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2011年7月29日金曜日

書評 『アイデアを形にして伝える技術』(原尻淳一、講談社現代新書、2011)


■マーケティング・プランナーが書いた、アナログのフィールドワークからデジタルなアウトプットをするための「知的生産の技術」■

 梅棹忠夫のロングセラー『知的生産の技術』を踏襲している本書は、アナログのフィールドワークの手法をウェブ時代のデジタルに活かすため、インプットとアウトプットの両方を網羅的にわかりやすく解説した本である。

 著者のベースにある思想はいうまでもなく梅棹忠夫の『知的生産の技術』であるが、著者に大いなるインスピレーションを与えたのは、大学時代に垣間見ることのできた鶴見良行の「知的生産の工房」である。

 鶴見良行とは、東南アジア、とくに「海のアジア」を庶民目線によってフィールドワークによって調べ上げて、『バナナと日本人』や『ナマコの眼』などの名著を、つぎからつぎへと世に出してきた研究者のことだ。

 梅棹忠夫や鶴見良行といった先人たちの「フィールドワークから知的生産物を量産する技術」をウェブ時代に発展させたのが本書の特色である。いわばアナログ技術をデジタル化する技術といってもいいだろうか。

 本書は大きくわけて、第1部 インプット編と第2部 アウトプット編の二部構成になっているが、いうまでもなく読者にとっての読みどころは後者のアウトプット編にある。具体的にいえば、レポートや企画書の書き方だ。本書じたいの企画案が掲載されているのは面白い(P.169)。本という形での「知的生産」を考えている人にも、役に立つだろう

 本書は、ビジネス書として分類するのは狭すぎるというべきだろう。なによりも、よくあるビジネス書とは異なり、発想の源はビジネス以外の世界にもひろく求めており、実例も豊富に紹介されている。仕事のうえで、なんらかの知的生産をしなければならない人にとっての知的読み物にもなっている。

 ただし、「アイデアを形にする」といっても、ここで語られているのは主にソフトとしての企画そのものについてである。いわゆる狭い意味での「知的生産」である。製品やデザインなどの「形にする技術」のことではない。目に見えるプロトタイプ(=試作品)をつくる必要のある「ものづくり」そのものについては別の本を参考にしたほうがいい。ここでは、もっぱら目に見えないソフトについて語っている。

 アイデアの作り方と伝え方にかんして書かれたアウトプット志向の本として、とくに30歳台前半までの若い人にすすめたいと思う。 


<初出情報>

■bk1書評「マーケティング・プランナーが書いた、アナログのフィールドワークからデジタルなアウトプットをするための「知的生産の技術」」投稿掲載(2011年7月23日)
■amazon書評「マーケティング・プランナーが書いた、アナログのフィールドワークからデジタルなアウトプットをするための「知的生産の技術」」投稿掲載(2011年7月23日)





目 次

第1部 インプットの技術
 第1章 「現場の情報」力
 第2章 情報を集める技術・読む技術
 第3章 データベース構築とアイデア発想

第2部 アウトプットの技術
 第4章 型の効用
 第5章 わかりやすく自分らしい文章術
 第6章 企画書を書く
 第7章 伝わるプレゼンテーション


著者プロフィール

原尻淳一(はらじり・じゅんいち)

マーケティング・プランナー。1972年、埼玉県生まれ。龍谷大学大学院経済学研究科修士課程修了。大手広告代理店でブランドマーケティングのプランニングを7年間行う。大手レコード会社でアーティストや映画のマーケティング・宣伝プランニングを担当。現在、株式会社ブルームコンセプト取締役。龍谷大学社会科学研究所客員研究員。同大学非常勤講師。マーケティング研究協会講師。ISIS編集学校師範代(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。




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NHK・Eテレ 「スタンフォード白熱教室」(ティナ・シーリグ教授) 第7回放送-シリコンバレーで働く 4人のゲストに聞く、創造性にまつわる 7つの質問
・・アイデアを発想し、それをプロトタイプ(試作品)としてハードというカタチあるものに変えるイノベーションの方法について

NHK・Eテレ 「スタンフォード白熱教室」(ティナ・シーリグ教授) 第8回放送(最終回)-最終課題のプレゼンテーションと全体のまとめ

書評 『梅棹忠夫 語る』(小山修三 聞き手、日経プレミアシリーズ、2010)

書評 『知的生産な生き方-京大・鎌田流 ロールモデルを求めて-』(鎌田浩毅、東洋経済新報社、2009)

書評 『知の現場』(久恒啓一=監修、知的生産の技術研究会編、東洋経済新報社、2009)

書評 『達人に学ぶ「知的生産の技術」』(知的生産の技術研究会編著、NTT出版、2010)





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2011年6月20日月曜日

NHK・Eテレ 「スタンフォード白熱教室」(ティナ・シーリグ教授) 第8回放送(最終回)-最終課題のプレゼンテーションと全体のまとめ


NHK・Eテレの「スタンフォード白熱教室」。ティナ・シーリグ教授の「起業家育成コースの集中講座」(Stanford Technology Ventures Program)。まさに、シリコンバレーのテクノロジー・ベンチャーのゆりかごであるスタンフォードらしい授業ですね。

いよいよ、本日は最終回。学生たちの「最終課題」のプレゼンテーションです。

まずはいつもどおり、ウォームアップから。今回のウォームアップもまたカラダとアタマをつかったものでした。カラダを動かして肩のチカラを抜いていく。アタマの回転と柔軟性はスタンバイ。

