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2017年4月16日日曜日

書評 『「一見さんお断り」の勝ち残り経営-京都花街お茶屋を350年繁栄させてきた手法に学ぶ-』(髙橋秀彰、ぱる出版、 2017)-京都独自の「会員制クラブ」の経営に学べるものとは?


知らない世界を知るというほど面白いことはない。わたしにとっては、「花街」のことは、ほとんど未知の世界に等しい。そもそも「花街」と書いて「かがい」と読むということすら知らなかったのだ。ずっと「はなまち」だと思い込んでいた。

『「一見さんお断り」の勝ち残り経営-京都花街お茶屋を350年繁栄させてきた手法に学ぶ-』(髙橋秀彰、ぱる出版、 2017)の存在を知ったのは、「レビュープラス」から書評執筆の打診があったからだ。二つ返事で引き受けたのは、自分にとってよく知らない世界を垣間見るチャンスになると思ったからでもある。

「一見(いちげん)さんお断り」というフレーズは、すくなくとも日本人なら、大人であれば知らない人はいないのではないのだろう。それほど京都のイメージを代表するものはないのではないかと思う。

「一見さんお断り」とは、閉鎖的だとか、敷居が高いとか、上から目線だとかいうネガティブなイメージがつきまとっており、「京のぶぶ漬け」のイメージともあいまって、なんだか取っつきにくいイメージを固定化させてしまっている。

だが、「一見さんお断り」のシステムとは、紹介がなければ入会できない「会員制クラブ」と考えれば、なんとなく理解できるような気もしてくるのである。会員として受け入れられれば、クラブの内部は、会員にとっては、きわめて居心地のよい世界である、ということであろう。

そもそも、「一見さんお断り」は不文律のルールであり、「京都花街」には明文化されたルールがあるわけではないし、「京都花街」の内側の人は、みずからについてほとんど語ることはない。「会員制クラブ」である以上、それは当然のことだろう。

著者は、そんな「会員制クラブ」の世界に入会を許され、身銭を切って遊ぶお客としてお客として中の世界を観察してきた人だ。しかも、公認会計士だが報酬を支払っていただく「クライアント」としてつきあってきたのではなく、あくまでも身銭を切った「個人」としてかかわってきた人である。お金をもらう側と、支払う側とでは、おなじ対象であっても、真逆の姿が見えてくるはずだ。

「花街」とは、お座敷を企画コーディネートし、芸妓(げいこ)や舞妓(まいこ)といったたタレントを送り出す「お茶屋」を中核に、タレント事務所である「置屋」、お座敷に料理を出す「料理屋」、「仕出屋」などによって構成され、「分業」によって成り立っている高度なシステムである。こんな精緻なシステムが、350年以上にわたってつづいてきたというのは京都ならではかもしれない。

「花街」の特徴を列挙すると、こんなふうになる。

●顧客のニーズを叶える、完全なオーダーメイドの「個別受注生産」
●リピート客が上質な新規顧客のみを紹介するシステム
●薄利多売・価格競争・広告宣伝とは無縁の永続経営
●馴染み客、一見さんの二つのラインの明確な分離

著者は、こんな「京都花街」のシステムには、学ぶべきものが多いとしている。ある点までは、耳を傾ける意味はあると思われる。「一見さんお断り」という仕組みは、じつに魅力的だからだ。

だが、このようなシステムは一社単独では成立不可能なものであろう。シリコンバレーについてよくいわれているように、IT関連のハイテク企業は、それを成り立たせるエコシステム(=生態系)があってはじめて生存可能である。「京都花街」も、たんなる「花街」ではなく、あくまでも「京都」の「花街」という限定つきの存在だ。異なる地域の、異なる産業の、異なる企業に「横展開」できるかどうかは、そう簡単には言えないのではないだろうか。

本書のちょうど10年前に出版されている『京都花街の経営学』(西尾久美子、東洋経済新報社、2007)を読むと、「京都花街」の特殊性と普遍性がよく理解できる。350年以上の歴史をもつ「京都花街」も、時代の変化と外部環境の変化のなかで柔軟に変化し進化してきたのであって、この点を見落とすことは危険である。とくに、舞妓(まいこ)の人材育成は、時代の変化の影響を大きく受けており、かならずしも昔そのままではないという点は重要だ。

とはいえ、日本企業でも非上場の中小企業であれば、「京都花街」を構成する中小企業と共通する面も多い。「分業制」や「紹介」で仕事を回す仕組みなど、基本的には共通している。ただし、「花街」の「分業制」は「下請け制」ではなく、あくまでも水平的なヨコの関係だ。

要は、時代の変化には柔軟に対応しつつも、変えてはいけない経営の根幹と、変えてもかまわない部分はわけて考えることが大事だということだ。この点は、「京都花街」から大いに学ぶべきものがあるといえよう。



著者プロフィール
 
髙橋秀彰(たかはし・ひであき)

髙橋秀彰綜合会計士事務所 代表。公認会計士・税理士・宅地建物取引士。昭和40年生まれ、愛知県出身。立命館大学理工学部卒。創業当初の資金状況の苦しい中でも「一見さんお断り経営」を貫き、公認会計士であるにもかかわらず経済合理性に反するリスクを背負った経営判断を行ったことから一目置かれる信用と実績を築く。とくに他の会計事務所では手に負えない高度な案件などを得意としており、数多くの相続対策や非上場企業の株主構成の再構築、資金繰り改善の実績を持つ。また、京都花街のお茶屋では稀有な顧客として知られ、京都花街の不文律や裏事情にまで精通している。


目 次  
はじめに
第1章 徹底的な顧客満足
第2章 価格競争への対応
第3章 馴染み客も一見さんも
第4章 経営者の役割
第5章 公認会計士・税理士的視点から見た日本的経営の魅力
おわりに







<ブログ内関連記事>

書評 『京都の企業はなぜ独創的で業績がいいのか』(堀場 厚、講談社、2011)-堀場製作所の社長が語る「京都企業」の秘密

書評 『「できません」と云うな-オムロン創業者 立石一真-』(湯谷昇羊、新潮文庫、2011 単行本初版 2008)-技術によって社会を変革するということはどういうことか?

書評 『全員で稼ぐ組織-JALを再生させた「アメーバ経営」の教科書-』(森田直行、日経BP、2014)-世界に広がり始めた「日本発の経営管理システム」の仕組みを確立した本人が解説

書評 『知的生産な生き方-京大・鎌田流 ロールモデルを求めて-』(鎌田浩毅、東洋経済新報社、2009)-京都の知的風土のなかから生まれてきた、ワンランク上の「知的生産な生き方」

神田・神保町の古書店街もまた日本が世界に誇る「クラスター」(集積地帯)である!





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2014年2月24日月曜日

書評 『ヤバい経営学-世界のビジネスで行われている不都合な真実-』(フリーク・ヴァーミューレン、本木隆一郎/山形佳史訳、東洋経済新報社、2013)-これがビジネス世界の「現実」というものだ



『ヤバい経営学-世界のビジネスで行われている不都合な真実-』(フリーク・ヴァーミューレン、東洋経済新報社、2013)は、ビジネスやマネジメント世界の住人、あるいはその世界に関心がなければ面白くもなんともない本でしょうが、その世界にいると 「これはじつに面白い!」 といった内容の本です。 

英語タイトルは Business Exposed : The Naked Truth about What Really Goes on in the World of Business (2010)、つまり真相解明の暴露もの、といった感じでしょうか。著者はオランダ出身でロンドン・ビジネススクールのMBAコースで組織論とアントレナーシップを教えている準教授。

いろんな経営理論がつぎからつぎへと生まれ、ウイルスのように伝染したのち、あっという間に消えていくのがビジネス世界ですが、そういった流行りものの理論に対して胡散臭いと感じたり、ほんとうは違うんじゃないの?とうすうすと感じている人は、読み進めるうちに納得の連続になることでしょう。

みずからの直観を豊富な学術論文のエッセンスで跡付けているのが本書の特色。事例はどうしても英国と米国を中心にした英語圏のものが多いですが、著者がオランダ人であることもあってオランダ企業も多数取り上げられています。

この本で展開される議論のキモは、ビジネスやマネジメントの世界における「因果関係」についての注意を喚起している点でしょうか。

原因と結果の関係というものは、かならずしも一対一の関係ではないし、時間的なスパンをどうとるかでまったく異なる結論がでてくるもの。原因と結果が逆転して語られていることもじつに多い。

たんなる相関関係にすぎないものを因果関係だと思い込んでいる人がじつに多いという嘆かわしい現実は、ビジネス世界においても同じということですね。

短期的にはすぐ効果のでる経営施策であっても、副作用というものは時間がたってから顕在化するもの。たとえば、リストラという名の人員削減は長い目でみて効果ないだけでなく有害であることが経営学の学術研究で明らかになっていることが紹介されていますが、日本人なら十分に納得のいくことでしょう。

