長年使ってきた掃除機がついに故障してしまったので、さっそく新しい掃除機を購入しました。
掃除機といえば、TV・CM をつうじて有名な、英国のダイソンのが思い浮かびますが、サイクロン式掃除機は人によっては、かならずしもいいというわけではない評判も耳にします。
日本の家電メーカー各社は家庭用の掃除機を製造販売していますが、家電量販店の店頭でみてもたいして代わり映えしない外観ですので、いきなり店頭にモノを見に行ってもあまり意味はないですよね。
まずは「価格.com」などの購買比較サイトで調べてみるという人も少なくないでしょう。性能と価格から割り出したお値打ち感から製品を選ぶのは、ネット時代の賢い消費者の購買パタンでしょう。
わたしもまずは「価格.com」で調べてみました。
そこで目にとまったのが、makita の充電式コードレス・ハンディークリーナー。日本の家電メーカーではなく、あの業務用の電動工具の makita が家庭用掃除機を生産販売しているのか! モーターが命の電動工具メーカーの makita ならいのではないか?
製品特性をみると、充電式なのでコードのわずらわしさもないし、小型で軽量(1.3k)なので持ち運びも便利、色の選択がレッドのひとつしかないのが残念ですが、それを補ってあまりあるものがあります。
価格を調べたあと、最終的に amazon から購入しました。在庫があったので翌日には配送されてきました。
最初の充電には時間がかかりましたが、じっさいに使ってみての感想は「これで十分」というもの。こまめに掃除機をかけるのは、こういったハンディタイプがいいと思います。
■B2Bメーカーによる B2C の消費財分野での展開
makita の独特な書体のロゴは、町中にある特約店の看板などで目にすることはあると思いますが、基本的には業務用の電動工具ですので、一般消費者が製品を直接目にして手に取ることはあまりないでしょう。
株式会社マキタのウェブサイトをみても、一般消費者にはあまり関係ない製品ばかりが紹介されていますね。
ホームセンターでは個人用の電動工具も販売していますが、日曜大工を趣味にする男性向けという印象が強いので、掃除機の最大ユーザーである主婦(・・専業主婦以外も含む)の目に触れることはないでしょう。
つまり makita は基本的にB2Bメーカーであって、B2Cメーカーではありません。ハンディー・クリーナー(掃除機)も、社内的には業務用として位置づけているのか、消費者向けと位置づけているのかわかりません。
わたし自身、家電量販店で掃除機の販売コーナーにいくことはめったにありませんが、目にするのは日立、東芝、パナソニック、三菱といった白物家電も扱っている総合家電メーカーが圧倒的ですよね。
これに加えて、TV・CM をつうじた圧倒的な露出によって消費者のアタマのなかに浸透しています。とはいえ、個々の家電メーカー間の違いは、はたしてどこまで認識されているのでしょうか?
makita のハンディー・クリーナーが家電量販店で販売されているかどうかは知りませんが、一般的な知名度という点では総合家電メーカーに劣っているのは仕方ありませんね。
■B2B と B2C はまったく性格の異なるビジネスだ
法人向けの B2B と 一般消費者向けの B2C は何がどう違うのか、とくに意志決定のあり方に焦点を絞って考えてみましょう。
購買という一点に絞って考えてみると、購買プロセスと購買の処理は組織と個人とでは大きく異なります。
法人向けの B2B では、当然のことながら購買主体は法人組織、一般消費者向けの B2C では、当然のことながら購買主体は個人。
もちろん組織でも、実際に購買を担当するのは個人ですが、おなじ個人とはいっても、組織のなかで役割をもち、その役職にともなう責任権限をもった個人は、一般消費者とは同じではありません。組織の意志決定の仕組みのなかにある個人です。ここが重要です。
組織とは関係ない個人であれば即断即決も可能ですが、組織のなかであればそれなりの手続きが必要とされます。つまり、なぜこの製品を購入するのか、合理的な説明を上位者に対して行う必要があるのです。その結果、いったん製品の導入が決まると、なかなかその他製品にはスイッチしないという傾向がでてきます。
ところが一般消費者向けのB2C市場では、消費者はいとも簡単に購入製品を変えてしまいます。ブランドロイヤルティを作り出すのは B2B よりも難しいといっていいでしょう。
メイン商品が B2B の法人向けビジネスである企業にとって、B2C の消費財市場でどう製品ブランドを認知させるか。費用対効果を考えたとき、広告宣伝にマーケティングに予算をを使うのが果たして正しいのかどうか。
こういった状況でチカラを発揮するのがクチコミでしょう。
しかも時代の流れは、企業による広告宣伝から、メディアに取り上げてもらうパブリシティ(広報)やクチコミによる評判へとシフトしつつあります。
クチコミを発生させるための仕掛けをどこまで意識して行うことができるか、B2Bメーカーであっても、SNS などをフル活用した広報戦略への取り組みが必要になってきていると言っていいかもしれません。
なによりも性能と価格からみたお値打ち感が重視される製品分野では、広告による印象操作よりも、購買者自身による書き込みが大きな意味をもつと考えられます。
もし可能であれば、実際の購買者を巻き込んだコミュニティーをネット上につくることができれば最高でしょう。
顧客を囲い込むのではなく、顧客を一人でも多くファンに変えていくのです。
<関連サイト>
株式会社マキタ 公式サイト
「価格.com」 価格比較サイト
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