2011年9月23日金曜日
「3-11」以後も「有事」は続いている-政府債務の国際比較から日本財政の現状を直視しよう
The Economist(エコノミスト誌)最新号の記事に掲載されている「政府債務の国際比較のグラフ」です。
ご覧になっていただけばわかるように、日本がギリシアを抜いてダントツの一番になっています。
グロス(=総計)の数字でネット(=正味)の数字ではないとはいえ、GDPの2倍(!)を越えているのは日本だけ。
内訳でみれば、グラフに表示されている先進国13カ国のなかでは、海外債務比率が量的にも比率的も最小とはいえ、債務の規模が大きすぎるのが不安材料であることにかわりないですね。
だからといって、いますぐに増税するのは賛成ではありません。デフレ状態のなかでは、まずは需要を喚起して景気をよくすることが先決だからです。ムダをなくすための努力を「見える化」してもらわないと、国民が増税にNOと言うのは明らかでしょう。
しかし政府がまた何も決められずにフラフラしていると、なにか非常事態が発生したときのマーケットの反応が恐ろしい。問われているのは、日本政府自身のガバナンス能力なのです。
「3-11」の大規模自然災害と原発事故という人災が、財政面ではさらに問題を大きくしていることは言うまでもありません。そのうえ、台風による水害や土砂崩れも続いており、今年2011年はまさに天変地異が連続して発生しています。すでに地震の活動期に入ったとみられており、財政に与える悪影響はとどまるこおてゃないでしょう。
ところで、チェルノブイリ原発で事故が起こったのは1986年、その5年後の1991年にソ連は崩壊しました。福島第一で事故が起こったのは2011年、その5年後の2016年には...。いや、あまり考えたくないことですね。しかし論者によっては 2015年までには「国債暴落」も可能性としてありうると想定している人もいます。
歴史をひもとけば、第二次大戦で敗戦した1945年時点の日本の政府債務(=国債発行残高)は、GDPのなんと3倍(!)でした。その後、日本政府が日本国民に対する借金をどのように踏み倒したか、歴史的事実をよく検証してみることが必要でしょう。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」というではありませんか。
1946年(昭和21年)には、預金封鎖(=引き出し制限)と新円切り換えで日本政府は借金を踏み倒しました。財務省(=旧大蔵省)には前例があるのです。同様の手法は、北朝鮮もミャンマーも断行しています。
すでに「平時」ではないという「有事」という認識をお持ちのことと思いますが、国家財政の危機はマクロ経済要因として、ミクロの経済生活にも跳ね返ってきます。
企業も、個人も「有事対応」への備えが必要になっていると認識すべきでしょう。
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