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2013年11月15日金曜日

書評 『道なき道を行け』(藤田浩之、小学館、2013)-アメリカで「仁義と理念」で研究開発型製造業を経営する骨太の経営者からの熱いメッセージ


こんな「骨太の日本人」がいたとはまったく知りませんでした。なんと、大統領の「一般教書演説」に日本人では初めて招待され、2013年春には商務省評議員に選出ている日本人。

その人の名は藤田浩之氏。アメリカのクリーブランドでハイテク製造業を起業し、現地で雇用をつくりだし、輸出企業としてアメリカの製造業復活に貢献している47歳の物理学者で企業経営者です。

その会社の名は QED(クオリティ・エレクトロダイナミクス)、物理学で博士号を取得した藤田氏は量子電磁力学の QED(クオンタム・エレクトロダイナミクス)から取ったそうです。事業内容は、電磁気を利用して身体の画像診断を行うMRI(核磁気共鳴画像法)のキーデバイスを製造販売する研究開発型企業

著者とこの本のことは、JBプレスのインタビュー記事ではじめて知りました。「オバマ大統領に米国の未来を託された日本人 東大に2度落ち早稲田をやめたことでチャンスをつかむ」はぜひ読んでみてください。

藤田氏もまた京セラの創業者・稲盛和夫氏の「稲盛哲学」の実践者です。アメリカでもアメリカ流のMBA経営ではなく、稲盛哲学に基づいた理念経営を実践しています。

多民族国家のアメリカでも、日本発の稲盛流の理念経営が十分に通用することを自ら実践して示しているわけです。

藤田氏は、経営は「仁義と理念」でするものだと本書のなかで語っています。古臭く感じる「仁義」ですが、このキーワードは渡米して20年以上たつ藤田氏にとっては、ゆるぎない信念を生み出す源泉のようです。人の道を外してはならない、ということですね。

カネ儲けのための起業ではなく、人のために役に立ちたいという思いからの起業だということは、本書で何度も強調しています。アメリカでは当たり前のカネ儲けが目的の起業には大いに違和感を感じるのだ、と。

藤田氏は、博士号取得後に勤務した研究開発型企業が世界的大企業の GE に買収された結果、GEで働いたという経験をもっています。

極限までビジネスパーソンとしての「スケールアップ」を求められるGEで働いた経験は、みずからの成長のうえできわめて貴重なものがあったと語る一方で、重要な技術が一企業内に囲い込まれてしまうのは産業全体のためによくないという思いが起業の動機であったと語っています。

価値観重視の経営によって世界中でモデルとされることの多い GE ですが、すばらしい価値観であても、かならずしも内部の人間がすべて愚直に実践しているわけではないことを藤田氏は見抜いています。

「コミュニケーション重視!」とクチにしながら、個室にこもってしまう言行不一致のマネージャーが登場しますが、GEですら実際は大企業病の症状を示しているわけですね。このことが「他山の石」として著者の胸に刻み込まれて箇所は、ひじょうにつよい印象を受けます。

「価値観重視の経営」としてアメリカの GE流 と日本の稲盛流の二つを熟知する藤田氏の発言には耳を傾ける価値があります。日米の共通点、相違点について考える材料を与えてくれるからです。

その「稲盛哲学」もそのまま鵜呑みにするのではなく、藤田氏は自分なりに咀嚼したものを実践しているとのことです。基本原理という「軸」がブレていなければ、現実に合わせて応用するのは当然といえば当然です。

「自分のアタマで考え、自分で行動する」という「自律人」そのものですね。稲盛氏自身も材料工学のバックグラウンドをもったエンジニアですから、アメリカの大学で物理学で博士号を取得した科学者でもある藤田氏には共通するものも多いのでしょう。

アメリカ人のメンターとの交流から学んだ地域貢献、社会貢献の話も、読者として大いに学ぶべきものがあると感じます。人はなんのために生かされているのか、なんのための事業経営なのか、経営者はつねに考えていなければならないからです。

本書は、基本的に若い日本人に向けて書かれた熱いメッセージですが、アメリカにおける企業経営、とくにハイテク製造業の経営について知ることのできる本として読むこともできます。そこから学ぶことのできるヒントも多くあります。

カバーには Pathfinder という英語が記されてますが、パスファインダーとは直訳すれば「道を探す人」。まさに「道を切り拓く人」としての使命感に満ち満ちた藤田氏の生きざまは、若い人ではなくとも大いにインスパイアされるものがあると思います。

経営者のみならず、一人でも多くのビジネスパーソンに読んでいただきたい本です。




目 次

序章 一般教書演説への招待状
第1章 ずれたドット
第2章 アメリカ生活
第3章 QED誕生
第4章 社員の意識改革
第5章 二人のメンター
第6章 私のアメリカ、私のクリーブランド
第7章 日本よ、日本人よ
終章 生まれてきた証