企業経営をサステイナブル(=持続的)に行っていくためには、流行りの経営理論に飛びつくのは考えものだということですね。

ビジネスの世界に長くいると、本書に書かれている内容はまったくそのとおりだと思います。はっきりいってしまえば、「常識」といってもいいような話ばかりです。とはいえ、アタマでっかちの人たちには納得がいかないかもしれませんが・・・

結局のところ、ヒトによって成り立っているのがビジネス。根本のところでは、英語圏であれ日本であれ、本質的には変わらないことを実感させてくれる内容でもあります。

ただし、当然のことながら「これをやればかならず効果がでる!」なんて処方箋はこの本には書かれていません。

翻訳もよくこなれているので、それほどムリなく読めると思います。




目 次

日本の読者の皆さんへ
Introduction モンキーストーリー
Chaper 1 今、経営で起きていること
Chaper 2 成功の罠(とそこからの脱出方法)
Chaper 3 登りつめたい衝動
Chaper 4 英雄と悪党
Chaper 5 仲間意識と影響力
Chaper 6 経営にまつわる神話
Chaper 7 暗闇の中での歩き方
Chaper 8 目に見えるものと目に見えないもの
Epilogue 裸の王様
訳者あとがき
参考文献

著者プロフィール


フリーク・ヴァーミューレン(Freek Vermeulen)

ロンドン・ビジネススクール准教授。オランダ・ユトレヒト大学で組織論、ティルブルフ大学で経営管理の博士号を取得。専門は戦略論とアントレプレナーシップで、主にMBAとエグゼクティブMBAプログラムで教鞭をとっている。東芝、BP、フィアット、IBM、KPMG、ノバルティス、ボーダフォンなど、大企業の経営層のアドバイザーを務めるとともに、一般紙・専門誌への寄稿多数。Academy of Management Journalの最優秀論文賞を受賞、現在は同誌を含めた経営ジャーナル4誌の編集委員を務める。ロンドン・ビジネススクールでは、ベストティーチャー賞と最優秀授業賞を受賞。『フィナンシャル・タイムズ』紙上で「ライジングスター」と称される。本書は英語・日本語の他に中・韓・露・蘭の4カ国語でも出版されている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。

訳者プロフィール
本木隆一郎(もとき・りゅういちろう)
神奈川県生まれ。東京大学経済学部卒業。大日本印刷の経営企画部にて子会社の再建や競合企業のM&Aに携わる。その後、IBMビジネスコンサルティングサービスにて、主に銀行、証券、海運のコンサルティングに従事。ロンドン・ビジネススクール修了(MBA)。現在、外資系ヘルスケア企業に勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。

訳者プロフィール
山形佳史(やまがた・よしふみ)
東京都生まれ。一橋大学商学部卒業。日本IBMで大企業向けシステム構築・運用プロジェクトに携わる。その後、IBMビジネスコンサルティングサービスで、幅広い業界におけるオペレーション、IT戦略にかかわるコンサルティングプロジェクトに従事。ロンドン・ビジネススクール修了(MBA)。現在、コンサルティング会社に勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。


<ブログ内関連情報>

経営学関連

書評 『経営管理』(野中郁次郎、日経文庫、1985)-日本の経営学を世界レベルにした経営学者・野中郁次郎の知られざるロングセラーの名著

書評 『経営の教科書-社長が押さえておくべき30の基礎科目-』(新 将命、ダイヤモンド社、2009)-経営者が書いた「経営の教科書」

書評 『仕事ができる人の心得』(小山昇、阪急コミュニケーションズ、2001)-空理空論がいっさいない、著者の実践から生まれた「実践経営語録」

M.B.A.(経営学修士)は「打ち出の小槌」でも「魔法の杖」でもない。そのココロは?

アジアでは MBA がモノを言う!-これもまた「日本の常識は世界の非常識」

レンセラー工科大学(RPI : Rensselaer Polytechnic Institute)を卒業して20年 ・・わたしはこの大学のMBAコース(MOT)を卒業


オランダ関連

書評 『植物工場ビジネス-低コスト型なら個人でもできる-』(池田英男、日本経済新聞出版社、2010)
・・・オランダの先進植物工場モデル

書評 『チューリップ・バブル-人間を狂わせた花の物語』(マイク・ダッシュ、明石三世訳、文春文庫、2000)-バブルは過ぎ去った過去の物語ではない!
・・17世紀オランダの「バブル経済」

書評 『ニシンが築いた国オランダ-海の技術史を読む-』(田口一夫、成山堂書店、2002)-風土と技術の観点から「海洋国家オランダ」成立のメカニズムを探求

「フェルメールからのラブレター展」にいってみた(東京・渋谷 Bunkamuraミュージアム)-17世紀オランダは世界経済の一つの中心となり文字を書くのが流行だった
・・フェルメールとスピノザをつなぐものは光学レンズであった









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2013年12月5日木曜日

書評 『星野リゾートの事件簿-なぜ、お客様はもう一度来てくれたのか?-』(中沢康彦、日経トップリーダー編、日経BP社、2009)-「現場」がみずから考え実行する組織はどうやったらつくれるのか


星野リゾートもまた「自律分散型組織」の実践例。「現場」に権限委譲して、「現場」のチカラを最大限に引き出す経営スタイルを行っています。

もともとは家業であった中小の旅館業であったがゆえに、人の採用が難しい、採用しても定着しない、大卒を採用して育ててもいずれ辞めてしまうといった、人材にかかわる問題を社長の星野佳路氏は抱えていたとのこと。

だからこそ、トップダウンのスタイルの限界に気づいて経営スタイルを転換、思い切って「現場」に大幅に権限委譲して、「任せて見守る」経営スタイルに転換した結果、現在に至ったということのようです。

「現場が考えて現場で決めて動ける組織」に変え、多様な働き方ができるように対応、しかもその制度が持続可能なものとなるような工夫の数々。「現場」が考え実行する組織はどうやったらできるのか、そのヒントがナマの形でちりばめられた本。

解決策はつねに現場にある、経営の役割は方針を決めて、あとは現場にまかせること。自律性ある従業員による組織は、一方では高度なマネジメント能力と裏合わせでないとうまくいかないのです。しかし、自律性ある従業員による組織は、一方では高度なマネジメント能力の裏づけがないとうまくいかないことが、わかる人にはわかるのでしょう。

この本は、「現場」のスタッフたちが顧客満足度(CS)を向上させるために自分たちで考え、自分たちで話し合い、自分たちで決めたことを自分たちで実行するなかで発生した具体的な「事件」を、従業員視線と経営者視線の両面を、等距離の立場で第三者である記者が書いたものです。

TVなどのマスコミで有名な星野リゾートですが、あらためて活字の形で考えながら読むと、さまざまな「気づき」を得ることができるでしょう。

サービス業に従事する人のあいだではすでにバイブル的な本ですが、実践の記録である本書は、旅館業やホテル業、そしてサービス業だけでなく、サービス経済化が進むすべての業界で応用可能なものをもっています。読者が自分の現場に則して、どこまで「気づき」を得ることができるかにかかっているといっていいでしょう。

たとえば、いかに「慣性の法則」にとらわれたベテラン従業員を意識変革に促すか、企業理念の原理主義者である「新人」のもつ意味現場の「気づき」をうながす質問力のあり方、ファシリテーター型のリーダーシップとは、イノベーティブな組織であるために不可欠なフラットな人間関係などなど。

経営者の星野氏自身も「解説」という形で寄稿していますが、基本的に「当事者」ではない第三者である記者が従業員の活動と経営者の活動を等距離で見ていますので、読者が得る「気づき」は経営者が書いた経営書よりも多いかもしれません。

「当事者」ではない第三者というスタンスはコンサルタントなどとも共通するものがありますが、組織のなかにいるとなかなか気づきにくいものです。

経営者にとっても、現場のスタッフにとっても、それぞれの立場で読んで得るものの多い本です。まだ読んでない方は、ぜひ読むことをおすすめします。



目 次

はじめに
頂上駅の雲海 アルファリゾート・トマム(北海道占冠村)
踊る超名門旅館 古牧温泉 青森屋(青森県三沢市)
新入社員のブチ切れメール アルツ磐梯(福島県磐梯町)
一枚のもりそば 村民食堂(長野県軽井沢町)
地下室のプロフェッショナル 星のや 軽井沢(長野県軽井沢町)
先代社長の遺産 ホテル ブレストンコート(長野県軽井沢町)
地ビールの復活 ヤッホー・ブルーイング(長野県軽井沢町)
常識との決別 リゾナーレ(山梨県北杜市)
スキー場なきスキーリゾート リゾナーレ(山梨県北杜市)
激論する未経験スタッフ アンジン(静岡県伊東市)
名おかみの決断 蓬莱(静岡県熱海市)
あとがきにかえて 社員が辞めない会社になる
解説 事件が会社を強くする 星野佳路 星野リゾート社長




