2011年4月28日木曜日
NHKのアニメ 『もしドラ』 の第3回放送(4月27日)のおさらい-マネジメントは「ヒト」を中心に!
昨夜、NHKのアニメ「もしドラ」の第3回放送みましたか?
さて、昨日(4月27日)の放送は、「みなみは人の強みを生かそうとした」というタイトル。
日本では、ヒト・モノ・カネをもって「経営三資源」という言い方をします。ヒト・モノ・カネ、これに情報をくわえて「経営四資源」という言い方もしますが、いずれにせよ順番からいって、ヒトがもっとも重要だということを意味しています。
ドラッカーも、マネジメントにおいては、何よりもヒトが重要であるといっています。おそらく、この点が、ドラッカーが活動した米国はさておき、日本でもっとも受け入れられた理由の一つでしょう。そしてまた復活した理由でもあるでしょう。
米国では、みなさんもご存じのように、カネを中心にする傾向がなきにしもあらずです。カネを中心とするから「資本主義」。これに対して日本では、ヒトを中心にするから「人本主義」(じんぽんしゅぎ)であると、かつて日本を代表する経営学者の一人である伊丹敬之教授が命名したこともあります。
米国でも、「人的資源」という言い方で、「ヒトを中心にすえた経営」を論じることもありますが、実はこの流れはそれほど古いものではありません。「人的資源」(human resource:ヒューマン・リソース)論は、1980年代以降に日本を徹底研究して生まれてきたものです。この時代の日本的経営は、日本企業の実践とドラッカーの主張が合致してできあがったという言い方も不可能ではないでしょう。
「人的資源」は、最近では「人的資本」(human capital:ヒューマン・キャピタル)という言い方をする人もいます。財務諸表には資本として記載されませんが、もっとも重要な資本はヒトであるという意味ですね
さて、第3回の放送のテーマである、一人一人のメンバーのやる気を出すにはどうしたらいいのでしょうかか?
昨日の放送では、信頼して、責任をもたせて、まかせることの重要性が指摘されていました。要らない人なんか誰もいない、と。
大きな共通の目標にむけてチームをまとめていく一方、練習にやる気をもたせるために競争原理を導入することの意味も語られていました。
「目標管理」というコトバもでてきましたね。「目標管理」(MBO:Management by Objective:マネジメント・バイ・オブジェクティブ)とは、企業金融の世界でいうMBO(Managemnet Buy-Out:マネジメント・バイアウト)のことではありません。個人個人が自ら達成すべき目標をたてて、PDCAサイクルを回しながら達成にむけて邁進することを意味しています。
目標管理の重要性を最初に主張したのもまたドラッカーでした。
ただ、2回目の放送の「おさらい」にも書きましたが、野球部のマネージャーがマネジメントを誤解したことから始まった物語、やはり最初から「ネジレ」があることは否定できません。
主人公の みなみは、プレイイング・マネージャーではありませんね。組織のメンバーだが、プレイヤーそのものではない。この立ち位置は、会社組織のなかでは、プロフィット部門ではなく、コスト部門である間接部門のスタッフという位置づけです。
本来なら、野球部のキャプテンがマネージャーの位置にあり、監督は専門家というよりもジェネラル・マネージャー(GM)の位置にあるのがフツーでしょう。
しかも、コーチでもない。ちょっと距離をおいたスタンスは、「社内コンサルタント」のスタンスに近いかもしれません。
また、野球部のメンバーを「顧客」と見るという視点は、実は応用編の発想であって、すこし理解するのが難しいことは否定できません。「インターナル・マーケティング」ととらえたほうがムリがないことは、再2回のおさらいでも指摘しました。
本来なら、応援してくれるであろう、同じ高校の生徒や父兄、地域社会の人たちを「顧客」、あるいは「ステークホールダー」としてとらえるほうが、マネジメントの観点からいったら素直な発想です。
ここが、わたしのようなマネジメントの専門職からみると、やや違和感が残るところではありますね。
本日(4月28日)の放送では、「みなみはイノベーションに取り組んだ」が取り上げられます。
第2回の「おさらい」に書きましたが、ドラッカー経営学のエッセンスは顧客創造、そのための二本柱がマーケティングとイノベーションです。次回はその2本目の柱であるイノベーションについてドラマが展開するわけですね。
さて、これからどのようなイノベーションが導入されることになるのでしょう? 楽しみですね。
<関連サイト>
『もしドラ』(NHKアニメワールド)
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