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2015年12月15日火曜日

書評 『安売り王一代-私の「ドン・キホーテ」人生-』(安田隆夫、文春新書、2015)-「逆張り経営」の創業経営者が語る赤裸々な自伝


『安売り王一代-私の「ドン・キホーテ」人生-』(安田隆夫、文春新書、2015)を一気読みした。この本は面白い。一気読みさせるだけの熱がある。

「ドンキ」については、あえて説明する必要はあるいまい。著者は、そのドンキを一から立ち上げて現在に至るまで成功させた創業経営者である。

「ドンキ」を貫いてきたのは、一言で言えば「逆張り」。流通業の常識を知らない、無手勝流の素人ゆえ強みと弱み、成功と失敗。まさに波乱万丈の一代記である。

一から立ち上げた創業経営者であるからこそ隅々まで熟知しているのだが、みずからの人生の赤裸々な述懐には、同時に自らを突き放してみることのできる知性も感じさせる。

みずから「内圧」の強いと語る人による人生論として読んでも面白いのではないかと思う。

おすすめの一冊。






目次

はじめに 若者よ、「はらわた」を振り絞れ!
第1章 絶対に起業してみせる
第2章 ドン・キホーテ誕生
第3章 禍福はあざなえる縄の如し
第4章 ビジョナリーカンパニーへの挑戦
第5章 不可能を可能にする安田流「逆張り発想法」
終章 波乱万丈のドン・キホーテ人生に感謝


著者プロフィール

安田隆夫(やすだ・たかお)
1949年岐阜県大垣市生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、不動産会社に就職するも入社10カ月後に倒産。以降、長い無頼と放浪の時代を過ごす。78年、東京・杉並区にわずか18坪のディスカウントショップ「泥棒市場」を開店。深夜営業でヒットし成功を収めるが、5年で売却し、バッタ屋「リーダー」を設立。これも大きな利益を上げるが、小売業への再参入を決意し、89年に「ドン・キホーテ」1号店を東京・府中に開店。幾多の失敗や苦難を乗り越えながら急成長を続け、96年に株式店頭公開、98年東証2部上場、2000年東証1部上場。2015年6月にドンキホーテホールディングス代表取締役会長兼CEOを退任。現在は、ドン・キホーテグループ創業会長兼最高顧問(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。



<ブログ内関連記事>

書評 『道なき道を行け』(藤田浩之、小学館、2013)-アメリカで「仁義と理念」で研究開発型製造業を経営する骨太の経営者からの熱いメッセージ

書評 『俺のイタリアン、俺のフレンチ-ぶっちぎりで勝つ競争優位性のつくり方-』(坂本孝、商業界、2013)-ビジネスモデル×哲学(理念)を参入障壁にブルーオーシャンをつくりだす

書評 『「できません」と云うな-オムロン創業者 立石一真-』(湯谷昇羊、新潮文庫、2011 単行本初版 2008)-技術によって社会を変革するといういうことはどういうことか?

書評 『不格好経営-チームDeNAの挑戦-』(南場智子、日本経済新聞出版社、2013)-失敗体験にこそ「学び」のエッセンスが集約されている

グンゼ株式会社の創業者・波多野鶴吉について-キリスト教の理念によって創業したソーシャル・ビジネスがその原点にあった!




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2013年11月28日木曜日

お寺の「経営改革」-外部環境の変化にどう対応して生き残るか?


今週月曜日(2013年11月25日)の「首都圏ニュース」をたまたま見ていたら、「檀家制度やめます」というタイトルで埼玉県熊谷市のお寺が「檀家制度」を廃止した(!)というニュースを取り上げていました。「みんなのお寺 見性院」の事例です。

なんと全国で7万以上と、4万軒あるコンビニより数の多い(!)のがお寺です、過剰感は否定できないでしょう。

お寺の経営を財務面から支えているのが「檀家(だんか)制度」。「檀家制度」とは、「葬祭供養を独占的に(!)執り行なうことを条件に結ばれた寺と檀家の関係」(wikipediaの説明)のことですが、江戸時代初期以来、徳川幕府の宗教政策として生まれ、日本仏教に定着したものです。




この檀家制度が、少子化や都市化などが原因で、基盤となる地域コミュニティーの崩壊によって維持が困難になってきております。つまり外部環境が変化しているのです。

「檀家制度」を廃止して「開かれたお寺」にし、檀家に依存しない収入構造を確立し(・・お寺を葬儀場にして葬儀コストを3割ダウンすることに成功、などなど)、お坊さんが親身になって信徒のカウンセラーを行うなどの結果、かえって信徒が増えた(!)と放送では紹介されていました。

お寺の世界はビジネスとは関係ないとおもうべきではないでしょう。経済問題、とくにキャッシュフロー問題から考えると、檀家の減少はそのままキャッシュインフローの減少という問題につながります。

わたしは、この番組をみていて、外部環境の変化に対して、いかに経営主体として環境変化に対応するかという事例で考えていました。

追い詰められて住職=経営者は真剣に考える。この住職の場合は、檀家制度を廃止してみて、はじめてそこに「市場」があると気付いたわけですね。市場の発見です。

いまなら「檀家制度廃止」は、消費者(=潜在的信徒層)にとって、きわめてアピール力のつよい「差別化要因」となるはずです。

お寺を本来の姿に戻して、コミュニティーセンターあるいはサロンとしてとらえることが大事なのだと思います。「地域密着型」業態としてのお寺の意味があらためて見直されてきたということでしょうか。

「みんなのお寺 見性院」は一歩前に踏み出した、ということですね。そうはいっても、400年近く続いてきた社会制度に風穴を開けたわけですから、なかなか向かい風も強いのではないかと思われます。

成功モデルが増えれば「お寺改革」も流れとなっていくのではないかと期待されます。ぜひ住職の橋本氏には信念を貫いていただきたいと、心から応援いたいと思います。

外部環境の変化に対応しなければ、生き残ることができないのはビジネスだけではありません。






<関連サイト」>

見性院・熊谷のぴんころ寺/日本で初めて檀家制度を廃止!宗派を超えて寺院葬儀と家族葬を承ります

遺骨を「ゆうパック」で送る時代 漂流する墓 (下) (日経ビジネスオンライン、2015年2月18日)
・・「埼玉県熊谷市にある曹洞宗・見性院には毎週のように「遺骨」が、宅配便で送られてくる。遺骨は、ペットの骨や化石などではない。れっきとした火葬後の人間の骨である・・」

(2015年2月18日 情報追加)



<ブログ内関連記事>

書評 『お寺の経済学』(中島隆信、ちくま文庫、2010 単行本初版 2005)-経済学の立場からみた知的エンターテインメント

タイのあれこれ (16) ワットはアミューズメントパーク
・・タイのお寺(ワット)は地域社会のコミュニティセンターである!

