2011年8月30日火曜日
「絶対権力は絶対に腐敗する」-リビアの独裁者カダフィ大佐の末路に思うこと
「絶対権力は絶対に腐敗する」(Absolute power corrupts absolutely)。これは19世紀に生きた英国の政治家ジョン・アクトン卿の名言です。
全文の意訳は、「権力は腐敗する傾向にある、そして絶対権力は絶対的に腐敗する」(Power tends to corrupt, and absolute power corrupts absolutely.)というものです。ここでいうパワーとは権力のことですね。上位に立つものが行使できるチカラ。
ところで、リビアの反政府派がついに首都トリポリを陥落させました。チュニジア。エジプトと続いた中近東アラブ世界の動乱、リビア情勢も急速に展開していいます。
本日(2011年8月30日)のニュース報道によれば、リビアの独裁者カダフィ大佐が首都トリポリで接収された「空飛ぶ邸宅」。なんと92億円相当だとか。
42年前、革命によって王制を倒した当時のカダフィ大佐は、志の高い人物であったようですが、長く権力の座にとどまると結果がこれだ、と。「いずこも同じ秋の夕暮れ」という感じです。
権力(パワー)を行使する立場にある人は、経営者でなくても、マネージャーではなくても、一人でも部下をもつひとはずべて、「他山の石」として受け取りたいものですね。けっして「対岸の火事」と考えてはいけません。
おそらく反政府勢力も、独裁者カダフィを倒すという共通の目標がほぼ喪失されつつあるいま、「求心力」を失ってバラバラになっていくことでしょう。共通の敵を設定して求心力とすることは、組織を束ねるもっとも簡単な方法です。
いまだ戦闘が完全に終わったわけではない現在、今後のリビア情勢がどうなっていくか現時点ではまだまだわかりませんが、「絶対権力は絶対に腐敗する」という格言を念頭におきつつ推移を注視していきたいものです。
権力をもつ者は行使しなくてはいけません。ただし、行使にあたっては、ただしく行わねばならないのです。
<関連サイト>
リビア、大佐の豪華専用機も接収 「空飛ぶ邸宅」(2011年8月30日 共同通信)
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・・独裁者の末路は...
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P.S カダフィは拘束されて殺害されたが・・・
独裁者の末路はあわわとしかいいようがない。しかし、多くの反対者を粛清してきた男だ。当然の報いというべきだろうか。
共通の「敵」を失った旧・反政府勢力は、「敵という求心力」を失ってばらばらになる可能性が高い。独裁者は在任の初期は正しい動機と善政を敷いても、後期は権力におぼれ、絶対に腐敗していく。
しかも、独裁政治の悪影響は、独裁者が排除されたあとも長く尾を引くことになる。困った存在なのだ。企業経営においても、心しなければならないことだ。
(2011年10月21日)