最終回は「コーヒーの新しい飲み方を考える」。公式サイトの説明は以下のとおりです。

「発想の転換を迫り、革新的な アイデアを生み出す手法」を学ぶスタンフォード大学起業家育成講座。その根底にあるのはテイナ・シーリグ先生の「創造性は誰でも学ぶことができる」という考え方です。
最終回、学生たちに与えられた課題は「コーヒーの新しい飲み方」を考えること。
これまでに学んできたブレインストーミング、チームでの作業の仕方、最高のアイデアを考えた後で最低のアイデアも考えてみること、前提を疑い、ルールを破って問題を捉え直すことなど、吸収したすべての思考ツールを駆使して課題に挑みます。
果たしてどんなアイデアが飛び出すでしょうか。


最終課題は、第4回の授業で示されました。NHK・ETV 「スタンフォード白熱教室」(ティナ・シーリグ教授) 第4回放送- 「6色ハット」 は個人レベルの思考パターンと仕事スタイルを 「見える化」 する を参照してください。

課題は、まずはコーヒーを飲むという経験は何であるか調べつくすこと。ラディカルで常識破りのアイデアを出し、試作品をつくって実際のユーザーに試飲してもらうこと。新しい飲み方を、2分間のビデオでプレゼンテーションすること。

今回の放送ではじめてわかりましたが、第4回の授業から最終回の第8回の授業まではたった1週間。この授業はいわゆる「集中講座」だったようです。限られた時間のなかでプレッシャーと戦いながら課題を実行することの重要性も同時に体感させることも意図されていたようです。

プレゼンテーションは以下の要領で行われました。

1. 3人から4人で構成された7つのチームが、チームごとに 2分間のビデオを上映
2. ビデオ上映後にデザインのプロセスを口頭で解説
3. ゲスト審査員からのコメント

ゲスト審査員は2人、スタンフォード大学教育デザイン研究所ディレクター モーリン・キャロルとスタンフォード大学デザインスクール学部ディレクター バーニー・ロス。

シーリグ教授は、事前に各グループから試作品については事前に見ているようですが、ビデオについては見ていないという前提になっていました。徹夜までして完成させたグループもあったようです。

ビデオ・プレゼンでチェックされていたのは、「コーヒーの新しい飲み方」と試作品そのものだけではなく、とくに発想のストーリーとプロセスについてでした。第2回の授業ででてきた、「Emphathize」(共感)-「Define」(定義)-「Ideate」(考察)-「Prototype」(試作)-「Test」(検証)のサイクルをどのグループも踏まえたものとなっていました。

各グループは意図したわけではないにせよ、じつにさまざまな切り口から「コーヒーの新しい飲み方」を提案していました。

コーヒーの飲み方そのもの、コーヒーを飲む場所、コーヒーの注文のしかた、コーヒーの味、コーヒーにかわる同機能の製品・・・などなど。同じ課題でも、このようにさまざまな切り口からのアプローチが可能だということですね。たいへん面白いプレゼンでした。


■米国ではこのような授業はシーリグ教授のものだけではない!

このプレゼンテーションをみていて思い出したのは、わたし自身の経験です。

M.B.A.の授業が始まる前に、カリフォルニア大学バークレー校(UC Berkeley)のサマー・エクステンション(夏期集中講座)に参加して、ビジネス英語の授業をとっていましたが、同じようにグループでの課題発表が最終授業で行われました。1990年のことですから、いまから21年前のことになります。

最終課題は、新しいマウスウォッシュ(口内洗浄剤)を提案してその宣伝まで考えてプレゼンテーションするというもの。なんだか「スタンフォード大学白熱授業」の最終課題と似ていますね(笑)。もしかすると、米国ではとくだん珍しい課題ではないのかもしれません。

一緒のグループになったのは、わたしを含めた日本人2人とイタリア人2にスペイン人2人の合計6人。最終的にわれわれのチームが提案したのは「ミッキー・マウス」という商品名。Mickey Mouth とは Mickey Mouse にかけたもの。これはイタリア人の発案。この彼がプレゼンテーションでも大いに手腕を発揮して、先生からはイタリア人はプレゼンがうまいと誉められていました。イタリアに戻ったらマッキンゼーに入ると言ってましたが、はたして目的は達成したのかどうか?

余談になりますが、同じグループを組んでみてわかったのは、イタリア人とスペイン人はお互いのコトバで意思疎通しあえるのに、国民性はかなり異なること。どちらも、日本人と共通している面とそうでない面がある。とくにイタリア人はふだんは徹底的に遊んでいながら、ここぞというときに集中力がすごいということでした。

アイデアはイタリア人が中心になってつぎからつぎへとだし、日本人がそれを交通整理、スペイン人は冷静に議論の行方をみながら協調するという具合に。見た目と違って面白いグループ編成になったようでした。授業が終わったあと、スペイン人の二人が「日本人はすばらしい!」と絶讃してくれたのは、なんだかこそばゆい感じもしましたが、同時にひじょうにうれしくも思いました。

M.B.A.を取得した、ニューヨーク州のレンセラー工科大学(RPI:Rensselaer Polytechnic Institute)でも、ハイテクベンチャー(Technological Entrepreneurship)の授業で似たような課題をつうじて体験しています。

研究開発の成果を商業化(commercialize)するというプロジェクト。これはセメスター3ヶ月かけてのプロジェクトですが、かなり実践的な内容の授業でした。アメリカ人男性とスペイン人(・・正確にいうとカタロニア人)女性の三人でチームを組みましたが、われわれのチームが選んだのは、大学の工学部教授が開発した「心臓にたまった水を外部から測定する機器」。

これを製品化するための調査とマーケティングプランの作成を行い、最終プレゼンテーションでは優勝!最後のプレゼンは大教室で、外部からの審査員も出席したもので、緊張しながらも充実した思い出が残りました。

このような実践を念頭においた体験型授業、対話授業というものは、レクチャー主体の授業とは違って、受講者にとっては自分が主体的にかかわっただけに印象が強く、長く記憶に残るということですね。

