「個」と「組織」それぞれの能力を向上し、「個」と「組織」のよりよい関係を築くために
                                    

NHK World (英語版 視聴料フリー!)

NHK World (英語版 視聴料フリー!)
画像をクリックすると、海外向け英語放送が24時間が流れるサイトにつながります。

Channel NewsAsia International (英語版 視聴料フリー!)

Channel NewsAsia International (英語版 視聴料フリー!)
画像をクリックするとシンガポールからの英語ニュースが24時間流れるサイトにつながります。

Al Jazeera English: Live Stream (英語版 視聴料フリー!)

Al Jazeera English: Live Stream (英語版 視聴料フリー!)
画像をクリックすると中東カタールからの英語ニュースが24時間流れるサイトにつながります。

Bloomberg TV (英語版 視聴料フリー!)

Bloomberg TV (英語版 視聴料フリー!)
画像をクリックすると、24時間ビジネス経済情報が英語で流れるサイトにつながります。

「アタマの引き出し」は生きるチカラだ!(姉妹編ブログ)

「アタマの引き出し」は生きるチカラだ!(姉妹編ブログ)
「専門知識」×「雑学」がビジネス思考の「引き出し」幅を拡げる! 最新投稿は画像をクリック!

MVVの3文字で、個人と組織にブレない軸とブランドをつくる!

MVVの3文字で、個人と組織にブレない軸とブランドをつくる!
このブログの執筆者が運営している facebookページです。

「日本型リーダーシップ」の基本は山本五十六にあり!

「日本型リーダーシップ」の基本は山本五十六にあり!
「やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば 人は動かじ」 には続きがあった!





東南アジア・ビジネスは背景をよく知ってから!

■■■■ 「ミャンマー再遊記」 全8回+α ■■■■
 総目次はここをクリック!
■■■■ 「三度目のミャンマー、三度目の正直」 全10回+α ■■■■
 総目次はここをクリック!
■■■■ 「タイのあれこれ」 全26回+番外編 (随時増補中) ■■■■
 総目次はここをクリック!



会社ウェブサイトは
 http://kensatoken.com です。

ご意見・ご感想・ご質問は ken@kensatoken.com にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。   


  

2011年8月30日火曜日

「絶対権力は絶対に腐敗する」-リビアの独裁者カダフィ大佐の末路に思うこと


 「絶対権力は絶対に腐敗する」(Absolute power corrupts absolutely)。これは19世紀に生きた英国の政治家ジョン・アクトン卿の名言です。

 全文の意訳は、「権力は腐敗する傾向にある、そして絶対権力は絶対的に腐敗する」(Power tends to corrupt, and absolute power corrupts absolutely.)というものです。ここでいうパワーとは権力のことですね。上位に立つものが行使できるチカラ。

 ところで、リビアの反政府派がついに首都トリポリを陥落させました。チュニジア。エジプトと続いた中近東アラブ世界の動乱、リビア情勢も急速に展開していいます。

 本日(2011年8月30日)のニュース報道によれば、リビアの独裁者カダフィ大佐が首都トリポリで接収された「空飛ぶ邸宅」。なんと92億円相当だとか。

 42年前、革命によって王制を倒した当時のカダフィ大佐は、志の高い人物であったようですが、長く権力の座にとどまると結果がこれだ、と。「いずこも同じ秋の夕暮れ」という感じです。

 権力(パワー)を行使する立場にある人は、経営者でなくても、マネージャーではなくても、一人でも部下をもつひとはずべて、「他山の石」として受け取りたいものですね。けっして「対岸の火事」と考えてはいけません

 おそらく反政府勢力も、独裁者カダフィを倒すという共通の目標がほぼ喪失されつつあるいま、「求心力」を失ってバラバラになっていくことでしょう。共通の敵を設定して求心力とすることは、組織を束ねるもっとも簡単な方法です。

 いまだ戦闘が完全に終わったわけではない現在、今後のリビア情勢がどうなっていくか現時点ではまだまだわかりませんが、「絶対権力は絶対に腐敗する」という格言を念頭におきつつ推移を注視していきたいものです。

 権力をもつ者は行使しなくてはいけません。ただし、行使にあたっては、ただしく行わねばならないのです。

 
<関連サイト>

リビア、大佐の豪華専用機も接収 「空飛ぶ邸宅」(2011年8月30日 共同通信)


<ブログ内関連記事>

書評 『挫折力-一流になれる50の思考・行動術-』(冨山和彦、PHPビジネス新書、2011)
・・「経営権力」論についての考察もある好著

チャウシェスク大統領夫妻の処刑 1989年12月25日
・・独裁者の末路は...



