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2013年10月17日木曜日

アマゾンの在籍年数はたった1年!-いまや米国企業の在籍年数はこんなに短くなっている


アマゾン1年、グーグル1.1年、イーベイ1.9年、ヤフー2.4年・・・。アメリカの有名 IT企業の在籍年数はこんなに短くなっている!

「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」(Bloomberg Businessweek)の「アマゾンと創業経営者ベゾス特集記事」に掲載されていた図表です。

ただしこの数字は「平均値」ではなく「中央値」であることに注意してください。平均在籍年数ではありません

「中央値」はメディアンともいいますが、統計学では重要な指標。「平均」はすべてのデータを均したものだが、「中央値」でみたほうが実態に近い場合も多いわけです。図に書いたら正規分布ではなく、左側に山がかたよった分布になることでしょう。

このデータから読みとれるのは、アマゾンの場合、在籍年数1年で辞める人間が多いということで、社内で出世している人間はそれよりも長く在籍しているということです。それくらいプレッシャーの大きな環境にさらされて働いているわけです。

米国企業でも、むかしは日本と同様に、いったん就社したら勤め上げるというのが一般的なキャリアでしたが、もはやそんなことははるか昔の話となっています。

この図表に掲載されている IBM や HP も、もはやむかしの IBM や HP ではありません。

日本でもタイムラグをおいて同様の傾向がでているわけですが、キャリア論の観点からいうと「永年勤続」そのものに価値があるのは、一握りの社員に限定されるわけです。つまり社内で出世した人は長く在籍しているのであり、それはつねに成果を出し続けているということです。

出世する人間は在籍年数は長いのですが、そうでない人間は回転が速い。しかし、たとえばアマゾンに在籍していた、グーグルに在籍していたいたということでキャリアに箔がつく。ゆえに在籍期間が短くても、労使双方にとってメリットがあるとういうことですね。

アメリカの人事管理の世界では3Rという表現をつかいます。採用のリクルート(Recruit)、雇用のリテンション(Retention)そして退職のリリース(Release)。いかいいい人材を確保し、いい人材に辞められないように腐心し、成果を出さない人には去ってもらうか。

解雇規制緩和にかんする議論が日本でも活発になっていますが、緩和否定派の見解にたつとアマゾンなど米国企業はブラック企業そのものですが、かならずしもそうではないのです。

ここでちょっと考えてみましょう。50歳代になっても組織人としてチャレンジングな人って、いったいどれだけいるのだろうか、と。

じっさい日本でも大企業であれば社内で出世コースからはずれた人は関連会社に出向・転籍することは当たり前に行われてきました。企業グループ内での人材移動ということです。

しかし、この移動が子会社や関連会社にプロパー社員にとってウェルカムかどうかはまったく別の話です。組織のパフォーマンスを阻害することも多々あります。

個人のキャリアにかんしては千差万別の選択肢がありますが、組織の新陳代謝を活発にするための雇用規制緩和は必要ではないかという考えも一理あるのではないでしょうか?

まずは組織人としての経験を積み、いずれは独立してふたたび「新人」になってあらたなキャリアを歩む。本人にとっても、会社にとってもハッピーではないでしょうか?

そのためには自分の専門を磨くことが必要になりますが、こういうキャリアデザインは若者だけでなく、最初から念頭においたほうがよいのではないか、企業としてもそれを支援することも必要ではないか、そんなことを考えます。


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(2012年7月3日発売の拙著です)





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