著者プロフィール

中沢康彦(なかざわ・やすひこ)
1966年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業。新聞社記者を経て日経BP社に入社。「日経ビジネス」記者などを経て、現在、「日経トップリーダー」副編集長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの



・・活力あふれる企業風土の背景には、現場のリーダーシップと経営のリーダーシップを融合させた、チームスポーツ型の組織運営がある。

「あ、失敗しちゃった」という人が現場で信頼されるワケ 第4回 星野佳路・星野リゾート社長(中) (日経ビジネスオンライン 2013年11月6日)
・・「人間関係がフラットじゃないと、コミュニケーションはうまくいきません。」(星野氏)  この短いコトバこそキモのキモ。

フラットな組織にするためのヒントは以下の発言に。

「大学の新卒組というのは、社会人の経験がないから、良い意味でも悪い意味でも超フラットなんです。サークルの延長線上で会社に入ってきますから。彼らを地方の再生現場に送ると、まず衝突します。「星野リゾートなんだから、こういうことをするのが当然じゃないですか」と言い出す。その衝突の中から、フラットになるきっかけみたいなものが出てくる。
 そうすると、古くからいる人たちも、フラットにコミュニケーションしている人たちを見て、「上下関係を気にしなくても全然平気なんだ」「何も問題は起きないんだ」ということが分かって、だんだんまねをするという現象が起きてくる。そのうち、「言わなきゃ損だ」ということになる。それがうちの現場がフラットになるルートのような気がします。」
・・この記事で初めて知りましたが、星野社長は大学時代は体育会アイスホッケー部の主将だったんですね。経営学者の野中郁次郎氏のいう「知的体育会系」を体現したような経営者です。

星野さんはホテルマネジメント分野では世界最高の教育機関である、アメリカのコーネル大学ホテル学科で修士号を取得されてますね。コーネル大学のキャンパスには大学が経営しているホテルがあって実践的な教育が行われているそうです。

「やめること」を決めることが、僕の最後の仕事 第4回 星野佳路・星野リゾート社長(下) (日経ビジネスオンライン 2013年11月13日)

現場スタッフ一人ひとりの「気づき」が最高のおもてなしを生み出す源泉に(前編) (日経BPネット 2014年1月27日)
・・「星野: リゾート施設を魅力的にするために、私が一番重要だと考えているのは、現場の最前線でお客様と接するスタッフです。いくら経営陣に素晴らしい人材がいても、お客様の要望や期待と直接向き合うのは現場のスタッフです。スタッフ一人ひとりの対応が、お客様による星野リゾート全体の評価となります。現場スタッフがその場その場で下した意思決定の質が、星野リゾート全体の業績を大きく左右することになります

星野リゾートの経営の醍醐味は、お客様満足度とコストのバランス(後編) (日経BPネット 2014年2月3日)
・・「星野: いえいえ、フラットな文化と規律の厳しさは関係ありません。うちの場合は、フラットであることが規律なんです。規律というのは「みんなでやろう」と決めたことをきちんと守ることです。星野リゾートの場合は、「フラットな文化になろう」と決めているので、これを守ることが規律なのです」


<ブログ内関連記事>

「専門家」は何も分かっていない?-いかにして 「当事者」 は 「専門家」 を使いこなすべきか

書評 『個を動かす-新浪剛史 ローソン作り直しの10年-』(池田信太郎、日経BP社、2012)-「個」が重要な時代に取り組んだ「組織変革」の軌跡

書評 『爆速経営-新生ヤフーの500日-』(蛯谷 敏、日経BP社、2013)-現在進行中の「組織変革」ドキュメント第1章とその前夜の舞台裏

書評 『経営管理』(野中郁次郎、日経文庫、1985)-日本の経営学を世界レベルにした経営学者・野中郁次郎の知られざるロングセラーの名著
・・「知的体育会系」というのは野中教授のネーミング

アムンセンが南極に到達してから100年-西堀榮三郎博士が説くアムンセンとスコットの運命を分けたチームワークとリーダーシップの違い
・・自律型人材によるチームワークとリーダーシップ

書評 『オーケストラの経営学』(大木裕子、東洋経済新報社、2008)-ビジネス以外の異分野のプロフェッショナル集団からいかに「学ぶ」かについて考えてみる
・・「(フラットな組織である)オーケストラにおいては、個々の演奏者が、いかに他の演奏者とのハーモニーをつくり出すことができるかということであり、別の表現をつかえば、いかにチームワークを作りあげるかということになる。「もともと日本には、教会の響きのなかで賛美歌を歌いながらハーモニー(調和・和声)を創っていくという習慣がない。そのため、お互いの音を聴き合ってハーモニーを創っていくという意識が、どうしても低くなっているようにみえる」(P.157~158)」 日本と西欧との大きな違い。

書評 『アマン伝説-創業者エイドリアン・ゼッカとリゾート革命-』(山口由美、文藝春秋、2013)-植民地解体後の東南アジアで生まれた「アマン」と「アジアン・リゾート」というライフスタイルとは?

(2014年3月19日、12月28日 情報追加)




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2013年9月6日金曜日

官房長官は実質的に政権「ナンバー2」-政治と企業経営の共通点について考えてみる


それにしてもほぼ毎日のようにこの人の顔をみて声を聞いているような気がする。べつに好きでも嫌いでもないのだが。

政権交代からしばらくは、どうしても菅を「かん」と読んでしまいました(笑)。なぜTV局はテロップに「よみがな」をふってくれないのだ、と。いまはもう、ただしく「すが」と読むことができるようになりましたが、それだけ彼に存在感があるということですね。

官房長官は実質的に「政権ナンバー2」だといっていいでしょう。「ナンバー1」が首相であれば、そのつぎの実力者が「ナンバー2」

ビジネスパーソンに「ナンバー2」の話をすると、「参謀のことでしょ」、という答えが返ってくることが多いですが、「ナンバー2」は参謀に限定されるわけではありません

企業経営でいえば社長の右腕あるいは片腕、またむかし風にいえば番頭などが該当します。アメリカ企業ならCEOに対してCOOもナンバー2に該当。

ここのところ安倍首相が外遊で出ずっぱりなので、菅官房長官の露出がものすごく多いように感じます。トップは日本を代表してソトで「顔」を売り、官房長官は「女房役」としてウチを守る。

ただし、ここでいう「女房役」というのは慣用表現でありそれ以上の意味はありません。野球の比喩をつかえば、ピッチャーに対するキャッチャーといっていいかもしれません。

そういえば、安倍首相もまた小泉元首相のもとで官房長官を務めていました。「ナンバー2」経験をもっていればこそ、自分がトップになったとき、「ナンバー2」に退位して的確な指示ができる。

「ナンバー2」とはなにか、なにをすべきなのか、なにが求められるのか・・・?

共通目標がしっかりとしていれば「ナンバー1」と「ナンバー2」の関係は盤石のものがありますが、しかしそうはいっても生身の人間どうし、しかも政治の世界は一寸先が闇というむき出しの権力の場でもあります。

政治と企業経営はイコールではありませんが、生身の人間がかかわる世界だけに共通するものがある。そんな風にニュース報道を見ていると企業経営にとって参考になるものがあるといっていいでしょう。


<ブログ内関連記事>

最高の「ナンバー2」とは?-もう一人のホンダ創業者・藤沢武夫に学ぶ

「長靴をはいた猫」 は 「ナンバー2」なのだった!-シャルル・ペローの 「大人の童話」 の一つの読み方

シェリル・サンドバーグという 「ナンバー2」 としての生き方-今週の Bloomberg BusinessWeek (ビジネスウィーク) のカバーストーリーから

書評 『No.2理論-最も大切な成功法則-』(西田文郎、現代書林、2012)-「ナンバー2」がなぜ発展期の企業には必要か?





