■時代のキーワードは「共感」。「価値観の共有」が信頼関係をつくり、お客様の財布を開かせることにもなる■
「成約率8割超 トップセールスウーマンの営業スタイル」と表紙に書かれています。
イタリアの高級車アルファ・ロメオのトップディーラーである著者によって、女性のセールスパーソン向けに書かれた本ですが、男性が読んでも、いろいろと反省させられることも多いことに気がつかされます。
大事なのは、タイトルそのものズバリ。自分が売りたい商品の話をしていては、モノやサービスは売れませんよ!ということですね。もちろん、商品説明は重要ですが、お客様の目線にたって、相手の「共感」を引き出さないとココロはつかめないということ。
商品知識以外に、お客様が「共感」できる「共感ポイント」を「引き出し」として自分のなかに蓄えておくことが大事です。しかもその「引き出し」は、適切なときに、適切なしかたで出すことのできる能力が求められるということでしょう。
「共感」というものは、たんなる感情の問題ではなく、人間関係をつくるためのマインドセットにかかわるものです。良好な人間関係をつくって、お客様の財布を開いてもらうためには、「共感ポイント」を見つけて、「価値観を共有」することです。それが「共感」を信頼関係にまでたかめる重要なことですね。
自分をもっと出す、自分の体験をコトバにすること、「対話」に質問形式を入れるなど、やんわりと客様のホンネを引き出すための、具体的なスキルやテクニックが惜しげもなく語られています。
「共感」がキーワードとなる時代ですが、男性の場合は、どうしても専門の話をオタク的にしがちな傾向があるのは否定できないと思います。
本書でも、クルマが好きで仕方ないという男性がクルマのセールスの仕事についても、かならずしも成功しないという実例がでています。
「好きこそものの上手なれ」というのは趣味の世界にはあてはまっても、結果を出すことが求められる仕事では、かならずしも通用しないのかもしれません。
この本は、人間力とかそういう難しい話ではなく、相手からしてもらったらうれしい小さなことを積み重ねていくことが、信頼関係をつくりあげるうえでいかに大切かという、生きるうえで大切なことを気づかせてくれる本でもあります。
「女性ならではの視点」といってしまうと、それで終わりになってしまいます。読者対象となっている女性セールスパーソンはもちろんのこと、男性もまたさりげない風を装って、本書から貪欲に吸収してみたらいかがでしょうか?
B2C(=一般消費者むけの消費財)販売に限らず、B2B(=法人向けビジネス)でも、基本はセールスパーソンとお客様との、人と人との関係です。さまざななセールシーンに応用可能な、対話スキルとマインドセットが書き込まれた一冊になっています。
おすすめの一冊です。
目 次
はじめに
1章 売りたいなら、商品説明はNGです!-求められているのは「知識」じゃなく「共感」
2章 セールスポイントの代わりに、こんなアプローチ!-商品説明がなくても魅力は120%伝わります
3章 「どんなモノをお探しですか?」は、もうやめましょう!-“やんわり”とホンネを引き出す質問のコツ
4章 これだけで「お客様との関係」は180度変わる!-「ちょっとしたこと」が、距離をグッと縮める
5章 あなたの「見た目」も立派な商品です!-セールスパーソンは商品の広告塔
おわりに
著者プロフィール
高塚苑美(たかつか・そのみ)
1977年静岡県浜松市生まれ。フィアット・アルファロメオ浜松マネージャー。1999年同志社大学経済学部卒業後、単身ニュージーランドへ。2000年の帰国直前、数ヶ月のアルバイト気分で父の会社に入社。小さなフランス車ディーラーで「お留守番」を始める。半年後、月に10台販売したのをきっかけに、本格的にセールスを始める。以後、無名だった店舗の販売を立て直し、優秀ディーラー賞3年連続受賞を達成。2006年フィアット・アルファロメオ浜松へ配属(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。
<関連サイト>
アルファロメオ オフィシャルサイト (日本語)
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