「法然セミナー2011 苦楽共生」 に参加してきた-法然上人の精神はいったいどこへ?






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2013年7月11日木曜日

書評 『不格好経営-チームDeNAの挑戦-』(南場智子、日本経済新聞出版社、2013)-失敗体験にこそ「学び」のエッセンスが集約されている



この本は出版を楽しみにしていた本。出版されてすぐに読みました。期待を裏切ることがないというより、期待以上に面白くてすばらしい内容でした。

マッキンゼー社のパートナーだった著者は、クライアントの何気ない一言から「起業熱」という「熱病」にとりつかれ、ほんとうに起業してしまいましました。その経緯や、その後の立ち上げ期の苦闘が、失敗経験の数々やおカネの話も交えて赤裸々に語られています。

まず共感したのが、「まえがき」で著者がこう書いていることです。

私はビジネス書はほとんど読まない。こうやって成功しました、と秘訣を語る本や話はすべて結果論に聞こえる。まったく同じことをして失敗する人がごまんといる現実をどう説明してくれるのか。だから本書の執筆にあたっては、誰か遠い他人の仕業と思いたいほど恥ずかしい失敗の経験こそ詳細に綴ることにした・・(後略)・・

現時点では「成功物語」にみえても、そこにたどりつくまでは絶えざる「苦闘」の連続であり、「成功」するベンチャーより「失敗」するベンチャーのほうがはるかに多いのです。いま「成功」していても明日もその状態が続くという保証もまったくない。

また、経営コンサルタントと経営者が真逆といっていいほど異なる存在であるという、ご本人の実体験を踏まえた実感のこもった感想、この点はわたしもコンサル会社をやめて中小企業の取締役(=ナンバー2)になってみてイヤというほど味わいましたので、腹の底から共感します。

DeNA(ディー・エヌ・エー) という会社そのものについてはさておき、ベンチャー起業の苦闘の記録として読むと実りある読書となると思います。

それにしても思うのは、本を書くというのは、自分を語ることになるので、じつに恥ずかしい行為なのであると。だからこそ、読む側にとっては面白いのであるわけですね。これもまた、わたしもじっさいに自分で本を書いてみてよくわかりました。

ふだんビジネス書を読めとは薦めないわたしも、この本はつよく推奨いたします。





目 次

第1章 立ち上げ 
 熱病
 川田とナベ
 ソネットかリクルートか
 「もしかして、あなたバカですか?」
 わが社最大のトラウマ
 麻呂顔の天使
 ビッダーズの誕生

第2章 生い立ち
 うどんが飛んだ日
 進学をめぐる反抗
 マッキンゼーに行きたい
 こんな会社辞めてやる
 「最後」のプロジェクト
 社内結婚と煮魚

第3章 金策 
 ヤフオクの背中 
 ペーパータオル1枚で手は拭けます
 イーベイの思い出
 父からの手紙
 ヤフオクの値上げ
 黒字化への軌道修正
 激やせラリー
 大株主企業による売却
 渋谷で叫んだ朝
 社長の年収査定

第4章 モバイルシフト 
 異質なモバオク
 天才アルバイトの降臨
 上場で思い出す涙
 3人で飲んだワインの味
 モバゲーの誕生
 CMをめぐるバトル
 出会い欲求との戦い
 川田のメッセージ
 本音のため息と弱音 
 DeNAクオリティー

第5章 ソーシャルゲーム 
 「怪盗ロワイヤル」誕生
 守安の歯
 企業の品性
 公取立ち入り検査
 七転八倒の海外展開
 3・11

第6章 退任 
 わが家を襲った激震
 南場カンパニーか公器か
 闘病プロジェクト発足
 守安 いびつな奇才
 春田 二人羽織の相棒
 プロ野球参入とナベツネさん
 試練を乗り越える新経営陣 
 前例のない「道なき道」

第7章 人と組織 
 社長の時間の使い方
 コンサルタントと事業リーダーの違い
 人を口説くときに心がけること
 人が育つ組織
 優秀な人の共通点
 MBAは役立つか
 社長についていきます?
 ロールモデルと師匠
 社員の卒業について
 女性として働くこと

第8章 これから 
 広がり続ける事業領域
 社長守安の任せる勇気
 熱病は続く

あとがき
謝辞

沿革


著者プロフィール 

南場智子(なんば・ともこ)
株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)ファウンダー。新潟市生まれ。津田塾大学卒業後、1986年マッキンゼー・アンド・カンパニー入社。1990年ハーバード・ビジネス・スクールでMBA取得、1996年マッキンゼーでパートナー(役員)に就任。1999年同社を退社してDeNA を設立、代表取締役社長に就任。2005年東証マザーズ上場を果たす(2007年東証第一部に指定替え)。2011年病気療養中の夫の看病に力を注ぐため、代表取締役社長兼CEOを退任、代表権のない取締役となる。2003年内閣IT戦略本部員、2004年規制改革・民間開放推進会議委員などを歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。


<関連サイト>

南場智子の2年間 (日経ビジネスオンライン 2013年6月~)
・・「2011年6月、突如、夫の看病を理由に社長の職を辞したディー・エヌ・エー(DeNA)の南場智子社長。99年にDeNAを創業し、その後、6年で上場させた経営手腕はインターネット業界にとどまらず、幅広い評価を得た。その南場氏が帰ってくる。「不格好経営」と題した書籍を自ら執筆。この本を出すことで看病中心の生活に区切りをつけ、現場への復帰宣言をした。第一線を退き、南場氏は何を思い、これから何をするのか」。