Clip to Evernote


P.S カダフィは拘束されて殺害されたが・・・

 独裁者の末路はあわわとしかいいようがない。しかし、多くの反対者を粛清してきた男だ。当然の報いというべきだろうか。
 共通の「敵」を失った旧・反政府勢力は、「敵という求心力」を失ってばらばらになる可能性が高い。独裁者は在任の初期は正しい動機と善政を敷いても、後期は権力におぼれ、絶対に腐敗していく。
 しかも、独裁政治の悪影響は、独裁者が排除されたあとも長く尾を引くことになる。困った存在なのだ。企業経営においても、心しなければならないことだ。
 (2011年10月21日)







             

2011年8月26日金曜日

カリスマが去ったあとの後継者はイノベーティブな組織風土を維持できるか?-アップル社のスティーブ・ジョブズが経営の第一線から引退


 昨日(2011年8月25日)、アップル社のスティーブ・ジョブズCEOが、経営の第一線から引退することが突然発表されました。

 後継者に指名されたクック新CEOによる社内向けメールが公開されています。

 アップル 新CEO ティム・クックの社内向けメッセージ:アップルは今後も変わらない。 という記事に、クック新CEOのメール内容が、英語の原文と日本語訳で掲載されています。このうち価値観(バリュー)と原則(プリンシプル)にかんする文言を引用しておきましょう。

I want you to be confident that Apple is not going to change. I cherish and celebrate Apple's unique principles and values. Steve built a company and culture that is unlike any other in the world and we are going to stay true to that-it is in our DNA. We are going to continue to make the best products in the world that delight our customers and make our employees incredibly proud of what they do.

アップルが今後も変わらないことに自信をもってほしい。わたしはアップルのユニークな価値観と原則を心から大切に思っています。スティーブが育てた、世界 のどんな企業とも似ていないこの会社と文化に、われわれは今後も忠実であり続けます。それがわれわれのDNAです。われわれは今後も世界最高の製品を作り、顧客を喜ばせ、従業員が仕事を心から誇りに思えるようにし続けます。

 「カリスマ・リスク」という表現もあるように、成功企業がカリスマ経営者の存在に大きく依存してる会社では、とうに上場している大企業の場合、後継者の選出は大きな課題です。

 すぐれた経営者を組織の内外から捜し出してくることが求められますが、組織外から落下傘的に着任するケースでは、企業再建のケースはいざしらず、成功している企業の組織風土を維持しつづけるのはきわめて困難

 今回のアップル社のケースのように、内部に10数年在籍して、組織風土を肌身をつうじて熟知している場合ですら、抱えることになる課題は同様に重いものがあります。何をどう努力しても、どうしても前任者であるカリスマと比較されがちだからです。これは同族企業であっても同じです。

 カリスマ的創業者の志が生き続けているイノベーティブな日本企業としては、ホンダを例に取り上げることができると思います。ですが、後継者にはカリスマ以上の存在にはなり得ない以上、きわめて困難な課題であることはどの会社であっても否定できません。ジョブズが去るのは今回 2度目ですが、健康状態が良くないこともあり 3度目の前線復帰は、おそらくないでしょう。 

 「変わらずにいるためには、変わらなければならない」 というのは、ヴィスコンティ監督の 『山猫』 にでてくる有名なセリフですが、カリスマが去ったあと、ミッションとバリューが明確な組織風土をどう維持させるか、アップル社はきわめてむずかしい課題に乗り出すことになります。

 日本の中継中小企業においても、「他山の石」として、見守っていく必要があるでしょう。



<関連サイト>

Appleのティム・クックCEO、ケイン・岩谷ゆかり氏の著書を「ナンセンス」と酷評 (2014年3月9日)