著者プロフィール

藤田浩之(ふじた・ひろゆき)
1966年、奈良県生まれ。1998年、米国ケース・ウエスタン・リザーブ大学(CWRU)物理学博士課程修了。物理学博士。GEを退社後、2006年、医療機器開発製造会社クオリティー・エレクトロダイナミクス(QED)を設立、社長兼最高経営責任者。現在、非常勤でCWRU物理学部教授、医学部放射線学科教授、オーストラリアのクイーンズランド大学情報技術電気工学部教授を兼任。主な受賞に、2009年、フォーブス「米国で最も有望な新興企業20社」(11位にランクイン)、2010年、アーネスト・ヤング起業家大賞、2011年、米国政府から研究技術助成金を受け事業を大きく成長させた企業に贈られるチベット国家賞などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)。

<関連サイト>

「オバマ大統領に米国の未来を託された日本人 東大に2度落ち早稲田をやめたことでチャンスをつかむ」 (JBプレス 2013年11月17日)


<ブログ内関連記事>

Where there's a Will, there's a Way. 意思あるところ道あり

書評 『俺のイタリアン、俺のフレンチ-ぶっちぎりで勝つ競争優位性のつくり方-』(坂本孝、商業界、2013)-ビジネスモデル×哲学(理念)を参入障壁にブルーオーシャンをつくりだす
・・「稲盛哲学」の実践者による新ビジネス成功までの軌跡

書評 『全員で稼ぐ組織-JALを再生させた「アメーバ経営」の教科書-』(森田直行、日経BP、2014)-世界に広がり始めた「日本発の経営管理システム」を仕組みを確立した本人が解説
・・稲盛哲学と経営管理の仕組みが合体した「アメーバ経営」とは?

『週刊ダイヤモンド』の「特集 稲盛経営解剖」(2013年6月22日号)-これは要保存版の濃い内容の特集

書評 『稲盛和夫流・意識改革 心は変えられる-自分、人、会社-全員で成し遂げた「JAL再生」40のフィロソフィー』(原 英次郎、ダイヤモンド社、2013)-メンバーの一人ひとりが「当事者意識」を持つことができれば組織は変わる

グンゼ株式会社の創業者・波多野鶴吉について-キリスト教の理念によって創業したソーシャル・ビジネスがその原点にあった!

原点としての 「HPウェイ」 -創業者の理念は度重なる経営者の交代でも生き続けているのだろうか?

TIME誌の特集記事 「メイド・イン・USA」(2013年4月11日)-アメリカでは製造業が復活してきた

(2014年6月12日 情報追加)




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2012年5月29日火曜日

『また、あの人と働きたい-辞めた社員が戻ってくる! 人気レストランの奇跡の人材育成術-』(黒岩功、ナナ・コーポレート・コミュニケーション、2012)-ヒトを中心に据えた経営こそ中小企業のあるべき姿

ヒトを中心に据えた経営こそ中小企業のあるべき姿

採用するのにひじょうに苦労しながら、なかなか人材が定着しない。多くの中小企業が、同じような悩みを抱えているものと思います。

わたしも前職では中小企業の経営に「ナンバー2」として直接かかわっていましたので、この問題は痛いほどわかります。

そうでなくても人材の流動性の高い飲食業界で驚異的な人材定着率を示しているのが、この本の著者であるフランス料理店「ル・クロ」のオーナーシェフ黒岩功氏。常識を超える定着率を実現しています。

なんせ、「12年間で採用活動は2回だけ」、「辞めた社員が半年で戻ってくる」という会社だそうです。

飲食業、とくにフランス料理屋イタリア料理のシェフを目指す人は、独立を前提にキャリアを設計していますから、修行のためにお店を転々とするのは当たり前、また料理人ではなくても労働環境も給料もけっしていいとはいえない飲食業界では、人材が定着しないのは常識といっていいでしょう。

なぜ、「ル・クロ」では人材が定着しているのか、その秘密を知りたくて、さっそく読んでみました。


顧客を中心にすえた「顧客目線」が徹底されているか?

