2011年11月2日水曜日
コンサルタントの仕事は「対話」をつうじて問題を発見すること
イタリア車のフェラーリなどのデザインを担当した、世界的な工業デザイナー奥山清行氏と経営学者・野中郁次郎氏(一橋大学名誉教授)との「対話」での奥山氏の発言に、ひじょうに示唆のとんだものがあることを発見しました。
奥山氏は、「デザイナーの仕事はコンサルタントだ」と指摘したあとにつづけて、「本人もまだ気づいていない問題を洗い出すことが(デザイナーの)仕事なのです」と述べています。
これこそまさに的確な指摘。デザイナーの仕事をつうじて、コンサルタントの仕事を語ってもらったという思いがします。
わたし自身、金融系コンサルティング・ファームを卒業してから、中小企業のナンバー2として、実業の世界に7年ほどいましたが、コンサルタントなどの外部「専門家」 と 「当事者」 であるクライアントとは、そもそもが異なる存在であることをつよく体感しました。コンサルタントを受ける側の立場に身を置くことによって、ふたつの異なる方向の発想を体感することができたからです。この件については、すでにこのブログでも
「専門家」は何も分かっていない?-いかにして 「当事者」 は 「専門家」 を使いこなすべきか と題して書いてみました。
コンサルタントは「専門家」なので専門的なアドバイスをしますが、それを受け入れるかどうかはあくまでも「当事者」であるクライアントが、主体的に取捨選択して意志決定するもの。
専門家のアドバイスが意味をもつのは、クライアントとの 「対話」 をつうじて、「本人もまだ気づいていない問題を洗い出すこと」ができたときだといえます。
クライアントがすでに気がついている問題は、部分最適の考えに基づいて外部にアウトソースすることも可能でしょう。それを専門にしているコンサルタントや士業やのかたがたも多く存在します。
わたしは、あくまでも 「対話をつうじての問題発見」 を重視したコンサルティングを行ってきました。専門的アドバイスの前にコーチングによって問題発見を促すことにも似ていますが、誘導形式ではない、さらにもっと深いレベルの「対話」を重視しています。
デザイナー奥山清行氏の発言は、コンサルタントの本質を語ってくれたものと考えるのは以上の理由です。
デザインもコンサルティングも、あくまでも 「対話」 をつうじたクライアントとの共同作業であるのは、本質的に同じなのです。
<関連サイト>
奥山清行氏×野中郁次郎氏 対談 7/9「創造の作法」
<ブログ内関連記事>
「専門家」は何も分かっていない?-いかにして 「当事者」 は 「専門家」 を使いこなすべきか
・・内部の「当事者」であるクライアントと外部の「専門家」は「対話」をつうじて共通認識をもつことを前提にした共同作業を行う
書評 『経営管理』(野中郁次郎、日経文庫、1985)
・・「ナレッジ・マネジメント」で世界的な権威となった野中郁次郎氏の原点ともいうべき一書
(2012年7月3日発売の拙著です 電子書籍版も発売中!)
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