Haunted Empire by Yukari Iwatani Kane (元ウォールストリート・ジャーナルのアップル担当記者ケイン・岩谷ゆかり氏のサイト)

なお、当該書は、『沈みゆく帝国-スティーブ・ジョブズ亡きあと、アップルは偉大な企業でいられるのか-』(ケイン岩谷ゆかり、外村仁解説、井口耕二訳、日経BP社、2014)というタイトルで2014年6月18日発売予定。





アップルは「沈みゆく帝国」なのか(ケイン岩谷ゆかり)

第1回 皇帝亡きあとの帝国 ジョブズの亡霊と比べられるティム・クックCEO (ケイン岩谷ゆかり、日経ビジネスオンライン、2014年6月18日)

第2回 ジョブズの遺産、アップル・ユニバーシティ 幹部を鍛える研修プログラム (ケイン岩谷ゆかり、日経ビジネスオンライン、2014年6月25日)

第3回 広告から透けるアップルに欠けているもの シンク・ディファレント誕生と今の違い (ケイン岩谷ゆかり、日経ビジネスオンライン、2014年7月2日)

第4回 ジョブズが後継に選んだ男、ティム・クックは何者か? 故郷、アラバマ州ロバーツデールを訪ねる (ケイン岩谷ゆかり、日経ビジネスオンライン、2014年7月9日)

第5回 ジョブズが認めたデザイナー、ジョナサン・アイブ 天才は日立、ゼブラ製品もデザインしていた (ケイン岩谷ゆかり、日経ビジネスオンライン、2014年7月17日)


ジョブズ存命でも、アップルの進化難しかった 『沈みゆく帝国』著者、ケイン岩谷氏に聞く(前編) (東洋経済オンライン、2014年8月9日)

クック体制でアップルの均衡崩れつつある 『沈みゆく帝国』著者、ケイン岩谷氏に聞く(後編) (東洋経済オンライン、2014年8月11日)


(2014年6月2日、25日、7月17日、8月11日 情報追加)



<ブログ内関連記事>

書評 『メイド・イン・ジャパンのキリスト教』(マーク・マリンズ、高崎恵訳、トランスビュー、2005)
・・カリスマの継承が難しいのは宗教組織も同じ

書評 『跡取り娘の経営学 (NB online books)』(白河桃子、日経BP社、2008)







(2012年7月3日発売の拙著です 電子書籍版も発売中!)






Clip to Evernote 


ケン・マネジメントのウェブサイトは
http://kensatoken.com です。

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!



end     

2011年8月24日水曜日

ミッション(使命)が明確でなくなった組織に存在意義はあるか?-「週刊 ダイヤモンド 2011年 8月27日号 特集:経産省解体!」


 組織というものは、ミッション(使命)が明確であると存在意義も社会から認めてもらえます

 存在意義(=レゾンデートル)のなくなった組織がもたらす弊害として、経済産業省も挙げることができるのではないでしょうか。

 だいぶ以前から「通産省(=経産省)無用論」がありました。もともと、通産省は敗戦後に白洲次郎によって「通商」と「産業」が合体してあたらしく再編されたもので、その使命はすでに終えて久しいといっても言い過ぎではないようです

 今週(2011年8月27日号)の「週刊ダイヤモンド」の特集は「経産省解体!」。刺激的なタイトルですね。

 民間企業は、つねに競争にさらされているので、ある程度まで自浄作用や自然淘汰が働きますが、役所の場合はミッションを喪失しても存続してしまうのが大きな問題。

 官僚組織は、組織のミッション(使命)を全面的に見直すか、そうでなければ再編されるのも仕方ないというべきでしょう。  

 みなさんはどう思われますか?


目 次

特集 「経産省」解体!

