「個」と「組織」それぞれの能力を向上し、「個」と「組織」のよりよい関係を築くために
                                    

NHK World (英語版 視聴料フリー!)

NHK World (英語版 視聴料フリー!)
画像をクリックすると、海外向け英語放送が24時間が流れるサイトにつながります。

Channel NewsAsia International (英語版 視聴料フリー!)

Channel NewsAsia International (英語版 視聴料フリー!)
画像をクリックするとシンガポールからの英語ニュースが24時間流れるサイトにつながります。

Al Jazeera English: Live Stream (英語版 視聴料フリー!)

Al Jazeera English: Live Stream (英語版 視聴料フリー!)
画像をクリックすると中東カタールからの英語ニュースが24時間流れるサイトにつながります。

Bloomberg TV (英語版 視聴料フリー!)

Bloomberg TV (英語版 視聴料フリー!)
画像をクリックすると、24時間ビジネス経済情報が英語で流れるサイトにつながります。

「アタマの引き出し」は生きるチカラだ!(姉妹編ブログ)

「アタマの引き出し」は生きるチカラだ!(姉妹編ブログ)
「専門知識」×「雑学」がビジネス思考の「引き出し」幅を拡げる! 最新投稿は画像をクリック!

MVVの3文字で、個人と組織にブレない軸とブランドをつくる!

MVVの3文字で、個人と組織にブレない軸とブランドをつくる!
このブログの執筆者が運営している facebookページです。

「日本型リーダーシップ」の基本は山本五十六にあり!

「日本型リーダーシップ」の基本は山本五十六にあり!
「やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば 人は動かじ」 には続きがあった!





東南アジア・ビジネスは背景をよく知ってから!

■■■■ 「ミャンマー再遊記」 全8回+α ■■■■
 総目次はここをクリック!
■■■■ 「三度目のミャンマー、三度目の正直」 全10回+α ■■■■
 総目次はここをクリック!
■■■■ 「タイのあれこれ」 全26回+番外編 (随時増補中) ■■■■
 総目次はここをクリック!



会社ウェブサイトは
 http://kensatoken.com です。

ご意見・ご感想・ご質問は ken@kensatoken.com にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。   


  
ラベル 経営理念 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 経営理念 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2013年5月15日水曜日

書評 『俺のイタリアン、俺のフレンチ-ぶっちぎりで勝つ競争優位性のつくり方-』(坂本孝、商業界、2013)-ビジネスモデル×哲学(理念)を参入障壁にブルーオーシャンをつくりだす



『俺のイタリアン、俺のフレンチ-ぶっちぎりで勝つ競争優位性のつくり方-』(坂本孝、商業界、2013)は、ブックオフ創業者のあらたな挑戦についてみずから語った本です。

「俺のイタリアン」「俺のフレンチ」。雑誌やテレビ番組でも取り上げられている、いまもっとも注目を集めている「行列の絶えない飲食店」ですね。東京・銀座に集中出店している立食形式の店舗ですが、行列に並ぶのがキライなわたしは、残念ながらまだ行ったことはありませんが。

どうやったら「ぶっちぎりの競争優位性」を築くことができるか、ビジネスにかかわっていれば、誰もが関心あると思います。そのテーマについて具体的に語っている本です。

ビジネスモデルは、三ツ星クラスの店で腕を振るってきたプロの料理人をスカウトし、「原価率」を極限まで上げ、低価格だが回転数で勝負するというもの。「安くてうまい」が客を喜ばせリピート客とし、好循環をつくりあげる。

原価率を上げれば利幅が下がりますが、回転数を上げれば上げるほど利益はでる。経営のセオリーにきわめて忠実であります。スーパーマーケットのビジネスモデルを異業種である飲食業に導入した点に坂本氏の事業の天才ぶりがあらわれています。