PS 個人的な話ですが、20歳前後の大学生の頃、ごく近いところに住んでいたようだということがあとからわかり(・・南場氏は東京都小平市の津田塾大学出身。同じ年生まれのわたしもすぐ近くの大学で寮生活してました)、マスコミの寵児でもあった南場氏の動向はつねに気にはなっておりました。


<ブログ内関連記事>

「専門家」は何も分かっていない?-いかにして 「当事者」 は 「専門家」 を使いこなすべきか
・・経営者と経営コンサルタントはまったく異なる人種である

アジアでは MBA がモノを言う!-これもまた「日本の常識は世界の非常識」

シェリル・サンドバーグという 「ナンバー2」 としての生き方-今週の Bloomberg BusinessWeek (ビジネスウィーク) のカバーストーリーから

書評 『稲盛和夫流・意識改革 心は変えられる-自分、人、会社-全員で成し遂げた「JAL再生」40のフィロソフィー』(原 英次郎、ダイヤモンド社、2013)-メンバーの一人ひとりが「当事者意識」を持つことができれば組織は変わる

書評 『俺のイタリアン、俺のフレンチ-ぶっちぎりで勝つ競争優位性のつくり方-』(坂本孝、商業界、2013)-ビジネスモデル×哲学(理念)を参入障壁にブルーオーシャンをつくりだす

書評 『「できません」と云うな-オムロン創業者 立石一真-』(湯谷昇羊、新潮文庫、2011 単行本初版 2008)-技術によって社会を変革するといういうことはどういうことか?

書評 『日本でいちばん大切にしたい会社』、『日本でいちばん大切にしたい会社2』(坂本光司、あさ出版、2008、2010)

書評 『跡取り娘の経営学 (NB online books)』(白河桃子、日経BP社、2008)

書評 『ホッピーで HAPPY ! -ヤンチャ娘が跡取り社長になるまで-』(石渡美奈、文春文庫、2010 単行本初版 2007)

NHKの連続テレビ小説 『カーネーション』が面白い-商売のなんたるかを終えてくれる番組だ

書評 『CoCo壱番屋 答えはすべてお客様の声にあり』(宗次徳二、日経ビジネス人文庫、2010 単行本初版1995に改題加筆)

書評 『ココ・シャネルの「ネットワーク戦略」』(西口敏宏、祥伝社黄金文庫、2011)-人脈の戦略的活用法をシャネルの生涯に学ぶ




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2013年5月20日月曜日

【セミナー開催のお知らせ】 「営業が変われば会社は変わる!-縮小する成熟市場・日本で持続可能に勝ち残るために考えるべきこと-」(2013年6月7日 日本橋) 


■セミナーの概要

中堅中小企業経営者のための営業力強化の基本を、一番化戦略の営業コンサルタントと組織変革コンサルタントという、経営を熟知している二人の専門家による中身の濃い「対話」からヒントをゲットしてください!

■セミナーの内容

中堅中小企業の経営者の皆様!

-若手の営業担当者の育成がうまくいかない
-営業マネージャーが部下を育成しない
-営業担当者をセミナーに派遣しても成長が見えてこない
-営業チームの雰囲気が悪い
-営業チーム内の連携が悪い

そんなお悩みをお持ちではありませんか?

「アベノミクス」で明るい兆しのでてきた日本経済ですが、構造的に市場は成熟し縮小傾向にあることは否定できません。現実はシッカリと見つめなくては足をすくわれてしまいます。

とはいっても、日本で上手くいかないから海外でチャレンジすればいいというものでもありません。日本で上手くいかなければ海外に出てもなかなか上手くいかないのが現状です。海外は本質的に異なる市場ですから、日本と同じやり方では成功できないからです。

そんな縮小傾向にある成熟市場・日本ですが、サステイナブル(持続可能)に勝ち残ることは可能です。実際に勝ち残っている会社も少なくありません。

サステイナブル(持続可能)な成長とは、自社の既存の市場をベースにしながらも営業のチカラによって成長軌道を維持していくことです。これは現状維持とは根本的に異なる考え方です。現状維持するためにも成長を続けていかなければならないのです。

売上が上がって利益が上がれば、営業は元気になります。
営業が元気になれば、会社全体が元気になります。
成長軌道に乗ってくると、いい製品やサービスが出るようになります。
「営業力×開発力」で、さらに会社が元気になっていきます。

一言でいえば、営業が変われば、会社も変わるのです。

営業をテコにして会社を変えることにもつながるのです。
従業員がハッピーになれば、会社もハッピーになるのです。

「営業が変われば会社は変わる!」というテーマで、経営のわかる営業のプロと人材育成のプロが、そんなお悩みをお持ちの中堅中小企業経営者の皆さまのヒントになるよう、「対話形式」で本質論についてお話しさせていただきたいと考えています。

営業力強化とは、分解すれば「個人と組織」の問題です。
営業とはつまるところ営業マン個人の問題であり、かつ営業組織全体の問題でもあるのです。

「営業マンの個人能力アップ ⇒ 組織営業の能力アップ ⇒ 会社の組織力アップ」で、サステイナブルに勝ち残っていきましょう!

では、2013年6月7日、日本橋でお会いしましょう!



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セミナー開催概要

タイトル: 「営業が変われば 会社は変わる」
日時: 2013年6月7日(金) 15:00~17:00 (受付開始14:40)
会場: 東京・日本橋 (詳細は申し込みされた方に個別にお知らせいたします
参加対象者: 中堅中小企業の経営者(営業担当役員、人事担当役員、経営企画担当役員等も含む
募集人員: 10名限定
申し込みとお問い合わせ:  https://www.facebook.com/events/263384643807407/
 047-498-9016 または ken@kensatoken.com  まで(コピー&ペーストでお願いします)。


■講師プロフィール

●高田 稔(たかだ・みのる)MBA

一番化戦略、営業コンサルタント。
米系外資企業にて日本国内及びグアム、マイクロネシアにて営業、及び営業のマネジメントを行う。社長賞(1位)を含め3位以内、10位以内の受賞経歴を持つ。2005年より独立し、営業を主体としたコンサルティングを中小企業を中心に行い、営業マンの育成、営業戦略の立案から実施までを手がけ飛躍的な売り上げのアップを図り現在に至る。
1969年、東京生まれ。1993年、立命館大学卒業(京都)。2005年、英国ハル大学(University of Hull)にてMBA取得(専攻:マーケティング)。著書に、『20代で身につけたい 営業の基本』(中経出版)、『小さなことでいいから、まずは一番になりなさい。』(中経出版)
 ウェブサイト: http://www.takadaminoru.com/

