「OECD 国際成人力調査 PIACC」の結果が発表されました。国際成人力調査:日本、読解力と数的思考力で首位 (毎日新聞 2013年10月08日)
PIAAC(ピアック)は、 Programme for the International Assessment of Adult Competencies の略、国際共通基準で成人のコンピテンシーを計測する調査で、欧州を中心とした先進国である OECD24カ国を対象に行われたもの。
「読解力」(Literacy)と「数的思考力」(Numeracy)にかんしては、なんと日本は先進国24カ国中ともに一位でした!
「ITを活用した問題解決能力」(Problem solving in technology-rich environments)は、10位という結果がでたようです。
「読解力」と「数的思考力」がともに、あのフィンランドを抜いて一位というのが痛快ですね。「ITを活用した問題解決能力」がくわわれば鬼に金棒となりましょう。
この結果は、日本人の平均レベルがいま現在でも高いことを意味しており、安心してよいのではないかと思います。
国立教育政策研究所(文部科学省)のコメントは「OECD 国際成人力調査 調査結果の概要」によれば以下のとおりです。
●我が国は、いずれのスキルに関しても、ほとんどの年齢で、OECD平均を上回り、他国に比べ、加齢にもかかわらず、高い水準を維持している。
●我が国は、いずれの職業でもスキルが世界トップクラスであり、OECD報告書で指摘されているように、日本の単純作業の従事者は、多くの国のセミスキルド・ホワイトカラーと同程度以上の読解力を有している。
●我が国でも、各国と同様、読解力のスキルが高い者ほど、賃金が高い傾向がある。
●参加国全般において、読解力でも、数的思考力でも、職場や家庭で読む、計算するなどのスキルを頻繁に使っている者の方が、スキルが高く、特に数的思考力においてその傾向が顕著。
この結果は、日本ではたとえ学校であまり勉強してこなかった社員であっても、会社に入ってから厳しく鍛え直すからでしょう。この基礎能力をさらに応用力として駆使できるなら、世界で勝ち抜くことも不可能ではないことを意味しています。
むかしから言われているように、兵隊と下士官の平均的な基礎レベルは高いが、将校のレベルはどうも・・という現象を統計データで裏付けているようにも思われます。
バラツキ(分散値)がどうなっているのか細かく見てみたい気もしますが、おそらく日本人はバラツキが小さいのではかと思います。平均レベルが高いというのはそういうことです。
「ゆとり世代」よりも、そのうえの世代の占める比率がまだまだ高いから、このような結果がでたのかもしれません。「ITを活用した問題解決能力」は10位という結果でしたが、これは成人でも若年層のほうが高いのは言うまでもありません。
調査結果はそのまま受け取ったほうがよさそうです。
企業経営の立場からみれば、これまでどおり「現場力」をさらに強化し、さらに「将校」の能力も強化していくことが、国全体だけでなく会社単位でも重要なことだと考えるべきです。
入社時点では能力は低くても、そうはいっても日本人。新入社員も磨きをかければ十分に世界レベルで戦える社員になるのです。思ったような人材が採用できない中小企業であっても、鍛え直せばモノになるということです。
能力開発には、いままで以上にチカラをかけ、人材の戦力化を図っていきたいものですね。
<関連サイト>
国際成人力調査:日本、読解力と数的思考力で首位 (毎日新聞 2013年10月08日)
国際成人力調査(PIAAC:ピアック)
国際成人力調査で優秀だった日本の欠陥がまた判明 (BLOGOS 2013年12月08日
団藤保晴)
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