じつに大胆な策です。シミュレーション結果をみればアタマでは理解できても、なかなか実行に踏み切れるものではないでしょう。

そしてその中核にあるのは、プロにはプロとしての仕事に専念してもらう環境をつくりだし、料理人が報われる仕組みをつくりたいというもの。

まさに、「仕組みで勝って人で圧勝する」(P.164)という坂本社長のコトバにあるように、人を中心にすえた経営ですね! 「ビジネスモデル × 哲学(理念)」で、ブルーオーシャンで参入障壁をつくりだすということになるでしょうか。

坂本孝氏の話は、ずいぶん以前になりますが、ブックオフが成長期に入って注目されていた頃に、プライベートな勉強会で話を聞いたことがあります。

中古ピアノ販売で成功されたことを話されていたことを覚えていますが、ギラギラしたところのまったくない、どちらかといって謙虚な印象を受けました。その秘密が稲盛フィロソフィーの体現者であったからだということが、この初の著者を読んではじめてわかりました。

「俺のイタリアン」「俺のフレンチ」の仕組みはなかなか真似できるものではありませんが(・・だからこそ「参入障壁」となっているわけですね!)、いろいろ学ぶことの多い本だと思います。マネジメントチームのあり方や、新規出店と人材育成の関係なども含めて、読む人によってさまざまでしょう。

間違いなく読んで損はない一冊です。





目 次

はじめに
第1章 希代の繁盛店「俺のイタリアン」誕生
第2章 2勝10敗の事業家人生
第3章 ブックオフがNo.1企業になれた理由
第4章 稲盛和夫氏の教えと、私の学び
第5章 「俺のフレンチ」「俺のイタリアン」は進化する
第6章 「物心両面の幸福を追求する」決意表明
第7章 業界トップとなり、革新し続ける
おわりに

著者プロフィール

坂本孝(さかもと・たかし)
1940年5月生まれ、山梨県甲府市出身。オーディオ販売や中古ピアノ販売などいくつかの事業を経て、1990年5月、「ブックオフ」を創業(1991年8月、ブックオフコーポレーション株式会社を設立)。16年間で1000店舗まで拡大し、書籍業界の流通に革命をもたらした。2009年11月、VALUE CREATE株式会社を設立し、飲食業に参入。2011年9月、東京・新橋に「俺のイタリアン」をオープン。大繁盛店となり、その後、同様のコンセプトで「俺のフレンチ」や、和食バージョンを展開(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。


<関連サイト>
 
VALUE CREATE株式会社 公式サイト (俺のイタリアン、俺のフレンチその他)

商業界 書籍販売サイト


<ブログ内関連記事>

書評 『社長は少しバカがいい。-乱世を生き抜くリーダー鉄則-』(鈴木喬、WAVE出版、2013)-「名物社長」が語る経営論

書評 『経営の教科書-社長が押さえておくべき30の基礎科目-』(新 将命、ダイヤモンド社、2009)

書評 『全員で稼ぐ組織-JALを再生させた「アメーバ経営」の教科書-』(森田直行、日経BP、2014)-世界に広がり始めた「日本発の経営管理システム」を仕組みを確立した本人が解説
・・稲盛哲学と経営管理の仕組みが合体した「アメーバ経営」とは?

(2014年6月12日 情報追加)




(2012年7月3日発売の拙著です)





Clip to Evernote 


ケン・マネジメントのウェブサイトは
http://kensatoken.com です。

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。



end

2012年3月21日水曜日

永続事業の条件は、「経営能力」と「経営理念」のかけ算である


経営能力と経営理念がかけ合わさって、はじめて良好な経営結果をもたらします。

経営理念がいかに重要であるかは、このブログでもなんども書いていますが、理念だけでは経営はできません。経営は、経営者に経営能力の裏付けがあってはじめて成り立つものです。

しかし一方、経営能力があっても、ただしい経営理念がなければ、とんでもない方向にいってしまいかねません。経営理念は、ある意味では羅針盤といってもいいのです。羅針盤なき航海は、難破の最大原因なのです。

