「怪人アラマタ」、初のビジネス書の登場です。
「怪人アラマタ」(=表紙の顔)のことは、TVにもよく出演しているので、知っている人も多いでしょう。この人もまた、自分の好きなことを徹底して、それが人生そのものになってしまった人ですね。
「0点」と書いて「ゼロ点」と読ませています。その意味は、直接はじめにを読んでいただくとしましょう。もちろん、学校の成績のことではありません。
■本書のエッセンスをビジネス用語で解説
エッセンスは以下のようなものになるでしょう。サラリーマン生活は10年で足を洗って、しかもシステム部門にずっといたアラマタ氏のかわりに、わたしがビジネス用語をつかって解説するとこんな感じでしょう。
自分が好きなことに徹する。これがいちばん。つまり、ポジショニングはニッチを狙え、ということ。
「役に立たないことを極めると、かならず道は開ける」。これはニッチ分野を選んだら、徹底的に深掘りせよということ。深掘りすると、おのずからヨコに広がっていくものだ。「すぐ役に立つことは、すぐに役に立たなくなる」といったのは、現在100歳の現役の国語教師、灘校の名物教師・橋本武先生ですね。
ビジネス用語をつかえば、まさに「ブルーオーシャン」的な生き方ですね。競争の激しい、流血の「レッドオーシャン」は避けること。そうでなくても人数の多い「団塊の世代」は、競争の厳しい「レッドオーシャン」の世界なのだが、アラマタ少年は7歳にして、すでに人生を降りてしまったのだから、それは無敵ですね。
言っていることは、まったく理に適っていると思います。人生をベンチャーと考えれば、ムダな競争は回避して、セルフブランド化するということですから。
ただし、そのためには、捨てなければならないものがある、ということ。これは、まさに戦略の本質をついています。戦略とは違いを打ち出すこと(make a difference)です。あるものを選択することとは、それ以外の可能性を捨て去ることを意味しています。「捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」とは、このことを指しています。、
すぐには目が出なくても、浮き足立たずに、「急がば回れ」、ということ。好きなことでメシを食うのはそう簡単なことではありません。最短の正攻法はやりの現代日本ですが、サステイナブルな幸せを実現することにかんしては、どちらが自分にとってただしいかはよく考えなければならないことです。
■若い人たちにすすめたい本
アラマタ氏の本は、オカルト関係をはじめ、わたしは20代の頃からずいぶん読んで影響を受けてきたので、そのエッセンスには完全に同意です。この本には、アラマタ氏のメモや、発想メモの写真も入っているので、一見の価値があります。
この本は、若い人にこそ読んでほしい本です。とくに、アラマタ氏が10年間過ごした 日魯漁業(現在のマルハニチロ食品) で過ごした10年のサラリーマン生活を回想する第4章以下は読んでほしいものです。「いやだと思った仕事も三日で好きになってしまう」というポジティブな人生態度は、ぜひ見習ってほしいものだと思います。
7月10日発売予定の拙著 『人生を変えるアタマの引き出しの増やし方』 とも、基本姿勢は大いに共通するものがあると思います。
目 次
はじめに
序章 0点主義の勉強法
第1章 偶然が訪ねてくる勉強法
第2章 情報整理なんていらない
第3章 勉強を高尚なものにしない
第4章 苦手な勉強こそ意外なチャンスをもたらす
第5章 不利な環境は最強の勉強空間だ
第6章 「人生丸儲け」の勉強法
「あとがき」に代えて-だまされることで創造的批判力がつく
著者プロフィール
荒俣 宏(あらまた・ひろし)
作家。1947年、東京生まれ。慶應義塾大学卒業後、10年間のサラリーマン生活ののち独立。百科事典の編集助手をしながら書いた小説『帝都物語』(角川書店)がベストセラーになり、日本SF大賞受賞。『世界大博物図鑑』(平凡社)で、サントリー学芸賞受賞。神秘学、博物学、風水等多分野にわたり精力的に執筆活動を続け、その著書、訳書は300冊を超える。武蔵野美術大学客員教授、サイバー大学客員教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。
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P.S.
うれしいことに、紀伊國屋書店大手町ビル店では、本書 『0点主義』 と、拙著 『人生を変えるアタマの引き出しの増やし方』(佐藤けんいち、こう書房、2012)と一緒に並べていただいてます。ありがたいことです。(2012年7月7日 記す)
(2012年7月3日発売の拙著です)
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