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2013年7月2日火曜日

書評 『稲盛和夫流・意識改革 心は変えられる-自分、人、会社-全員で成し遂げた「JAL再生」40のフィロソフィー』(原 英次郎、ダイヤモンド社、2013)-メンバーの一人ひとりが「当事者意識」を持つことができれば組織は変わる


『稲盛和夫流・意識改革 心は変えられる-自分、人、会社-全員で成し遂げた「JAL再生」40のフィロソフィー』(原 英次郎、ダイヤモンド社、2013)を読みました。

いまから3年前、JAL(日本航空)の再建開始は「3-11」以前のことでありましたが、政治的に迷走し、はたして再建可能なのだろうかと、正直なところその当時はわたしも懐疑的でした。

最後の最後に白羽の矢が立った稲盛さんは、起業家として立派な業績を上げてきた人です。ですが、けっして「企業再建」のプロとして名をはせてきた方ではないし、当時の JAL のような巨大官僚組織がはたして再建可能なのか、と。

この本は、稲盛さんのインタビューを行ったジャーナリストが、さらにさまざまな部署にいいる多数の社員から聞き取りを行うことによって、「意識改革」の実態を多角的に検証したものです。読み終えて、どうやら JAL は本格的に変わりつつあるのだということが実感できました。

読んでいて安心したのは、最初は「京セラ・フィロソフィーによる洗脳か?」という反応が従業員のあいだでかなり存在した、という事実も記されていることです。組織改革というのは、最初からすんなりといくものではありません。抵抗があるのは当たり前、なかったらそのほうがおかしいのです。

稲盛さんが航空業界の専門家ではなかったからこそ、経営にとって本質的なことは何かという観点から、意識改革を行ったことがカギであったこともわかります。

「JALフィロソフィー」は、「京セラ・フィロソフィーを参考にしながらも、自分たちで考えてつくったものであることであり、研修もすべて自前で行っていることがカギのようです。

その結果、社員一人一人が「当事者意識」をもって仕事に取り組むようになったということです。この意識改革の結果、 JAL は「普通の会社」になったわけです。

新入社員であればまっさらの状態ですから、「JALフィロソフィー」の浸透が早いのは当然ですが、入社後数年の社員でも、「働くということの意味が納得できるようになった」という発言は重要です。もちろん、ベテランになればなるほど、意識変革には多大な困難があったことでしょうが。

若い人たちほど、金銭以外の働く意味を求めていたことがわかります。その意味でも、フィロソフィーの導入は意味があったようです。これはけっして意外なことではないのでしょう。

企業破綻の際は、「去るも地獄 残るも地獄」という状態になるのは、わたし自身も1998年の「金融危機」で体験し、身近で観察したので実感としてよくわかります。おなじく政治にもみくちゃにされたのも JAL と同じでした。

逆にいえば、そんな状態にまで立ち至らないと、なかなか個々人のマインドは変わらないし、ひいては組織風土も変わりにくいというのもまたその通りなのです。そうならないまでに変革ができればいいのですが、なかなかむずかしいことは否定できません。

本書は、まさに「経営は実行」というフレーズを絵に描いたような再建ストーリーですが、ちょっと気になる点がありました。

正社員と契約社員が混在した職場である点は少しだけ触れられていますが、経営破綻前に言われていた労組の問題が完全に解決したのかどうかについては触れられていないこと、1985年の「日本航空123便墜落事故」(=御巣鷹山の事故)についてはまったく触れられていないことです。

すでに28年たっていますが、あの悲惨な事故の記憶が風化していないかどうか。稲盛さんが JALの経営から去ってから、改革マインドを持ち続けることができるかどうか。それが再生後のJALにとって、最大のチャレンジとなることは間違いありません。

そんな感想もありますが、ぜひ読むことをすすめたい一冊です。





<関連サイト>

JAL の幹部社員を叱り続けた日々 「解剖・稲盛経営」-稲盛和夫インタビュー(ダイヤモンドオンライン 2013年6月17日)

最先端の経営学は、理論と実践をどう捉えるのか?目的と手段が、JALの再生に果たした役割を考える。――対談:野中郁次郎×紺野登(後編) (ダイヤモンドオンライン 2013年5月17日)

経済の死角 シリーズ第2回 経営者とは何か「JALを再建した」稲盛和夫に何を学ぶか(現代ビジネス 2013年7月16日)

稲盛和夫「アメーバ経営」非難と称賛だけでは見落とす本質とは~合理性と非合理性の調和(Business Journal  2013年12月22日 長田貴仁)

JAL乗員組合がスト通告 「贅沢が過ぎる」とFB大炎上(2013年6月18日)
・・JAL社内には、まだまだ懲りない人たちがいるようだ。まさにKY

"新・経営の神様" 稲盛和夫が明かす「日本企業、大復活のカギ」 日本を「幸せに導く」方法とは(現代ビジネス、2016年8月24日)

(2016年8月27日 情報追加)


<ブログ内関連記事>

『週刊ダイヤモンド』の「特集 稲盛経営解剖」(2013年6月22日号)-これは要保存版の濃い内容の特集

鎮魂!「日航機墜落事故」から26年 (2011年8月12日)-関連本三冊であらためて振り返る

JALの「法的整理」について考えるために

『JAL崩壊-ある客室乗務員の告白-』(日本航空・グループ2010、文春新書、2010) は、「失敗学」の観点から「反面教師」として読むべき内容の本

書評 『未完の「国鉄改革」』(葛西敬之、東洋経済新報社、2001)-JALが会社更生法に基づく法的整理対象となり、改革への「最後の一歩」を踏み出したいまこそ読むべき本

書評 『空港 25時間』(鎌田 慧、講談社文庫、2010 単行本初版 1996)

『図説 中村天風』(中村天風財団=編、海鳥社、2005)-天風もまた頭山満の人脈に連なる一人であった

書評 『ユダヤ人エグゼクティブ「魂の朝礼」-たった5分で生き方が変わる!-』(アラン・ルーリー、峯村利哉訳、徳間書店、2010)
・・ビジネスをつううじて、仕事をつうじて魂を磨く! 基本的な哲学は共通

書評 『俺のイタリアン、俺のフレンチ-ぶっちぎりで勝つ競争優位性のつくり方-』(坂本孝、商業界、2013)-ビジネスモデル×哲学(理念)を参入障壁にブルーオーシャンをつくりだす
・・稲盛フィロソフィー信奉者による最新報告

書評 『道なき道を行け』(藤田浩之、小学館、2013)-アメリカで「仁義と理念」で研究開発型製造業を経営する骨太の経営者からの熱いメッセージ
・・稲盛フィロソフィー信奉者による最新報告

Where there's a Will, there's a Way. 意思あるところ道あり

書評 『全員で稼ぐ組織-JALを再生させた「アメーバ経営」の教科書-』(森田直行、日経BP、2014)-世界に広がり始めた「日本発の経営管理システム」を仕組みを確立した本人が解説
・・稲盛哲学と経営管理の仕組みが合体した「アメーバ経営」とは?

(2014年6月12日 情報追加)



(2012年7月3日発売の拙著です)





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2013年6月26日水曜日

『週刊ダイヤモンド』の「特集 稲盛経営解剖」(2013年6月22日号)-これは要保存版の濃い内容の特集



「哲学のない経営は有害だ」という教えを自ら考え抜いて実践しつづけ、先般 JAL(日本航空)の経営再建をなしとげた京セラ創業者の稲盛和夫氏という存在です。

苦難につぐ苦難の前半生のなかで、若い時から哲学や宗教的な問いを自らにつきつけて考え続けてきたカリスマ経営者。「宇宙の意思に従い、精進を重ね、魂を磨け」という教えですね。

商人が生きる道を説いた石田梅岩の現代版のような存在でしょうか。いやそれ以上でしょう。苦しい時があるからこそ、「存在」について考えざるを得なくなり、哲学に目覚めるという好例です。

稲盛氏は、日本の中小企業経営者には絶大な影響力をもっているだけでなく、中国でもその著作がベストセラーとなっています。

『週刊ダイヤモンド』の「特集 稲盛経営解剖」がガイドブックとして最適でしょう。 http://dw.diamond.ne.jp/category/special/2013-06-22 「現象は心の投影」であるという稲盛氏の哲学や思想的背景や著作についても紹介されています。

面白いのは、「経営者になってはじめて、大久保利通の素晴らしさに気がついた」という点。「非情と温情、細心と大胆という両極端を同時にもたなければあらたな物事を成し遂げることはできない」、と。まったく同感です。

いままさに「旬の人」である稲盛氏の経営哲学については、じっくりと考えたいものです。





目 次

Interview 稲盛和夫
稲盛和夫インタビュー
Part 1 稲盛和夫とは何者か
 原則は「人としての正しさ」 稲盛和夫の来し方行く末
 【Column】 西郷隆盛に大久保利通 稲盛哲学に生きる薩摩の偉人
 【ドキュメント盛和塾】 “魂”で結ばれた結束力 中小企業経営者の熱き勉強会
 【Column】 「社員をほれさせんかい!」で 変身した“チンピラ社長”
 【「稲盛哲学」はいかにして形成されたか】 働くことで「魂を磨く」 人々の共感を得た“稲盛教”
 【Column】 母校の鹿児島大学で 受け継がれる稲盛経営
Part 2 哲学と実学の実践現場
 【JAL】 アメーバとフィロソフィが 3万2000人の意識を変えた
 植木義晴(日本航空社長)インタビュー
 【KDDI】 合併後初のフィロソフィ改定 根底にある「動機善なりや」
 小野寺 正(KDDI会長)インタビュー
 【Column】 時間当たり付加価値を追え アメーバ経営の極意
 【京セラ】 時間当たり採算表から朝礼まで 本家・アメーバ経営に密着
 堺屋太一(作家)インタビュー
Part 3 稲盛流「成功の方程式」
 稲盛流「成功の方程式」
 【俺の】 飲食業に革命起こす ブックオフ創業者
 【大峰堂薬品工業】 逆境も景気も自ら変えられる
 【ミヤジマ】 事故対応を支えた 社長としての勇気
 【ケアサービス】 介護事業に至要たる 「人格を高める」こと
 【エイブル】 原発作業を支えた 燃える闘魂と使命感
 【神戸合成】 社員の幸福追求し 利益率10%超に
 【関水金属】 社内言語を共通化 納期遅れゼロ実現
 【Book Guide】 稲盛経営がよりわかるお薦めの本
<ブログ内関連>

書評 『稲盛和夫流・意識改革 心は変えられる-自分、人、会社-全員で成し遂げた「JAL再生」40のフィロソフィー』(原 英次郎、ダイヤモンド社、2013)-メンバーの一人ひとりが「当事者意識」を持つことができれば組織は変わる

書評 『全員で稼ぐ組織-JALを再生させた「アメーバ経営」の教科書-』(森田直行、日経BP、2014)-世界に広がり始めた「日本発の経営管理システム」を仕組みを確立した本人が解説
・・稲盛哲学と経営管理の仕組みが合体した「アメーバ経営」とは?