短期的にスパンなら、成功している経営者も多いでしょう。しかし、スパンをすこし長くとると、成功しつづける経営者は、かならずしも多くないことに気がつきます。

もちろん、景気変動があるので、経営も山あり谷ありがふつうですが、継続して結果を出していくためには、経営能力と経営理念が両輪となっていることが不可欠なのです。

経営能力と経営理念をもちあわせた存在といえば、なんといっても "経営の神様" とよばれた松下幸之助翁の名前を出さねばならないでしょう。

松下幸之助自身、やり手の経営者ではありましたが、あるとき経営理念の重要性に気がついたことは、このブログでは 松下幸之助の 「理念経営」 の原点- 「使命」を知った日のこと に書いておきましたので参照していただけると幸いです。

今回は、経営能力と経営理念の関係について、幸之助翁みずからが語ったいるべつの文章を引用してみたいと思います。

『私の履歴』のなかで、こんな話をしています。出典は、「第17回 甘えた「所得倍増論」に警鐘」(日経Bizアカデミーのサイトに掲載)です。太字ゴチックは引用者(=わたし)によるものです。

ここで私は、まず経営ということについてふれ、ケネディ大統領の行なうアメリカ国家の経営も、町の小さなドラッグストアの経営も、どちらも同じ経営であるということから話を始めた。すなわち、国の経営の意図するところは、その国の発展、繁栄であり、また国民の幸せである。一方、ドラッグストアの経営は、顧客のためにいろいろ注意を払い、サービスを完全にすることである。どちらも本質的には同じような意図に立っている。しかしむずかしいのは、どうすれば国民を幸せにできるか、どうすれば顧客に対するサービスが適切に行なえるかということである。

マネジメントにおいては、町のドラッグストア(・・ただしここで言われているのはチェーン量販店ではなく薬屋のことでしょう)の経営も国家経営も同じというのは、すばらしい発言ですね。あくまでも顧客を中心に据えて経営を考える姿勢。ただし、国がそれを実行しているかは、やや疑問を感じますが。

そfれはさておき、提供するサービスをつうじて顧客を幸せにするということは、経営の本質のなかでは、理念にちかい部分でしょう。経営理念を体現しているのは経営者です。

そこで非常に大きな問題になってくるのが経営者ということである。すなわち、それぞれの経営体にふさわしい適切な経営者というものが要求されてくるのである。そしてその経営者に、最も大切なことは、正しい自己評価ができるということである。かつてドイツのヒトラーは祖国の窮乏を救い、かつ強大な国家をつくりあげたという点では、偉大な人物であり、その経営力は合格点であった。しかし彼がドイツ国家の経営にとどまらず、さらに欧州全体にまでその経営を広げようとしたところに問題があった。なるほど彼は、ドイツ一国の経営者としてはすぐれていたかも知れないが、欧州全体の経営者としては、いわば適材ではなく、しかも彼のもつ経営理念というものが正しくなかったのである。

このことをお互いの経営にあてはめてみると、経営者のきびしい自己評価ということと合わせて、その経営理念がどこに置かれているかということになる。その理念が、単なる利害、単なる拡張というだけではいけない。それらのことが、いわば何が正しいかという人生観に立ち、かつ社会観、国家観、世界観さらには自然の摂理というところから芽生えてこなければならない。そうした理念がなかったところにヒトラーの失敗があったのであろう。

ヒトラーを引き合いに出すのは、読者を「おやっ!」という気持ちにさせるだけに、「つかみ」としてはなかなかのものがありますが、誤解を生みかねないものもありますので、なかなか勇気のいることだとは思います。

しかしよく読んで見みると、、「その経営力は合格点であった・・(中略)・・なるほど彼は、ドイツ一国の経営者としてはすぐれていたかも知れないが、欧州全体の経営者としては、いわば適材ではなく、しかも彼のもつ経営理念というものが正しくなかったのである」と、締めくくっています。

