「投資熱高まるカンボジアの可能性を探る」(大メコン圏ビジネス研究会・日本商工会議所)の勉強会に参加してきました。
どうやら、カンボジア投資熱は、日本でも本格的なものになりつつあるようですね。
「日本では」とここで書いたのは、カンボジアへの投資ランキング1位の中国と比べると、日本は12位で、しかも投資実績は中国の約3%弱の2.1億ドル(*注:1994年から2011年までの17年間累計投資額)にすぎないからです。
■日時:2011年10月26日(火)10:00~12:00
■場所:東京商工会議所ビル7階「国際会議場」
(東京都千代田区丸の内3-2-2)
■内容:
①「カンボジアの経済・投資政策について」(駐日カンボジア王国特命全権大使 ホー・モニロット閣下
・・英語)
②「カンボジアの経済・投資環境について」(駐日カンボジア王国大使館 一等書記官 シム・ヴィリャ 氏・・日本語)
③「日系企業のカンボジアへの投資状況について」(日本貿易振興機構(ジェトロ)海外調査部アジア大洋州課 課長 若松勇 氏
④「日系企業の進出事例紹介」(ミネベア株式会社 代表取締役・社長執行役員 貝沼由久氏)
全般の投資環境については、ジェトロによるものも含めて公的な話なので、マクロ経済データの話が中心となります。これらのデータについては、国際機関アセアンセンターや外務省のウェブサイトで、カンボジア王国の項目を参照していただきたいと思います。
とくに隣国のタイと比べると、カンボジアは外資に対する制限がほとんどなく、100%での進出が可能です。
タイの場合は、商法上の原則としては外資比率は49%以下と決まっており、BOI(タイ投資委員会)の許認可をとれれば製造業は100%外資も可能ですが、流通業にかんしては現在でも国内中小企業保護のため認められていません。カンボジアでは、流通業でも外資100%が可能です。
じっさいにプノンペンにいってみればわかりますが、現在は平和になっただけでなく、高層ビルの建設ラシュが続いており、隔世の感があるといっても言い過ぎではありません。
企業進出をともなう直接投資(FDI)にかんしていえば、なんといっても、ミネベアが本格的に進出したというニュースは、まさにビッグニュースといってよいでしょう。2011年 月に投資の許認可を得て急ピッチで工場を建設し、今年2012年4月からすでに操業を開始したとのことです。
これにくわえて、アジアでも活発に活動している小売流通業のイオンが、首都プノンペンに数店舗の出店を検討しており、現在カンボジア政府に投資許可の申請中というのも朗報です。一日も早く許認可がおりるのが待ち遠しいですね。
さて、ミネベアにかんしては、なんと社長みずからのプレセンテーションがあり、当事者ならではの指摘もいくつかありましたので、かいつまんでご紹介いたします。
-タイではすでに工場は5つ操業しているが、人件費高騰もあり周辺諸国に進出を検討
-ベトナム、ラオス、カンボジア、ミャンマーのうち、ミャンマーは欧米による経済制裁がまだ解除されていないのではずした
-ミネベアは原則として工業団地には進出しないポリシーだが、カンボジアではPPSEZ(プノンペン特別経済区)に進出
-カンボジアは現状では繊維産業が中心なので、知名度のなさもあって、ワーカーを集めるのに苦労した
-電力コストはタイの2倍、物流コストはタイの4倍
もちろん、豊富な海外経験をもつミネベアのような会社だからこそ、カンボジアに進出を決定したということもあるでしょう。
中堅中小企業が、いちばん最初の進出先をカンボジアにするのは、おすすめではありません。人件費だけに目をくれず、物流費やその他関連コストも十分に考慮にいれてトータルで検討していただきたいものと思います。
そのためには、まずはインドシナ半島であれば、いま洪水問題のまっただなかではありますが、ビジネスインフラのことを考えればまずはタイを考えるべきでしょう。
カンボジア投資は、あくまでも「タイ+1」あるいは「ベトナム+1」と考えるのが、理にかなったものだろいえると思います。
<関連サイト>
国際機関アセアンセンターの国別情報カンボジア
外務省のウェブサイトの国別情報カンボジア王国
カンボジアで、小型モーター新工場の起工式を実施-製造拠点の分散・多元化により、安定した生産体制を構築-(ミネベア プレスリリース 2011年5月24日)
カンボジアへ先を競う大企業、1番手は味の素工場建設を決めたミネベア、社長が電撃訪問した日本電産(JBPress 2011年11月1日)
4年にカンボジア1号店:イオン、プノンペンに(NNA)(2011年11月10日)
・・イオンは2011年11月9日、2014年をめどにカンボジアにショッピングモール1号店を開設すると発表
<ブログ内関連記事>
「カンボジア投資セミナー」 (国際機関日本アセアンセンター)が、2011年6月2日(木)に開催 (入場無料)
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