2011年5月26日木曜日
「ブレない軸」 (きょうのコトバ)
言動が首尾一貫している人のことをさして、あの人は「ブレない軸」をもっているといった表現をすることがあります。
もちろん、人間はコマとは違って、じっさいに「軸」をもっているわけではありません。物理的にもっているあるのは「背骨」であり、そしてアタマとココロのなかにある「判断軸」ですね。
ブレない、シッカリした軸が自分のなかにあれば、どんなことが起ころうとも判断に迷うことはない。そのための生き方としての「原理原則」や「基本方針」といったものですね。
このように「ブレない軸」という表現はアナロジー(類比、類推)ですが、わたしがこの重要性に気が付いたのは、大学時代に合気道をやっていたからです。とくに合気道では、コトバだけでなく、目に見える形で軸を中心にした「円運動」が強調されています。日本舞踊に似ているという評さえあるほどです。
これは合気道だけでなく、柔道・剣道だけでなく、空手でもその他の武道にも共通しています。
武道に限らず、野球でもサッカーでも、テニスでもスケートでも、なにかスポーツをやっていた人はわかると思いますが、運動というのは基本的に 「軸」 を中心にした 「回転運動」 なのですね。
ですから、「軸」がしっかりしていないと、カラダの最適なバランスがとれないので、ムダな動きになってしまうのです。軸がシッカリしていて、肩にチカラが入っていない状態が、運動としてはベストなわけです。スポーツでの会心のパフォーマンスには、ムダがなく見て美しいのはそのためでもありますね。
軸がシッカリしていて、肩にチカラが入っていない状態がベストであるということにかんしては、人間の生き方としても同じですね。とくに人の上に立つ人の立ち居振る舞いにそれが現れます。
モバゲーなど携帯電話のゲーム会社 DeNA の創業社長の南場智子氏が6月末での代表取締役退任を発表しました。
「病気療養中の家族の看病を優先するため、代表取締役の責務を果たすことが困難」というのが退任の理由です。人生における 「軸」 が明快な経営者の、明快でいさぎよい意志決定ですね。
ワーク・ライフ・バランスというコトバが流行ってから久しいですが、代表取締役の仕事は、全身全霊をかけて取り組まなければとてもつとまるようなものではありません。配偶者の看病に時間がとられると、それだけ事業経営に割く時間が減ってしまうのは、人間の持ち時間が一日24時間である以上、仕方がないことです。
もちろん、事業経営も家族もともに大事なものであるとはいえ、家族の看病を最優先する選択を行ったということは、人生における「軸」が明確であるためでしょう。
事業経営にかんしても、いちおうは一区切りつけるところまでやり遂げた、という判断があったこともあたことでしょう。
ワーク・ライフ・バランスというコトバは、なにかワークとライフを二項対立的にとらえた印象がありますが、実際のところ、仕事(ワーク)は人生において重要ですが、人生(ライフ)の一部であるに過ぎません。
ブレない「軸」を発見し、それがほんとうに自分のものとなるまでは、数々の失敗と試行錯誤は避けてとおることできません。とくに若いうちは大いに失敗して、その結果、自分が見えてくるというのが最高でしょう。
とはいえ、「ブレがない=融通がきかない」、になってはいけませんし、思ったより難しい課題ではありますね。俗に「男40過ぎたら自分の顔に責任をもて」などとも言いますが、これは自分のなかのブレない「軸」が、顔に出てしまうということでしょう。もちろん男女問わず心なければなりませんね。
個人の生き方としてはもちろん、組織のあり方としても「ブレない軸」をキチンともちたいものですね。
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浅田真央の「悔し涙」について-Be a good Loser ! (2010年3月11日 執筆投稿)
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(2014年2月5日 情報追加)
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