「ル・クロ」が、並の飲食業と違うのは、顧客を中心にすえて顧客目線を徹底しているところでしょう。

自らをフランス料理店というよりも、サービス業と位置づけているところも重要なポイントだと思います。

料理店においては、どうしても料理をつくる職人という意識が前面にでてしまいますが、料理店はあくまでもサービス業であるという認識、これはきわめて重要ですね。

この考えのもとに、ウェディングや料理活動といった関連サービスが派生してくるわけです。


「観察」の重要性-見て、見られること

キーワードとして強調されているわけではありませんが、じつはもっとも重要なのは「観察」です。

オーナーシェフである著者は、料理人として一人前になるために徹底的に「観察力」を鍛え上げたことが想像されますが、オーナーとして社員一人一人を日頃からよく見ていることが大切であることも語られています。

従業員の立場からすると、いつも経営陣から見てもらっていることは励みになりますし、またマネージャー層からすれば、適切なタイミングで適切なアドバイスや指示もできるということを意味しています。

そのためには、経営陣が率先して、考えをオープンにしてコミュニケーションの壁を低くすることが重要です。採用では、正直に話してリアリティ・ショックをなくすこともまた定着率を上げている理由の一つでしょう。


ヒトを中心に据えた経営こそ中小企業のあるべき姿

この本で説かれていることはきわめてまっとうです。いや、まっとうすぎるといてもいい。愚直までに基本に忠実です。

つまりは、ヒトを中心に据えたマネジメントを行っているということですね。中小企業というものは、あくまでも人で成り立っているのです。大企業のように組織が人に優先するのではなく、あくまでも人が集まって組織となるわけです。

すべての業種がサービス業化している現在人の上に立つということの意味を知る上でマネージャーにはぜひ読んでほしい本です。

できれば、まず経営者が読んで、マネージャーに「これを読んだらいいよ」と薦めてあげるのがいいでしょう。

中小企業の経営は、経営者の器量によって方向性も内容も決まるというのもまた、否定できない事実ですから。

ぜひ、「また、あの人と働きたい」と言われるような人になりたいものですね。ぜひ一読をおすすめします。





目 次


はじめに
1. 「誰と働くか」が問われる時代
2. 出戻り社員が主役になる仕組み
3. 正社員の底力を活用する
4. 朝まで語り合える関係性の作り方
5. 主体性を引き出すモチベーション管理術
あとがき

著者プロフィール   
黒岩功(くろいわ・いさお)
レストラン「ル・クロ」オーナーシェフ。19歳で調理師免許を取得、21歳で全国司厨士協会の調理師派遣メンバーとしてスイスに渡る。ヨーロッパで3年間、三ツ星レストラン「タイユヴァン」「ラ・コート・サンジャック」、二ツ星レストラン「ジラール・ベッソン」のシェフらに師事し、本場のフランス料理を学ぶ。帰国後、いくつかの有名料理店でスーシェフ、料理長を勤めたのち、2000年にフレンチレストラン「ル・クロ」をオープン。一号店は裏路地の和食店を改装したことから「靴を脱いで、掘りゴタツで箸を使って楽しめるフレンチ」として評判を呼ぶ。現在は3店のフレンチレストランを経営する傍らウェディング事業、人材派遣業、ケータリング事業、プロデュース事業、食育活動での講演会も積極的に行う。1967年、鹿児島県生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。


<関連サイト>

大阪 フレンチレストラン「ル・クロ」(公式サイト)



<ブログ内関連記事>

中小企業経営・オーナー経営

書評 『日本でいちばん大切にしたい会社』、『日本でいちばん大切にしたい会社2』(坂本光司、あさ出版、2008、2010)

クレド(Credo)とは

書評 『跡取り娘の経営学 (NB online books)』(白河桃子、日経BP社、2008)

書評 『ホッピーで HAPPY ! -ヤンチャ娘が跡取り社長になるまで-』(石渡美奈、文春文庫、2010 単行本初版 2007)

飲食業

書評 『CoCo壱番屋 答えはすべてお客様の声にあり』(宗次徳二、日経ビジネス人文庫、2010 単行本初版1995に改題加筆)

書評 『言葉にして伝える技術-ソムリエの表現力-』(田崎真也、祥伝社新書、2010)

書評 『世界一の映画館と日本一のフランス料理店を山形県酒田につくった男はなぜ忘れ去られたのか』(岡田芳郎、講談社文庫、2010 単行本 2008)

「観察」の重要性

書評 『ユダヤ人が語った親バカ教育のレシピ』(アンドリュー&ユキコ・サター、インデックス・コミュニケーションズ、2006 改題して 講談社+α文庫 2010)

「人間の本質は学びにある」-モンテッソーリ教育について考えてみる






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2012年4月26日木曜日

書評 『マザー・テレサCEO-驚くべきリーダーシップの原則-』(ルーマ・ボース & ルー・ファウスト、近藤邦雄訳、集英社、2012)-ミッション・ビジョン・バリューが重要だ!

あたらしい修道会を立ち上げ、国際的な組織に育て上げたマザー・テレサのマネジメント手法とは?