Part 1 組織編 経産省解体への序曲
 保安院分離で蠢く解体シナリオ
 新・中央省庁再編案
 天下り先増殖のあきれたカラクリ
 経済産業省の組織
 Interview 古賀茂明●経済産業省大臣官房付
 Interview 海江田万里●経済産業大臣

Part 2 政策編 産業政策の無為無策
 出だしからつまずくインフラ輸出
 競争力向上目指す産業政策の愚
 死屍累々の大プロジェクト政策
 経済産業省の歴史
 経産省が電力会社に屈した日
 Interview 松永和夫●前経済産業事務次官

Part 3 人材編 経産官僚の本質
 有能な若手の流出で小粒化
 血で血を洗う派閥抗争の内幕
 経済産業省 出世スゴロク
 組織にはびこる根深い体質
 経産官僚と財務官僚の気質の差








Clip to Evernote



   
   

2011年8月9日火曜日

『グローバル仕事術-ニッポン式ビジネスを変える-』 (山本 昇、明治書院、2008) で知る、グローバル企業においての「ボス」とのつきあい方


グローバル企業で働くということは「ボス」との一対一の契約関係に入って組織のなかで生き抜くことだ

 本書は、典型的な日本の大企業で働いた後、英国でグローバル企業を体験、その後は現地でコンサルティング会社を立ち上げて、通算20年以上英国で働いている著者による、「グローバル企業での働き方」のキモを紹介した本です。

 タイトルには「グローバル」企業とタイトルにありますが、正確にいえば著者が体験してきた「欧米系グローバル」企業のことでしょう。ですが、あえて「欧米系」と冠をつけることもないと思います。

 というのは、デファクトで世界ルールとなっているのは欧米流だからです。これはアジアでも同様。中国人もインド人も、みなこの「グローバル」の作法にしたがって仕事をしています。

 欧米の植民地になった経験をもたなかったのは日本とタイだけですが、そのタイでも企業経営は欧米流のルールに基づいて行われていることは、わたし自身が体験したことです。

 日本企業だといっても、日本の外で事業展開する際には、「グローバル企業」として行動することが求められるわけです。かつて評論家の竹村健一がよく言っていた表現ですが「日本の常識は世界の非常識」というものがあります。その意味では、日本企業とグローバル企業を対比させて語るのは、あながち間違いではありません。

 「グローバル企業で働くということは「ボス」との一対一の契約関係に入って、組織のなかで生き抜くことだ」。本書の内容を、このようにひと言で要約してしまって問題ないと思います。これが本書のキモです。

 ただし、「ボス」(boss)の意味が、日本と欧米モデルでは大きく異なります。日本だとボスとの関係は伝統的には親分子分関係で、中小のオーナー企業ではその傾向も多々ありますが、近代組織のなかにおいては、「ボス」は、社内の人事異動でやってきた上司以外の何者でもありません。「組織が個人に優先する」という組織原則が、タテマエのうえでは「あるべき論」として強調されるのが、日本の組織ですね。

 ところが、グローバル企業においては、ボスと部下との関係は、文字通りの契約関係です。人事権を含めて絶大な責任権限をもつボスが、最終的に誰を採用するかどうかを決定するのであり、ボスの側が求めるものと、その下で働くことになるものの要求が合致したときに契約が成立するのです。もちろん棹の際には仕事ができるだけでなく、いわゆるケミストリー(化学)という相性も重要な要素となります。

 ボスと部下との関係は、明文化された契約であり、語の本来の意味における労働契約なのです。

 その意味では、ドライな関係であるというのは確かでしょう。日本でも労働法においては「労働契約」という概念そのものは存在しますが、期限を定めた短期の契約社員以外には、労働契約は通常はあってなきがごとしでしょう。

 日本では、明確な契約関係で労働を提供するのは、取締役か個人事業主の外部コンサルタントなど、労働法の適用を受けない商法上の関係に限定されます。日本でも取締役はその意味では、グローバル企業の社員に近い存在といってよいでしょう。

 もちろん、グローバル企業の社員は労働契約ですから、労働法によって守られた存在です。本書にもあるように解雇には二種類あります。余剰人員削減が目的にリダンダンシー(redundancy)と狭い意味の解雇であるディスミッサル(dismissal)です。前者の場合は、会社都合ですから金銭的にもそれなりの支払義務が生じます。

 グローバル企業の場合は、すべてがこの契約関係にあるので、この前提があってはじめて成果主義が成立することになるのです。これはきわめて重要なことです。契約関係にあるということは、契約上の甲も乙も対等な関係にあるということになります。

