昨夜、NHKのアニメ「もしドラ」の第4回放送みましたか?
さて、昨日(4月28日)の放送は、「みなみはイノベーションに取り組んだ」というタイトル。
第2回と第3回の「おさらい」に書きましたが、ドラッカー経営学のエッセンスは顧客創造、そのための二本柱がマーケティングとイノベーションです。
今回は、その 2本目の柱であるイノベーションについてドラマが展開し始めたわけですね。
イノベーションというと、経済学者シュンペーターを思い出しますが、ドラッカーはマネジメントの観点からイノベーションについて一冊の本にまとめています。
『イノベーションと起業家精神 上下-その原理と方法-』(上田惇生訳、ダイヤモンド社、1997)という本です。日本のビジネス界では、イノベーションとは「技術開発」を指していることが多いのですが、ドラッカーはこのように言っています。
イノベーションは技術に限ったものではない。モノである必要さえない。それどころか、社会に与える影響力において、新聞や保険をはじめとする社会的イノベーションに匹敵するイノベーションはない。(上巻 P.46)
このように述べたあと、ドラッカーは明治以降の近代日本を社会的イノベーションの格好の事例だとして2ページ以上を費やして説明しています。興味のある人は直接読んでみるといいでしょう。
イノベーションは、より大きな価値、新たな価値や行動を生み出し、市場や社会に変化を与えるものである。このように捉えると、とくにビジネスの世界に限定して考える必要がないことがわかります。
さて、昨日の放送では、野球部の練習方法に導入されたイノベーションから、高校野球界全体を変革するようなイノベーションの話までふくれあがりました。ビジネスでいえば業界全体に該当しますね。
練習方法にかんしては、みなみがかかわることになった、陸上部や柔道部など、野球部以外の部活にとって「価値を提供」することをつうじて「巻き込み」、お互いにとって相乗効果(シナジー)をもたらすということがなされることになりました。
高校野球界全体をにイノベーションをもたらすとは、具体的な例でいえば、かつて徳島県立池田高校と取手二高があげられていましたが、いずれも従来の、スパルタ野球の常識を打ち破る考えを導入したことで、弱小チームを甲子園に出場させただけでなく優勝までもたらしました。
この2つの高校が導入した「新機軸」は、その後の高校野球の世界を一大変化させたのですね。その「新機軸」こそがイノベーションです。
ここでまた、『イノベーションと起業家精神』から引用を行っておきましょう。
イノベーションとは、意識的かつ組織的に変化を探すことである。それらの変化が提供する経済的、社会的イノベーションの機会を体系的に分析することである。(上巻 P.51)
本日(4月28日)の放送では、「みなみは過去の高校野球を捨てた」というタイトルでストーリーが進行していきます。
さて、どのようなイノベーションが野球部に導入されることになるのでしょうか? 楽しみですね。
<関連サイト>
『もしドラ』(NHKアニメワールド)
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書評 『知の巨人ドラッカー自伝』(ピーター・F.ドラッカー、牧野 洋訳・解説、日経ビジネス人文庫、2009 単行本初版 2005)
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