マザー・テレサについては、あらためて説明するまでもないと思います。バルカン半島の小村に生まれ、インドのカルカッタ(コルコタ)で貧しい人たちのための奉仕活動に一生を捧げたカトリックの修道女です。

一方、マザー・テレサには、「貧しい人びとのなかのもっとも貧しい人びとに仕える」(to serve the poorest of the poor)というミッションを掲げた「神の愛の宣教者会」(ミッショナリー・オブ・チャリティー)を、カトリック教会の内部で新規に立ち上げ、国際的な組織に育て上げたという「企業内起業家としての側面」もあります。

それが本書のタイトルにもあるマザー・テレサCEO(最高執行責任者)ということが意味するものです。

マザー・テレサの一生は、ミッション遂行のためには万難を排して献身した人生であり、けっして平坦な道ではなかったのでした。

本書は、若き日にマザー・テレサのもとで奉仕活動を行った起業家の著者が、ビジネス上のメンターとともに書き上げた、リーダーシップのあり方の原則にかんするビジネス書です。

しかし、あたらしい事業を立ち上げ、国際的な組織に育て上げるという外面的な「成功」についてのみ語った内容ではありません。

組織のリーダーとして毎日のように直面するさまざまな課題といかに正面から向き合い、ひとつひとつ解決していったかについてのマザー・テレサ実践について、読者と一緒に考えようという姿勢に貫かれた内容になっています。

マザー・テレサのマネジメントは、著者たちによって「リーダーシップの八原則」としてまとめられています(目次を参照)。

その多くは、カトリックの修道女として生きてきたマザー・テレサならではのものですが、「原則2 天使に会うためなら悪魔とも取引しろ」、「原則4 疑うことを恐れるな」のように、あのマザー・テレサがそうだったのか(!)と驚くような原則も含まれています。いずれも起業家や経営リーダーならかならずぶつかる難問の数々。そこで語られるのはミッション・ビジョン・バリュー(MVV)の重要性です。

マザー・テレサの八原則について、通り一遍の教科書的な理解に終わらせないためにも、ぜひ実際に読んで、自分のアタマで考えてみることをすすめたいと思います。できればディスカッションの材料として、一緒に考えてみることもいいでしょう。そのために必要なのは、マザー・テレサになったつもりでイマジネーションを働かせてみることです。

企業経営にかかわっているリーダーはもちろん、ありとあらゆる組織のリーダーにはぜひ読んでほしい本として推薦します。


<初出情報>

■bk1書評「あたらしい修道会を立ち上げ、国際的な組織に育て上げたマザー・テレサのマネジメント手法とは?」投稿掲載(2012年4月25日)
■amazon書評「あたらしい修道会を立ち上げ、国際的な組織に育て上げたマザー・テレサのマネジメント手法とは?」投稿掲載(2012年4月25日)





目 次


序章 マザー・テレサの原則
マザー・テレサの生涯
第1章 簡潔なビジョンを力強く伝えろ
第2章 天使に会うためなら悪魔とも取引しろ
第3章 がまん強くチャンスを待て
第4章 疑うことを恐れるな
第5章 規律を楽しめ
第6章 相手が理解できる言葉でコミュニケーションしろ
第7章 底辺にも目配りしろ
第8章 沈黙の力を使え
おわりに あなたが聖人になる必要はない

著者プロフィール

ルーマ・ボース(Ruma Bose)
起業家、投資家、アドバイザー。『マザー・テレサCEO』出版時は、ホメオパシー関連商品やビタミ
ン剤を販売するスプレーオロジー社の社長兼共同CEO。1992~93年、インドのカルカッタ(現コルカタ)で「神の愛の宣教者会」のボランティアとして、マザー・テレサと奉仕活動を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。

ルー・ファウスト(Lou Faust)
実業界で30年以上の経験をもつビジネスマン、アドバイザー。そのうち10年をソロモン・ブラザーズに勤務し、ウォール街や東京で過ごす。マネージング・ディレクターなどを務めた。『マザー・テレサCEO』出版時はエッジ・キャピタル・パートナーズLLCの共同創業者、共同経営者。大きく成長しようとする企業に経営戦略のアドバイスを行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。



<原書タイトル>

Mother Teresa, CEO  Unexpected Principles for Practical Leadership, 2011

原書には索引(インデックス)がついている。最初から原書で読んだほうがいいかもしれない。ただし、日本語版よりは値段が高いが・・




<書評への付記>

「汚く稼いで綺麗に使え!」。このフレーズは、ビジネス書作家・神田正典の本にはよく引用されているが、じっさいに日本に宣教で来ていたカトリック修道会の司祭のコトバである。

しかし、この考えはきわめて重要だ。

マザー・テレサの場合は、稼いだのではなく寄付についてだが、「かならずしもキレイではないカネ」も受け入れたという。ただし、汚いカネを美名に変換する「売名行為」というロンダリングに使用されないように、見返りはいっさい拒否したという。

ミッションにブレがなければ、「悪魔と取引」することもいとわないという姿勢、これはマザーテレサに限らず、カトリック教会の長い歴史のなかで培われた智恵であるといってよいかもしれない。