シーリグ教授の「起業家育成コースの集中講座」もまた同じですね。米国の教育方法ではけっして例外ではないのです。日本の教育もそろそろ、「勉強」から脱して、体験と対話をつうじての「学び」に移行していくべきでしょう。大人向けも子ども向けも。


■全8回の授業のまとめとおさらい

プレゼンテーションが終わったあと、シーリグ教授から、全体のまとめとおさらいが行われました。

「創造性は誰でも学ぶことができる」
・・これは全体をつうじてのシーリグ教授の一貫した主張です。全8回の集中コースをつうじて、参加者だけでなく視聴者もみな実感したことでしょう。

「観察」(Observation)
・・これは何度強調してもしすぎることはないでしょう。自然科学にかぎらず、ビジネスでもすべての分野で絶対に必要なマインドセットですね。

「前提を疑う」
・・マインドマップをつかったブレーンストーミングを実行しましたよね。また「最高のアイデアと最低のアイデア」の演習も面白かったです。誇張することで問題を「見える化」するわけです。

「メタファー」(Metaphor)
・・「関連性のない問題を組みあわせてみる」。このメタファーというコトバそのものが重要です。

「問題を定義し直す」(Redifine)
・・問題の違う角度からみて捉え直すことですね。シーリグ教授が引き合いにだしていた「無重力空間でも書けるペンの話」は興味深い例ですね。機能が明確になればエンピツでいいじゃないかというロシア人の発想が紹介されていました。

「空間の重要性」
・・創造性に適した空間が重要であることは、日本でも幼稚園と小学校以上を比べてみるとよくわかりますよね。米国の先端企業がこれにいかにチカラをかけているか、グーグルやフェイスブックを引き合いにだすまでもありません。この「起業家育成コースの集中講座」じたいが、かなり意識した空間設計がなされていました。

「チームの重要性」
・・第4回の授業でやった「6色ハット」など、創造性を発揮させるための最適の組み合わせについても重要ですね。一人ではなくチームで、しかも最適の組み合わせを考えて。

「時間の重要性」
・・時間的制約のもとでかかるプレッシャー。これが創造性には意外と重要であるということ。ビジネスパーソンであれば実感できることでしょう。

「実験する姿勢をもつ」
・・試作品は最初から完璧をもとめず、その都度ためして早い段階から失敗することを繰り返す。


最後にシーリグ教授が強調していたのは、Creativity Tools だけでなく、Attitude と Creative Culture の重要性。

創造性を開発するさまざまな「技法」(ツール)にばかり注目が集まりがちなのは、日本だけでなく米国でも同じようですね。

技法はもちろん重要ですが、創造性を発揮するための「姿勢」と「カルチャー」。この3つが合わさって、創造性が大いに発揮されること、これはぜひアタマのなかにいれておきたいものです。


学びも多いが、集中力も要求される中身のきわめて濃い授業。これほど濃い 1時間もないのでは? そんな感想をもつ番組でした。







<関連サイト>


「スタンフォード白熱教室」番組概要(NHK)

自分で自分を社長にする(Tina Seelig:ティナ・シーリグ)(YouTube 映像)


<全8回の授業内容>

5月1日(日) 第1回 「ブレーンストーミングで可能性を探れ!」
5月8日(日)第2回 「名札をめぐる冒険」
5月15日(日)第3回 「最悪の家族旅行を考える」
5月22日(日)第4回 「6つの考える帽子」
5月29日(日)第5回 「30分で新製品を作る」
6月4日(日)第6回 「トランプで創造性を学ぶ」
6月12日(日)第7回 「あこがれの起業家に学ぶ」
6月19日(日)第8回 「コーヒーの「新しい飲み方」を考える」


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NHK・ETV 「スタンフォード白熱教室」(ティナ・シーリグ教授) 第3回放送-「ブレインストーミングには悪いアイデアはない!」

NHK・ETV 「スタンフォード白熱教室」(ティナ・シーリグ教授) 第4回放送- 「6色ハット」 は個人レベルの思考パターンと仕事スタイルを 「見える化」 する

NHK・Eテレ 「スタンフォード白熱教室」(ティナ・シーリグ教授) 第5回放送-プレゼンは「つかみ」と「ストーリー」、そして限られた時間でアイデアをカタチにする

NHK・Eテレ 「スタンフォード白熱教室」(ティナ・シーリグ教授) 第6回放送-創造性はだれでも、どんな環境でも、発揮することができる!

NHK・Eテレ 「スタンフォード白熱教室」(ティナ・シーリグ教授) 第7回放送-シリコンバレーで働く 4人のゲストに聞く、創造性にまつわる 7つの質問




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2011年6月13日月曜日

NHK・Eテレ 「スタンフォード白熱教室」(ティナ・シーリグ教授) 第7回放送-シリコンバレーで働く 4人のゲストに聞く、創造性にまつわる 7つの質問


 NHK・Eテレの「スタンフォード白熱教室」。ティナ・シーリグ教授の「起業家育成コースの集中講座」(Stanford Technology Ventures Program)。まさに、シリコンバレーのテクノロジー・ベンチャーのゆりかごであるスタンフォードらしい授業ですね。

 すでに授業は第7回目、いよいよ最終回の全8回の授業までのこり1回となってしまいました。

 まずはいつもどおり、ウォームアップから。今回のウォームアップはメンバーを 2つのチームをわけて、2分間でチーム名をきめてダンスの振り付けまで考えるというもの。このチームがそのまま、今回の授業ではそのまま対抗戦のチームとなります。

