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2011年10月4日火曜日

アジアでは MBA がモノを言う!-これもまた「日本の常識は世界の非常識」


「MBAを持っていても、実際の経営はできない!」

このようにクチにする経営者は多いですね。皆さん自身もクチにされているのではありませんか? あるいは皆さんのまわりにも多いのではないですか?

このようにクチにする経営者、とくに中小企業の経営者は少なくないのですが、まったくそのとおりです(笑)。「異議なし」です。

なぜなら、MBA は「打ち出の小槌」でも、「魔法の杖」でもありません

そもそも MBA は大学院修了時に授与される「学位」であって、弁護士や公認会計士、税理士のような、それがなければ開業できないという「資格」ではありません。マネジメントには、資格はおろか学位も必要不可欠ではありません。必要条件ですらありませんね。

わたしもときどき、MBA は日本語のマヌケ(Manuke)・バカ(Baka)・アホ(Aho)をローマ字で書いたときの頭文字だ(笑)と言ったりもしますが、これはけっして自嘲ではなく、そういう人間も少なくないのは事実だからです。いわゆる「アタマでっかち」というヤツですね。ちょっと気の利いた表現なら「知ある無知」とでもなりましょうか。

正確にいうと、MBA とは Master of Business Administration の略。日本では経営学修士とよくいいますが、直訳すればビジネス管理学修士となります。Administration というのはやや古い概念で、ドラッカー以降であれば Management といったほうが適切かもしれません。

ところが、一歩でも日本をでると、様相はまったく変わってきます。日本から一歩でも出れば MBAの威力はきわめて大きいことはすぐにわかります

なにも欧州や米国といった先進国の話ではありませんよ。アジアの発展途上国でも MBA はじつにモノを言うのです!

アジアでは、マネージャークラス以上は、取得されて当然の学位なのです。MBAを含めたマスター(修士号)以上の学歴が資格要件のなかに入っているからです。

MBA をもてば、間違いなくリスペクトされます。しかも、米国や英国で取得したのであれば、それだけで羨望のまなざしを浴びることになるでしょう。

これは、中国やインドだけの話ではありません。わたしがタイで実体験したことです。

政治の世界では、元首相のタクシン氏も、その妹で現在の首相のインラック氏は MBA ではありませんが米国で修士号を取得してます。

日本人でも政府関係者や大企業の駐在員なら知っているでしょうが、ビジネスの世界では、日本以外の米国系や欧州系外資系企業のジェネラル・マネージャーは、ほぼ間違いなく、MBA やその他修士号を以上を取得した30歳代の若いジェネレーションです。

ものづくりにおいては、日本型の現場重視の経営はひじょうに大切です。タイをはじめとするアジアに日本型のものづくりが移植されて成功しているのは、その証拠といっていいでしょう。タイは、現在でもそうですが、もともとは稲作を中心にした農村社会です。

しかし、組織のなかでリダーシップを発揮すべきマネジメント・レベルになると話が違ってきます。MBA をはじめとする「学位」が、モノを言う社会なのです。日本以外はみなそうだと言っても言い過ぎではありません。

ですから、日本の外で仕事する必要のあるビジネスパーソンは、ダマされたと思って絶対に MBA 取得を目指してほしいと思うのです。

米国であれ、日本であれ、また中国や東南アジアであれ、フルタイムでもパートタイムでもいいから、ビジネススクール(経営大学院)を卒業して MBAを取得することはぜひ推奨したいと思うのです。

少なくとも、MBA を取得している人間はうまく使いこなしてほしいものです。

ハッキリ言っておきましょう。例外は日本だけです。かつて評論家の竹村健一は「日本の常識は世界の非常識」と断言していましたが、MBAという「学位」のもつ社会的な意味については、竹村健一の発言は、現在でもそのまま通用します。

かつて、「法学部はつぶしがきく」と日本のビジネス界では言われていました。

わたしは、「MBAは国際社会ではつぶしがきく」と言っておきたいと思います。なぜなら、ビジネススクール(経営大学院)で学ぶ「共通言語」は、世界中で通用するものだからです。

その「共通言語」とは、英語と数字、この2つです。この2つを同時に学ぶことのできる MBA が重宝されるのは、ある意味では当然といえば当然なわけですね。

もっと言ってしまえば「英語で数字を語る」というべきでしょうか。つまるところの最低限は英文会計を読み解く知識と能力。もちろん、それだけに限定されず、幅広く経営管理の基本ということになります。

「MBA は役にたたない」。はい、そういう者も多々あります。しかし、そういう者がすべてではありません。

日本語では「バカとハサミは使いよう」と言うではありませんか。
「MBA も使いよう」なのです。


<関連記事>

英語で交渉することで尊敬を勝ち取る-中国人の“欧米崇拝”を逆手に取る 
・・"中国でもっとも有名な日本人" 加藤嘉一さんの提言。「政府機関、大企業、中小企業を問わず、過去に欧米に留学した、駐在した経験がある従業員を積極的に中国(特に大都市)に派遣することをお勧めする」。なぜなら、「中国人とのビジネス交渉に英語を用いることのメリット」である。外国企業とビジネスをしようとする中国人がそもそも英語に堪能で、英語を話したくてたまらないというハングリー精神を持っている背後には、今を生きる中国人が持つ「欧米崇拝」が存在」から。(2011年10月27日 追記)

そこまでヒドイの? ケア・テーカーと呼ばれている日本人支社長たち
・・「日本以外の先進国やアジア諸国は、階級社会(Class Society)により成り立っている。ビジネス分野においては、MBAプロトコルと呼ばれる見えない壁を形成している。MBA資格の有無が重要なのではなく、「話が出来る相手かどうか、を見極める手段である」・・この指摘は重要。(2012年1月6日 追記)

Rouge Asia社長 前田知映氏(下)-アジアでこそ活きる米MBA資格 (日経Bizアカデミー 2014年3月24日)
・・「アジア市場でビジネスして思うのは、MBA留学をしておいてよかったということです。私が会ったアジアの企業の経営者や幹部はほぼ全員、海外留学の経験者です。インドネシアやタイで会ったビジネスパーソンの99%は、米国留学していました。その中にはビジネススクール出身者も大勢います



<ブログ内関連記事>

書評 『海外ビジネスを変える英文会計-経営の判断力が身につく!-』(木幡 幸弘、インテック・ジャパン監修、エヌ・エヌ・エー、2010)

M.B.A.(経営学修士)は「打ち出の小槌」でも「魔法の杖」でもない。そのココロは?

レンセラー工科大学(RPI : Rensselaer Polytechnic Institute)を卒業して20年
・・わたしはこの大学のMBAコース(MOT)を卒業しました

(2013年12月25日 情報追加)





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