佐藤けんいち(さとう・けんいち)MBA

マネジメント国際化、組織変革コンサルタント。
組織人事からビジネスキャリアをスタート、金融系コンサルティグファーム、広告代理店系コンサルティングファームを経て、中小の機械部品メーカーの取締役として「ナンバー2」のポストに就任、営業マンの人材強化からはじまる社内変革を責任者として主導し、売り上げと利益を倍増させサステイナブル(持続可能)な経営体制をつくりあげることに貢献。その間、タイ王国のバンコクで同社の現地法人を立ち上げ社長を歴任。2010年に独立して現在に至る。
1962年、京都府生まれ、1985年、一橋大学卒業(東京)。1992年、米国レンセラー工科大学(Rensselaer Polytechnic Institute:RPI)にてMBA取得(専攻:技術経営)。著書に、『人生を変えるアタマの引き出しの増やし方』(こう書房)。
  ウェブサイト:  http://kensatoken.com/
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2013年4月1日月曜日

書評 『社長は少しバカがいい。-乱世を生き抜くリーダー鉄則-』(鈴木喬、WAVE出版、2013)-「名物社長」が語る経営論


『社長は少しバカがいい。』。なんとなくふざけた印象だが、すごく気になるタイトルだなあと感じてスルーしていたのですが、先週 「ダイヤモンド・オンライン」のインタビュー記事で、わが母校の大先輩(!)であることを知って、きゅうきょ注文して読んでみることにしたという次第。

著者は、消臭剤のエステーの会長。500人企業で500億円の売り上げをあげる一部上場企業。自らはチーフ・イノベーターと名乗っておられます。

昭和10年(1935年)生まれで戦中派の著者は、根っからの商売人の家系に生まれ育った人ですが、「いつも危機」だったといってます。敗戦後の大混乱などにくらべたら、比較するにもあたらない、と。長く生きてきた人のいうことには耳を傾けるべきですね。

危機的な状況に陥った際に、いかなる方法でそれを切り抜けてきたかが、著者自らが指揮した数々の事例で語られているので説得力があります。

大胆な発言と行動力で会社を引っ張ってきた著者も、ほんとうのところ小心者でセッカチだと正直に述べられております。

英語に play the fool という表現がありますが、日本語に直訳すれば、「バカを演じる」。この fool というのは道化のことでもありますが、「バカを演じるには」にはかなりの知性が必要でありますね。

バカを演じることのできるスゴさこそ、この本から読みとるべきしょう。ほんとうは数学が得意で、統計学のプロだそうです。保険会社でアクチュアリー(保険数理士)の資格を取得したというのだからスゴい。

その一方で、そろばん玉だけでは人はついてこない、と言い切る著者の、社員や顧客の巻き込み方、大いに学ぶべきものがあります。

経営書を読むヒマがあったら歴史書を読めというのも納得です。そしてマキャヴェッリの『君主論』が愛読書の一つというのも並みの社長ではない。リアリズムに徹すべし、と。

騙されたと思って読んでみてください。笑えます。勉強になります。

文句なしに面白い本です。元気の出る本です。あまりにも面白いので、ついつい何度も爆笑してしまいます。電車のなかで読むのは避けたほうがいいかもしれません。






目 次

はじめに
第1章 社長は社長をやれ。
 ① 社長は、高く「旗」を掲げろ。
 ② 社長はバカになって、「本気」を伝えろ。
 ③ あえて角番に立って、クソ度胸を出せ。
 ④ 経営は歴史に学べ。
 ⑤ 社長は大ボラを吹け。
 ⑥ 「運」と「勘」と「度胸」を磨け。
第2章 社長はカッコつけるな。
 ⑦ 社長は、奇麗事を言うな。
 ⑧ 暴走できるくらいの権力をもて。
 ⑨ まず、怖れられろ。慕われるのは、その後だ。
 ⑩ 社長は、常に「最悪」を考えろ
第3章 社長は「人間」を知り尽くせ。
 ⑪ 社長は「常識」をひっくり返せ。
 ⑫ 社長は「営業のプロ」であれ。
 ⑬ 数字から「現実」をつかみ出せ。
 ⑭ 働き一両、考え五両、見切り千両。
 ⑮ 反省はするな、よく寝ろ。
 ⑯ 会社には「シンボル」が必要だ。
第4章 社長は心意気をもて。
 ⑰ バカでなくて大将が務まるか。
 ⑱ 社長は群れるな、逆を行け。
 ⑲ いつでも、顔を高い所に向ける。
 ⑳ 変わり続けなければ、生き残れない。
あとがき


著者プロフィール

鈴木喬(すずき・たかし)
1935年(昭和10年)、東京で日用品の卸をしていた鈴木千蔵の四男として生まれる。戦争にかり出された兄たちにかわり、小学生のころから家業を手伝う。東京大空襲で店を焼かれ、焼け野原のなか父のゼロからの再出発も支えた。
東京都立新宿高等学校を経て、1959年一橋大学商学部を卒業。すでに、父と長兄がエステー化学(現エステー)を設立していたが、「兄貴にこき使われてはかなわない」と日本生命に入社。40代で法人営業部門を立ち上げ、年間契約高2兆円を超える「トップ営業マン」として活躍した。
1985年にエステーに出向。企画部長や営業本部首都圏営業統括部長などを経て、1998年に社長に就任。バブル期に膨らんだ「負の遺産」を大リストラするとともに、新商品開発を年間1点に限定。失敗の許されない状況で、全社の反対を押し切って発売した「消臭ポット」を大ヒットさせる。その後、「消臭力」「脱臭炭」などヒットを連発。生活雑貨業界にイノベーションを起こすとともに、社員数500人の「世界のニッチトップ企業」として、P&Gをはじめとするグローバル企業と戦う企業へと成長させた。
2005年には創業以来最高の純利益18億円を達成、売上高も社長就任時から20%増やした。07年に社長を退任し会長に就任するも、リーマン・ショック後の危機を打開するため09年に社長に復帰、現在に至る。徹底したお客様志向の商品開発、CM等の企業コミュニケーションなど、イノベーティブな企業経営が注目を集めている。
週末に軽井沢にある別荘の近くでスポーツバイクに乗って汗を流すのが息抜き。座右の銘は「運と勘と度胸」。座右の書はマキャベリの『君主論』。(出版社サイトより)