書評 『俺のイタリアン、俺のフレンチ-ぶっちぎりで勝つ競争優位性のつくり方-』(坂本孝、商業界、2013)-ビジネスモデル×哲学(理念)を参入障壁にブルーオーシャンをつくりだす
・・「稲盛哲学」の実践者によるビジネスモデル

書評 『「できません」と云うな-オムロン創業者 立石一真-』(湯谷昇羊、新潮文庫、2011 単行本初版 2008)-技術によって社会を変革するといういうことはどういうことか?

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2013年5月15日水曜日

書評 『俺のイタリアン、俺のフレンチ-ぶっちぎりで勝つ競争優位性のつくり方-』(坂本孝、商業界、2013)-ビジネスモデル×哲学(理念)を参入障壁にブルーオーシャンをつくりだす



『俺のイタリアン、俺のフレンチ-ぶっちぎりで勝つ競争優位性のつくり方-』(坂本孝、商業界、2013)は、ブックオフ創業者のあらたな挑戦についてみずから語った本です。

「俺のイタリアン」「俺のフレンチ」。雑誌やテレビ番組でも取り上げられている、いまもっとも注目を集めている「行列の絶えない飲食店」ですね。東京・銀座に集中出店している立食形式の店舗ですが、行列に並ぶのがキライなわたしは、残念ながらまだ行ったことはありませんが。

どうやったら「ぶっちぎりの競争優位性」を築くことができるか、ビジネスにかかわっていれば、誰もが関心あると思います。そのテーマについて具体的に語っている本です。

ビジネスモデルは、三ツ星クラスの店で腕を振るってきたプロの料理人をスカウトし、「原価率」を極限まで上げ、低価格だが回転数で勝負するというもの。「安くてうまい」が客を喜ばせリピート客とし、好循環をつくりあげる。

原価率を上げれば利幅が下がりますが、回転数を上げれば上げるほど利益はでる。経営のセオリーにきわめて忠実であります。スーパーマーケットのビジネスモデルを異業種である飲食業に導入した点に坂本氏の事業の天才ぶりがあらわれています。

じつに大胆な策です。シミュレーション結果をみればアタマでは理解できても、なかなか実行に踏み切れるものではないでしょう。

そしてその中核にあるのは、プロにはプロとしての仕事に専念してもらう環境をつくりだし、料理人が報われる仕組みをつくりたいというもの。

まさに、「仕組みで勝って人で圧勝する」(P.164)という坂本社長のコトバにあるように、人を中心にすえた経営ですね! 「ビジネスモデル × 哲学(理念)」で、ブルーオーシャンで参入障壁をつくりだすということになるでしょうか。

坂本孝氏の話は、ずいぶん以前になりますが、ブックオフが成長期に入って注目されていた頃に、プライベートな勉強会で話を聞いたことがあります。

中古ピアノ販売で成功されたことを話されていたことを覚えていますが、ギラギラしたところのまったくない、どちらかといって謙虚な印象を受けました。その秘密が稲盛フィロソフィーの体現者であったからだということが、この初の著者を読んではじめてわかりました。

「俺のイタリアン」「俺のフレンチ」の仕組みはなかなか真似できるものではありませんが(・・だからこそ「参入障壁」となっているわけですね!)、いろいろ学ぶことの多い本だと思います。マネジメントチームのあり方や、新規出店と人材育成の関係なども含めて、読む人によってさまざまでしょう。

間違いなく読んで損はない一冊です。





目 次

はじめに
第1章 希代の繁盛店「俺のイタリアン」誕生
第2章 2勝10敗の事業家人生
第3章 ブックオフがNo.1企業になれた理由
第4章 稲盛和夫氏の教えと、私の学び
第5章 「俺のフレンチ」「俺のイタリアン」は進化する
第6章 「物心両面の幸福を追求する」決意表明
第7章 業界トップとなり、革新し続ける
おわりに

著者プロフィール

坂本孝(さかもと・たかし)
1940年5月生まれ、山梨県甲府市出身。オーディオ販売や中古ピアノ販売などいくつかの事業を経て、1990年5月、「ブックオフ」を創業(1991年8月、ブックオフコーポレーション株式会社を設立)。16年間で1000店舗まで拡大し、書籍業界の流通に革命をもたらした。2009年11月、VALUE CREATE株式会社を設立し、飲食業に参入。2011年9月、東京・新橋に「俺のイタリアン」をオープン。大繁盛店となり、その後、同様のコンセプトで「俺のフレンチ」や、和食バージョンを展開(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。


<関連サイト>
 
VALUE CREATE株式会社 公式サイト (俺のイタリアン、俺のフレンチその他)

商業界 書籍販売サイト


<ブログ内関連記事>

書評 『社長は少しバカがいい。-乱世を生き抜くリーダー鉄則-』(鈴木喬、WAVE出版、2013)-「名物社長」が語る経営論

書評 『経営の教科書-社長が押さえておくべき30の基礎科目-』(新 将命、ダイヤモンド社、2009)

書評 『全員で稼ぐ組織-JALを再生させた「アメーバ経営」の教科書-』(森田直行、日経BP、2014)-世界に広がり始めた「日本発の経営管理システム」を仕組みを確立した本人が解説
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2013年4月1日月曜日

書評 『社長は少しバカがいい。-乱世を生き抜くリーダー鉄則-』(鈴木喬、WAVE出版、2013)-「名物社長」が語る経営論


『社長は少しバカがいい。』。なんとなくふざけた印象だが、すごく気になるタイトルだなあと感じてスルーしていたのですが、先週 「ダイヤモンド・オンライン」のインタビュー記事で、わが母校の大先輩(!)であることを知って、きゅうきょ注文して読んでみることにしたという次第。

著者は、消臭剤のエステーの会長。500人企業で500億円の売り上げをあげる一部上場企業。自らはチーフ・イノベーターと名乗っておられます。

昭和10年(1935年)生まれで戦中派の著者は、根っからの商売人の家系に生まれ育った人ですが、「いつも危機」だったといってます。敗戦後の大混乱などにくらべたら、比較するにもあたらない、と。長く生きてきた人のいうことには耳を傾けるべきですね。

危機的な状況に陥った際に、いかなる方法でそれを切り抜けてきたかが、著者自らが指揮した数々の事例で語られているので説得力があります。

大胆な発言と行動力で会社を引っ張ってきた著者も、ほんとうのところ小心者でセッカチだと正直に述べられております。

英語に play the fool という表現がありますが、日本語に直訳すれば、「バカを演じる」。この fool というのは道化のことでもありますが、「バカを演じるには」にはかなりの知性が必要でありますね。

バカを演じることのできるスゴさこそ、この本から読みとるべきしょう。ほんとうは数学が得意で、統計学のプロだそうです。保険会社でアクチュアリー(保険数理士)の資格を取得したというのだからスゴい。

その一方で、そろばん玉だけでは人はついてこない、と言い切る著者の、社員や顧客の巻き込み方、大いに学ぶべきものがあります。

経営書を読むヒマがあったら歴史書を読めというのも納得です。そしてマキャヴェッリの『君主論』が愛読書の一つというのも並みの社長ではない。リアリズムに徹すべし、と。

騙されたと思って読んでみてください。笑えます。勉強になります。

文句なしに面白い本です。元気の出る本です。あまりにも面白いので、ついつい何度も爆笑してしまいます。電車のなかで読むのは避けたほうがいいかもしれません。






目 次

はじめに
第1章 社長は社長をやれ。
 ① 社長は、高く「旗」を掲げろ。
 ② 社長はバカになって、「本気」を伝えろ。
 ③ あえて角番に立って、クソ度胸を出せ。
 ④ 経営は歴史に学べ。
 ⑤ 社長は大ボラを吹け。
 ⑥ 「運」と「勘」と「度胸」を磨け。
第2章 社長はカッコつけるな。
 ⑦ 社長は、奇麗事を言うな。
 ⑧ 暴走できるくらいの権力をもて。
 ⑨ まず、怖れられろ。慕われるのは、その後だ。
 ⑩ 社長は、常に「最悪」を考えろ
第3章 社長は「人間」を知り尽くせ。
 ⑪ 社長は「常識」をひっくり返せ。
 ⑫ 社長は「営業のプロ」であれ。
 ⑬ 数字から「現実」をつかみ出せ。
 ⑭ 働き一両、考え五両、見切り千両。
 ⑮ 反省はするな、よく寝ろ。
 ⑯ 会社には「シンボル」が必要だ。
第4章 社長は心意気をもて。
 ⑰ バカでなくて大将が務まるか。
 ⑱ 社長は群れるな、逆を行け。
 ⑲ いつでも、顔を高い所に向ける。
 ⑳ 変わり続けなければ、生き残れない。
あとがき


