2011年5月6日金曜日
NHKのアニメ 『もしドラ』 の第9回放送(5月5日)のおさらい-マネジメントと個人のモチベーション
昨夜、NHKのアニメ「もしドラ」の第9回放送みましたか?
さて、昨日(5月5日)の放送は、「みなみは大切なものをなくした」というタイトル。
クライマックスとなる「決勝戦」を前にして、かなり「青春ドラマ」濃度が濃くなってきました(^^)
でも、「マネジメント」の観点から、コメントをしておかなくてはいけませんね。
決勝戦まで勝ち抜いてこれたのは、奇跡ではなくて、「やるべきことをやったからこそここまできた」という認識が、みなみとじろちゃんのあいだで確認されます。
ドラッカーの『マネジメント』に書かれていたセオリーどおりにやってきたからこそ。もちろん、そのままストレートに野球部に応用するにはムリがありますが、試行錯誤しながらも、何をどう実行してきたかについては、第1回放送から第8回までの内容を確認していただければ理解していただけることでしょう。
ところが、いよいよ甲子園出場ができるどうかが決着する決勝戦の前夜に、主人公であるみなみのモチベーションの源泉であった ゆうき が不治の病で亡くなってしまいます。
物語は、トントン拍子で進行しないで、必ず起承転結の「転」がある。これは、『マネジメント』とは直接関係ありませんが、日本では「物語」作成においては不可欠の作法ですね。経営も、人生もそうですが・・・。
ここで再び想起されるのは、「結果とプロセスはどちらが重要か?」という問いです。
「第7回放送のおさらい」を振り返ってみましょう。みなみは、「プロセスよりも結果が重要だ」と、結論だけをクチにしました。
問いに対する答えの内容もさることながら、なぜそうなのかについて、ドラッカーの『マネジメント』という外部の権威をもちだして説明しただけであり、自分自身の内側からでてきたコトバではない、相手をココロから納得させたのではなく、コトバで押し切っただけだ・・・。そういう後悔というか、反省がみなみにはあったのではないか、そのように受け取っておくべきかもしれません。
コトバは武器であるが凶器にもなる。「マネジメント」におけるコトバの意味、これもじっくりと考えておきたいものですね。マネジメントはヒトを使って、ヒトを動かすことによって、目的を達成するためのプロセスなのですから。
ヒトは、コトバと態度によって、モチベート(動機付け)される生き物です。そしてまたコトバを使って反省し、ものを考えることができるのも人間ならではのこと。
そして決勝戦の直前のこの期に及んで、みなみが直面するのは、「何のために頑張ってきたのか?」、「自分は何のためにいまここにいるのか?」という、大目的をめぐる「そもそも論」です。「~のために」頑張ってきた、その「~」の存在がいなくなってしまったいま、喪失感とともに感じる無意味感。
「そもそも論」は、個人のモチベーションにかかわる根源的な問いですから、そんな簡単に答えがでるような性格ではありません。問いの重さから思わず逃げてしまうみなみですが、ムリヤリ決勝戦という「現場」に引き戻されます。時間をかけてでも、考え続ける必要があるのが「そもそも論」です。大いに悩むべし!
その答えは見つかるのでしょうか? そのキッカケでも見つかるのでしょうか?
次回(5月5日)の放送はいよいよ最終回、「みなみは高校野球に感動した」というタイトルです。
『マネジメント』にしたがって「やるべきことをやってきた」野球部は、「結果」を出せるかどうか? いよいよクライマックスです。今夜の第10回最終回は見逃せませんね。
<関連サイト>
『もしドラ』(NHKアニメワールド)
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