2011年7月21日木曜日
「経営理念以外、聖域なし」-松下電器(当時)の「中村改革」
一昨日(2011年7月19日)に「放送大学」の 『企業戦略と企業文化』 第15回 「最高経営責任者」をみたら、面白い内容の授業をやっていました。
講師は、横浜国立大学名誉教授・吉森 賢(よしまる・まさる)氏、かつてフランスのビジネススクール(経営大学院) INSEAD(インシアード)で教鞭をとっていた先生です。
番組は、2008年度製作のものなので、経営マターとしては古いかなとも思いましたが、かえって忘れがちな重要な事例が取り上げられていました。
取り上げていたのは、2001年から2006年にかけての、松下電器産業(現在はパナソニック)における、いわゆる「中村改革」です。
重要なポイントは、変革の指揮をとった最高経営責任者の中村氏が、創業者の松下幸之助の創った「経営理念以外、聖域なし」の態度で企業変革に取り組んだことです。「経営理念」というものが、いかに重要なものであるかを示した事例として、現在でも振り返る必要があるでしょう。
松下電器産業は、現在は企業ブランドをパナソニックに統一、企業名もパナソニックとし、"経営の神様" とよばれていた松下幸之助に由来する松下の名を取り去りました。しかし、いまもなお「経営理念」は、そのまま堅持しています。http://panasonic.co.jp/company/philosophy/principle/
創業者の精神は堅持しつつ、あたらしい時代にあわせて、みずからを大変革する。2000年代前半の「中村改革」は、日本企業が実行した企業変革としては、歴史に残る大改革であったといっても過言ではないでしょう。
吉森教授も指摘していましたが、日産自動車の「ゴーン改革」は、内部昇進ではない、外部からきた最高経営責任者がおこなった、しがらみなき大改革。
一方、、松下電器の「中村改革」は、内部から昇進した最高経営責任者が行った、しがらみのなかで行った大改革。
どちらも、従業員の立場からみれば似たようなものだったかもしれませんが、最高経営責任者の立場からみれば、実に対照的なものだったといえましょう。
ときには、すでに「歴史」となった企業変革を振り返ってみることの大切さも感じたものでありました。
<関連サイト>
企業戦略と企業文化('08) シラバス(放送大学)
・・講師は、横浜国立大学名誉教授・吉森 賢(よしまる・まさる)
パナソニック(旧 松下電器)の「経営理念」・・パナソニック社ウェブサイト
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