「グループ・シンク」とは、集団による意志決定につきまとう「弊害」についての話です。
「グループ・シンク」(Group Think) を直訳すると 「集団思考」 となります。グループが「全員参加」で考えて何が悪いのだ?・・・という声も聞こえてきそうですが、「全員参加」 と 「集団思考」 は実はまったく異なるものなのです。全員で考えることは重要ですが、最終的な結論はリーダーが決定しなくてはいけません。
昨日(3月6日)、「NHKスペシャル シリーズ 日本人はなぜ戦争へと向かったのか」の「第4回 開戦・リーダーたちの迷走」をやっていました。
ご覧になった方もいらっしゃるかと思いますが、日本の国策決定の場は、各組織の代表者が対等な権限をもつ集団指導体制で、全会一致がタテマエとなっていたのです。
誰一人として最終的な決断を下せずに、責任回避に汲々(きゅうきゅう)とする国家指導者たち。1941年(昭和16年)の開戦の意志決定はトップの決断ではなく、追い込まれた結果に過ぎなかったことがわかります。その時点でアメリカと戦ったら間違いなく敗北することは、みな数字で把握してわかっていました。しかし、誰一人として戦争はやめるべきだと言えずに、その場の「空気」で流されてしまったのです。まさに「グループ・シンク」の弊害がもろにでた結果といわなければなりません。
経営や組織全体の意志決定だけでなく、職場レベルの意志決定においても同じことです。全員参加の会議では 「集団の空気」 に流されずに、活発なディスカッションをしなくては意味がありません。
しかも、最終的な意志決定は、チームのリーダーがその責任権限のもとに行う。これがあるべき姿ですね。
「グループ・シンク」 のワナにはまらないよう、気をつけていきましょう。
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