このようなモラル・ジレンマは、まさに「ハーバー白熱教室」のサンデル教授によるディスカッション・テーマをほうふつとさせるが、マザー・テレサの場合もまた同様の問題に直面していたということだ。だが、これをクリアしたのは彼女一人の決断ではないと思う。伝統のチカラもあずかっているはずだ。

マザー・テレサが立ち上げた「神の愛の宣教会」(Missionary Of Charity)は、カトリック教会内のあたらしい修道会である。だから「企業内起業」(イントラプルナーシップ)といってよいのである。始まりはベンチャーであったのだ。この件については、ブログに書いた記事「アッシジのフランチェスコ (4) マザーテレサとインド」を参照していただきたい。マザー・テレサの生涯は映画化されているので、それを見るのがいちばんだろう。

なお、序文を寄せているビジネス書作家・本田直之氏も、訳文のなかでも、「マネージメント」となっているが、これはいただけない。動詞は「マネージ」と伸ばしてもいいが、名詞になったら「マネジメント」である。

間延びしていたマネージメントではなく、アクセントは文頭の「マ」に置いたマネジメントである。原則の5にもあるように、規律あるきびきびした姿勢こそ、修道院でしつけられたマザー・テレサの生活習慣に基づいた教えである。くれぐれも間違いなきよう!

著者たちがまとめた「マザー・テレサの八原則」は以下のとおりである。

1. 簡潔なビジョンを力強く伝えろ(Dream it simple, say it strong)

2. 天使に会うためなら悪魔とも取引しろ(To get to the Angels, deal with the Devil)

3. がまん強くチャンスを待て(Wait ! Then pick your moment)

4. 疑うことを恐れるな(Embrace the power of doubt)

5. 規律を楽しめ(Discover the joy of discipline)

6. 相手が理解できる言葉でコミュニケーションしろ(Communicate in a language people understand)

7. 底辺にも目配りしろ(Pay attention to the janitor)

8. 沈黙の力を使え(Use the power of silence)

*Janitor とは門番という意味。お掃除のおばさんや用務員さんなども含まれる。



<ブログ内関連記事>

アッシジのフランチェスコ (4) マザーテレサとインド

クレド(Credo)とは

「祈り、かつ働け」(ora et labora)

書評 『修道院の断食-あなたの人生を豊かにする神秘の7日間-』(ベルンハルト・ミュラー著、ペーター・ゼーヴァルト編、島田道子訳、創元社、2011)

映画 『シスタースマイル ドミニクの歌』 Soeur Sourire を見てきた

書評 『バチカン株式会社-金融市場を動かす神の汚れた手-』(ジャンルイージ・ヌッツィ、竹下・ルッジェリ アンナ監訳、花本知子/鈴木真由美訳、柏書房、2010)






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2011年12月5日月曜日

組織の内外にとって明確な表現のビジョンとは?-千趣会の新ビジョン 「ウーマン・スマイル・カンパニー」


 MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)は、日本では経営理念や社是と呼ばれているものを要素分解したものですが、企業によっては、たんにミッション(=使命)やビジョン(=価値観)と表現しているケースもあります。

 先日、千趣会(せんしゅかい)が 56周年目の創立記念日に「新企業ビジョン」を制定したというニュースがリリースされました。

 千趣会の新ビジョンもまた、ビジョンのなかにミッションやバリューが表現されたものになっています。

 共同通信のニュースリリース配信記事「千趣会、56周年目の創立記念日に新企業ビジョン制定」によれば、通販カタログなど幅広い事業を展開している千趣会が、新企業ビジョン『ウーマンスマイルカンパニー SENSHUKAI』を制定し、11月1日の56周年目の創立記念日に一般公開しました。

ウーマン
スマイル
カンパニー
SENSHUKAI

 じつにわかりビジョンですね!

 千趣会は、一度でも一定規模以上の組織で働いた女性なら知らない人はいないと思います。女性向けの通販カタログで社内で回覧されていることは、意外なことに男性は知らないかもしれません。

 ところが、千趣会は東証一部上場企業で、「ベルメゾン」というカタログを中核にして、ウェブ頒布会(=ネット販売)、実店舗、ウェディング事業、ペット事業など、さまざまな事業を展開しています。

 会社プロフィールをみると、発展の軌跡を知ることができます。ウェブサイトから引用させていただきましょう。

1955年、こけし人形の頒布を目的に(株)千趣会を設立。オフィスの女性グループを対象にした頒布会事業がスタートしました。その後料理カード付き月刊誌「クック」をはじめ、タオルやハンカチ、下着など女性の心をとらえたオリジナル商品の大ヒットによって業容を拡大。さらに、1976年には、カタログ誌「ベルメゾン」を発刊し、カタログ販売事業に進出しました。当時はむずかしいとされていたファッション衣料の販売からスタートし、服飾雑貨や生活雑貨、家具、インテリア用品へと取り扱いアイテムを広げるとともに、専門店型の品揃えと生活提案型の独自のカタログスタイルを確立。現在、約1200万人の会員に向けて、カタログ、ネット、店舗などのチャネルを通じて様々な商品、及びサービスを提供しています。

