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2013年7月2日火曜日

書評 『稲盛和夫流・意識改革 心は変えられる-自分、人、会社-全員で成し遂げた「JAL再生」40のフィロソフィー』(原 英次郎、ダイヤモンド社、2013)-メンバーの一人ひとりが「当事者意識」を持つことができれば組織は変わる


『稲盛和夫流・意識改革 心は変えられる-自分、人、会社-全員で成し遂げた「JAL再生」40のフィロソフィー』(原 英次郎、ダイヤモンド社、2013)を読みました。

いまから3年前、JAL(日本航空)の再建開始は「3-11」以前のことでありましたが、政治的に迷走し、はたして再建可能なのだろうかと、正直なところその当時はわたしも懐疑的でした。

最後の最後に白羽の矢が立った稲盛さんは、起業家として立派な業績を上げてきた人です。ですが、けっして「企業再建」のプロとして名をはせてきた方ではないし、当時の JAL のような巨大官僚組織がはたして再建可能なのか、と。

この本は、稲盛さんのインタビューを行ったジャーナリストが、さらにさまざまな部署にいいる多数の社員から聞き取りを行うことによって、「意識改革」の実態を多角的に検証したものです。読み終えて、どうやら JAL は本格的に変わりつつあるのだということが実感できました。

読んでいて安心したのは、最初は「京セラ・フィロソフィーによる洗脳か?」という反応が従業員のあいだでかなり存在した、という事実も記されていることです。組織改革というのは、最初からすんなりといくものではありません。抵抗があるのは当たり前、なかったらそのほうがおかしいのです。

稲盛さんが航空業界の専門家ではなかったからこそ、経営にとって本質的なことは何かという観点から、意識改革を行ったことがカギであったこともわかります。

「JALフィロソフィー」は、「京セラ・フィロソフィーを参考にしながらも、自分たちで考えてつくったものであることであり、研修もすべて自前で行っていることがカギのようです。

その結果、社員一人一人が「当事者意識」をもって仕事に取り組むようになったということです。この意識改革の結果、 JAL は「普通の会社」になったわけです。

新入社員であればまっさらの状態ですから、「JALフィロソフィー」の浸透が早いのは当然ですが、入社後数年の社員でも、「働くということの意味が納得できるようになった」という発言は重要です。もちろん、ベテランになればなるほど、意識変革には多大な困難があったことでしょうが。

若い人たちほど、金銭以外の働く意味を求めていたことがわかります。その意味でも、フィロソフィーの導入は意味があったようです。これはけっして意外なことではないのでしょう。

企業破綻の際は、「去るも地獄 残るも地獄」という状態になるのは、わたし自身も1998年の「金融危機」で体験し、身近で観察したので実感としてよくわかります。おなじく政治にもみくちゃにされたのも JAL と同じでした。

逆にいえば、そんな状態にまで立ち至らないと、なかなか個々人のマインドは変わらないし、ひいては組織風土も変わりにくいというのもまたその通りなのです。そうならないまでに変革ができればいいのですが、なかなかむずかしいことは否定できません。

本書は、まさに「経営は実行」というフレーズを絵に描いたような再建ストーリーですが、ちょっと気になる点がありました。

正社員と契約社員が混在した職場である点は少しだけ触れられていますが、経営破綻前に言われていた労組の問題が完全に解決したのかどうかについては触れられていないこと、1985年の「日本航空123便墜落事故」(=御巣鷹山の事故)についてはまったく触れられていないことです。

すでに28年たっていますが、あの悲惨な事故の記憶が風化していないかどうか。稲盛さんが JALの経営から去ってから、改革マインドを持ち続けることができるかどうか。それが再生後のJALにとって、最大のチャレンジとなることは間違いありません。

そんな感想もありますが、ぜひ読むことをすすめたい一冊です。





<関連サイト>

JAL の幹部社員を叱り続けた日々 「解剖・稲盛経営」-稲盛和夫インタビュー(ダイヤモンドオンライン 2013年6月17日)

最先端の経営学は、理論と実践をどう捉えるのか?目的と手段が、JALの再生に果たした役割を考える。――対談:野中郁次郎×紺野登(後編) (ダイヤモンドオンライン 2013年5月17日)

経済の死角 シリーズ第2回 経営者とは何か「JALを再建した」稲盛和夫に何を学ぶか(現代ビジネス 2013年7月16日)

稲盛和夫「アメーバ経営」非難と称賛だけでは見落とす本質とは~合理性と非合理性の調和(Business Journal  2013年12月22日 長田貴仁)

JAL乗員組合がスト通告 「贅沢が過ぎる」とFB大炎上(2013年6月18日)
・・JAL社内には、まだまだ懲りない人たちがいるようだ。まさにKY

"新・経営の神様" 稲盛和夫が明かす「日本企業、大復活のカギ」 日本を「幸せに導く」方法とは(現代ビジネス、2016年8月24日)

(2016年8月27日 情報追加)


<ブログ内関連記事>

『週刊ダイヤモンド』の「特集 稲盛経営解剖」(2013年6月22日号)-これは要保存版の濃い内容の特集

鎮魂!「日航機墜落事故」から26年 (2011年8月12日)-関連本三冊であらためて振り返る

JALの「法的整理」について考えるために

『JAL崩壊-ある客室乗務員の告白-』(日本航空・グループ2010、文春新書、2010) は、「失敗学」の観点から「反面教師」として読むべき内容の本

書評 『未完の「国鉄改革」』(葛西敬之、東洋経済新報社、2001)-JALが会社更生法に基づく法的整理対象となり、改革への「最後の一歩」を踏み出したいまこそ読むべき本

書評 『空港 25時間』(鎌田 慧、講談社文庫、2010 単行本初版 1996)

『図説 中村天風』(中村天風財団=編、海鳥社、2005)-天風もまた頭山満の人脈に連なる一人であった

書評 『ユダヤ人エグゼクティブ「魂の朝礼」-たった5分で生き方が変わる!-』(アラン・ルーリー、峯村利哉訳、徳間書店、2010)
・・ビジネスをつううじて、仕事をつうじて魂を磨く! 基本的な哲学は共通

書評 『俺のイタリアン、俺のフレンチ-ぶっちぎりで勝つ競争優位性のつくり方-』(坂本孝、商業界、2013)-ビジネスモデル×哲学(理念)を参入障壁にブルーオーシャンをつくりだす
・・稲盛フィロソフィー信奉者による最新報告

書評 『道なき道を行け』(藤田浩之、小学館、2013)-アメリカで「仁義と理念」で研究開発型製造業を経営する骨太の経営者からの熱いメッセージ
・・稲盛フィロソフィー信奉者による最新報告

Where there's a Will, there's a Way. 意思あるところ道あり

書評 『全員で稼ぐ組織-JALを再生させた「アメーバ経営」の教科書-』(森田直行、日経BP、2014)-世界に広がり始めた「日本発の経営管理システム」を仕組みを確立した本人が解説
・・稲盛哲学と経営管理の仕組みが合体した「アメーバ経営」とは?

(2014年6月12日 情報追加)



(2012年7月3日発売の拙著です)





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