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2012年1月23日月曜日

「レッドブル」-タイが本家本元の 「ローカル製品」 が 「グローバル製品」 として生まれ変わった!




「レッドブル」という清涼飲料水がありますがご存じでしょうか?

ブルーとホワイトのコントラストの下地のうえにレッドブル(赤い牛)がにらみ合っているデザインの缶で有名な、都会的で洗練されたお洒落なエナジー・ドリンクですね。

日本に登場したのは、いまから5年くらい前だったでしょうか。

一本あたり 300円近くとけっして安くない価格設定。これはデザインとイメージ戦略が功を奏したモノと言っても過言ではありません。

ところが、この「レッドブル」、あまり知られていないのですが、じつはタイが本家本元オリジナルのローカル商品なのです。

タイ語では「クラティン・デーン」。意味は「赤い牛」。レッドブルそのものですね。

冒頭に掲載した写真はゴールドの缶ですがこれはあまり目にすることはありません。タイでは、ふつうは日本のリポビタンDと同様に、瓶入りのスタミナドリンクとして販売されています。





コンビニでは一本10バーツ(= 25円~30円)と日本の販売価格の約1/10と安い。低所得層向けの商品ですが、類似のスタミナドリンクはみなほぼ同じ価格帯になっています。

しかも、タイ人の嗜好にあった、やや甘ったるい味。日本メーカーのペットボトルのお茶も甘ったるくしてしまうのがタイですから、当然といえば当然です。

これをタイの「ローカル製品から、「グローバル製品」として脱皮させたのはタイ人ではなく、なんとオーストリア人の企業家でした。豪州のオーストラリアではありません、欧州のオーストリアです。

日本で缶入りの「レッドブル」を飲んだことのある人なら、タイで「レッドブル」を飲むと、日本で売っている缶入りのレッドブルは、すでに別物になっていることに気がつくはずです。成分を改良し、味も洗練された普遍的(=ユニバーサル)なものに改造されているからです。

これは「ローカル製品のグローバル化」と言えるでしょう。

分野は違いますが、武道としての日本の「柔道」とグローバル化した 「Judo」 との違いに似ているかも知れません。

レッドブルは、「ローカル商品」が「世界商品」として劇的に生まれ変わった事例として記憶しておくとよろしいかと思います。その背景には、仕掛け人がいたのだ、と。

タイにいかれた際は、ぜひ「クラティン・デーン」(=レッドブル)を飲んでみて下さい。何がどう違うかは、自分の五感をフルにつかって検証してみることをおすすめします。

ただし、タイの「クラティン・デーン」(=レッドブル)は飲み過ぎるとカラダによくないと言われています。飲み過ぎにはご注意!



(Made in Austria メイド・イン・オーストリア)


<関連サイト>

レッドブル・ジャパン 公式サイト

wikipedia の項目「レッドブル」には、「世界商品」としての開発事情についての解説がある


<ブログ内関連記事>

書評 『レッドブルはなぜ世界で52億本も売れるのか-爆発的な成長を遂げた驚異の逆張り戦略-』(ヴォルフガング・ヒュアヴェーガー、長谷川圭訳、日経BP社、2013)-タイの 「ローカル製品」 を 「グローバルブランド」に育て上げたストーリー
・・タイのスタミナドリンク「クラティーンデーン」をエナジードリンク「レッドブル」としてグローバルブランドに変身させたのはオーストリア企業

書評 『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか-世界で売れる商品の異文化対応力-』(安西洋之、中林鉄太郎、日経BP社、2011)-日本製品とサービスを海外市場で売るために必要な考え方とは?
・・「ローカル商品のグローバル化」において、「レッドブル」の事例とは異なる、進出先市場でのローカリゼーションについて書かれた好著

タイのあれこれ (26) タイ好きなら絶対に必携のサブカル写真集  Very Thai
・・タイ人が好きなスタミナドリンクという飲料カテゴリーについても一章とりあげられている。ちなみに、朝鮮人参のふるさとである韓国でもスタミナドリンク人気は高い。

書評 『プーチンと柔道の心』(V・プーチン/ V・シェスタコフ/A・レヴィツキー、山下泰裕/小林和男=編、朝日新聞出版、2009)

(2014年6月3日 情報追加)





(2012年7月3日発売の拙著です)








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