 カラダを動かして肩のチカラを抜いていく。しかも今回はダンスですから、カラダのほぐれかたも違いますね。アタマの回転と柔軟性はスタンバイ。

 今回(6月12日)のテーマは「あこがれの起業家に学ぶ」。公式サイトの説明は以下のとおりです。

 実際の企業の中で、創造性はどう発揮されているのか。今回は、フェイスブックの若手リーダーやスマートフォンの原型を提案した起業家などビジネスの第一線で活躍している 4人のゲストを招き、クイズ形式でそれぞれの企業の創造性の秘密を探り出していきます。
採用面接で創造性をどう見抜くのか、創造性を高めるためのチームの編成方法、空間の使い方の工夫、アイデアを出すための時間は仕事の何パーセントか、アイデアを実行する決定権は誰にあるのかなどさまざまな設問を通して、学生たちはクリエイテイブな企業文化を創るには多様なアプローチがあることを学びます。 


 今回の授業は、パネル形式で4人のゲストに、シーリグ教授がモデレーターとして質問し、その解答がホントかウソかを学生のチームに判定させて勝敗を競わせるというゲーム形式。

 ゲストスピーカーを読んでスピーチをしてもらい、その後の質疑応答をつうじてディスカッションするという形式は、米国だけでなく日本でも行われますが、質疑応答のセッションそのものをゲームにしてしまうというのは、じつにクリエイティブな授業になっていますね。

 今回招かれたゲストは以下の4人です。

ジェフ・ジョーキンス
 スマートフォンの原型を開発
 1992年パーム社(Palm)を設立
 情報携帯端末(PDA)を開発
 脳神経科学に基づくソフトウェア開発も

ドナ・ノビツキー
 会社立ち上げのスペシャリスト
 ウェブ制作会社の CEO などを歴任
 ベンチャーキャピタル(VC)の経験から16社以上の起業にたずさわる

ジュリー・ズー
 「いいね!」ボタンをつくった人
 2006年スタンフォード大学卒業(シーリグ教授の授業を受講)、フェイスブック入社
 現在はプロダクトデザイン・マネージャー

ブレンダン・ボイル
 150以上のオモチャを発明
 世界に支社をもつデザイン会社 IDEO社オモチャ部門リーダー

 起業家が二人(うちひとりはベンチャー・キャピタリスト)、デザイン関係者が二人と、面白い組み合わせになってます。こういう人たちを授業に呼べるのも、スタンフォード大学が立地するシリコンバレーならではですね。

 起業クイズのルールは以下のとおりです。

●ゲストはほんとうのことを答えるかどうかわからない
●ウソかホントかを見抜けたら1ポイント、間違えたら相手チームに1ポイント

 学生チームに質問を考えさせてでてきた質問とあわせて、シーリグ教授がモデレーターとなって7つの質問をし、質問のそれぞれにゲストの4人がひとりづつ解答をするという形です。ゲストは赤いソファに腰掛けてリラックスした状態で質問に答えます。

 ゲストに対する質問を列挙しておきましょう。

(Q1)面接で創造性をどう見抜く
(Q2)創造性を高めるチームの変成方法は?
(Q3)創造性を高めるためのオフィス空間の工夫は?
(Q4)アイデア出しに使う時間は仕事の何%?
(Q5)アイデアを実行する決定権は誰に?
(Q6)アイデアを出すための道具やシステムは?
(Q7)クリエイティブな空間は誰がつくっている?

 ゲストはそれぞれ、ウソかホントかわからないが、いかにもありそうなもっともらしい話をしていましたね。学生たちは真剣に考えてましたが、そのそも世の中のすべてはウソかホントか完全に班別できないもの。当事者以外は知らないのは当然といえば当然ですね。

 詳細は省略しますが、最後にシーリグ教授によって、本日のゲストからの「学び」がまとめられていたので、ゲストごとに列挙しておきましょう。今度の順番はソファに座った、こちらからみて左側から。

ジェリー・ズー(フェイスブック)

●大きな組織は「クリエイティブ」という尺度だけで人は管理できない
●膨大な数のユーザーに向けて製品の品質を検証する人たちの比重が大きい
●創造性のある会社の雰囲気づくりは採用から始まる


ジェフ・ホーキンス(2社のIPOを実現後、現在は3社目を立ち上げ中)

●自分のつかっているものの不満点を徹底的に洗い出す
●どんなに悪い製品でも必ず一つは学ぶべき点がある


ドナ・ノビツキー(ベンチャー・キャピタリスト)

●メンバーが刺激を受けるようなユニークな会議のあり方を提案する
●チーム編成のときにはなるべくセクションのちがう人を組み合わせる


ブレンダン・ボイル(IDEO社おもちゃ部門リーダー)

●チーム編成は「熱意」だけではできない
●100%クリエイティブはありえない。売ることも重要
●クリエイティブなアイデアの選択には多数決は効果的でない場合もある

 ジェリー・ズー(フェイスブック)の発言については、フェイスブックも映画『ソーシャルネットワーク』の立ち上げ期ははるか昔の話、現在ではインド、中国の人口についで多い5億人のユーザーにむけて、3,000人超の社員が働いている大組織となっているわけですね。

 ジェフ・ホーキンス(2社のIPOを実現後、現在は3社目を立ち上げ中)の発言については、エンジニアとして製品開発にかかわってきただけに、説得力がありますね。

 ドナ・ノビツキー(ベンチャー・キャピタリスト)は、自らも起業体験をもっているベンチャー・キャピタリストならではの発言。

 ブレンダン・ボイル(IDEO社おもちゃ部門リーダー)の発言については、デザインの重要性は日本企業ももっと意識すべきしょう。企業活動におけるクリエイティブはアートではないとはいえ、ある種の直観も必要ということですね。

 ゲストの発言のまとめとそれに対するあたさいの感想を書いてみましたが、まあそんなものかという感想もあるかもしれませんね。ただ、教訓というものは、あくまでも実際に取り組んでいるプロセスのなかではじめて納得できることですし、実際に試行錯誤してみないと体感できないことでも多々あることでしょう。

 学生のあいだにこういう話を聞いておくと、実際に働き出してから、かならず思い出すものですね。そのときにはじめて、ゲストの言っていたことはこうだたのか、教授の言っていたことはそういうことだったのかとわかったりするものです。

 何ごとも実際にやってみないと、ほんとうのことはわかりません。

  ............................................................
 
