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2012年5月25日金曜日

『中国美女の正体』(宮脇淳子・福島香織、フォレスト出版、2012)-中国に派遣する前にかならず日本人駐在人に読ませておきたい本

中国に派遣する前にかならず日本人駐在人に読ませておきたい一冊

モンゴル史の研究家・宮脇淳子氏と、産経新聞やネット上で硬派な中国関連記事を書いているジャーナリスト福島香織氏の対談形式の中国本関連本。

「中国美女」の正体という、なんともあやしげなタイトルにそそられたあなた、ご用心、ご用心!

日本人駐在員が日常的に接する中国女性は、同僚や取引先のビジネスパーソンを除けば、ほぼ間違いなく夜の女性でしょう。

本書は、はっきりいって形而下の話です。アケスケに語られた下世話な話にも及んでいますが、それを歴史の観点から裏づけた内容でもあります。

熟女二人のぶっちゃけトークといってよいでしょう。同性である女性が語った内容だからこそ、中国女性の実態が明らかにした一冊になっているわけなのです。

わたし自身は中国の駐在経験はありませんが、駐在者の話を聞いたり、駐在員と行動をともにした経験からいっても、この二人が語っている内容については、いちいちうなづかされます。とてもここには書けないような話がゴロゴロしているのが実態です。

もちろん、中国女性といっても、広大な中国のことです、十把一絡(じっぱひとからげ)げに語るのはムリというのは、この二人にはよくわかっていることですし、内容はその点についてくどいほど語られたものになっています。

なんせ13億人という人口、その半分が女性だとしてもすごい数です(・・じっさいは、非合法ですが男女産み分けが行われているので女性のほうが少ない)。全人口のたった1%でも 1,300万人(!)となるわけですから、違いがあるのは当然ですし、人口の大半が農村戸籍をもつ農民である以上、その生活レベルや文化レベルがいかなるものであるかは推して知るべしというべきでしょう。

とくに「夜の女性」になる人たちといえば・・・。生活レベルが高ければ、「夜の女性」になるわけがないのは、考えるまでもありませんよね。

「大陸国家」の中国は、「海洋国家」で島国の日本人には想像を絶する存在であることが、本書を通読すれば、いやというほど確認することになります。

中国は日本とは根本的に異なる異文化であり、違いを確実に認識すること。そのことをアタマのなかにたたき込んでおくこと。

大陸という過酷な環境のなか生き抜いてきた中国人が、島国の日本人とは根本的に違うのは当然といえば当然なのです。同じ儒教圏などという幻想は、一日も早く捨て去ってほしいものです。それは韓国(朝鮮)も同様です。自分と自分が属する一族のサバイバルこそが行動原理の中核にあるのです。「夜の女性」の行動原理もまた同じ。

中国で中国人相手にビジネスをするということは、異文化環境におけるビジネスなのです。このことは絶対に忘れないでほしいと思います。

「中国の嘘を暴く東洋史学者」という異名をもつ宮脇淳子氏は、その夫君である碩学の東洋学者・岡田英弘氏の忠実な弟子でもあります。岡田博士には、『妻も敵なり-中国人の本能と情念-』(クレスト社、1997)という本もあります。現在は、『この厄介な国、中国』(WAC、2008)と改題されて出版されているので、もし機会があれば、ぜひあわせてぜひ読んでほしいと思います。

夜の武勇談を豪語するのはご自由ですし、遊ぶななどと無粋なことは申しませんが、あくまでも自己責任のうえでやっていただきたいということ。とくに、経営者の皆様にはアタマのなかにたたき込んでおいていただきたいものです。

そして経営者の皆様には、中国駐在が決まった社員には、赴任前にかならず読みなさいと一冊わたしてほしいと思います。もちろん、すでに駐在している社員にもかならず読ませてほしい本です。

中国女性を軸にして、中国と中国人の本質について知る、手頃な一冊になっているいといってよいでしょう。

対談形式で読みやすい本書をぜひおすすめします。








目 次

第1章 “中国女子”とは何者なのか?
第2章 中国女子は何を思う?
第3章 中国女子の人生は貧富の差が決まる!?
第4章 日本男子は中国女子をどう思う?
第5章 中国女子は日本男子をどう思う?
第6章 日本男子は中国女子とつき合えるのか?

著者プロフィール

宮脇淳子(みやわき・じゅんこ)

1952年、和歌山県生まれ。京都大学文学部卒業、大阪大学大学院博士課程修了。博士(学術)。専攻は東洋史。大学院在学中より岡田英弘からモンゴル語・満洲語・中国史を、その後、山口瑞鳳(現東京大学名誉教授)からチベット語・チベット史を学ぶ。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所共同研究員を経て、現在、東京外国語大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。

福島香織(ふくしま・かおり)
1991年、産経新聞社に入社。奈良支局、大阪文化部、同社会部を経て、1998年秋から1年間、上海・復旦大学に語学留学。帰国後、外信部を経て、2001年春に香港支局長。2002年春から中国総局記者として北京に駐在。2006年春から産経新聞のブログサイト「iza」に「北京趣聞博客」を連載中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。


<関連サイト>

高額化する上海小姐のゆすりたかり 蜜月時代こそ、ご用心 (福島香織、 日経ビジネスオンライン、2015年5月27日)

(2015年5月27日 情報追加)


<ブログ内関連記事>

書評 『潜入ルポ 中国の女-エイズ売春婦から大富豪まで-』(福島香織、文春文庫、2013 単行本初版 2011)-中国に生きる女たちから中国社会のリアルを知る

書評 『朝青龍はなぜ強いのか?-日本人のためのモンゴル学-』(宮脇淳子、WAC、2008)
・・本書の著者の一人・宮脇淳子氏の著書。中国人とはまったく異なるモンゴル人と比較すると、中国人の特性がよく見えてきます

アジア進出に際しては「失敗事例」を押さえたうえで「成功方法」を考えよう-『なぜ中小企業の中国・アジア進出はうまくいかないのか?』 と 『アジアで成功する企業家の知恵』を読む

「個人と組織」の関係-「西欧型個人主義」 ではない 「アジア型個人主義」 をまずは理解することが重要!

書評 『現代中国の産業-勃興する中国企業の強さと脆さ-』(丸山知雄、中公新書、2008)

書評 『中国貧困絶望工場-「世界の工場」のカラクリ-』(アレクサンドラ・ハーニー、漆嶋 稔訳、日経BP社、2008)

書評 『拝金社会主義中国』(遠藤 誉、ちくま新書、2010)

書評 『中国動漫新人類-日本のアニメと漫画が中国を動かす-』(遠藤 誉、日経BP社、2008)

ひさびさに宋文洲さんの話をライブで聞いてきた!-中国人の「個人主義」について考えてみる・・小室直樹の『中国原論』も、できれば読んで欲しい

(2015年5月27日 情報追加)





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