国の経営者としてのヒトラーは、「経営能力は合格でも、経営理念はただしくなかった」、これが幸之助翁の結論です。

つまりこのここから読み取れるのは、長いスパンをとって考えると、経営結果=「経営能力」×「経営理念」で考えなければならないということを意味しているということでしょう。

いくらすぐれた経営能力を示していても、その理念がただしくない、すなわちマイナスであれば、経営結果もマイナスになってしまう、悪しきものとなってしまうことを意味しています。

逆にみれば、いくらただしい経営理念があっても、経営能力がなければ経営結果はマイナスになってしまいます。

経営能力と経営理念はかけ算の関係にあるのです。

まず磨かねばならないのは経営能力であることは言うまでもありませんが、少しでも長く、できれば永続的な事業として経営していくためには経営理念の裏付けがあることが欠かせません。

ぜひ、ミッション・ビジョン・バリューに分解できる経営理念の構築、あるいは再構築に取り組んでいただきたいと思う次第です。




<関連サイト>

"経営の神様" 松下幸之助氏が説いた「経営の要諦」- 「人が代われば組織も変えろ」 (日経ビジネス編集部、2014年9月1日)
・・1973年8月20日号よに掲載されたインタビュー記事の再掲する (注)記事中の役職、略歴は掲載当時のもの。

(2014年9月1日 項目新設)


<ブログ内関連記事>

松下幸之助の 「理念経営」 の原点- 「使命」を知った日のこと





(2012年7月3日発売の拙著です)









Clip to Evernote 


ケン・マネジメントのウェブサイトは
http://kensatoken.com です。

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!



end

2011年11月21日月曜日

松下幸之助の 「理念経営」 の原点- 「使命」を知った日のこと


 日本経済新聞に連載された "経営の神様" 松下幸之助の 『私の履歴書』 を 「私の履歴書 復刻版 松下幸之助」 として読むことができることを最近知りました。「日経 Biz アカデミー」というサイトに小出しでアップが続いています。

 「第7回 発展時代」に 「理念経営」 の原点となった出来事が記されていますので、ちょっと長くなりますが、ご紹介します。なお、太字ゴチックは引用者(=わたし)によるものです。

 このころの私には商売に対し反省がわいていた。いままでは世間の通念どおりの商売をやってなんとかうまくいっていたが、次第にこれでは物足りないという気持ちが出てきた。一体生産者の使命はなんだろう、こんなことを連日夜おそくまで考えた結果、私なりに一つの信念が生まれた。

 それは簡単にいうと、この世の貧しさを克服することである。社会主義者みたいなことをいうようだが、たとえば水道の水はもとより価のあるものだ。しかし道端の水道を人が飲んでもだれもとがめない。これは水が豊富だからだ。結局生産者はこの世に物資を満たし、不自由を無くするのが務めではないか。

 こう気付いた私は昭和7年の5月5日を会社の創業記念日とした。開業した大正7年から14年も経ってから新しい創業記念日を設けるとは不思議に思われるかもしれないが、私が使命を知ったときとしてこの日を選んだのだ。そしてこの使命達成を250年目と決め、25年を一節、十節で完成することにした。つまりわれわれの活動は第一節でこの基礎を固めることだ。

 これが、かの有名な 「水道哲学」 です。日本ではすでにモノがあふれかえっていますが、全世界を見渡せば、この「水道哲学」がまだ貫徹していないことは一目瞭然でしょう。

 「使命」を知った日を創業記念日としたという松下幸之助。そして、「使命達成を250年」と設定したことにも、自分一代ではミッション・コンプリートとならないと感じていたということでもあるわけですね。自分の「使命」であり、企業という運動体の 「使命」 でもある、と。