<関連サイト>

エステー・鈴木喬会長【上】我がヒット商品の発想法を語ろう好奇心、妄想、ノーメモがアイデアの沈殿物を生む (ダイヤモンドオンライン 2013年3月29日)
エステー・鈴木喬会長【中】我がヒット商品の発想法を語ろう好奇心、妄想、ノーメモがアイデアの沈殿物を生む (ダイヤモンドオンライン 2013年4月5日)


エステー株式会社 鈴木喬-私は「壊し屋」かも知れません。 (賢者.TV 2012年4月)
・・以下のプロフィールが掲載されているので引用しておきます。


氏名 鈴木 喬
会社名 エステー株式会社
出身地 東京都
出身校 一橋大学商学部
出生年 1935年
こだわり 負けることは大嫌い
趣味 自転車、スキー、水泳
特技 数学、統計学
休日の過ごし方 お店まわり
座右の銘 「運と勘と度胸」
心に残る本 『君主論』マキアヴェッリ、『戦略の本質』野中郁次郎・戸部良一他
尊敬できる人 勝海舟
現在の仕事の魅力と苦労 世界の名だたる会社と競争している緊張感が魅力です。
日本を背負う若者へのメッセージ 仕事をしている上では「命までは取られない」ので、 思い切ってチャレンジして欲しいと思います。


<ブログ内関連記事>

書評 『「できません」と云うな-オムロン創業者 立石一真-』(湯谷昇羊、新潮文庫、2011 単行本初版 2008)-技術によって社会を変革するといういうことはどういうことか?

書評 『京都の企業はなぜ独創的で業績がいいのか』(堀場 厚、講談社、2011)-堀場製作所の社長が語る「京都企業」の秘密

「専門家」は何も分かっていない?-いかにして 「当事者」 は 「専門家」 を使いこなすべきか




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2013年3月4日月曜日

最高の「ナンバー2」とは?-もう一人のホンダ創業者・藤沢武夫に学ぶ


「ナンバー1」を目指すのはすばらしいことです。どんな小さな分野でも一番になれば自信がつきますし、極めれば第一人者としてリスペクトされるようになります。

ここでいう「ナンバー2」とは、その意味ではありません。二番手に甘んじろといっているわけではけっしてありません。

トップがいればそのつぎのポジションにつく者がいる。それを営利であれ、非営利であれ、「組織の「ナンバー2」といいます。参謀や補佐役、右腕とよばれることもあります。

戦国時代の軍師や政治の世界はさておき、経営の世界でいえば、なんといってもホンダの藤沢武夫氏(故人)が最高の「ナンバー2」といっていいでしょう。むかしから尊敬してやまない人です。

ホンダの創業経営者の一人ですが、本田宗一郎という天才エンジニアにほれ込み、その能力を完全に「引き出し」てあげたいという思いから、あえて「ナンバー2」のポジションを25年間まっとうしたすばらしい経営者。

聞き書きを一冊にした 『経営に終わりはない』(文春文庫、1998 初版 1986) は、ぜったいに読むべきビジネス書として筆頭にあげたいもの。

その以前に出版された 『松明(たいまつ)は自分で持て』(PHP、2009 初版 1974)と内容はかなりかぶりますが、どちらか一冊はかならず読んでおきたいものです。

とくに創業期においては、「ナンバー1」は突出した能力やとんがったものがあれば、多少の欠点はあってもかまわないのですが、かならず優秀な「ナンバー2」をもっていることが必要です。そういう存在がいれば、なんども訪れる難局はかならず乗り切れるものです。

藤沢武夫氏は、技術以外の財務や販売など経営にかかわることはすべて引き受けて、「ナンバー2」に徹し切った経営者です。本人も述懐しているように、経営者としては本田宗一郎よりもうえであったのにかかわらず、あえて「ナンバー2」に徹したところがすごいのです。抑制力、あるいは自己コントロールのできる人だったのでしょう。

わたし自身も「ナンバー2」を約7年間やりました。野球でいえばピッチャーではなくキャッチャーのポジションに近いかもしれないなと思いました。華やかではないものの、きわめて重要なポジションです。そういえば、野村克也監督もキャッチャーでしたね。

多くの日本企業で、意識的に「ナンバー2」のポジションをつくってほしいいものだとつよく思います。

とはいっても、人間には相性というものがありますので、なかなかにしてむずかしいものがありますが。わたしも、うまくいっていない例はさんざん見てきました。

wikipedia には以下のようなエピソードがありますので紹介しておきましょう。

舞台や音楽鑑賞を趣味とした藤沢に対し、本田はゴルフなどの行動的な趣味を持っていた事から、不仲説が浮上したことがあった。しかし当人たちは、互いが当時住んでいた地名の「下落合」(本田)、「六本木」(藤沢)と呼びあうなど良好な関係だった。「いつも手をつないで一緒にいるのを仲良しとは呼ばない。私達は離れていても、今この瞬間、相手が何を考え、どうするかが、手に取るように分かる。」とも語っている。

「いつも手をつないで一緒にいるのを仲良しとは呼ばない・・」。耳を傾けるべきではないでしょうか。

藤沢武夫氏自身は、創業から最初の2年間ほどは徹底的に話こんでいたが、そのあとはほとんど一緒にいることはなくても問題なかったと語っています。徹底的に権限移譲を進め、経営上の大きな問題が起こったときには経営者が全面にでるわけです。

本田宗一郎+藤沢武夫のコンビは稀有な組み合わせかもしれませんが、一つの「理想形」として知っておくことが重要なのです。「ナンバー2」は、藤沢武夫をベンチマークとしながら自らの言動を省みることができるからです。