 千趣会は、なんとこけし人形の頒布会から始まったのですね。「千趣会」社名の由来は次のようなものだそうです。

最初の頒布会商品「こけし」を「こけし千体趣味蒐集の会」から仕入れることになり、会の名称も“千”と“趣”の文字から『千趣会』と現会長の行待が命名。そのまま現在の社名になりました。

 これは、はじめて知りました。現在はかつてほどではないとはいえ、「こけし人形」を集めるのはもともと女性が中心ですから、出発当初から女性を主対象にした会社であったわけです。

 新ビジョンに話を戻せば、プレスリリースによれば、以下のとおりです。

新企業ビジョン『ウーマンスマイルカンパニー SENSHUKAI』には、“笑顔が積み重なって、しあわせは生まれる。ひとりひとりが笑顔になれば、明日はもっと素敵になる。私たちは、女性の毎日に笑顔を届けることを通じて、世界をしあわせにしていく会社です。”という企業姿勢を表しています。

 きわめて明解なビジョンで、きわめて明解な企業姿勢を示しています。
 
 組織の外に向けての声明が、組織のなかで働いている人にもポジティブな影響としてフィードバックされる。コミュニケーションの好循環が成立しているといえるでしょう。そのお手本のような新ビジョンです。

 そしてこのビジョンには、企業のミッション(=使命)もレゾンデートル(=存在理由)もバリュー(=価値観)もすべて含まれています。

 企業の姿勢を示す MVV として、ひじょうにすぐれたものになっているといえるでしょう。



<関連サイト>

株式会社 千趣会 公式サイト

「千趣会、56周年目の創立記念日に新企業ビジョン制定」(共同通信ニュースリリース配信)

千趣会、創業56周年で新企業ビジョン「ウーマンスマイルカンパニー SENSHUKAI」制定(アドタイ 広告会議編集部)


<ブログ内関連記事>

Facebook Principle (フェイスブックの原則) を MVV (ミッション・ビジョン・バリュー) の観点からみてみよう

「自然エネルギー財団」設立に際して示した、ソフトバンク孫正義氏の 「使命」、「ビジョン」、「バリュー」・・・




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2011年10月15日土曜日

コトバの壁を越えて MVV は共有できてますか?-オリンパスの外国人社長解任に思うこと


              
 オリンパスで、半年前に就任したばかりの外国人社長を解任したというニュースが昨日(10月14日)話題になりました。

 解任した側の取締役会と、解任された英国人の元社長との見解が大きくかけ離れており、どちらが正しいのか、部外者にはよくわかりません。

 したがって、解任劇については立ち入りませんが、「経営と文化」という観点からこの事例を考えてみたいと思います。

 解任についてはいろんな記事がありますが、ここでは産経新聞の記事を見てみましょう。「オリンパス社長解任劇 「文化の違い」株価急落」というタイトルの記事です。

企業が外国人幹部登用に消極的な理由の一つは、オリンパスでみられたような商習慣や文化の違いで、菊川剛会長も「企業風土や経営スタイル、日本の文化を理解してもらえなかった」と語る。
・・(中略)・・
瀕死の日産を復活させたゴーン氏はかつて、「抽象的な考え方から戦略を生み出すフランス流と、綿密な実行力や品質管理に優れた日本流を融合させる」と語った。文化の違いを、むしろ強みとしてとらえる「したたかさ」が求められる。

 すごく重要な指摘です。オリンパスで解任された英国人社長は、他の記事によれば、オリンパス英国法人を成功させ、オリンパス全体の 4割を稼ぎ出した手腕が評価された結果、グループ全体の社長に抜擢されたそうです。

 社長に就任にしてからは、英語でコミュニケーションを行っていたものと思われますが、日本サイドとの意思疎通がうまくいかず、また組織運営のやり方が英国流と日本流とでは大きく異なるために、組織内でさまざまな軋轢(あつれき)を産んだようです。

 とくに、ダイレクトに現場にピンポイントで指示を出すやり方には、中抜きにされるポジションにある人たちから大きな反発があったようです。意志決定のスピードが重視されることがアタマでは理解できても、カラダが受け入れないという反発ですね。

 わたしが気になっているのは、それだけではなく、解任された英国人社長がどこまで企業グループ全体の MVV を理解し、みずからのうちに体現していたかということです。


「たとえすばらしいパフォーマンスを出しても、価値観の合わない人間には会社から去ってもらう」(ジャック・ウェルチ)