 実際の企業経営は、仏教用語でいう「無常」(=常ならず)の世界で行われるものですから、山あり谷あり、照る日もあれば曇る日もあるわけで、紆余曲折はつきものです。

 しかし、「使命」を自覚したことによって、経営活動に一本筋が通ったものになったわけです。

 これは、松下幸之助にとって、じつに大きな意味があったというだけでなく、後に「経営の神様」と尊敬されるようになった松下幸之助の言動を通じて、同時代の日本人だけでなく、後生に生きる日本人にとっても、きわめて大きな「気づき」となったわけでもありました。

 ところで、松下幸之助は「事業部制」を昭和10年(1935年)に導入しています。これは同時代の米国企業GM(ゼネラル・モーターズ)で採用さfれた経営組織でした。

 現在のパナソニックでは、事業部制のデメリットがメリットを上回ったため、中村氏のもとで大なたを振るう改革が行われましたが、昭和10年(西暦 1935年)というきわめて早い時期に「事業部制」を導入したのは、松下幸之助が病弱だったので、部下に権限委譲するための施策だったとも言われています。

 いわゆる「中村改革」で大胆な企業変革を実行できたのも、中村氏が松下幸之助の理念を完全に身につけており、「理念以外、聖域なし」というマインドセットで改革に取り組めたからだと言われています。

 これはすでにこのブログでも「経営理念以外、聖域なし」-松下電器(当時)の「中村改革」 と題して書きました。

 なお、松下幸之助の『私の履歴書』は、『松下幸之助 夢を育てる-私の履歴書ー』(日経ビジネス人文庫、2001)として文庫化されてロングセラーになっています。ぜひこの機会に一度とおして目をとすことをお奨めします。





<関連サイト>

「私の履歴書 復刻版 松下幸之助」
・・「日経 Biz アカデミー」サイト

"経営の神様" 松下幸之助氏が説いた「経営の要諦」- 「人が代われば組織も変えろ」 (日経ビジネス編集部、2014年9月1日)
・・1973年8月20日号よに掲載されたインタビュー記事の再掲する (注)記事中の役職、略歴は掲載当時のもの。

「なにごとも、使命感がないと、あかんな」 悩み抜いた末に得た、生涯における悟り (江口克彦、東洋経済オンライン、2014年11月6日)
・・松下幸之助の側近であった江口克彦氏が幸之助から直接聴き取った「知命」の詳細が再現されている。天理教の本部での経験から得た悟りである。

ところが、こっちはチャンと値段をつけている、こっちのほうが、もっと大きくなってええのに、そうではない。あっち(=信者が無償で奉仕している天理教)の方が隆々としている。なんでやろうか、帰りの電車の中で考え続けて、ハッと気がついたんや。それは、こっちに使命感がないからや。向こうは、人間を救うという大きなもんがある。こっちにはない。それでは、商売する者の使命はなにか。そや、貧をなくすことや。この世から貧をなくすことが、わしらの使命なんや。そこで、悟ったんやな。それが、使命を知ったということで、昭和7年を命知元年ということにしたんや。(*太字ゴチックは引用者=さとう、カッコ内の注釈も)

松下幸之助は「宗教」をみて「経営」を悟った どうして宗教は盛大で力強いのか (江口克彦 故・松下幸之助側近、東洋経済オンライン、2016年6月10日)

(2014年9月1日、11月6日、2016年6月10日 情報追加)



<ブログ内関連記事>

「経営理念以外、聖域なし」-松下電器(当時)の「中村改革」





(2012年7月3日発売の拙著です)









Clip to Evernote 


ケン・マネジメントのウェブサイトは
http://kensatoken.com です。

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!



