■「対話をつうじた問題発見」こそ、クレーム対応の要である
クレームをキッカケに、クレーム客をロイヤルカスタマーにする方法について書かれた本です。
重要なのは、ロイヤルカスタマーとリピーターは同じではないということ。低価格が目的のリピーターは、条件が変われば簡単にコロッと去ってしまうことがしばしばありますが、会社や商品に愛着をもってくれているロイヤルカスタマーは、頼みもしないのにクチコミをつうじて営業担当者になってくれるのです。
とはいえ、クレームというものは、できれば受けたくないというのが人間の心情としては自然なものでしょう。誰だって文句言われてうれしい人はいない。わたしも、もちろん同じです(笑)
じっさい、著者の前職場でも、クレーム担当者のストレスがたまるで、ガス抜きのための工夫を組織として行っていたようです。たとえ専門にクレームを専門に扱う担当者といえども、ココロのなかにたまった毒素は意識的に排出しておかなければ、自分のためにも家族のためにもならないからですね。カラダデトックス(毒素排出)と同じことですね。
クレームからロイヤルカスタマーに変える方法といっても、アタマでは理解できても、なかなか実行は難しいものですね。まずは、クレームを受ける立場にある自分自身のココロのバリアを解除することが先決です。
この本を読んでいて思ったのは、著者がそう言っているわけではありませんが、「対話をつうじた問題発見」こそ、クレーム対応の要であるということです。
クレームをつけてくるお客さんは、話を聞いてほしいのです。自分の気持ちをわかってほしいのです。たんなる茶飲み話や雑談をしたいのではなく、真摯に対応してほしいのです。同情してほしいのではなく、「共感」してほしいのです。クレームの 80%は感情の問題だからなのです。
つまりは、お客様は「対話」をもとめていることなわけですね。ですから、クレーム対応は「会話」ではダメ、「対話」にならないといけないのですね。
この本は、そのための心構えや、使うべきフレーズ、使ってはいけないフレーズについて具体的に詳しく解説しています。
何よりも実際のクレーム事例が面白い。当事者(=クレーム客とクレーム担当)にとっては真摯な対話なのですが、第三者的な立場で読んでいると、あまりにも理不尽で、笑ってしまうものも少なくありません。
常識・期待値・価値観・・これらが当事者の双方でズレが発生しているからクレームが生じるのですが、これは事業者から見れば、このズレに気づくことができれば値千金というべきでしょう。
クレーム客との真摯な「対話」をつうじて真因が発見できれば、あとは適切なフレーズを使ってクロージングにもっていくという方法論の問題となります。
敵を味方に変える「対話術」は、最近では国際紛争解決においても利用されるようになっています。
流血の事態にまでいたる国際紛争に比べたら、クレーム客の対応はそれほど困難なものとはいえないですよね。
この本を読んだら、あとは「対話術」を磨くために実践あるのみです!
目 次
第1章 「クレーム客」が「お得意様」になる理由
第2章 お客様の怒りは 90%笑いに変えられる
第3章 効果バツグン!クレーム対応の5ステップ
第4章 クレーム客を「10年客」にしてしまう魔法の言葉集
第5章 ご法度!やってはいけないNG対応
第6章 想定外!こんなときどうする?
第7章 想定外!「10年客」はこうして生まれる
第8章 お金をかけないサービスこそが「10年客」を喜ばせる
著者プロフィール
谷 厚志(たに・あつし)
クレーム・コンサルタント。学生時代から関西を拠点にタレントとして活躍。しかし大手新聞社の新創刊記念パーティーの司会でメインスポンサーの社名を間違えるという大失態をおかし、芸能界を引退。その後、広告会社を経て、2006年よりリクルートに移籍し、グループ会社のコールセンター、CS推進室クレーム対応責任者を歴任。2,000本以上のクレーム対応に接し、独自の「クレーム客をロイヤルカスタマーに変える方法」を確立、売り上げを驚異的に伸ばす(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)。
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書評 『CoCo壱番屋 答えはすべてお客様の声にあり』(宗次徳二、日経ビジネス人文庫、2010 単行本初版1995に改題加筆)
・・顧客アンケートを読み込んでクレームから気づきを得る
「マイナスをプラスに変える方法」-『なぜか、人とお金がついてくる 50の習慣』(たかの友梨、フォレスト出版、2011) 「出版記念講演会」 に行ってきた
コンサルタントの仕事は「対話」をつうじて問題を発見すること
(2012年7月3日発売の拙著です)
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