2011年5月3日火曜日
NHKのアニメ 『もしドラ』 の第6回放送(5月2日)のおさらい-「戦略実行」 のカギは 「ヒト」 という経営資源
昨夜、NHKのアニメ「もしドラ」の第6回放送みましたか?
さて、昨日(5月2日)の放送は、「みなみは戦略と現状について考えた」というタイトル。
「戦略」とは何かという説明が、放送のなかではまったくされていませんでしたので、いちおう簡単な定義をしておきましょう。
戦略とは、ある特定の目標を達成するために、(経営)資源を総合的に運用すること。
こんなところでしょうか。厳密にいうと、「戦略」と「戦術」は異なりますが、この番組ではそこまで区別することもなさそうですね。あえて区分すれば、「戦略」は大きな方針、「戦術」はより細かいレベルにかんする対策と考えておきましょう。
「戦略」については、すでに前回の第5回放送で、監督が打ち出した「ノーバンド、ノーボール作戦」がそれに該当しますね。「作戦」という名前が入っていますが、これは従来の常識を打ち破る「新機軸」(イノベーション)であり、きわめて戦略的なものであるということができます。
「戦略」の定義にある「特定の目標」とは、いうまでもなくこのドラマでは、甲子園に出ること!
ただ重要なのは、戦略は2つにわけて考えなければならないということです。このドラマでは、そこまで厳密に区分していませんが、戦略は「戦略立案」と「戦略実行」の2つにわけることが重要です。
「戦略立案」は、すでに監督が行い、その有効性についての仮説検証も前回の放送で行われました。
「戦略実行」、じつはこれが思ったより難しいのですね。
たとえすぐれた戦略を立案しても、戦略を実行するのは最大の「資源」は「ヒト」です。経営資源であるヒト・モノ・カネのうち、もっとも重要なのがヒト。このドラマでは、野球部員ということになります。
しかも、野球はチームスポーツで、厳密なルールが決まっていますので、レギュラーメンバーの人選を行い、絞り込む必要がでてくる。これはまさに「人事」の役割です。
集まりすぎた新入部員候補を絞り込むために主人公のみなみは一対一の面談を行い、何がチームに貢献できるのか、何が志望動機なのかを、一人一人に聞いたうえで、32人の候補を12人に絞り込みました。
ただし、新入部員が即戦力になるわけではない。すでにレギュラーになっているメンバーから、スターティングメンバー(スタメン)を選ばなければなりません。
スタメンの選出理由は詳細にはわかりませんでしたが、この選出プロセスはきわめて重要で、かつきわめて難しい。甲子園に出る!という目的から外れてはいけないからです。
人選は公平な観点から行っています。公平な観点から行い、選出されなかったメンバーの納得を十分に得るものでなければ、チームの結束どころか、分解さえ招いてしまう。
「戦略実行」の要(かなめ)が、実行の担い手である担当者の人選に大きくかかっていることがよく理解できる内容でした。
さて、この人選が実際にただしく機能するかどうか?
次回(5月3日)の放送では、「みなみは成果について考えた 」というタイトルで、その成否が問われることになるのでしょう。
今夜の第7回放送が楽しみですね。
<関連サイト>
『もしドラ』(NHKアニメワールド)
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