦心の“道産子”に感激 価格統制で1級の指定に 竹鶴政孝(ニッカウヰスキー創業者)に、「ニッカ」というネーミングの理由が創業者自身によって語られている。

昭和15年(1940年)の秋、ぎざぎざの線のはいった角びん、ニッカウ井スキーの第1号を発売した。ニッカという商品名は、当時の社名の大日本果汁の略、日果からとったものである。
ニッカの3文字を採用したのは、横書きにしても片方からしか読めないことと、3文字は語呂(ごろ)もいいしネオンの場合でもスペースが少なくてもすむし、一定スペースの場合は大きく書けるという利点があるということで決めた。

(2015年2月28日 情報追加)


<ブログ内関連記事>

書評 『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか-世界で売れる商品の異文化対応力-』(安西洋之、中林鉄太郎、日経BP社、2011)-日本製品とサービスを海外市場で売るために必要な考え方とは?
・・ローカリゼーションにかんする必読書

世の中には「雑学」なんて存在しない!-「雑学」の重要性について逆説的に考えてみる
・・藤田田の代表作『ユダヤの商法』に書かれている「雑学」の重要性から話を展開

由紀さおり世界デビューをどう捉えるか?-「偶然」を活かしきった「意図せざる海外進出」の事例として・・日本語と音楽の関係について






(2012年7月3日発売の拙著です)








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