まずはぜひ『経営に終わりはない』 『松明(たいまつ)は自分で持て』 のいずれか一冊には目を通していただきたいと思う次第です。






『経営に終わりはない』  目 次

1 生命をあずかる仕事
2 思いがけぬ危機
3 本業以外に手を出すな
4 万物流転の法則
5 経営者の心構え
6 模索と学習の日々
7 たいまつは自分で持て
8 海のむこうへ
9 頭の切り替え
10 本田かぶれ





『松明(たいまつ)は自分で持て』  目 次

第1章 本田宗一郎との出会い
第2章 スーパーカブ誕生そして世界へ
第3章 学んだこと、思うこと


藤沢 武夫(ふじさわ・たけお)
1910年~1988年。実業家。東京市出身(本籍は父の出身地である茨城県結城市)。本田宗一郎と共に本田技研工業(ホンダ)を世界的な大企業に育て上げた。wikipeia情報による。


<関連サイト>

本田宗一郎氏、"野人哲学" を大いに語る  "社長交代" もたついてはみっともねェ (日経ビジネス編集部、2014年9月3日)
・・1973年9月3日号の記事の再録



<ブログ内関連記事>

書評 『No.2理論-最も大切な成功法則-』(西田文郎、現代書林、2012)-「ナンバー2」がなぜ発展期の企業には必要か?

シェリル・サンドバーグという 「ナンバー2」 としての生き方-今週の Bloomberg BusinessWeek (ビジネスウィーク) のカバーストーリーから

「長靴をはいた猫」 は 「ナンバー2」なのだった!-シャルル・ペローの 「大人の童話」 の一つの読み方

官房長官は実質的に政権「ナンバー2」-政治と企業経営の共通点について考えてみる

「世襲」という 「事業承継」 はけっして容易ではない-それは「権力」をめぐる「覚悟」と「納得」と「信頼」の問題だ!

書評 『挫折力-一流になれる50の思考・行動術-』(冨山和彦、PHPビジネス新書、2011)

「人間尊重」という理念、そして「士魂商才」-"民族系" 石油会社・出光興産の創業者・出光佐三という日本人
・・ホンダもまた「人間尊重」を理念としている

書評 『「無分別」のすすめ-創出をみちびく知恵-』(久米是志、岩波アクティブ新書、2002)-「自他未分離」状態の意識から仏教の「悟り」も技術開発の「創出」も生み出される
・・ホンダ第三代目社長経験者による技術開発を中心とした「創発」メカニズムの解明

(2014年8月21日、11月3日 情報追加)





(2012年7月3日発売の拙著です)









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2012年5月23日水曜日

『置かれた場所で咲きなさい』(渡辺和子、幻冬舎、2012)は、日本全国の新入社員にすすめたい一冊




テレ朝の昼の情報番組 「ワイド! スクランブル」。水曜日の放送には、山本晋也監督の「人間一滴」というコーナーがあります。

5月23日(水)で紹介されていたのが、『置かれた場所で咲きなさい』(幻冬舎)の著者である渡辺和子さん。現在85歳ですが、カトリックのシスターで、ノートルダム清心学園の理事長を約50年間務めておられます。教育機関の経営者でもあるわけですね。

9歳のとき、自分の目の前で父親が殺されるのを一部始終目撃することになったという壮絶な人生体験の持ち主。父親は、二・二六事件で青年将校たちに射殺された渡辺錠太郎陸軍大将。教育総監を務めていた渡辺大将は、勉強熱心で温厚な人柄だったそうですが、青年将校たちの怨みをかっていたのでした。

そんな渡辺さんを山本監督が岡山県倉敷市にある学園まで訪ねていって行ったインタビュー番組でしたが、著書のタイトルにもなっている 「置かれた場所で咲きなさい」という人生訓は、ほんとうにすばらしい。

このフレーズは、Bloom where God has planted you. という英語がもともとあるようですが、キリスト教の信者ではないと、神(God)がでてくるこのフレーズにはやや抵抗があるかもしれません。

ここはひとつ受動態の表現に書き換えてみましょう。そうすれば、日本語表現のように主語を消すことができます。

Bloom where you have been planted. これで日本語の「置かれた場所で咲きなさい」と同じ表現になります。直訳すれば、「植えられた場所で咲きなさい」、ですね。

一斉入社が行われる日本企業では、今年も4月に新入社員が誕生したことでしょうが、連休をなんとかやり過ごすことのできた新入社員たちも、なかなか自分の思うとおりの人生ではないことに落胆や不満をもっている人も少なくないのではと思います。

どんな人でも、最初に就職した会社の、最初に配属された職場の、最初の上司のもとでは、100%満足して毎日会社にいくのが楽しくてしょうがないなんてことはありません。

それは、会社員ではなくても同じだと思います。

でも、どんな仕事であっても、「その仕事を好きになって一生懸命取り組んでいれば、見る人はかならず見ている」というのは、わたし自身も新人時代になんども言われましたが、いまから振り返ればまことにただしいことだとわかります。

現状に不満をもつのではなく、「置かれた場所で咲きなさい」というコトバは、ほんとうに響く珠玉のコトバだと思います。

『置かれた場所で咲きなさい』(渡辺和子、幻冬舎、2012)静かな感動を呼んで、現在では11万部を突破しているそうです。

「置かれた場所で咲きなさい」。新入社員のみなさんたちには、ぜひこのコトバをかけてあげたい、と番組を見ていて思ったのでした。






<関連サイト>

学校法人 ノートルダム清心学園(岡山県倉敷市)

「ワイド! スクランブル」(テレビ朝日)


<ブログ内関連記事>

書評 『マザー・テレサCEO-驚くべきリーダーシップの原則-』(ルーマ・ボース & ルー・ファウスト、近藤邦雄訳、集英社、2012)-ミッション・ビジョン・バリューが重要だ!

アルバイトをちょっと長めの「インターンシップ期間」と捉えてみよう

二・二六事件から 75年 (2011年2月26日)





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2012年4月27日金曜日

書評 『会社で心を病むということ』(松崎一葉、新潮文庫、2010 単行本初版 2007)-社員のメンタルヘルス状態が改善すれば生産性も向上する。急がば回れ!

