MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)は、日本では経営理念や社是と呼ばれているものを要素分解したものですが、企業によっては、たんにミッション(=使命)やビジョン(=価値観)と表現しているケースもあります。
先日、千趣会(せんしゅかい)が 56周年目の創立記念日に「新企業ビジョン」を制定したというニュースがリリースされました。
千趣会の新ビジョンもまた、ビジョンのなかにミッションやバリューが表現されたものになっています。
共同通信のニュースリリース配信記事「千趣会、56周年目の創立記念日に新企業ビジョン制定」によれば、通販カタログなど幅広い事業を展開している千趣会が、新企業ビジョン『ウーマンスマイルカンパニー SENSHUKAI』を制定し、11月1日の56周年目の創立記念日に一般公開しました。
ウーマン
スマイル
カンパニー
SENSHUKAI
じつにわかりビジョンですね!
千趣会は、一度でも一定規模以上の組織で働いた女性なら知らない人はいないと思います。女性向けの通販カタログで社内で回覧されていることは、意外なことに男性は知らないかもしれません。
ところが、千趣会は東証一部上場企業で、「ベルメゾン」というカタログを中核にして、ウェブ頒布会(=ネット販売)、実店舗、ウェディング事業、ペット事業など、さまざまな事業を展開しています。
会社プロフィールをみると、発展の軌跡を知ることができます。ウェブサイトから引用させていただきましょう。
1955年、こけし人形の頒布を目的に(株)千趣会を設立。オフィスの女性グループを対象にした頒布会事業がスタートしました。その後料理カード付き月刊誌「クック」をはじめ、タオルやハンカチ、下着など女性の心をとらえたオリジナル商品の大ヒットによって業容を拡大。さらに、1976年には、カタログ誌「ベルメゾン」を発刊し、カタログ販売事業に進出しました。当時はむずかしいとされていたファッション衣料の販売からスタートし、服飾雑貨や生活雑貨、家具、インテリア用品へと取り扱いアイテムを広げるとともに、専門店型の品揃えと生活提案型の独自のカタログスタイルを確立。現在、約1200万人の会員に向けて、カタログ、ネット、店舗などのチャネルを通じて様々な商品、及びサービスを提供しています。
千趣会は、なんとこけし人形の頒布会から始まったのですね。「千趣会」社名の由来は次のようなものだそうです。
最初の頒布会商品「こけし」を「こけし千体趣味蒐集の会」から仕入れることになり、会の名称も“千”と“趣”の文字から『千趣会』と現会長の行待が命名。そのまま現在の社名になりました。
これは、はじめて知りました。現在はかつてほどではないとはいえ、「こけし人形」を集めるのはもともと女性が中心ですから、出発当初から女性を主対象にした会社であったわけです。
新ビジョンに話を戻せば、プレスリリースによれば、以下のとおりです。
新企業ビジョン『ウーマンスマイルカンパニー SENSHUKAI』には、“笑顔が積み重なって、しあわせは生まれる。ひとりひとりが笑顔になれば、明日はもっと素敵になる。私たちは、女性の毎日に笑顔を届けることを通じて、世界をしあわせにしていく会社です。”という企業姿勢を表しています。
きわめて明解なビジョンで、きわめて明解な企業姿勢を示しています。
組織の外に向けての声明が、組織のなかで働いている人にもポジティブな影響としてフィードバックされる。コミュニケーションの好循環が成立しているといえるでしょう。そのお手本のような新ビジョンです。
そしてこのビジョンには、企業のミッション(=使命)もレゾンデートル(=存在理由)もバリュー(=価値観)もすべて含まれています。
企業の姿勢を示す MVV として、ひじょうにすぐれたものになっているといえるでしょう。
<関連サイト>
株式会社 千趣会 公式サイト
「千趣会、56周年目の創立記念日に新企業ビジョン制定」(共同通信ニュースリリース配信)
千趣会、創業56周年で新企業ビジョン「ウーマンスマイルカンパニー SENSHUKAI」制定(アドタイ 広告会議編集部)
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