 ボスの側が提示するのが「ジョブ・ディスクリプション」(職務内容記述書:Job description)、そしてそのボスの下で働く契約後に部下が提出するのが「ワーク・プラン」(Work plan)。年度のはじめに詳細なすりあわせを行い、それをもとに一年間のパフォーマンスが評価されることになります。

 日産自動車の立て直しを行ったカルロス・ゴーンが、当時しきりに強調していたコミットメント(commitment)ということはそのことなのです。

 本書で強調されているのは、わたしなりに抜粋すれば、「あくまでも自分が中心」、「グローバル企業での組織と個人の関係はサッカーのようなもの」、「ホンネとタテマエの使い分け、柔術は欧米系グローバル企業でも役に立つ」、「コトバの訓練、とくに英語の訓練はきわめて重要」、「原則を尊重して、基本的に何が目的かというファンクションを基本にモノを考え、クリエイティな解決策を見いだすことの重要性」などになりうでしょうか。

 いずれも、著者自身が体験した具体的な事例をもとに語られています。

 日本の企業経営が簡単に変化するとは思えませんが、国内市場が収縮傾向にある一方、円高基調が続く見込みの日本では、今後は海外に活路を見いだすことは必至の情勢といっていいでしょう。

 先にも触れたように、日本企業とて、日本から一歩外にでたらローカルの社員を雇用することになるのです。日本的なやり方が通じないことは、すぐに体験することになります。

 部下の立場よりも、「ボス」の立場でローカル社員と接することになろうかと思いますが、当然のことながら日本流は通用しません

 グローバル企業の運営ルールは、好き嫌いにかかわらず欧米流が基本なのである以上、そのルールをまずはアタマで理解しておくことが重要であることはいうまでもないでしょう。

 ぜひ一読しておきたい基本のビジネス書として、お薦めします。






目 次

はじめに
第1部 グローバル企業に入る
 第1章 グローバルな組織を知る
  採用から着任まで
  グローバルな組織のなりたち
  ジョブ・ディスクリプション(職務内容記述書)
 第2章 グローバル企業の暗黙のルール
  グローバル企業の人間関係
  グローバル企業での「約束」と「契約」
  グローバル企業の行動様式
第2部 グローバル企業で生きる
 第3章 グローバル企業での仕事の基本
  自分自身で考え、行動するために
  専門分野を磨くために
  時間を有効に使うために
 第4章 競争の中で生き残るには
  職場の厳しい現実
  戦いにおけるボスの役割
  サバイバルのための戦略  
第3部 グローバル企業で活躍する
 第5章 グローバル企業でのキャリアの積み方
  キャリアアップの目的と方法
  ポジションを移るときの心得
  自己開発と情報収集
 第6章 国際ビジネスの舞台裏
  国際ビジネスと国際交渉
  国際ビジネスの最前線
付録 グローバル企業のルール vs. 日本企業のルール対照表
おわりに


著者プロフィール

山本 昇(やまもと・のぼる)

株式会社オリエンス・コンサルティング代表取締役社長。1948年生まれ。東京大学法学部卒業。マサチューセッツ工科大学(MIT)経営大学院修士課程修了。KDD(現KDDI)で、営業、経営調査、需要予測、インドネシアの国営通信企業の長期計画などを担当の後、国際機関インマルサットに入社のため家族とともに渡英。予算、財務計画、衛星調達のグループ・リーダーを務めた後、新設の航空衛星部に移り、世界最初の航空機用の衛星電話とインターネット通信およびTV放送の企画・国際市場開拓に従事。同機関の民営化作業に関わった後に退社。その後、英国において、衛星通信・放送・ナビゲーションのビジネス・コンサルティングのほか、国際企業での経験をもとに国際交渉などについても助言している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。



<ブログ内関連記事>

なぜ「経営現地化」が必要か?-欧米の多国籍企業の歴史に学ぶ

書評 『この国を出よ』(大前研一/柳井 正、小学館、2010)