社員のメンタルヘルス状態が改善すれば生産性も向上する。「急がば回れ」のCSR実践論

現代日本の年間3万人を超える自殺者。その多くを占めるのが、うつ病に代表される精神疾患です。

うつ病は、会社で心を病んだ結果であることが多いのです。職場の人間関係に起因することが多い、といわれています。

本書は、読者自らが自分の精神的健康状態を保つための実践的アドバイスであり、また、とくに職場のマネジメントの立場にある中間管理職が読んで、率先してうつ病発生の予防と早期発見の環境づくりをすべきことを説いた本でもああります。

派遣切りなどでクローズアップされることの多い非正規労働だけでなく、残された正社員の肩にかかる過重労働にはもっと目を向けるべきでしょう。

「成果主義」が導入されたものの、成果主義の本来の意図とは異なり、たんなる労働強化の口実にしかなっていない現状を座視すべきではありません。

業績を上げるために従業員にかかる過剰な負荷が、かえって従業員の精神的な健康を阻害し、ひいては会社全体の生産性を下げることにつながっているという現実にこそ目を向けるべきなのです。

著者は、CSR(=企業の社会的責任)の観点に立つならば、ステークホルーダのなかでももっとも重要な従業員の健康こそ重視すべきだと説いています。

短期的な業績向上策は長続きしません。疲弊感だけが残るからです。持続性のあるサステイナブルな企業成長を期待したいのなら、従業員のメンタルヘルス状態を改善すべきなのです。いいかえれば、「やらされ感」のない、働きやすい職場づくりです。「急がば回れ」なのです。

本書は基本的に産業医を置くことが義務づけられている大企業の産業医の立場から書かれたものですが、大企業、中堅中小企業、事務所の違いなく、メンタルヘルスにかんする意識変革が必要であることを痛感します。

中小企業は、人間阻害的な要素は大企業に比べるとはるかに小さいが、それでも問題がないわけではないのです。

とくに経営者や管理者が読むべき本として、ビジネス書として位置づけてほしい一冊です。


<初出情報>

■bk1書評「社員のメンタルヘルス状態が改善すれば生産性も向上する。「急がば回れ」のCSR実践論」投稿掲載(2011年2月13日)
■amazon書評「社員のメンタルヘルス状態が改善すれば生産性も向上する。「急がば回れ」のCSR実践論」投稿掲載(2011年2月13日)






目 次

序章 会社で心を病む人たち
第1章 心のメカニズム
第2章 なぜ会社で心を病むのか
第3章 現実とのミスマッチ
第4章 精神科産業医の処方箋
第5章 心のホットライン
第6章 もう会社で心を病ませない

著者プロフィール


松崎一葉(まつざき・いちよう)
1960年生まれ。1985年筑波大学医学専門学群卒業。1989年筑波大学大学院博士課程修了。医学博士。筑波大学社会医学系准教授。また、日本産業衛生学会評議員、宇宙航空研究開発機構主任研究員、茨城労働局局医、東京都庁知事部局健康管理医、各企業の精神科産業医として、メンタルヘルス不全の治療および予防活動に取り組んでいる。専門は産業精神保健学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。



<書評への付記>

うつ病には2つのタイプがあるといわれています。従来型の抑鬱型と現代型のうつ病です。この本では、自殺を誘発する可能性も高い抑鬱型についてくわしく書かれています。

誤った成果主義による「やらされ感」が原因になっていることは、大いに傾聴すべきでしょう。

大企業のように常駐の産業医がいても、なかなか相談しにくいのが精神科や心療内科ですが、たとえ産業医がいなくても、自律的に対応できる体制と人材育成が必要です。

とくに、そうでなくても精神的な疾患を生みやすい海外展開している企業では不可欠な課題です。これは大企業でも同じことですね。

中小企業や事務所では大企業以上に人が財産。であればこそ、です。

短期的にはコストアップ要因になりますが、長い目でみたら社員の精神的な健康状態が改善すれば、自ずから生産性もあがるようになるのは自明の理です。発想の転換が必要なのです。

職場全体に、カウンセリングマインドを養成して、受容、傾聴、共感といったマインドセットを定着させたいものです。

また、仕事をつうじて達成感をもってもらうために、できるだけ自己裁量権を増やすような仕事の任せ方も必要でしょう。


「ビッグピクチャー・スモールサクセス」というコトバが本書には紹介されていますが、まさにそのおり。「大きな全体像を描いて、小さな成功体験」をひとつづつ積み上げていくこと。

こういう取り組みが、個々の従業員にも、マネージャーにも経営者にも求められるのです。







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2012年4月5日木曜日

書評 『模倣の経営学-偉大なる会社はマネから生まれる-』(井上達彦、日経BP社、2012)-「学ぶとは真似ぶなり」とは、個人でも会社でも同じこと


「学ぶとは真似ぶなり」とは、個人でも会社でも同じこと。模倣するための作法とは?

本書は、すぐれた会社はすぐれた模倣を行っていることについて書かれた一般向けの経営書です。

クロネコヤマト、スターバックスとドトールコーヒー、ジョンソン&ジョンソン、グラミン銀行などの具体的な事例をつかいながら、すぐれた会社が、何をどう模倣しているのか、あるいは反面教師として経営戦略をつくりあげたかを分析したものです。

模倣というと上品な響きだが、英語でいえばイミテーション、本質的には真似(まね)と同じです。

日本語では「学(まな)ぶとは真似(まね)ぶなり」という表現があるように、「模倣すなわち学習」のことです。

子どもが大人を真似るように、何事もお手本となるモデルがなければ、独自性も創造性もあったものではありません。いや、真似して自分のあったものを取捨選択して身につけることじたいが、じつはきわめてクリエイティブな行為なのです。

模倣は基本的には個人レベルで行われるものであるが、会社レベルでも行われます。

もちろん、会社を動かしているのは経営者や個々の従業員である以上、模倣のプロセスはそれほど簡単ではありません。本書で行われているのは、基本的には経営戦略をつくって実行させる立場にある経営者レベルのものです。著者は、本書において、経営者がみずから書いた本を材料にして事例分析を行っています。

本書は経営書ではありますが、経営者が書いたビジネス書などを読む際のガイドにもなっています。経営者が書いた回想録や経営書を読むことじたい、じつはビジネスパーソンにとっては、ある種のすぐれた模倣となるべきなのです。読者は、自分に必要なもの本から読み取って模倣するための手引としても活用すべきでしょう。