著者プロフィール

鈴木喬(すずき・たかし)
1935年(昭和10年)、東京で日用品の卸をしていた鈴木千蔵の四男として生まれる。戦争にかり出された兄たちにかわり、小学生のころから家業を手伝う。東京大空襲で店を焼かれ、焼け野原のなか父のゼロからの再出発も支えた。
東京都立新宿高等学校を経て、1959年一橋大学商学部を卒業。すでに、父と長兄がエステー化学(現エステー)を設立していたが、「兄貴にこき使われてはかなわない」と日本生命に入社。40代で法人営業部門を立ち上げ、年間契約高2兆円を超える「トップ営業マン」として活躍した。
1985年にエステーに出向。企画部長や営業本部首都圏営業統括部長などを経て、1998年に社長に就任。バブル期に膨らんだ「負の遺産」を大リストラするとともに、新商品開発を年間1点に限定。失敗の許されない状況で、全社の反対を押し切って発売した「消臭ポット」を大ヒットさせる。その後、「消臭力」「脱臭炭」などヒットを連発。生活雑貨業界にイノベーションを起こすとともに、社員数500人の「世界のニッチトップ企業」として、P&Gをはじめとするグローバル企業と戦う企業へと成長させた。
2005年には創業以来最高の純利益18億円を達成、売上高も社長就任時から20%増やした。07年に社長を退任し会長に就任するも、リーマン・ショック後の危機を打開するため09年に社長に復帰、現在に至る。徹底したお客様志向の商品開発、CM等の企業コミュニケーションなど、イノベーティブな企業経営が注目を集めている。
週末に軽井沢にある別荘の近くでスポーツバイクに乗って汗を流すのが息抜き。座右の銘は「運と勘と度胸」。座右の書はマキャベリの『君主論』。(出版社サイトより)



<関連サイト>

エステー・鈴木喬会長【上】我がヒット商品の発想法を語ろう好奇心、妄想、ノーメモがアイデアの沈殿物を生む (ダイヤモンドオンライン 2013年3月29日)
エステー・鈴木喬会長【中】我がヒット商品の発想法を語ろう好奇心、妄想、ノーメモがアイデアの沈殿物を生む (ダイヤモンドオンライン 2013年4月5日)


エステー株式会社 鈴木喬-私は「壊し屋」かも知れません。 (賢者.TV 2012年4月)
・・以下のプロフィールが掲載されているので引用しておきます。


氏名 鈴木 喬
会社名 エステー株式会社
出身地 東京都
出身校 一橋大学商学部
出生年 1935年
こだわり 負けることは大嫌い
趣味 自転車、スキー、水泳
特技 数学、統計学
休日の過ごし方 お店まわり
座右の銘 「運と勘と度胸」
心に残る本 『君主論』マキアヴェッリ、『戦略の本質』野中郁次郎・戸部良一他
尊敬できる人 勝海舟
現在の仕事の魅力と苦労 世界の名だたる会社と競争している緊張感が魅力です。
日本を背負う若者へのメッセージ 仕事をしている上では「命までは取られない」ので、 思い切ってチャレンジして欲しいと思います。


<ブログ内関連記事>

書評 『「できません」と云うな-オムロン創業者 立石一真-』(湯谷昇羊、新潮文庫、2011 単行本初版 2008)-技術によって社会を変革するといういうことはどういうことか?

書評 『京都の企業はなぜ独創的で業績がいいのか』(堀場 厚、講談社、2011)-堀場製作所の社長が語る「京都企業」の秘密

「専門家」は何も分かっていない?-いかにして 「当事者」 は 「専門家」 を使いこなすべきか




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2013年3月4日月曜日

最高の「ナンバー2」とは?-もう一人のホンダ創業者・藤沢武夫に学ぶ


「ナンバー1」を目指すのはすばらしいことです。どんな小さな分野でも一番になれば自信がつきますし、極めれば第一人者としてリスペクトされるようになります。

ここでいう「ナンバー2」とは、その意味ではありません。二番手に甘んじろといっているわけではけっしてありません。

トップがいればそのつぎのポジションにつく者がいる。それを営利であれ、非営利であれ、「組織の「ナンバー2」といいます。参謀や補佐役、右腕とよばれることもあります。

戦国時代の軍師や政治の世界はさておき、経営の世界でいえば、なんといってもホンダの藤沢武夫氏(故人)が最高の「ナンバー2」といっていいでしょう。むかしから尊敬してやまない人です。

ホンダの創業経営者の一人ですが、本田宗一郎という天才エンジニアにほれ込み、その能力を完全に「引き出し」てあげたいという思いから、あえて「ナンバー2」のポジションを25年間まっとうしたすばらしい経営者。

聞き書きを一冊にした 『経営に終わりはない』(文春文庫、1998 初版 1986) は、ぜったいに読むべきビジネス書として筆頭にあげたいもの。

その以前に出版された 『松明(たいまつ)は自分で持て』(PHP、2009 初版 1974)と内容はかなりかぶりますが、どちらか一冊はかならず読んでおきたいものです。

とくに創業期においては、「ナンバー1」は突出した能力やとんがったものがあれば、多少の欠点はあってもかまわないのですが、かならず優秀な「ナンバー2」をもっていることが必要です。そういう存在がいれば、なんども訪れる難局はかならず乗り切れるものです。

藤沢武夫氏は、技術以外の財務や販売など経営にかかわることはすべて引き受けて、「ナンバー2」に徹し切った経営者です。本人も述懐しているように、経営者としては本田宗一郎よりもうえであったのにかかわらず、あえて「ナンバー2」に徹したところがすごいのです。抑制力、あるいは自己コントロールのできる人だったのでしょう。

わたし自身も「ナンバー2」を約7年間やりました。野球でいえばピッチャーではなくキャッチャーのポジションに近いかもしれないなと思いました。華やかではないものの、きわめて重要なポジションです。そういえば、野村克也監督もキャッチャーでしたね。

多くの日本企業で、意識的に「ナンバー2」のポジションをつくってほしいいものだとつよく思います。

とはいっても、人間には相性というものがありますので、なかなかにしてむずかしいものがありますが。わたしも、うまくいっていない例はさんざん見てきました。

wikipedia には以下のようなエピソードがありますので紹介しておきましょう。

舞台や音楽鑑賞を趣味とした藤沢に対し、本田はゴルフなどの行動的な趣味を持っていた事から、不仲説が浮上したことがあった。しかし当人たちは、互いが当時住んでいた地名の「下落合」(本田)、「六本木」(藤沢)と呼びあうなど良好な関係だった。「いつも手をつないで一緒にいるのを仲良しとは呼ばない。私達は離れていても、今この瞬間、相手が何を考え、どうするかが、手に取るように分かる。」とも語っている。

「いつも手をつないで一緒にいるのを仲良しとは呼ばない・・」。耳を傾けるべきではないでしょうか。

藤沢武夫氏自身は、創業から最初の2年間ほどは徹底的に話こんでいたが、そのあとはほとんど一緒にいることはなくても問題なかったと語っています。徹底的に権限移譲を進め、経営上の大きな問題が起こったときには経営者が全面にでるわけです。

本田宗一郎+藤沢武夫のコンビは稀有な組み合わせかもしれませんが、一つの「理想形」として知っておくことが重要なのです。「ナンバー2」は、藤沢武夫をベンチマークとしながら自らの言動を省みることができるからです。

まずはぜひ『経営に終わりはない』 『松明(たいまつ)は自分で持て』 のいずれか一冊には目を通していただきたいと思う次第です。






『経営に終わりはない』  目 次

1 生命をあずかる仕事
2 思いがけぬ危機
3 本業以外に手を出すな
4 万物流転の法則
5 経営者の心構え
6 模索と学習の日々
7 たいまつは自分で持て
8 海のむこうへ
9 頭の切り替え
10 本田かぶれ





『松明(たいまつ)は自分で持て』  目 次

第1章 本田宗一郎との出会い
第2章 スーパーカブ誕生そして世界へ
第3章 学んだこと、思うこと


藤沢 武夫(ふじさわ・たけお)
1910年~1988年。実業家。東京市出身(本籍は父の出身地である茨城県結城市)。本田宗一郎と共に本田技研工業(ホンダ)を世界的な大企業に育て上げた。wikipeia情報による。


<関連サイト>

本田宗一郎氏、"野人哲学" を大いに語る  "社長交代" もたついてはみっともねェ (日経ビジネス編集部、2014年9月3日)
・・1973年9月3日号の記事の再録



<ブログ内関連記事>

書評 『No.2理論-最も大切な成功法則-』(西田文郎、現代書林、2012)-「ナンバー2」がなぜ発展期の企業には必要か?