書評 『マイ・ビジネス・ノート』(今北純一、文春文庫、2009)
・・『欧米対決社会のビジネス』(今北純一、新潮社、1988)について言及

書評 『海外ビジネスを変える英文会計-経営の判断力が身につく!-』(木幡 幸弘、インテック・ジャパン監修、エヌ・エヌ・エー、2010)




Clip to Evernote



                  

               

2011年8月5日金曜日

書評 『会話は「最初のひと言」が9割』(向谷匡史、光文社新書、2011)


豊富なシチュエーションでの会話術を説いた本。初級者から上級者まで読む価値あり

 「最初のひと言」が大事だと著者はいう。心理学でも最初の3分か4分のファースト・インプレッションですべてが決まるとよくいわれる。だが、著者が強調しているのはしぐさや表情だけではない。「最初のひと言」だ。

 「最初のひと言」とは、芸人の「つかみ」と同じ。そのひと言で会話の相手を引き込み、人間関係を構築すうためのテクニックである。

 そう「最初のひと言」とはテクニックなのだ。「つかみ」とは、芸人が考えに考え抜いて、修練をつんで習得した「芸」そのもの。なんせ芸人は最初の「つかみ」でお客さんのココロをつかめなければ、その場ですべってしまい、その後の展開がきわめてむずかしいものとなってしまう。これは講演者でも同じことだ。

 著者がこの本で扱っているのは、仕事の場で初対面の相手といかに会話を成立させ、良好な人間関係を築いて結果につなげるかかという「言語テクニック」の話である。テニックであるからこそ、習得可能なのである。また、厳しい交渉事においていかに機先を制して自分に有利に事を運ぶかについての実践的指南でもある。

 1950年生まれで、僧籍をもち空手道場も主催し、取材ではヤクザ関係者とも多くかかわってきた人だけに、人間を見る目は厳しくかつ優しい。上下関係がないがしろにされがちな現代だからこそ、その人情の機微に熟知していれば、間違いなく一頭地を抜くことのできるテクニックが満載されているわけだ。じっさいに自分が「目上」の立場にたったとき、著者のいうことが十分に納得できるようになる。

 初心者向けに書かれたようなことが触れられているが、中身はかならずしも初級編ではない。かなりの上級編も含まれた内容になっており、これ一冊を読んだらおしまいというわけにはいかない。この本で扱われた場面をイメージしながら、アタマのなかでシミュレーションしてみるのもいいだろう。

 「話し下手」だと思い込んで悩んでいる人だけでなく、すでにベテランだがアドバイスを与える立場の人も、自戒の意味を感じながら読むことができる内容である。読む価値のある本である。おすすめ。 


<初出情報>

■bk1書評「豊富なシチュエーションでの会話術を説いた本。初級者から上級者まで読む価値あり」投稿掲載(2011年8月5日)
■amazon書評「豊富なシチュエーションでの会話術を説いた本。初級者から上級者まで読む価値あり」投稿掲載(2011年8月5日)





目 次

はじめに
第1章 初対面で相手の心をつかむ最初のひと言
第2章 困った!ときの最初のひと言
第3章 言ってはいけない最初のひと言
第4章 ビジネスに使える最初のひと言
第5章 会話を盛り上げる最初のひと言
おわりに


著者プロフィール

向谷匡史(むかいだに・ただし)

1950年生まれ。広島市呉市出身。拓殖大学卒業。週刊誌記者などを経て、作家。浄土真宗本願寺派僧侶。保護司。日本空手道「昇空館」館長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。



<関連サイト>

道は目前にあり(向谷匡史 ウェブサイト)


<ブログ内関連記事>

書評 『クルマを売りたいなら、クルマの話はやめなさい!』(高塚苑美、すばる舎、2011)





Clip to Evernote





                   

2011年8月3日水曜日

書評 『クルマを売りたいなら、クルマの話はやめなさい!』(高塚苑美、すばる舎、2011)-時代のキーワードは「共感」


時代のキーワードは「共感」。「価値観の共有」が信頼関係をつくり、お客様の財布を開かせることにもなる

 「成約率8割超 トップセールスウーマンの営業スタイル」と表紙に書かれています。

 イタリアの高級車アルファ・ロメオのトップディーラーである著者によって、女性のセールスパーソン向けに書かれた本ですが、男性が読んでも、いろいろと反省させられることも多いことに気がつかされます。