 米国の巨大企業 GE(ゼネラル・エレクトリック)社の "中興の祖" ジャック・ウェルチは、日本では「選択と集中」という側面ばかりが強調されてましたが、じつはこういうことも言っているのです。

 「たとえすばらしいパフォーマンスであっても、価値観の合わない人間には会社から去ってもらう」。だいたいこのような趣旨の発言だったと思います。

 ビジネススクールの教科書的存在である GE元CEOのコトバはよくかみしめる必要があるでしょう。

 MVVに表現された価値観を浸透させるためには、仕事のやり方や組織運営の仕方まで、突っ込んで考えなかればならない。経営者だけでなく、組織に属する個々人に共通認識ができあがっていなければ、うまくいかないのです。

 オリンパスの外国人社長解任劇には、そういう側面もあるのではないかと、わたしは捉えています。前社長は、どこまで会社の MVV を理解して体現していたのだろか、と。


コトバの壁を越えて MVV は共有できているか?

 解任された前社長に問題があると言いたいわけではありません。公平を期すために、日本の「経営理念」と英語の Corporate Philosophy に解釈のズレはなかったかどうか、あるいは英語人にも理解のできるものとなっているかどうかを見ておきましょう。

 オリンパスの「経営理念」のページには、英語のものも日本語のものも掲載されていますが、内容的にはそれほど大きなズレはなさそうです。

オリンパス:「経営理念」(日本語)
 「Value」:社会とともに未来を育む
 「経営理念」:企業と社会との関係を3つの「IN」で確立することを目指します-INvolvement, INsight, INspiration
 「コーポレートスローガン」:"Your Vision, Our Future"  人々の思い、願いをかなえるために。


Olympus Global: Corporate Philosophy
 「Value」:Working with Society to Develop a Better Future
 「Corporate Philosophy」:Realization of Social IN 
  We aim towards establishing firm ties with the society through the three IN's
  -INvolvement, INsight, INspiration
 「Corporate Slogan」:"Your Vision, Our Future" 
   Turning People's Ideas and Dreams into Reality


 内容的にはすばらしいものがありますが、ちょっと漠然としすぎているような気がしないでもありません。

 細かくみていくと、「経営理念」(コーポレート・フィロソフィー:Corporate Philosophy)には、「企業と社会との関係を3つの「IN」で確立することを目指します」として、日本語版でも英語版でも、In を接頭語にもつ3つの英単語が並んでいます。すなわち、INvolvement(巻き込み)、 INsight(洞察力)、INspiration(インスピレーション)ですね。

 どうやら、解任された前社長は、このINvolvement(巻き込み)ができなかったようですね。顧客についてはさておき、肝心要の自分の会社の社員を involve(巻き込む)ことができなかったわけです。

 フィロソフィー(哲学・思想)やスローガンがすばらしいものであっても、社員一人一人の言動にまで規定する行動指針にまでブレイクダウンし、具体的な指針にまで落とし込んだもののようには思われません。

 まずは経営トップが、身をもって示さねばならないものではないでしょうか。


経営理念や社是は MVV に分解すべし

 日本語の「社是」あるいは「経営理念」をかみくだいて英語に直す。しかし、日本語のニュアンスは英語では表現できない、英語になっていても英語人にはピンとこない、こういうことはけっこう多いのです。

 だから、わたしは、「経営理念」や「社是」は MVV に分解して、誰でも理解できるような形で表現することを提唱しています。

 MVV とは、ミッション(使命・使命感)、ビジョン(将来像)、バリュー(価値観)のこと。まずはこの3つに分解し、それぞれについて3項目ないしは多くても5項目に箇条書きにまとめることです。

 日本語人であっても英語人であっても理解を共通し、日本語と英語とのあいだの意味のズレをミニマムにするような文言を、徹底的に磨き上げることが必要となるのです。外国語にすることを前提に、最初から日本語を考え抜くのです。

 あたりさわりのない表現では、たとえ英語訳が日本語訳の忠実な翻訳であっても、英語人のアタマにもココロにも響いてきません。ましてや一挙手一投足で実行することなどまっったく期待できません。

 逆に考えれば、もとになっている日本語があいまいで、あたりさわりのない表現になっているのではないか、わかったつもりになりやすい表現ではないか、きびしく検証してみることが必要でしょう。

 みなさんの会社の「経営理念」や「社是」は、ただしく社員のあいだに共有されていますか? いま一度、問い直してみましょう。


<関連サイト>

オリンパス(日本法人サイト)
オリンパス(グローバルサイト 英語その他)


<ブログ内関連記事>

「ブレない軸」 (きょうのコトバ)

グンゼ株式会社の創業者・波多野鶴吉について-キリスト教の理念によって創業したソーシャル・ビジネスがその原点にあった!

