2011年3月10日木曜日
書評 『40代を後悔しない50のリスト-1万人の失敗談からわかった人生の法則-』(大塚寿、ダイヤモンド社、2011)
■読むと怖くなってくる本。この本はあなたの50歳台以降を占うリトマス試験紙となる■
いま私は40歳台の後半だが、「はじめに」を読んで「目次」を読んでいるうちに、なんだか少し怖くなってくるのを感じた。
一方、これは40歳過ぎてからやりはじめたな、これもすでに手をつけている、30歳台のときとは違う自分を育成してきたと、ほっと胸をなで下ろすものも少なからずある。
こうして読んでいるうちに、まだ50歳台でなくて良かったというちょっとした安堵感とともに、さらに自分に負荷をかけて成長させなければならないなと、自戒の気持ちを同時に固めることになる。
本書は、読者対象として大企業に勤務する30歳台以上の男性サラリーマンを想定しているようだ。おそらく20歳台の人が読んでも表面上の字面しかわからないだろうし、30歳台でも後半にならないと本当の意味で実感できないかもしれない。
だが、40歳台の読者でこの本に何も感じないとしたら、それはたいへん危険なことだ。「種まき期」の20歳代と「育成期」の30歳代に直線志向でまっしぐらにやり抜いてきた人は「収穫期」の40歳代で安心し、その安心は知らぬ間に慢心に変わる。気がついたら50歳を過ぎており、会社人生も残りわずか、そしてリタイアしたら後悔の山、山、山・・・。おお怖い。
「40歳は人生の正午」だと言ったのは、スイスの臨床心理学者 C.G.ユングだが、人生80年時代の現在日本では、まさに至言というべきである。個人差はもちろんあるが、40歳以降もまだ40年近く生きることになるのだ。その折り返し点では、いままでとは違う取り組みが必要なこと気がつかねば危ない。
「人生の午後」の最初の10年間はまた、人生において公私ともども、もっとも多忙な時期に重なっているからだ。気がつくのが遅れると大変なことになる。
本書の指摘がすべて当てはまるわけではないし、すべての処方箋が正しいわけではない。要は自分なりに取捨選択して、いいとこ取りをすることだ。学ぶのに遅すぎるということはない、まだ間に合うはずだ。
いたずらに恐怖を煽って、何かを売りつけようという悪徳商法の本ではないから、安心して読める内容の本である。「備えあれば憂いなし」、というではないか。
(目次や著者プロフィールその他の各種情報は、つづきを http://e-satoken.blogspot.com/2011/03/40502011.html にて)
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