バンコクの書店でもベストセラーになっているのはジョブズの伝記本。写真はバンコク中心部の商業アリアラッチャプラソンにある ISETAN(=伊勢丹)内の紀伊國屋書店の店頭です。先週撮影したものです。
しかも、日本のように二冊にわけての発行ではなく、一冊本としてタイ語訳されています。アメリカのオリジナルそのもののカタチです。しかも、左からの見開きも同じ。
この本がベストセラーになるということは、スマートフォン普及率も高いということを意味しています。
メガ都市バンコクでは、以前から現地のビジネスパーソンのあいだでは Blackberry(ブラックベリー)が使用されていましたが、現在では一般人のあいだでもスマホ利用が当たり前となっているのです。
バンコクには、ごった煮の市場(いちば)を高層ビルのなかにぶち込んだような MBK(=マーブンクロン)というショッピングモールがあります。
携帯電話のフロアに出店している業者が多数ありますが、ほとんどが 米国アップルの iPhone か 韓国サムスンの Galaxy とスマホ一色。日本の携帯メーカーなど影も形もありません。わたしが住んでいた3年前には優勢だった Nokia ですら影が薄い。
このように、海外にでると「ガラパゴス」の意味が実感できます。日本仕様が異様にまで発達したものづくりのことを、孤島で独自な進化をとげたガラパゴス諸島の比喩をつかって表現したものですが、中級品以上であっても量をとれなかったら、世界市場での勝ち目はないということを如実に示しているといえるでしょう。
アジアの「メガ都市」の一つであるバンコクですらこういう状況なのです。「中進国タイ」 は 「先進国日本」より遅れていると思い込んでいては大間違いです。「メガ都市バンコク」は、上海やシンガポールと同列に考えなくてはいけません。
もちろん、「ガラパゴス」自体が悪いわけではないのですが、海外市場で日本ブランドを見なくなりつつあるのは淋しい限りですね。
もちろん、アップルでもサムスンでも使用されている部品のかなりは日本製ですが、消費財は直接に現地の消費者の目にふれるものだけに、いっそう残念な気持ちを抱くのは正直なところです。アップルもサムスンも、ともにデザインとブランドにチカラを入れています。
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書評 『消費するアジア-新興国市場の可能性と不安-』(大泉啓一郎、中公新書、2011)-「新興国」を消費市場としてみる際には、国全体ではなく「メガ都市」と「メガリージョン」単位で見よ!
・・「新興国」の「メガ都市」とそれ以外の地方都市や農村地帯はわけて考えないといけない
『ガラパゴス化する日本』(吉川尚宏、講談社現代新書、2010)を俎上に乗せて、「ガラパゴス化」の是非について考えてみる
・・ガラパゴス現象じたいが悪いのではないが、世界市場で勝ち抜けないと日本の大企業は生き残れないだろうというのが著者の意見。ただし、大企業以外では、日本に特化して生きぬく道もあることは言うまでもない。
(2012年7月3日発売の拙著です)
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