Facebook Principle (フェイスブックの原則) を MVV (ミッション・ビジョン・バリュー) の観点からみてみよう

原点としての 「HPウェイ」 -創業者の理念は度重なる経営者の交代でも生き続けているのだろうか?

『グローバル仕事術-ニッポン式ビジネスを変える-』 (山本 昇、明治書院、2008) で知る、グローバル企業においての「ボス」とのつきあい方
・・英国のグローバル企業での勤務経験のある著者が語るボス(上司)とのつきあい方。英国流と日本流の違いがわかる本



P.S. 一ヶ月のあいだに社長が二人交代するなどオリンパスが揺れているが、第三者委員会を設置して調査を行うことになった。真相については第三者委員会の調査結果にまちたいが、この記事の趣旨はオリンパスの外国人社長「解任劇」そのものとは直接の関係はないことを、あらためて強調しておきたい。(2011年10月28日 追記)

P.S.2 2011年11月8日、オリンパスの問題は粉飾決算問題であることがあきらかになった。この点にかんしてはコーポレート・ガバナンス(企業統治)にかんする問題として、考える必要がある。コーポレート・ガバナンスが強調されるようになったのは、ちょうど1990年代であったことを考えると、なんともいえない気持ちになってくるのだが...(2011年11月9日 追記)





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2011年4月11日月曜日

ビジネスパーソンにもぜひ視聴することをすすめたい、国際基督教大学(ICU)毛利勝彦教授の「白熱教室JAPAN」(NHK・ETV)



 ETVで 国際基督教大学(ICU)毛利勝彦教授担当の教養学部「国際関係学特別研究III」の授業がNHK教育テレビ「白熱教室JAPAN」で放送されています。

 白熱教室JAPAN 第2回目(4月10日)をみてみました。18時から ETVにて。リベラルアーツ(=教養)を軸にした ICU の授業はどのようなものでしょうか? 

 以下に ETV による解説を引用しておきましょう。
 
国際基督教大学教養学部、毛利勝彦教授の「国際関係学」の講義を取り上げます。毛利教授は、ケース・メソッド法による対話型の授業を進めており、この4回の授業では、紛争・人権侵害・貧困・環境破壊など、現在の国際社会が直面する問題にどのように取り組んでいくべきか、実際にその現場にいる国際NGOが直面した壁や難問を題材に、対話・討論を通じて問題解決のための方策を探っていきます。
グローバル社会における政府や市場の失敗を乗り越え、「国際社会の新しい民主化」を担うと期待される国際NGO の現場感覚を仮想体験しながら、民主的リーダーシップに必要な論理的・批判的思考力とコミュニケーション力を高めるのがこの授業の目的です。

 第2回の授業では、非営利組織のブランド戦略について取り上げられました。

 テーマは、「グローバル化の中で対応に遅れをとり、会員数の減少という問題に直面した国際人権 NGO が、生き残りをかけて検討したブランドイメージ戦略とは?」というものです。

 取り上げられたのは、アムネスティ・インターナショナル。国際人権擁護団体のなかでは知名度の高い、歴史ある存在です。

 アムネスティ、というと敬遠してしまう人が企業関係者もいるかもしれませんが、英語で書かれたHBS(ハーバード・ビジネス・スクール)のケースを使用して、日本語で行った大学生たちのディスカッションです。

 ディスカッション内容は、「ブランド・マネジメント」の王道ともいえる内容でした。アムネスティがブランド・アイデンティティの確認と新規会員募集のためにコンサル会社に依頼した内容についてのディスカッション。

 非営利組織にも営利組織で行われる「ブランド・マネジメント」の応用が可能というよりも、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)にかんしては、非営利組織のほうが先行しているといえるかもしれません。

 ケースメソッドによる対話型授業による、学生たちのディスカッションのあとには、アムネスティの日本代表の方からコメントがありました。アムネスティ内部で実際に行われたディスカッションの要点も解説され、NGO の組織マネジメントについての理解も得られるという内容でした。

 知識の詰め込みではない、ものを考えるための授業とはどういうものか、日本では一般的なセミナーに飽き足らない人には、非常に刺激的な内容になっていると思います。

 見逃した方は、ぜひ再放送をご覧ください。第2回の再放送は、4月17日(日)0:20~1:20(≒土曜日深夜)です。


<関連サイト>

白熱教室 JAPAN

ICU 国際基督教大学 | ニュースとお知らせ | NHK教育テレビ「白熱教室JAPAN」でICUの授業を放送

AMNESTY INTERNATIONAL JAPAN(アムネスティ・インターナショナル・ジャパン) 公式サイト


<ブログ内関連記事>

慶応大学ビジネススクール 高木晴夫教授の「白熱教室」(NHK・ETV)




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