ただし、実務家である経営者や経営コンサルタントとは違うなと思う記述もすくなくありません。分析して見せるまではいいのですが、ではどう取り組むかまではあまり書かれていないためです。その点はあまり期待せず、割り引いて読むことをすすめたいと思います。

マネジメント専門書を読むのはハードルが高いと、ためらっている若手ビジネスパーソンにはぜひ手にとって通読してみるといいと思います。


<初出情報>

■bk1書評「「学ぶとは真似ぶなり」とは、個人でも会社でも同じこと。模倣するための作法とは?」投稿掲載(2012年4月4日)
■amazon書評「「学ぶとは真似ぶなり」とは、個人でも会社でも同じこと。模倣するための作法とは?」投稿掲載(2012年4月4日)

*再録にあたって一部加筆修正した




目 次

まえがき 模倣のパラドクス
第1章 「天才のなぞかけ」-メタファーとイノベーション
第2章 「インドの露天商」-模倣すべき本質をモデリングする
第3章 「クロネコの革命」-4つの要素と5つのステップ
第4章 「2つのカフェ」-模倣の創造性
第5章 「4人の教師」-誰をどのように模倣するのか
第6章 「守破離」-手本と現実のギャップを越える
第7章 「わな」-模倣できそうで模倣できない会社
第8章 「反転」-逆発想のモデリング
第9章 「作法」-倣い方を倣う
あとがき 経営書を「消費財」で終わらせないために

著者プロフィール

井上達彦(いのうえ・たつひこ)

早稲田大学商学学術院教授。1997年神戸大学大学院経営学研究科博士課程修了、博士(経営学)。広島大学社会人大学院マネジメント専攻助教授、早稲田大学商学部助教授(大学院商学研究科夜間MBAコース兼務)などを経て、2008年より現職。2011年9月より独立行政法人経済産業研究所(RIETI)ファカルティフェロー、2012年4月よりペンシルベニア大学ウォートンスクール・シニア・リサーチフェローを兼務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの


<書評への付記>

お手本の模倣(=真似)はすべての出発点

社会人になる前のことですが、大学の卒論を書く際に言われたことをいまも思い出します。

ゼロからオリジナルな論文など書けるわけがないので、自分が設定したテーマにもっとも適合した論文を探し出してきて、それを徹底的に読みむこ真似ること。そのうえで、卒論を書き始めてみるように、と。

すべてはお手本を真似るということから始まるのです。真似するのです。

著者も一章をさいて説明していますが、日本の武道や芸事には、「守破離」という「型」を身につけるためのモデルが古くから確立しています。まずは師匠を徹底的に真似てから、あえてその教えを破り、最終的には独り立ちして自分の型をつくりあげるというモデルです。

本書で面白いと思ったのは、西洋の弁証法モデルもまた「正反合」と三段階で物事を説明していること。「守破離」よりもアンチテーゼ的な要素が濃いですが、構造としてはよく似ています。

著者のいう「正転模倣」が「守破離」であれば、「反転模倣」は「正反合」に対応しています。

著者は、遠いところからポジティブな模倣をすることを「正転模倣」近いところから反面教師として模倣することを「反転模倣」と、聞き慣れないコトバをつかって説明していますが、意味したことは理解できる。「反面教師」とは「人の振り見て我が振り直せ」ということです。

なにごとも自分で体験できればそれに越したことはありませんが、じっさいには時間の関係からそれは不可能です。実体験からの学びを「経験学習」といいますが、「代理学習」(観察学習、間接経験学習)もまた必要なのはそのためです。


さらに必要なのは「組織変革」の視点

ひじょうに面白いポイントから書かれていますが、組織というものは経営者の意向に従って動くものだという単純なモデルに基づいているような印象を受けます。

経営者は会社を自分の考える方向に引っ張っていくことができますが、じっさいに組織内で起こっていることは、それほど単純ではありません。

じっさいは、それぞれべつの思惑をもつ個人が、同じ方向性(=経営戦略)というワクのなかで、一人一人のメンバーの行動が、複雑系のなかで交差しながら、前進したり後退しながら前に進んでいるというのが会社組織の実態です。

模倣というのはまず何といっても個人レベルの問題であり、個人レベルの模倣がヨコ展開や反面教師をつうじて拡散、伝播していくという視点を忘れてはいけません。

一人の人間の脳内で起こっているプロセスと、複数の人間のあいだで起こるプロセスが違うことについて、深く考えておかねばならないのです。これは、経営者がおうおうにして間違いやすいポイントです。

学者の分析は分析どまりでプラクティカルではないという感想をもつのは、そういう理由です。とはいっっても、学者の役割を否定しているわけではありません。要は、学者もハサミも使いようだ、ということです。



<ブログ内関連記事>

書評 『プロフェッショナルを演じる仕事術』(若林計志、PHPビジネス新書、2011)-「学ぶとは真似ぶなり」という先人の知恵を現代風にアレンジした本・・「守破離」のポイントは同じ

書評 『絶対の自信をつくる 3分間トレーニング』(松尾昭仁、あさ出版、2011)・・カタチから入る誰でもできる方法について書かれたもの。この本は初級者向け

What if ~ ? から始まる論理的思考の「型」を身につけ、そして自分なりの「型」をつくること-『慧眼-問題を解決する思考-』(大前研一、ビジネスブレークスルー出版、2010)
・・「守破離」についてわたしのコメントが書いてある。あわせてお読みいただきたい

「学(まな)ぶとは真似(まね)ぶなり」-ノラネコ母子に学ぶ「学び」の本質について

カラダで覚えるということ-「型」の習得は創造プロセスの第一フェーズである

「三日・三月・三年」(みっか・みつき・さんねん)

「地頭」(ぢあたま)について考える (1) 「地頭が良い」とはどういうことか?

「地頭」(ぢあたま)について考える (2) 「地頭の良さ」は勉強では鍛えられない

書評 『ヒクソン・グレイシー 無敗の法則』(ヒクソン・グレイシー、ダイヤモンド社、2010)-「地頭」(ぢあたま)の良さは「自分」を強く意識することから生まれてくる

世の中には「雑学」なんて存在しない!-「雑学」の重要性について逆説的に考えてみる
・・本書でも取り上げられている藤田田(ふじた・でん)について






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