end

2011年10月15日土曜日

コトバの壁を越えて MVV は共有できてますか?-オリンパスの外国人社長解任に思うこと


              
 オリンパスで、半年前に就任したばかりの外国人社長を解任したというニュースが昨日(10月14日)話題になりました。

 解任した側の取締役会と、解任された英国人の元社長との見解が大きくかけ離れており、どちらが正しいのか、部外者にはよくわかりません。

 したがって、解任劇については立ち入りませんが、「経営と文化」という観点からこの事例を考えてみたいと思います。

 解任についてはいろんな記事がありますが、ここでは産経新聞の記事を見てみましょう。「オリンパス社長解任劇 「文化の違い」株価急落」というタイトルの記事です。

企業が外国人幹部登用に消極的な理由の一つは、オリンパスでみられたような商習慣や文化の違いで、菊川剛会長も「企業風土や経営スタイル、日本の文化を理解してもらえなかった」と語る。
・・(中略)・・
瀕死の日産を復活させたゴーン氏はかつて、「抽象的な考え方から戦略を生み出すフランス流と、綿密な実行力や品質管理に優れた日本流を融合させる」と語った。文化の違いを、むしろ強みとしてとらえる「したたかさ」が求められる。

 すごく重要な指摘です。オリンパスで解任された英国人社長は、他の記事によれば、オリンパス英国法人を成功させ、オリンパス全体の 4割を稼ぎ出した手腕が評価された結果、グループ全体の社長に抜擢されたそうです。

 社長に就任にしてからは、英語でコミュニケーションを行っていたものと思われますが、日本サイドとの意思疎通がうまくいかず、また組織運営のやり方が英国流と日本流とでは大きく異なるために、組織内でさまざまな軋轢(あつれき)を産んだようです。

 とくに、ダイレクトに現場にピンポイントで指示を出すやり方には、中抜きにされるポジションにある人たちから大きな反発があったようです。意志決定のスピードが重視されることがアタマでは理解できても、カラダが受け入れないという反発ですね。

 わたしが気になっているのは、それだけではなく、解任された英国人社長がどこまで企業グループ全体の MVV を理解し、みずからのうちに体現していたかということです。


■「たとえすばらしいパフォーマンスを出しても、価値観の合わない人間には会社から去ってもらう」(ジャック・ウェルチ)

 米国の巨大企業 GE(ゼネラル・エレクトリック)社の "中興の祖" ジャック・ウェルチは、日本では「選択と集中」という側面ばかりが強調されてましたが、じつはこういうことも言っているのです。

 「たとえすばらしいパフォーマンスであっても、価値観の合わない人間には会社から去ってもらう」。だいたいこのような趣旨の発言だったと思います。

 ビジネススクールの教科書的存在である GE元CEOのコトバはよくかみしめる必要があるでしょう。

 MVVに表現された価値観を浸透させるためには、仕事のやり方や組織運営の仕方まで、突っ込んで考えなかればならない。経営者だけでなく、組織に属する個々人に共通認識ができあがっていなければ、うまくいかないのです。

 オリンパスの外国人社長解任劇には、そういう側面もあるのではないかと、わたしは捉えています。前社長は、どこまで会社の MVV を理解して体現していたのだろか、と。


■コトバの壁を越えて MVV は共有できているか?

 解任された前社長に問題があると言いたいわけではありません。公平を期すために、日本の「経営理念」と英語の Corporate Philosophy に解釈のズレはなかったかどうか、あるいは英語人にも理解のできるものとなっているかどうかを見ておきましょう。

 オリンパスの「経営理念」のページには、英語のものも日本語のものも掲載されていますが、内容的にはそれほど大きなズレはなさそうです。

●オリンパス:「経営理念」(日本語)
 「Value」:社会とともに未来を育む
 「経営理念」:企業と社会との関係を3つの「IN」で確立することを目指します-INvolvement, INsight, INspiration
 「コーポレートスローガン」:"Your Vision, Our Future"  人々の思い、願いをかなえるために。


●Olympus Global: Corporate Philosophy
 「Value」:Working with Society to Develop a Better Future
 「Corporate Philosophy」:Realization of Social IN 
  We aim towards establishing firm ties with the society through the three IN's
  -INvolvement, INsight, INspiration
 「Corporate Slogan」:"Your Vision, Our Future" 
   Turning People's Ideas and Dreams into Reality