 大事なのは、タイトルそのものズバリ。自分が売りたい商品の話をしていては、モノやサービスは売れませんよ!ということですね。もちろん、商品説明は重要ですが、お客様の目線にたって、相手の「共感」を引き出さないとココロはつかめないということ。

 商品知識以外に、お客様が「共感」できる「共感ポイント」を「引き出し」として自分のなかに蓄えておくことが大事です。しかもその「引き出し」は、適切なときに、適切なしかたで出すことのできる能力が求められるということでしょう。

 「共感」というものは、たんなる感情の問題ではなく、人間関係をつくるためのマインドセットにかかわるものです。良好な人間関係をつくって、お客様の財布を開いてもらうためには、「共感ポイント」を見つけて、「価値観を共有」することです。それが「共感」を信頼関係にまでたかめる重要なことですね。

 自分をもっと出す、自分の体験をコトバにすること、「対話」に質問形式を入れるなど、やんわりと客様のホンネを引き出すための、具体的なスキルやテクニックが惜しげもなく語られています。

 「共感」がキーワードとなる時代ですが、男性の場合は、どうしても専門の話をオタク的にしがちな傾向があるのは否定できないと思います。

 本書でも、クルマが好きで仕方ないという男性がクルマのセールスの仕事についても、かならずしも成功しないという実例がでています。

 「好きこそものの上手なれ」というのは趣味の世界にはあてはまっても、結果を出すことが求められる仕事では、かならずしも通用しないのかもしれません。

 この本は、人間力とかそういう難しい話ではなく、相手からしてもらったらうれしい小さなことを積み重ねていくことが、信頼関係をつくりあげるうえでいかに大切かという、生きるうえで大切なことを気づかせてくれる本でもあります。

 「女性ならではの視点」といってしまうと、それで終わりになってしまいます。読者対象となっている女性セールスパーソンはもちろんのこと、男性もまたさりげない風を装って、本書から貪欲に吸収してみたらいかがでしょうか? 

 B2C(=一般消費者むけの消費財)販売に限らず、B2B(=法人向けビジネス)でも、基本はセールスパーソンとお客様との、人と人との関係です。さまざななセールシーンに応用可能な、対話スキルとマインドセットが書き込まれた一冊になっています。

 おすすめの一冊です。




目 次

はじめに
1章 売りたいなら、商品説明はNGです!-求められているのは「知識」じゃなく「共感」
2章 セールスポイントの代わりに、こんなアプローチ!-商品説明がなくても魅力は120%伝わります
3章 「どんなモノをお探しですか?」は、もうやめましょう!-“やんわり”とホンネを引き出す質問のコツ
4章 これだけで「お客様との関係」は180度変わる!-「ちょっとしたこと」が、距離をグッと縮める
5章 あなたの「見た目」も立派な商品です!-セールスパーソンは商品の広告塔
おわりに


著者プロフィール

高塚苑美(たかつか・そのみ)

1977年静岡県浜松市生まれ。フィアット・アルファロメオ浜松マネージャー。1999年同志社大学経済学部卒業後、単身ニュージーランドへ。2000年の帰国直前、数ヶ月のアルバイト気分で父の会社に入社。小さなフランス車ディーラーで「お留守番」を始める。半年後、月に10台販売したのをきっかけに、本格的にセールスを始める。以後、無名だった店舗の販売を立て直し、優秀ディーラー賞3年連続受賞を達成。2006年フィアット・アルファロメオ浜松へ配属(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。



<関連サイト>

アルファロメオ オフィシャルサイト (日本語)


<ブログ内関連記事>

The Greatest Salesman In the World (『地上最強の商人』) -英語の原書をさがしてよむとアタマを使った節約になる!

【アタマの引き出し】のつくりかたワークショップ (2011年7月5日 19時 東京八重洲) を開催しました






(2012年7月3日発売の拙著です)










Clip to Evernote 


ケン・マネジメントのウェブサイトは
http://kensatoken.com です。

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。


禁無断転載!




end