 いよいよ、次回の全8回の授業は最終回。学生たちの「最終課題」のプレゼンテーションが楽しみですね!

5月1日(日) 第1回 「ブレーンストーミングで可能性を探れ!」
5月8日(日)第2回 「名札をめぐる冒険」
5月15日(日)第3回 「最悪の家族旅行を考える」
5月22日(日)第4回 「6つの考える帽子」
5月29日(日)第5回 「30分で新製品を作る」
6月4日(日)第6回 「トランプで創造性を学ぶ」
6月12日(日)第7回 「あこがれの起業家に学ぶ」
6月19日(日)第8回 「コーヒーの「新しい飲み方」を考える」

 学びも多いが、集中力も要求される中身のきわめて濃い授業。これほど濃い 1時間もないのでは? そんな感想をもつ番組です。最終回もお見逃しなく!



<関連サイト>

「スタンフォード白熱教室」番組概要(NHK)

自分で自分を社長にする(Tina Seelig:ティナ・シーリグ)(YouTube 映像)


<関連情報>

 ゲストの一人が在籍している IDEO社はシリコンバレーのどまんなか、スタンフォード大学が立地するパロアルト市を本拠地とするデザイン会社です。トム・ピーターズも惚れ込んでいるイノベーティブな会社。

 『発想する会社!-世界最高のデザイン・ファーム IDEO に学ぶイノベーションの技法』(トム・ケリー / ジョナサン・リットマン、鈴木主税/秀岡尚子訳、早川書房、2002)は、創業経営者がみずから書いたプロダクト・デザインに重点をおいたイノベーションの教科書。日本でもロングセラーです。

目 次

はじめに-トム・ピーターズ
第1章 イノベーションの頂点
第2章 草創期の翼で飛びつづける
第3章 イノベーションは見ることから始まる
第4章 究極のブレインストーミング
第5章 クールな企業にはホットなグループが必要だ
第6章 プロトタイプ製作はイノベーションへの近道
第7章 温室をつくろう
第8章 予想外のことを予想する
第9章 バリアを飛び越える
第10章 楽しい経験をつくりだす
第11章 時速100キロのイノベーション
第12章 枠をはみだして色を塗る
第13章 「ウェットナップ」インタフェースを探して
第14章 未来を生きる
第15章 完璧なスイングを身につける
謝辞

 IDEO社は、シーリグ教授が「スタンフォード白熱授業」で強調してきた、ブレーンストーミングや試作品(プロトタイプ)つくりをすべて実現している会社です。
 カラー写真が満載の、見て読んで楽しい本です。デザイン思考とイノベーションを学ぶためにぜひお薦めします。





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NHK・ETV 「スタンフォード白熱教室」(ティナ・シーリグ教授) 第3回放送-「ブレインストーミングには悪いアイデアはない!」

NHK・ETV 「スタンフォード白熱教室」(ティナ・シーリグ教授) 第4回放送- 「6色ハット」 は個人レベルの思考パターンと仕事スタイルを 「見える化」 する

NHK・Eテレ 「スタンフォード白熱教室」(ティナ・シーリグ教授) 第5回放送-プレゼンは「つかみ」と「ストーリー」、そして限られた時間でアイデアをカタチにする

NHK・Eテレ 「スタンフォード白熱教室」(ティナ・シーリグ教授) 第6回放送-創造性はだれでも、どんな環境でも、発揮することができる!

Facebook Principle (フェイスブックの原則) を MVV (ミッション・ビジョン・バリュー) の観点からみてみよう




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2011年6月6日月曜日

NHK・Eテレ 「スタンフォード白熱教室」(ティナ・シーリグ教授) 第6回放送-創造性はだれでも、どんな環境でも、発揮することができる!


 NHK・Eテレの「スタンフォード白熱教室」。ティナ・シーリグ教授の「起業家育成コースの集中講座」(Stanford Technology Ventures Program)。まさに、シリコンバレーのテクノロジー・ベンチャーのゆりかごであるスタンフォードらしい授業ですね。

 すでに授業は第6回目、いよいよ全8回の授業の終盤に近づいてきました。意表を突いた課題とその後のディスカッション、じつに中身が濃い授業になっています。

 まずはいつもどおり、ウォームアップから。ウォームアップじたいがチームビルディングになっています。毎回趣向を変えながら、アシスタントの主導で、メンバー全員を巻き込みながら、カラダを動かして肩のチカラを抜いていく。カラダがほぐれれば、アタマの回転と柔軟性はスタンバイ。

 今回(6月5日)のテーマは「トランプで創造性を学ぶ」。公式サイトの説明は以下のとおりです。

 新しいものを創り出す力は、新製品のデザインや開発段階だけのものではありません。
ビジネスのあらゆる場面で要求されます。
 学生たちはトランプを使ったユニークなゲームで、どんな企業でも、どんな役割やレベルでも創造性を発揮する機会はあることを学び、何が起きるか予想できない状況の変化に対応して、クリエイテイブな解決策を模索していきます。
 そのためには、自分がルールだと思い込んでいることから自分を解放することが創造的になれる第一歩であることを実感します。常識を覆す学生たちの鮮やかな発想をお楽しみに。