シェリル・サンドバーグという 「ナンバー2」 としての生き方-今週の Bloomberg BusinessWeek (ビジネスウィーク) のカバーストーリーから

「長靴をはいた猫」 は 「ナンバー2」なのだった!-シャルル・ペローの 「大人の童話」 の一つの読み方

官房長官は実質的に政権「ナンバー2」-政治と企業経営の共通点について考えてみる

「世襲」という 「事業承継」 はけっして容易ではない-それは「権力」をめぐる「覚悟」と「納得」と「信頼」の問題だ!

書評 『挫折力-一流になれる50の思考・行動術-』(冨山和彦、PHPビジネス新書、2011)

「人間尊重」という理念、そして「士魂商才」-"民族系" 石油会社・出光興産の創業者・出光佐三という日本人
・・ホンダもまた「人間尊重」を理念としている

書評 『「無分別」のすすめ-創出をみちびく知恵-』(久米是志、岩波アクティブ新書、2002)-「自他未分離」状態の意識から仏教の「悟り」も技術開発の「創出」も生み出される
・・ホンダ第三代目社長経験者による技術開発を中心とした「創発」メカニズムの解明

(2014年8月21日、11月3日 情報追加)





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2012年12月11日火曜日

書評 『No.2理論-最も大切な成功法則-』(西田文郎、現代書林、2012)-「ナンバー2」がなぜ発展期の企業には必要か?



『No.2理論-最も大切な成功法則-』(西田文郎、現代書林、2012)という本が出版されています。

「ナンバー2」というタイトルに目をひかれました。なぜなら、わたし自身がある中小企業で7年間にわたって「ナンバー2」を務めたらからです。

「ナンバー1」ばかりがもてはやされるなか、なぜいま「ナンバー2」なのか?

「ナンバー2」とは、企業など組織での重要な機能のことを指しています。経営トップが「ナンバー1」であれば、その補佐役が「ナンバー2」。もっとも有名な例でいえば、ホンダの創業者である本田宗一郎を支え続けた藤澤武夫をあげることができるでしょう。

本書は、「ナンバー2」がなぜ発展期の企業には必要か述べています。「ナンバー2」は、日本においては、大番頭、女房役、補佐役、相談役といった役割になります。

会社経営では「ナンバー2」がカギを握っているという著者の主張には全面的に賛成です。つぶれる会社、伸び悩む会社の共通点は「ナンバー2」を欠いていることというのはその通りです。

著者が言うように、優秀な「ナンバー2」をもつ「ナンバー1」は最強といっていいでしょう。その関係は足し算ではなく掛け算だからです。

そして、「ナンバー2」のなんたるかを知り、「ナンバー2」を体験した者は、「ナンバー1」になってから成功する可能性が高いとは言って問題ない。

でも実際には優秀な「ナンバー2」はきわめて少ない。それは「ナンバー2」の能力不足の問題でもあり、また「ナンバー1」の器量の大きさの問題でもあります。

本書が、「ナンバー2」について注意を促した点は評価すべきです。なぜなら、ここのところ「ナンバー2」を正面切って論じた本がまったくなかったからです。かつては少なくなかったのですが、冒頭にも書いたように「ナンバー1」を目指すことばかりが強調されるきらいがあったからです。

ただ、わたしとしては本書に不満が多々あるのは、書かれていることはややキレイごとが多いのではないかという点です。

また、「MBAでは教えないが・・」というフレーズがでてきますが、ピントはずれなものの少なくないという印象をうけます。グーグルのシェリル・サンドバーグのような「ナンバー2」をどう説明するのか、本書からはまったくわかりません。

経営トップという「ナンバー1」がきわめて孤独なポジションであるとすれば、「ナンバー2」というのは、体験者であるわたしの理解においては、きわめて危険なポジションです。「ナンバー1」と一般従業員のあいだに挟まれるポジションであるからです。

しかも、あくまでも補佐役に徹しなくてはならないのに、求められる要件はきわめて大きくかつ多い。最終責任を負うのは「ナンバー1」ですが、「ナンバー1」以外のすべての執行責任は「ナンバー2」にあるのです。

欲望、誘惑、権力。こういった人間の根源的なものにかんする考察を抜きに「ナンバー2」を語るのは危険ではないかとわたしは思います。なぜなら、この世には聖人君子といえるような人は、きわめてまれにしか存在しないから。それは「ナンバー1」も「ナンバー2」も同じです。

わたしは、「ナンバー2」は目指すべきものだとは思いません。目指すのではなく、求められてなるもの、巡り合わせでなるものです。

しかし、求められてその立場にたったとき、「ナンバー2」に求められるものを理解し、その「覚悟」を決めることこそが本質的に必要であると考えています。それが「ナンバー1」と「ナンバー2」のあいだに「信頼」を生み出すのです。「信頼」は「なれあい」ではありません。

なによりもまず、「ナンバー2」は組織における機能であり、「ナンバー2」とは組織内における人間の生き方でもあるのです。しかも、きわめて厳しいものが求められる困難な生き方です。これは中国近現代史であれば、毛澤東と周恩来の関係を考えてみればすぐにわかることです。

「ナンバー2」論は、精神論に終わらせず、経営理論として鍛え上げる必要があるのではないかと思うのは、わたしが「ナンバー2」を7年間にわたって経験しているからです。

組織「外」の立場と組織「内」の立場とでは、180度まったく違うのです。これは身をもって体験しない限り、よほどのイメジネーション能力の持ち主でない限り、理解困難なことでしょう。

とはいえ、『No.2理論』という形で「ナンバー2」論を執筆した著者と、それを可能にした出版社には敬意を表します。ここ数年、「ナンバー2」というタイトルでは、まったく出版がなくなっていたからです。これを機会に、企業組織において「ナンバー2」の役割が見直されることを願います。

わたしもいずれ、自分自身の体験というフィールドワークをベースにした、自分自身の「ナンバー2」論を執筆したいと考えております。


PS 都知事選の結果について

「ナンバー2」を体験したトップはつよい。その意味では東京都知事に当選した猪瀬氏への期待は大きい。石原慎太郎前都知事の下で5年半のあいだ「ナンバー2」をつとめた実績は多いに評価すべきであろう。(2012年12月17日 記す)





目 次

まえがき
第1章 会社も組織もチームもナンバー2が伸ばす
第2章 会社の実態はナンバー2を見ればつかめる
第3章 戦う集団にこそナンバー2が不可欠である
第4章 七つの心得がナンバー2のレベルを決める
第5章 間違いない人選でナンバー2を育て上げる
第6章 優秀なナンバー2が優秀なトップをつくる
あとがき

著者プロフィール

西田文郎(にしだ・ふみお)
株式会社サンリ代表取締役会長。株式会社キャリティ取締役会長。西田塾塾長。西田会会長。1949年生まれ。日本におけるイメージトレーニング研究・指導のパイオニア。1970年代から科学的なメンタルトレーニングの研究を始め、大脳生理学と心理学を利用して脳の機能にアプローチする画期的なノウハウ『スーパーブレイントレーニングシステム(S・B・T)』を構築。日本の経営者、ビジネスマンの能力開発指導に多数携わり、驚異的なトップビジネスマンを数多く育成している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。



<ブログ内関連記事>

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「世襲」という 「事業承継」 はけっして容易ではない-それは「権力」をめぐる「覚悟」と「納得」と「信頼」の問題だ!

書評 『挫折力-一流になれる50の思考・行動術-』(冨山和彦、PHPビジネス新書、2011)

(2014年11月3日 情報追加)




(2012年7月3日発売の拙著です)









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2011年12月26日月曜日

「世襲」という 「事業承継」 はけっして容易ではない-それは「権力」をめぐる「覚悟」と「納得」と「信頼」の問題だ!




