安倍首相がいちばん最初の外遊先に選んだのが東南アジア。米国でも中国でもなく東南アジア。ベトナム、タイ、インドネシアと回っています。この意味を考えてみましょう。
東南アジアは ASEAN(アセアン)と言い換えてもいいでしょう。ASEAN とは、東南アジア諸国連合のこと。Association of South‐East Asian Nations の頭文字をとった通称です。
ASEAN加盟国は、ABC順で ブルネイ・ダルサラーム、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの10ヵ国です。政治体制には王政あり社会主義共和国あり、宗教も仏教、キリスト教、イスラームと多様性に富んだ地域です。
そのASEANは、2015年に経済統合されるスケジュールでいま進んでいます。ビジネスパーソンであれば、いまのうちからアタマのなかにいれておく必要があります。
冒頭に掲載した写真は、一昨日(2013年1月16日)の NHKの経済番組 「Bizプラス」の放送で使用されていたパネルです。
ASEAN経済統合のキモとは以下のとおりです。
●商品規格や技術標準の相互承認
●域内の関税撤廃
つまり、「ASEAN基準」導入、ですね。共通通貨はなくても、域内で関税が撤廃されれば、すでに経済でリードしているタイのような「中進国」で「中核国」の意味は、さらに大きなものとなるでしょう。
(国際機関アセアンセンターによる地図)
ASEAN加盟10カ国の GDP合計は、2兆2千億ドル強、ブラジル一国とほぼ同規模だとのこと。
もちろん、一人当たりGDPは、シンガポールのように日本を上回る国がある一方、カンボジアやミャンマーのようにかなり低い国も存在しますが、域内が「共通市場」化されると、そのインパクトは無視できません。
ASEAN経済統合を想定に入れると、ますますタイのもつ政治経済的な意味が大きくなってくるわけです。
経済ニュースでは、「最後のフロンティア」としてミャンマーについて報道されない日がないくらいですが、いちばん最初の進出先としてはタイが最適であるのは、すでに「中進国」であり、とくに製造業においては「製造基地」として確立しているからです。つまり、まったくの発展途上国とくらべるとリスクは低いといっていいでしょう。
2015年の「ASEAN統合」は、もう再来年に迫っています。2015年を見据えた東南アジア戦略は中堅中小企業にとっても必要です。
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