■創造性を学ぶための課題演習

 課題は、タイトルにあるとおり「トランプで創造性を学ぶ」。まずは、いままでまったく組んだことのない3人で一組のチームをつくります。

 これをブロックでつくった壁で「二つの世界」に分ける。向かって左手が「テーブル派」、向かって右手が「イス派」。

 「テーブル派」の世界には、それぞれのチームごとにテーブルが用意されています。「イス派」の世界には、人数分のイスがあるだけでテーブルはいっさいありません。

 それぞれの世界は、4チームの構成になっています。

 なぜ、壁で二つに区切ったのかは、課題終了後に明かされることになります。


■課題内容とゲームのルール

 課題演習の内容とゲームのルールは以下のとおりです。所要時間は40分。

●各チームにトランプのカードを一束、チップを10枚(チップは1枚1点)。
●トランプで家をつくる 使うトランプは同じ絵柄のもの
●各階は赤または黒で統一 最上階は絵札を使用


 それぞれの世界に3組のトランプを枚数を間引いて4チームに分けられます。

 最終的に、得点数によって成果が表現されます。得点の集計方法は以下のとおりです。

●得点の集計方法① 使われたトランプ1枚につき1点
●得点の集計方法② 家の階数ごとにボーナスポイント1点加算
●得点の集計方法③ 52枚使った場合ボーナスポイント20点加算
●得点の集計方法④ 手持ちのチップの数もポイントに加える


 さて、演習の開始です。所要時間は 40分、開始時点の条件は「トランプは3種類、チームは4つ、配られ方はバラバラ」です。

 「ゲームのルール」は上記の 3つのみ。このルールをどう捉えるかも演習の大きな要素になります。
 
 じっさいに演習が始まると、それぞれの「世界」ごとに異なる動きがみられて面白いですね。なぜ壁をつくって二つの世界に分けたのか、当事者の学生たちには進行中はわかりませんが、ギャラリーである視聴者の立場からみると、あきらかに違う動きが展開しつつあることが見て取れます。

 10分ごとにあらたなルールが導入されていきます。

●10分経過 ステッカーをチップ1枚で販売
●20分経過 追加でトランプ3枚を配る
●30分経過 残りのカードを全部オークションで売る
●残り5分 引き抜きされたので、カード2枚もって別のグループに移るようとの指令が各グループのキャプテンにでる 

 競争条件であるルールはどんどん変わっていくもの。これは「現実世界」そのものですね。もっとも、「3-11」以後の現在の日本は、そんな程度の変化ではないでしょう。外部環境の大激変を体験中ですが・・・

 この課題演習では、与えられたルールと条件のもと、創造性をフルに発揮して、いまある資源(リソース)をいかに活用して最善の結果をつくりだすか、これが問われているわけです。そのためには、ありとあらゆることを試してみる意味がある。あるいは時間節約のため試してみないという選択もある。

 演習の結果については、得点数そのものに大きな意味があるものではありません。演習後のディスカッションがじつに多くの「気づき」の場になっていましたね! 


■課題演習後のディスカションにおける「気づき」

 さまざまな「気づき」を引き出すシーリグ教授の手腕も見事ですね。学生の発言を促し、発言に対しては絶対に NO とは言わない。いったん受け止めて、それを自分のコトバに直して学生の言わんとすることを抽出する。

 シーリグ教授のこの見事なまでのさばき方は、かつて放送されていた「あっぱれさんま大先生」を思い起こさせるものがあります(笑)。

 「あっぱれさんま大先生」とは、日曜日の午後放送されていた、小学生相手に明石家さんまが先生役をつとめていたトーク番組のことです。小学生は何を言い出すかわからないので、そうとうな技量が要求されるものであることは言うまでもありません。

 ディスカッションでは、重要な指摘がいくつかありました。わたしなりにメモしたことを箇条書きで書き出しておきましょう。

●まずはルールがどんどん変更されていくことに対して、現実世界はこのようなものだということ。
●ルールの変更は環境変化、いかに早く気づき、速く対応するかという瞬発力が重要なこと。
●思い込みから解放されることが重要なこと。
●ルール違反のギリギリとは、自分のイマジネーションを越えること。
●思考の枠組みは自分で設定していること。
●グループへの忠誠心のこと。
●いいアイデアを出すチカラをもった人が自然にリーダーとして認められていくこと。
●創造はグループのチームワークそのもの、ブレーンストーミングだけではないこと。

 
 「説明書は2種類あった」という種明かしもなかなか衝撃的(?)なものがありました。説明書の表現方法で思考の枠組みまで設定されてしまうことは、なかなか怖ろしいことですね!

 壁でへだてて「二つの世界」をつくった意味。この二つの世界の違いは、テーブルの存在の有無ということにあります。テーブルという物理的な空間が、思考の枠組みを設定してしまうのですね。

 グループごとにテーブルがあった「テーブル派」の世界では、テーブルが枠組みを設定してしまうのに対して、「イス派」の世界では、いちはやくグループの壁を取り払って合併する方向にいってしまう。固定的ではなく、流動的なわけです。なぜなら、合併してはいけないというルールがないから。 

 とかく日本人はルールは変更してはいけないと思いがちですね。常識にもとらわれがち。

 コンプライアンス(compliance)を法令「遵守」と日本語に翻訳して、さらにがんじがらめになってしまっていますが、起業家たるもの、常識にとらわれず、自分が主導してルールを破ってあらたなルールをつくっていくのだという心意気が必要ですね。新たな製品やあらたなビジネスモデルが、世の中のルールを替えてきたことは言うまでもありません!

