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2011年8月26日金曜日

カリスマが去ったあとの後継者はイノベーティブな組織風土を維持できるか?-アップル社のスティーブ・ジョブズが経営の第一線から引退


 昨日(2011年8月25日)、アップル社のスティーブ・ジョブズCEOが、経営の第一線から引退することが突然発表されました。

 後継者に指名されたクック新CEOによる社内向けメールが公開されています。

 アップル 新CEO ティム・クックの社内向けメッセージ:アップルは今後も変わらない。 という記事に、クック新CEOのメール内容が、英語の原文と日本語訳で掲載されています。このうち価値観(バリュー)と原則(プリンシプル)にかんする文言を引用しておきましょう。

I want you to be confident that Apple is not going to change. I cherish and celebrate Apple's unique principles and values. Steve built a company and culture that is unlike any other in the world and we are going to stay true to that-it is in our DNA. We are going to continue to make the best products in the world that delight our customers and make our employees incredibly proud of what they do.

アップルが今後も変わらないことに自信をもってほしい。わたしはアップルのユニークな価値観と原則を心から大切に思っています。スティーブが育てた、世界 のどんな企業とも似ていないこの会社と文化に、われわれは今後も忠実であり続けます。それがわれわれのDNAです。われわれは今後も世界最高の製品を作り、顧客を喜ばせ、従業員が仕事を心から誇りに思えるようにし続けます。

 「カリスマ・リスク」という表現もあるように、成功企業がカリスマ経営者の存在に大きく依存してる会社では、とうに上場している大企業の場合、後継者の選出は大きな課題です。

 すぐれた経営者を組織の内外から捜し出してくることが求められますが、組織外から落下傘的に着任するケースでは、企業再建のケースはいざしらず、成功している企業の組織風土を維持しつづけるのはきわめて困難

 今回のアップル社のケースのように、内部に10数年在籍して、組織風土を肌身をつうじて熟知している場合ですら、抱えることになる課題は同様に重いものがあります。何をどう努力しても、どうしても前任者であるカリスマと比較されがちだからです。これは同族企業であっても同じです。

 カリスマ的創業者の志が生き続けているイノベーティブな日本企業としては、ホンダを例に取り上げることができると思います。ですが、後継者にはカリスマ以上の存在にはなり得ない以上、きわめて困難な課題であることはどの会社であっても否定できません。ジョブズが去るのは今回 2度目ですが、健康状態が良くないこともあり 3度目の前線復帰は、おそらくないでしょう。 

 「変わらずにいるためには、変わらなければならない」 というのは、ヴィスコンティ監督の 『山猫』 にでてくる有名なセリフですが、カリスマが去ったあと、ミッションとバリューが明確な組織風土をどう維持させるか、アップル社はきわめてむずかしい課題に乗り出すことになります。

 日本の中継中小企業においても、「他山の石」として、見守っていく必要があるでしょう。



<ブログ内関連記事>

書評 『メイド・イン・ジャパンのキリスト教』(マーク・マリンズ、高崎恵訳、トランスビュー、2005)
・・カリスマの継承が難しいのは宗教組織も同じ

書評 『跡取り娘の経営学 (NB online books)』(白河桃子、日経BP社、2008)




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