文書を作成するのに時間がかかる、書くのが得意ではないのでついつい億劫になりがちだ・・・。
ビジネスパーソンである以上、そんなことは言ってられません。著者の言うとおり、かつてよりはるかに文章を書く機会が増えているからです。わたし自身は文章を書くことを職業にしてきたわけではありませんが、著者の言うことには全面的に同感です。
しかも、口頭のコミュニケーションとは違って、文書のコミュニケーションは、いったん送付や提出してしまったものは修正が難しいという問題があります。メールの文章がまさにその典型ですね。文言だけでなく、数字もまたエビデンス(=証拠)として残ってしまうからです。
だからこそ、ビジネス文書作成にあたっては、構成がしっかりとしていて簡潔明瞭、理路整然であることが求められるのです。
本書は、いまを生きるビジネスパーソン向けの文章作成術です。ビジネスパーソンは 文章の専門家ではないので、100点とる必要はないのです。言うべきことが誤解なく伝わること、これができていれば十分に合格です。
もちろん、ビジネスパーソンだけではありません。なんらかの形で仕事についている人に必要な文章を書くためのメソッドが、きわめて簡潔に過不足なくまとめられています。
短文の作成方法から始まって、定型的なビジネス文章作成の方法論を説明し、最終的にはレポートなどの長文の作成術までカバーしているという用意周到な構成。文章作成レベルが高いと思っている人も、最初から「自分チェック」の意味で読むと得るものがかならずあるはずです。
ビジネス文書作成は、たんなる文書作成とは違います。ビジネス文書がコミュニケーションである以上、さまざまなビジネスシーンにおいて、つぎのアクションにつながるものなくては効果的だとはいえません。意味が明瞭でも、読んでもらう相手のことを考慮に入れておかねばなりません。
その点、本書は説得力のある内容といってよいでしょう。著者は文章作成のプロフィールというだけでなく、仕事人として組織の内外で企画を通してきたプロだからです。
わたし自身、ふだんは無意識に実践していることを、かゆいとこまで明確に文字にして整理していただいたという感想です。当たり前のことを論理的に説明するというのは、意外と難しいものだからです。
その意味では、部下の文章作成を指導する立場にある上司の方々にもお勧めしたい一冊です。
PS. この書評は、R+(レビュープラス)さまより献本をいただいて執筆したものです。
目 次
はじめに
第1章 一文を速く書き、伝わる文にする秘訣
第2章 伝わる文章を速く作る秘訣
第3章 穴埋めで速い! 伝わる「定番」フレーム
第4章 あなただけのオリジナルフレームを作るテクニック
第5章 3分で文書を仕上げるための小ネタ・テクニック
第6章 速く書くための環境を整える!
第7章 レポートなどの「長文」を速く書く方法
付録 巻末資料
思わず使ってしまいがちな「重ね言葉」の代表的な例
ビジネスシーンで使われがちなカタカナ語と日本語変換例
ビジネスシーンで使えることわざ・慣用句・四字熟語
敬語(尊敬語・謙譲語・丁寧語)の言い換え
著者プロフィール
石田章洋(いしだ・あきひろ)
1963年岡山県生まれ。構成作家&プランナー。日本脚本家連盟員・日本放送協会会員。ライター&プランナーズオフィス、株式会社フォーチュンソワーズ代表取締役社長。25年にわたり各キー局の情報番組・報道番組などを中心に構成を担当。最近の主な担当番組は「世界ふしぎ発見!(TBS)」「情報プレゼンター・とくダネ! (フジテレビ)」「BSフジLIVEプライムニュース」など。構成を手がけた「世界ふしぎ発見! エディ・タウンゼント 青コーナーの履歴書」は-第45回コロンバス国際フィルム&ビデオ・フェスティバルで優秀作品賞を受賞するなど、番組の企画・構成・制作に関して高い評価を受けている。大手電機メーカーや大手化粧品会社の広報・マーケティングのコンサルティングを行うなどビジネスシーンでも活躍している。
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