 よくいわれるように、日本人はルールに対して「~はしてはいけない」」と捉えがちですが、米国人は「~以外はなんでもしていい」と捉えるといわれています。実際は、米国人でもルールを破ることにはためらいもあるようですが、規制にかんする行動には、思考パターンの違いが表現されてしまうものです。

 なによりも今回の授業で、わたしがもっとも深く納得したのが、「いいアイデアを出すチカラをもった人が自然にリーダーとして認められいくこと」という指摘です。

 「知識社会」というコトバだけが一人歩きしていますが、知識そのものに大きな価値があるわけではないことが重要です。実際の場で生きた知識であってこそ、あらたなアイデアを生む源泉となり、創造行為に大いに貢献するだけでなく、リーダーシップの源泉ともなる。

 そしていいアイデアが生み出されれば、それを創り出す人だけでなく、いいアイデアに共感する人、いいアイデアを積極的に広めていこうとする人がでてきて、いい意味で伝染していく。いいアイデアはまたさらにいいアイデアを引き寄せ、創造性が大いに発揮される環境ができあがっていく。

 そして、いいアイデアがカタチとなって製品やサービスとなって社会に貢献することにつながっていく。

 シーリグ教授が何度も強調していたように、「創造性はだれでも、どんな環境でも、発揮することができる!」のです。マインドバリアを取り去って、創造性を発揮しましょう。

 もちろん、教授もいうように、官僚的な大企業組織では困難なものであるのは、日本でも米国でも変わりありません。

 しかし、いいアイデアがあればそれじたいが大きな貢献になるのです。日本でもむかしから、「アタマをつかって知恵を出せ!」といわれてきましたが、アイデアをつくりだすための方法論をみにつければ、誰もがアイデアのチカラで貢献できるようになる! 

 アイデアを創り出すということは、じつにすばらしいではないですか!

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 第1回からずっと一貫してますが、学生たちに課題をあたえて、創造的にものを考えさせる演習のあと、レクチャーでポイントを解説する授業のすすめかたは、きわめてプラクティカルで、アタマにすっと入ってきます。

 今回は課題演習もクリエイティブなものであるだけでなく、課題終了後のディスカッションがまた、中身が濃く、「気づき」の多いセッションになっていました。

 なんといっても、自分で考えて試行錯誤する経験を経たあとは、何が重要なのか理解しやすいものですね。


 放送予定は以下のとおりです。いよいよ、全8回の授業は終盤にさしかかってきました。学生たちの「最終課題」は進行しているのでしょうか?

5月1日(日) 第1回 「ブレーンストーミングで可能性を探れ!」
5月8日(日)第2回 「名札をめぐる冒険」
5月15日(日)第3回 「最悪の家族旅行を考える」
5月22日(日)第4回 「6つの考える帽子」
5月29日(日)第5回 「30分で新製品を作る」
6月4日(日)第6回 「トランプで創造性を学ぶ」
6月12日(日)第7回 「あこがれの起業家に学ぶ」
6月19日(日)第8回 「新しいコーヒー体験(仮)」

 次回は、起業家たちをゲストとして招待するという授業。起業家たちのナマの声を聞ける機会をもてる学生たちがうらやましいですね。

 学びも多いが、集中力も要求される中身のきわめて濃い授業。これほど濃い 1時間もないのでは? そんな感想をもつ番組です。あと2回になってしまいましたが、日曜日の午後6時が楽しみですね!



<関連サイト>

「スタンフォード白熱教室」番組概要(NHK)

自分で自分を社長にする(Tina Seelig:ティナ・シーリグ)(YouTube 映像)



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NHK・ETV 「スタンフォード白熱教室」(ティナ・シーリグ教授) 第3回放送-「ブレインストーミングには悪いアイデアはない!」

NHK・ETV 「スタンフォード白熱教室」(ティナ・シーリグ教授) 第4回放送- 「6色ハット」 は個人レベルの思考パターンと仕事スタイルを 「見える化」 する

NHK・Eテレ 「スタンフォード白熱教室」(ティナ・シーリグ教授) 第5回放送-プレゼンは「つかみ」と「ストーリー」、そして限られた時間でアイデアをカタチにする




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2011年5月30日月曜日

NHK・Eテレ 「スタンフォード白熱教室」(ティナ・シーリグ教授) 第5回放送-プレゼンは「つかみ」と「ストーリー」、そして限られた時間でアイデアをカタチにする


 NHK・Eテレの「スタンフォード白熱教室」。ティナ・シーリグ教授の「起業家育成コースの集中講座」(Stanford Technology Ventures Program)。まさに、シリコンバレーのテクノロジー・ベンチャーのゆりかごであるスタンフォードらしい授業ですね。

 すでに授業は第5回目、全8回の授業の「後半」最初の授業となります。いよいよ「最終課題」にむけて進んでいきます。

 最終課題は、「コーヒーの新しい飲み方」。すでにグループ分けが前回なされていますので、最終回にむけて、授業と平行して自分たちのチカラで課題解決はグループワークとして行います。授業はそのために必要なスキルを伝授することになります。

 まずはいつもどおり、ウォームアップから。ウォームアップじたいがチームビルディングになっています。毎回趣向を変えながら、アシスタントの主導で、メンバー全員を巻き込みながら、カラダを動かして肩のチカラを抜いていく。カラダがほぐれれば、アタマの回転と柔軟性はスタンバイ。

 今回(5月29日)のテーマは「30分で新製品を作る」。公式サイトの説明は以下のとおりです。

 どんなに良いアイデアがあっても、それを上手く説明出来なければ採用されません。
 プレゼンテーションの基本は、ストーリーを語ることです。ビジネスでの売り込みも子供にいうことを聞かせるときも給料を上げてもらうのにも、説得力のあるストーリーを組み立てることがポイントです。相手の心をつかむプレゼンテクニックを、スタンフォードのイノベーション大会の優秀作品を題材に学んでいきます。 
 もうひとつ大切なのが、締切というプレッシャーの中でいかに創造性を発揮するかということ。学生に「30分間で魅力的なグリーティングカードを作る」というテーマを与えます。時間と道具が限られている中で、奇抜な発想が次々に飛び出します。

