2011年4月5日火曜日
トレードオフ (きょうのコトバ)
「あっち立てれば、こっち立たず」。こういったことは日常生活やビジネスにおいても多いですよね。これをさして、工学や経済学では「トレードオフ」(trade-off)とよんでいます。
いま日本が直面しているのは「原発事故」とそれにともなう「電力不足」の問題です。
現在のところ、直接の影響がでているのは東京電力管内ですが、「停電」の影響が、医療の世界や産業界でも大きな問題になっています。これがサプライチェーンをつうじて日本全国だけでなく、世界中に影響を与えるに至っています。
大規模な原発事故による放射能漏れが現実となったいま、原発はいらないという世論が盛り上がってきた一方、電力の3割を占める原発が一部再稼働しないために「電力不足」が顕在化して問題が大きくなってきています。これは「トレードオフ」ですね。
「原発」を再稼働できないので、火力発電に切り替えると、今度は CO2(二酸化炭素)排出 の問題が発生して大気汚染の問題がふたたびでてきます。これもまた「トレードオフ」ですね。
「あっち立てれば、こっち立たず」。世の中の現象とはみなこのようなものです。
二者択一やオール・オア・ナッシングはいっけん切れ味鋭くみえますが、実際はそう簡単に割り切れる現象はほとんどありません。スッキリと割り切れる話には要注意です。
矛盾を矛盾として受け止めて、最適解をさがしていく努力、これはたとえしんどくても続けていかなくてはなりませんね。
日常生活でも、ビジネスにおいても同様です。このために必要なのは、ロジカル・シンキングだけでなく、つねに物事を反対の立場から考えてみるという視点の転換とイマジネーションのチカラです。
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