 内容的にはすばらしいものがありますが、ちょっと漠然としすぎているような気がしないでもありません。

 細かくみていくと、「経営理念」(コーポレート・フィロソフィー:Corporate Philosophy)には、「企業と社会との関係を3つの「IN」で確立することを目指します」として、日本語版でも英語版でも、In を接頭語にもつ3つの英単語が並んでいます。すなわち、INvolvement(巻き込み)、 INsight(洞察力)、INspiration(インスピレーション)ですね。

 どうやら、解任された前社長は、このINvolvement(巻き込み)ができなかったようですね。顧客についてはさておき、肝心要の自分の会社の社員を involve(巻き込む)ことができなかったわけです。

 フィロソフィー(哲学・思想)やスローガンがすばらしいものであっても、社員一人一人の言動にまで規定する行動指針にまでブレイクダウンし、具体的な指針にまで落とし込んだもののようには思われません。

 まずは経営トップが、身をもって示さねばならないものではないでしょうか。


■経営理念や社是は MVV に分解すべし

 日本語の「社是」あるいは「経営理念」をかみくだいて英語に直す。しかし、日本語のニュアンスは英語では表現できない、英語になっていても英語人にはピンとこない、こういうことはけっこう多いのです。

 だから、わたしは、「経営理念」や「社是」は MVV に分解して、誰でも理解できるような形で表現することを提唱しています。

 MVV とは、ミッション(使命・使命感)、ビジョン(将来像)、バリュー(価値観)のこと。まずはこの3つに分解し、それぞれについて3項目ないしは多くても5項目に箇条書きにまとめることです。

 日本語人であっても英語人であっても理解を共通し、日本語と英語とのあいだの意味のズレをミニマムにするような文言を、徹底的に磨き上げることが必要となるのです。外国語にすることを前提に、最初から日本語を考え抜くのです。

 あたりさわりのない表現では、たとえ英語訳が日本語訳の忠実な翻訳であっても、英語人のアタマにもココロにも響いてきません。ましてや一挙手一投足で実行することなどまっったく期待できません。

 逆に考えれば、もとになっている日本語があいまいで、あたりさわりのない表現になっているのではないか、わかったつもりになりやすい表現ではないか、きびしく検証してみることが必要でしょう。

 みなさんの会社の「経営理念」や「社是」は、ただしく社員のあいだに共有されていますか? いま一度、問い直してみましょう。


<関連サイト>

オリンパス(日本法人サイト)
オリンパス(グローバルサイト 英語その他)


<ブログ内関連記事>

「ブレない軸」 (きょうのコトバ)

グンゼ株式会社の創業者・波多野鶴吉について-キリスト教の理念によって創業したソーシャル・ビジネスがその原点にあった!

Facebook Principle (フェイスブックの原則) を MVV (ミッション・ビジョン・バリュー) の観点からみてみよう

原点としての 「HPウェイ」 -創業者の理念は度重なる経営者の交代でも生き続けているのだろうか?

『グローバル仕事術-ニッポン式ビジネスを変える-』 (山本 昇、明治書院、2008) で知る、グローバル企業においての「ボス」とのつきあい方
・・英国のグローバル企業での勤務経験のある著者が語るボス(上司)とのつきあい方。英国流と日本流の違いがわかる本



P.S. 一ヶ月のあいだに社長が二人交代するなどオリンパスが揺れているが、第三者委員会を設置して調査を行うことになった。真相については第三者委員会の調査結果にまちたいが、この記事の趣旨はオリンパスの外国人社長「解任劇」そのものとは直接の関係はないことを、あらためて強調しておきたい。(2011年10月28日 追記)

P.S.2 2011年11月8日、オリンパスの問題は粉飾決算問題であることがあきらかになった。この点にかんしてはコーポレート・ガバナンス(企業統治)にかんする問題として、考える必要がある。コーポレート・ガバナンスが強調されるようになったのは、ちょうど1990年代であったことを考えると、なんともいえない気持ちになってくるのだが...(2011年11月9日 追記)





Clip to Evernote