 今回のテーマは、以下の 2つになります。

(1) 相手の心をつかむプレゼンテクニック =ストーリーを語ること
(2) 限られた時間というプレッシャーの中で、いかに創造性を発揮するかを体感すること

 では、それぞれについて見ておきましょう。


■相手の心をつかむプレゼンテクニック =ストーリーを語ること

 まず (1) 相手の心をつかむプレゼンテクニック =ストーリーを語ること については、「スタンフォードのイノベーション大会」の優秀作品を題材に。ビデオ・プレゼンテーションを3本みながら、それぞれについて何がポイントかを考える形で授業が進みます。

 その前に、シーリグ教授からレクチャーがあったのは、「ストーリー」と「つかみ」の重要性。

 いろんな文章の書き出しの一行を紹介しながら、「つかみ」の重要性を学生に納得させます。有名な文学作品に限らず、はじめの一行でその後を読むかどうかが決まってしまう。心理学的に十分に納得できる話です。最初の3分よりも短い一行。

 「つかみ」のキモは、アタマではなくココロに訴えること。感情に直接訴えかけること。予想外のオドロキを与えて、その後を引き続き聞きたい、見たいという気持ちにさせるモチベーションを与えること。

 日本なら、テレビのバラエティ番組を題材にしたほうが面白いかもしれませんね。芸人たちの見事な「つかみ」の事例はゴロゴロしています。

 「つかみ」で聴衆のココロをつかんだら、あとは「ストーリー」展開によって、プレゼンの最後まで聴衆の気持ちを引きつける。

 モノやサービスを買ってもらうには、その気になってもらわなければならないのですが、人の気持ちを動かすには無味乾燥のプレゼンでは面白くもなんともない。そのためには「ストーリー」でやることが重要。アップルのスティーブ・ジョブズのプレゼンなどその最たるものでしょう。

 これは、とくに日本人にとっては大きな課題かもしれませんね。まだまだロジカルシンキング段階の日本のプレゼン、見本はテレビにゴロゴロしているのですから、「つかみ」と「ストーリー」を意識して、シーリグ教授のいうようにひたすら練習するしかありませんね。


■限られた時間というプレッシャーの中で、いかに創造性を発揮するか

 後者の (2) 限られた時間というプレッシャーの中で、いかに創造性を発揮するかを体感すること については、デッドラインまでに仕事をやりとげるという形で、ビジネスパーソンであれば「当たり前」になっているハズですが、学生の段階ではまだそうではないようですね。

 ただちょっと違うのは、「明日のアサイチまで ASAP で」というデッドライン設定方式ではなく、「いまから30分以内」というのがミソですね。

 一人でやっているわけではないグループワークでは、とくに今回の授業のように、学年も専攻もまったく異なる学生がチームを組んでグループワークをやるのは、ミーティングの時間調整だけでも大変ですから、非常に実際的なスキルとなることがわかります。

 課題は、「30分間で魅力的なグリーティングカードを作る」。4月22日の「アース・デイ」(Earth Day)用に「4枚セットのグリティングカード」をつくるという課題は、エコを意識する現代の学生にはうってつけの課題かもしれませんが、それでもアイデア出しから試作品作成、それから 30秒のプレゼンも考えるというのは非常に大きなプレッシャー、学生でなくても、なかなか過酷なものがあります。

 限られた持ち時間のなかで、いかに方向性を決め、アイデアを具体的なカタチにまでもっていくか。これは非常に面白いワークですね。

 その心は、課題 (1) の3本目のビデオの教訓である "fail early, fail fast" ですね。「失敗するのは早ければ早いほうがいい、しかも速ければ速いほど」といったところでしょうか。

 シーリグ教授が、この授業で初回から何度も強調しているように、最初から完璧を求めるのではなく、試作段階はスピードが勝負。ダメならすぐ廃棄し、またあらたな試作品をつくることが重要です。

 そしてここでも重要なのが、開発のための「ストーリー」を先につくること。「ストーリー」があれば、試作品もつくりやすい。

 企業でもこれができていないことが多いという指摘は、耳に痛いものがありますね。ヘタに時間とカネがあるとうまくいかないという教訓と受け取っておきましょう。

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 第1回からずっと一貫してますが、学生たちに課題をあたえて、創造的にものを考えさせる演習のあと、レクチャーでポイントを解説する授業のすすめかたは、きわめてプラクティカルで、アタマにすっと入ってきます。

 なんといっても、自分で考えて試行錯誤する経験を経たあとは、何が重要なのか理解しやすいものですね。


 放送予定は以下のとおりです。いよいよ、全8回の授業の後半に入っていきます。

5月1日(日) 第1回 「ブレーンストーミングで可能性を探れ!」
5月8日(日)第2回 「名札をめぐる冒険」
5月15日(日)第3回 「最悪の家族旅行を考える」
5月22日(日)第4回 「6つの考える帽子」
5月29日(日)第5回 「30分で新製品を作る」
6月5日 (日)第6回 「トランプで創造性を学ぶ」
6月12日(日)第7回 「真っ赤なウソを見破る(仮)」
6月19日(日)第8回 「新しいコーヒー体験(仮)」

 創造性をいかに発揮して、斬新なアイデアを具体的なカタチにするかという課題の解決。

 学びも多いが、集中力も要求される中身のきわめて濃い授業。これほど濃い 1時間もないのでは? そんな感想をもつ番組です。あと3回になってしまいましたが、日曜日の午後6時が楽しみですね!



<関連サイト>

「スタンフォード白熱教室」番組概要(NHK)

自分で自分を社長にする(Tina Seelig:ティナ・シーリグ)(YouTube 映像)



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NHK・ETV 「スタンフォード白熱教室」(ティナ・シーリグ教授) 第3回放送-「ブレインストーミングには悪いアイデアはない!」

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