「世襲」という事業承継のあり方について

つい先日の20111年12月19日に、北朝鮮のキム・ジョンイル総書記が死去したというニュースが全世界をかけめぐりました。

日本は、とくに朝鮮半島とは有史以来、密接な関係があることもあり、国民の関心もきわめて高いものがあります。

死因は心筋梗塞だと伝えられていますが、それが正確な情報であれば、「独裁者」とはいえ、一国の命運を背負う立場にある以上、そうとうの重圧がかかっていたのではないかと推察されます。

ただ、ひとつ気になるのは、「世襲」批判がまたやかましくなるのではないか、という気がしてならないことです。

しかし、ちょっと待てよ、という気持ちになるのを感じます。

大企業のサラリーマンは「世襲」批判の急先鋒でしょう。大手マスコミもまた大企業ですから、その意味では同じですね。

ところが、大企業以外では、世襲はけっして例外的ではありません

経営というものは、それじたいが一つの専門職ですから、サラリーマンの出世スゴロクのあがりといったものではありません。部分最適の実務家にはできない、全体をみることが経営者には求められます経営者と従業員は、機能という面からみれば似て非なるものだっといっていいでしょう。

話を北朝鮮に戻しましょう。

北朝鮮は社会主義を標榜(ひょうぼう)しているのにかかわらず、一族による世襲が三代目だという批判もよく聞かれます。たしかに初代のキム・イルソン、キム・ジョンイル、キム・ジョンウンと三代にわたって男子直系相続がなされることになるわけです。しかも社会主義の旗はいまだに降ろしていない。

誤解があってはいけないので、あらかじめ申しておきますが、わたしは北朝鮮の体制を肯定しているわけではありません。また、なにかのたとえとして例にだしたわけでもありません。

ただ、国家の運営もまた一つの事業と捉えれば、事業承継という観点からひじょうに興味深いものを感じながら報道を見ているわけです。体制の違いはあれ、国家経営はある意味ではマネジメントそのものですから。

安定的に運営するためのシステムは、男子直系相続であるというのが、儒教の影響の色濃い中国や韓国・朝鮮における伝統ですね。事業経営や、社会の安定装置として「世襲」を選択してきた事実はけっして無視できません。

じっさいには、子どもは男子だけとは限りませんから、女子もまた事業の一翼を担う後継者として想定されているのが現代の傾向です。たとえばタイの華僑華人の世界でも、同族の女性経営者がきわめて多いですね。

ただ日本が、中国や韓国と違うのは、世襲でありながら、かならずしも実子にこだわらないこと。見込みのある若者を養子として取り込み相続させることで「家」システムを維持してきたことは江戸時代以来の伝統です。

日本の場合は、芸事でも「世襲」はむしろ当たり前といえます。


とはいえ、世襲による事業承継はやさしい課題ではない

とはいえ、「世襲」による事業承継は、思われているよりも、じつに難しいものがあります。ここでは企業経営に話を限定しておきましょう。

難しさは大きく分けて二つあります。事業承継する本人にとっての難しさと、それを受け入れる従業員にとっての難しさです。

経営は「覚悟」の問題です。ですから、経営を事業承継する本人にとっては覚悟の問題であり、これはある程度まで幼少期からの帝王教育によってカバーされるといっていいでしょう。あとは後天的な学習のみ。「習うより慣れよ」の世界ですね。

一方、受け入れる従業員の側からみれば、それは「納得」の問題になります。この人のリーダーシップに従って自分は幸せになれるのか、自分の家族を幸せにできるのか。これはリーダーシップというよりも、フォロワーシップの問題です。従うチカラのこと。これは意外と重要な問題です。

なぜなら、経営者と従業員のあいだには「権力」がかかわってくるからです。

事業経営には「権力」がつきまといます。組織は個人の集まりですから、人間集団のなかではかならず「権力」が発生するのです。

ただし、「権力」そのものは善でも悪でもありません。指揮命令の系統がなければ組織運営はできませんので、「権力」を行使する人と「権力」を行使される人が発生します。

「権力は行使するためにある。権力をもつ者は行使する義務がある。ただし、それは正しく行使されなければならない」。これは大学時代以来のわたしの持論ですが、体育会の主将をつとめるなかで実感し、体得したものです。

人の上にたつ人は「権力」を正しく行使することが求められ、それに従う者はそれを受け入れなければ組織は成り立たない。

そしてそのためには、組織内コミュニケーションが良好な状態になければならないのです。その要は相互の「信頼」関係です。経営者なくして従業員なし、従業員なくして経営者なし。お互いがお互いを支え合う関係にあるからですね。

株式上場している大企業では「世襲」は望ましいとはわたしも思いませんが、それ以外の中堅中小企業においては「世襲」は善でも悪でもないのです。

所有と経営の分離は近代経営の要だと経営史では教えていますが、オーナーシップがなければコミットメントの度合いも薄くなりがちなものであることは否定できません。

要は「世襲」であろうがなかろうが、正しく経営すること。カリスマは先代あるいは先々代の一代限りだと自覚しておくこと。

これが、「世襲」によってその地位につく経営者の責務であり、自分の責任範囲で自社にかかわるひとびとを幸せにすることが、大きな貢献となるのです。



<推薦書>

事業経営における「世襲」については下記の書籍を推薦します。


『世襲について-事業・経営篇-』(江坂彰=監修、日本実業出版社、2001)

目 次
序章 いま、なぜ世襲なのか-世襲は“不滅の文化”である
1章 世襲とは何か- "志" の承継で信用を未来へ
2章 世襲の強みとその必然性は-絶えざる変革こそ永続の基なり
3章 老舗企業の原点は-世紀を超えて "橋渡しの理" が
4章 世襲の難しさとは-初心を離れたとき自壊を招く
5章 継後を託す子へ親は何を-賢者は歴史に、愚者は経験に学ぶ
6章 世襲のこれからは-創業哲学の伝承は時代を超えて

著者プロフィール
江坂 彰(えさか・あきら)
経営評論家・作家。1936年、京都市生まれ。京都大学文学部卒業と同時に大手広告代理店に入社。本社マーケティング局長、名古屋支社長、関西支社長等を歴任後、作家活動に入る。





<関連サイト>

カリスマ経営者が語る事業承継の要諦~会社存続を最優先に、人間心理に精通せよ~

ファミリービジネスで気づいた日本の“偏見”-見方を変えると、異なる風景が見えてくる (御立尚資、日経ビジネスオンライン、2014年4月14日)
・・ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)の日本代表による記事。日本の大企業サラリーマン諸氏は、世襲が当たり前のファミリービジネス(同族企業)として偏見をもっている人も少なくないようだが、世界的にみればそれは非常識であることが理解できるだろう

シリーズ 星野佳路と考えるファミリービジネス 

「家族経営」が日本を支えている (星野佳路、日経ビジネスオンライン、2014年2月13日)

後継者はどのように「生まれる」のか-日本交通の川鍋一朗社長との対談で考える (星野佳路、日経ビジネスオンライン、2014年2月20日)

社内の「予想以上」の状況を改革 日本交通の川鍋一朗社長との対談で考える(2) (星野佳路、日経ビジネスオンライン、2014年2月27日)
星野: ファミリービジネスを継いでいる若い経営者に聞くと、入ってからおとなしくなる人が意外なくらい多い。親の言うままにやっていては、「いつか変えてやろう」という気持ちもなくなります。後継者は最初からある程度リスクを取っても「変える気概」を持つべきです。そうでなければ、若い世代が入っても、新しいエネルギーになりません。
川鍋: 私のように3代目になると、創業者がつくったビジネスモデルの有効期限が切れているケースがあります。それだけに、ファミリーで培ったことを生かしながら、変革への強い意志を持って付加価値を追加することが必要になってきます。
星野: ファミリーで培ってきた強さに依存しているだけでは、事業を継ぐ立場として、責任を果たせません。大事なのはやはり、「自分の代で何を変えてやろうか」ということだと思います。そうした意識があれば環境をうまく生かせるし、世襲に対して、周りの納得感は高まります。変革マインドは大事だと思います。
同族経営の承継ではハードな世代交代を恐れてはいけない (星野佳路・星野リゾート代表、習慣ダイヤモンドオンライン、2015年12月28日)




<ブログ内関連記事>

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書評 『ホッピーで HAPPY ! -ヤンチャ娘が跡取り社長になるまで-』(石渡美奈、文春文庫、2010 単行本初版 2007)

書評 『仕事ができる人の心得』(小山昇、阪急コミュニケーションズ、2001)

書評 『挫折力-一流になれる50の思考・行動術-』(冨山和彦、PHPビジネス新書、2011)

「絶対権力は絶対に腐敗する」-リビアの独裁者カダフィ大佐の末路に思うこと

書評 『叙情と闘争-辻井喬*堤清二回顧録-』(辻井 喬、中央公論新社、2009)-経営者と詩人のあいだにある"職業と感性の同一性障害とでも指摘すべきズレ"

「人間尊重」という理念、そして「士魂商才」-"民族系" 石油会社・出光興産の創業者・出光佐三という日本人

書評 『日本の血脈』(石井妙子、文春文庫、2013)-「血脈」には明治維新以来の日本近代史が凝縮

600年ぶりのローマ法王退位と巨大組織の後継者選びについて-21世紀の「神の代理人」は激務である

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